労務費転嫁計算表|人件費上昇分を価格へ反映

「人件費が上がったので値上げしたい」だけでは、社内承認にも取引先との協議にも使いにくいものです。

この商品では、現行と改定後の時間原価、商品・役務1単位にかかる作業時間、年間数量を入力し、労務費の上昇額、社内で検討する転嫁率、提示価格、改定後の管理利益を分けて確認します。購入当日に、労務費上昇の根拠を整理し、顧客との価格協議に持ち込む説明材料まで作ることを目標にした実務キットです。

この計算結果は、値上げ額の自動決定、相手方に対する当然の請求権、契約変更、合意成立を意味しません。あくまで、事実と前提をそろえて協議するための試算・記録補助です。

この商品で完了する作業

次の状態まで進めます。

「100%転嫁」のような数値を入力しても、それは社内の検討シナリオです。相手方との協議、契約・注文条件、権限者の承認を経て初めて、実際の取引条件を確定します。

向いている方

向いていない方

付属ファイル

ダウンロードZIPには、次の5ファイルを収録します。

監査用の .inspect.ndjson やmacOSが生成する ._ で始まる管理ファイルは、購入者向け成果物には含めません。

購入前の見本

![購入前プレビュー](images/purchase_preview.png)

見本の会社名、取引先、商品・役務、金額、数量、人物名は、すべて説明用の架空・合成例です。購入後はそのまま流用せず、自社の一次資料に置き換えてください。

必要な環境

この商品だけではできないこと

本商品に、個別相談、入力代行、価格交渉代理、契約書の作成・審査、相手方への通知・提出、法務・税務・労務の個別判断、継続サポート、価格転嫁・利益改善・合意成立の保証は含まれません。

また、計算ブックは公表統計から自社の時間原価を自動生成しません。2026年1月1日改正版の労務費転嫁指針は、受注者が根拠資料として公表資料を用いること、発注者が説明や根拠資料を求める場合は公表資料に基づくものとすることを行動指針で示しています。公表資料は客観的な根拠として協議に使い、自社の原価計算では、自社の給与、事業主負担、実働可能時間、対象作業時間等による実額を正本にしてください。公表資料だけで個別の請求額や合意額が決まるわけではありません。

主表は1ファイルにつき最大20対象の設計です。20対象を超える場合は、対象群・期間・版を分けてファイルを複製し、各ファイルの警告を解消してから確定値だけを別の集計台帳へ転記してください。青色の数式セルと集計判断セルは編集保護し、黄色の入力セルだけを編集可能にしています。保護を解除して数式を変更した場合は、保存してある正本から復元してください。行や数式範囲を無確認で追加する運用には向きません。

他商品との違い・重なる部分

最初に開くファイル

ZIPを展開したら、最初に 00_README.md、次に 02_運用ガイドと判断フロー.docx を読み、その後 01_編集用実務ブック.xlsx の「使い方」と「記入済み例」を開きます。

架空例で列の意味と計算の流れを確認してから、「労務費転嫁計算」へ自社データを入力してください。顧客へ見せる資料は、計算と社内確認が終わった後で 04_顧客説明資料完成例.pptx を複製して作ります。

入力前に用意する資料

金額は税込・税抜のどちらかに統一します。時間は「時間/件」「時間/台」「時間/月」など、商品・役務の単位を先に固定してください。不明値を0と置かず、「要確認」として確認先・期限を残します。

1. 対象と単位を固定する

商品・役務ID、名称、対象期間、1単位の意味を決めます。定期点検1回と年間保守1契約のように単位が違うものは、同じ行に混ぜません。

2. 時間原価の改定前後を根拠付きで入力する

現行時間原価と改定後時間原価を入力し、「入力根拠一覧」で根拠IDを付けます。賃金、事業主負担、実働時間、数量、現行価格は、資料と対象期間を分けて保存します。

公表賃金の上昇率を自社の時間原価へそのまま掛けるのではなく、自社の実額で再計算した値を正本にします。一方、公表資料は、労務費上昇を示す客観的な根拠として協議に用います。自社原価の計算根拠と、価格交渉で提示する公表根拠を混同しないでください。

3. 労務費上昇額を確認する

ブックは、概ね次の順で計算します。

  1. 現行労務費/単位 = 作業時間/単位 × 現行時間原価
  2. 改定後労務費/単位 = 作業時間/単位 × 改定後時間原価
  3. 上昇額/単位 = 改定後労務費/単位 − 現行労務費/単位
  4. 年間上昇額 = 上昇額/単位 × 年間数量

この段階では、まだ顧客への請求額を確定していません。まず、自社に生じる労務費差分を確認します。

4. 検討用転嫁率を入力する

「労務費転嫁計算」シートのB5へ、0〜100%の社内検討用転嫁率を入力します。100%は全額を提示案へ含めるシナリオ、70%は上昇分の70%を提示案へ含めるシナリオです。

転嫁率は法律上の権利や相手の受諾可能性を表しません。未転嫁分を自社で吸収するのか、仕様・頻度・納期・最小数量等を見直すのかを検討するための変数です。

5. 提示価格と管理利益を確認する

提示転嫁額/単位、提示価格、現行管理利益/単位、改定後管理利益/単位、改定後管理利益率を確認します。利益率が保たれていても、数量、供給能力、顧客条件、契約期間、既受注分の扱いは別途確認します。

6. 社内判断を残す

次を1行ずつ記録します。

7. 顧客説明資料へ転記する

04_顧客説明資料完成例.pptx を複製し、架空情報を削除してから、対象、期間、現行と改定後、差分・年間影響、根拠資料、希望する開始日、協議したい事項を転記します。

内部の給与明細や個人情報をそのまま渡す必要があるとは限りません。公正取引委員会の指針・中小企業庁の支援資料を確認し、開示範囲、秘密情報、個人情報、契約上の守秘義務を整理してください。

8. 協議と結果を記録する

提示後は、連絡日時、顧客・相手方、提示版、計算版、回答、代替案、合意・不合意、適用対象、開始日、次回確認日を記録します。同じ商品でも協議ラウンドが変わる場合はIDを分け、提示版と計算版を更新してください。口頭合意だけで終わらせず、契約・注文書・メール・議事録等と照合します。

架空例で計算の流れを確認する

「記入済み例」の架空商品「定期点検」では、1回2.5時間、現行時間原価2,600円、改定後時間原価2,850円、年間240回、現行単価18,000円、その他単位原価5,200円としています。

この例では、労務費上昇分を全額提示価格へ加えることで、単位当たりの管理利益6,300円を維持する試算です。しかし、625円を当然に請求できる、相手方が受け入れる、契約価格が自動で18,625円になる、という意味ではありません。根拠・対象・開始日を示して協議し、必要な合意と社内承認を確認します。

商品間の引継ぎと二重計上防止

  1. No.2からは「確定した時間原価」だけを転記します。給与、賞与、事業主負担額を本商品へ再加算しません。
  2. No.10からは根拠ID、対象期間、資料名、保存先を引き継ぎます。原価差額を二重に足しません。
  3. 本商品は労務費だけを扱います。材料・エネルギー・外注・運送等の上昇分はNo.15等と区分します。
  4. 「その他単位原価」に含めた費用を、労務費上昇額へもう一度加えないでください。
  5. No.13・No.16へは、承認済みの提示案だけを転記します。試算案と合意済み価格を同じ状態名で保存しません。
  6. 転記時は、商品・役務ID、対象期間、単位、根拠ID、版、確認日を照合します。

判断フロー

  1. 入力状態が「要確認」「入力エラー」なら、提示額を使わず元資料へ戻る。
  2. 入力状態が「OK」でも、現行・改定後の時間原価が同じ範囲・同じ単位か確認する。
  3. 労務費以外の費用が混ざっていれば、費目を分けて再計算する。
  4. 年間上昇額と管理利益への影響を確認し、転嫁・一部吸収・仕様変更・頻度変更等の案を比較する。
  5. 契約、見積期限、既受注、例外合意、承認権限を確認する。
  6. 根拠・対象・期間・開始希望日を説明資料へまとめ、協議する。
  7. 合意できた内容だけを新しい価格条件へ反映し、未合意・保留事項と分けて保存する。
  8. 独占禁止法、取適法、契約、個人情報、守秘義務等の個別判断が必要なら、公的窓口または弁護士等へ確認する。

よくある失敗と戻し方

最終チェック

基準日と公式情報

基準日は2026-07-22です。制度、指針、支援資料は変わるため、使用時に公式サイトを再確認してください。

これらは協議や検討を支える情報であり、個別案件の自動的な値上げ権、契約変更、提示額の妥当性、合意成立を保証するものではありません。

免責と確認先

本商品は一般的な原価試算・資料整理・意思決定記録の補助です。計算・集計結果は入力値と前提に依存します。価格転嫁の可否、独占禁止法・取適法その他法令の適用、契約変更、既受注への適用、税務・労務処理、開示範囲は、取引関係・契約・業種によって異なります。

必要に応じて、公正取引委員会、中小企業庁、価格転嫁サポート窓口、取引かけこみ寺、よろず支援拠点、弁護士、税理士、社会保険労務士等へ確認してください。本商品は、利益改善、価格改定、交渉合意、契約成立、適法性を保証しません。