帯状疱疹ワクチンの費用助成・定期接種を徹底整理する(2025年4月の制度変更と自治体ごとの自己負担額の見つけ方)
本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・受付期間はいずれも変更されることがあるため、接種前に必ず公式サイトまたはお住まいの市区町村で最新情報をご確認ください。
この記事が整理すること
50歳を過ぎてから「帯状疱疹のワクチンを打った方がいい」と聞いた方が、実際に調べ始めると、いくつかの壁にぶつかります。
最初の壁は、2025年4月から制度が大きく変わったことです。「定期接種」という仕組みに帯状疱疹ワクチンが加わりましたが、対象になる年齢は全員ではなく、「今年度、何歳になる人か」によって細かく決まっています。自分が今の制度の対象なのかどうか、まずそこが分かりにくいと感じる方が多くいます。
2つ目の壁は、費用です。定期接種の対象になった場合でも、自己負担がゼロになるわけではありません。「いくら払えばいいのか」という答えは、お住まいの市区町村によって異なり、どこかに全国共通の金額が載っているわけではありません。
3つ目の壁は、ワクチンが2種類あることです。生ワクチン(ビケン)と不活化ワクチン(シングリックス)の2種類があり、接種回数も価格も効果の持続期間も副反応の頻度も違います。どちらを選ぶべきかの判断材料がなければ、医療機関に行っても迷うだけです。
この記事では、上記3つの壁を整理します。対象かどうかの確認の仕方、自治体の費用の調べ方、2種類のワクチンの違い、接種機会が生涯1度しかないという重要な注意点、そして低所得世帯向けの無料制度など、実際に接種を検討する方が必要とする情報を順番に解説します。
本記事は情報提供を目的としており、個別の接種判断・医療的助言・申請代行は行いません。接種の可否・適切なワクチンの種類については、必ずかかりつけ医や接種を担当する医療機関にご相談ください。
制度の全体像
帯状疱疹ワクチンをめぐる3種類の立場
2026年度時点で、帯状疱疹ワクチンの接種をめぐる立場は大きく3つに分かれます。
1つ目は、定期接種の対象者です。65歳になる年度、あるいは2025〜2029年度の経過措置で対象とされている年齢に達する年度の方が該当します。定期接種では市区町村が費用の一部を公費で負担するため、全額自費より安く接種できます。
2つ目は、50〜64歳で定期接種の対象外だが、市区町村が独自の任意接種助成を行っている場合です。かつて多くの自治体が50歳以上を対象に費用助成を行っていましたが、2025年4月の定期接種化以降、50〜64歳への助成を終了した自治体もあれば、2026年度も継続している自治体もあります。
3つ目は、定期接種の対象でも任意接種助成の対象でもなく、全額自費で接種する場合です。この場合、ワクチンの費用は医療機関ごとに異なり、シングリックスであれば2回合計で4万〜5万円程度になることが多いとされています。
定期接種の基本構造
帯状疱疹は2025年4月1日より、予防接種法上の「B類疾病」として定期接種の対象疾患に位置づけられました。B類疾病とは、インフルエンザや肺炎球菌感染症と同じ分類で、「個人の発症・重症化予防」を主な目的とした接種です(A類疾病は集団免疫を目的とした強い勧奨接種に位置づけられます)。
B類疾病の定期接種では、接種は本人の意思に基づいて行われ、自治体が費用の一部を公費負担します。しかし、全員が無料になるわけではなく、自己負担額は各市区町村が決定します。また、B類疾病の定期接種では、国の方針として接種の積極的勧奨は行いません(選択の主体は本人にあるという制度設計です)。
使えるワクチンの種類
定期接種で使えるワクチンは2種類です。
生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」)は、水痘(水ぼうそう)の予防にも使われてきた生きたウイルスを弱毒化したワクチンです。皮下に1回注射します。
不活化ワクチン(乾燥組換え帯状疱疹ワクチン「シングリックス」)は、ウイルスの特定のたんぱく成分を組み換え技術で作った不活化ワクチンです。筋肉内に2回注射します(2回目は1回目から原則2か月以上後)。
この2種類を自分で選んで接種することになります。
【無料サンプル】65歳になる年度の方が、千葉市で生ワクチンを接種する場合の手順を全部見せます
ここでは、「2026年度に65歳になる方が千葉市在住で、生ワクチン(ビケン)を定期接種で受ける」という1ケースを、調べ方・持ち物・費用・窓口まで一切省略せず最後まで解説します。あくまで制度の動き方を理解するための一例であり、各種条件は変わる場合があります。接種前には必ず千葉市または接種医療機関に最新情報を確認してください。
ステップ1: 自分が対象かどうかを確認する
2026年度(令和8年4月1日〜令和9年3月31日)に定期接種の対象となるのは、2026年度中に65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳を迎える方です。「年度中に」とは、その年度末(令和9年3月31日)時点でその年齢に達している方、という意味で運用されています。
1961年(昭和36年)4月2日〜1962年(昭和37年)4月1日生まれの方が、2026年度に65歳を迎えます。自分の生年月日を確認して、該当するかどうかを見ます。
ステップ2: 接種券の到着を確認する(または問い合わせる)
千葉市では、定期接種の対象者に予防接種の案内(接種券)が送付されます。届いていない場合や不明な場合は、千葉市保健福祉局医療衛生部医療政策課予防接種事業(電話: 043-238-9941)に問い合わせると案内を受けられます。
ステップ3: 費用を確認する
千葉市(2026年度、確認日2026-06-27時点)の生ワクチン(ビケン)の自己負担額は4,000円です。
ただし以下の方は減額または無料になります。
- 生活保護受給者・中国残留邦人等支援給付受給者: 0円(無料)
- 市民税非課税世帯: 2,000円(減額)
非課税世帯の方は、接種時に医療機関で証明書類を提示する必要があります。事前に用意するものを次のステップで確認します。
ステップ4: 持ち物を準備する
接種当日に持参するものは次の通りです。
- 接種券(市から送られてきたもの)
- マイナンバーカードまたは健康保険証(本人確認書類)
- 自己負担金 4,000円(非課税世帯の方は減額証明書類も持参)
- かかりつけ医がいる方は、必要に応じて紹介状・お薬手帳
非課税世帯の証明書類は、介護保険料納入通知書・後期高齢者医療資格確認書・住民税の課税証明書(非課税証明)など、市区町村が指定するものです。事前に窓口で何が必要か確認しておくと当日スムーズです。
ステップ5: 接種できる医療機関を調べる
千葉市では、市内の指定医療機関で接種を受けることができます。接種可能な医療機関の一覧は千葉市の公式ウェブサイト(https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/iryoeisei/seisaku/taijouhoushin.html)に掲載されています。
かかりつけ医がいる場合は、まずかかりつけ医に「帯状疱疹の定期接種を受けたい」と伝えて確認するのが最もスムーズです。かかりつけ医が対応していない場合は、リストを参照して近くの医療機関に電話で予約します。電話の際に「帯状疱疹の定期接種を受けたい。接種券があります」と伝えると確実です。
ステップ6: 接種を受ける
接種当日は問診票に記入します(医療機関に用意されているか、市から送付される場合があります)。問診では体調、アレルギー歴、現在の服薬状況などを確認されます。免疫を抑制する薬を飲んでいる方は事前に医師に伝えてください(生ワクチンの場合、免疫抑制状態は禁忌となる場合があります)。
接種後は15〜30分ほど医療機関で待機してから帰宅します(急性アレルギー反応の確認のため)。
ステップ7: 接種後の注意
接種部位に痛み・赤み・腫れが出ることがあります。接種後1〜2日は激しい運動や飲酒を控えるのが無難です。生ワクチンの副反応は比較的軽い傾向がありますが、気になる症状が続く場合は接種医療機関に連絡してください。
費用のまとめ(千葉市・生ワクチン・一般世帯)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自己負担額 | 4,000円(1回で接種完了) |
| 非課税世帯 | 2,000円 |
| 生活保護世帯 | 0円(無料) |
| 接種機会 | 生涯で1回(この年度を逃すと定期接種の対象外) |
| 問い合わせ先 | 千葉市保健福祉局医療政策課予防接種事業 043-238-9941 |
確認日: 2026年6月27日。最新の情報は必ず千葉市公式サイトで確認してください。
この無料サンプルで分かることと、続きで解説すること
このケースでは、「65歳・千葉市・生ワクチン」という一つの組み合わせを最後まで見ました。実際には、シングリックスを選んだ場合は接種が2回になり費用も手続きも変わります。また、自分の年齢が経過措置の対象かどうかの確認が必要な方、低所得世帯で費用免除を受けたい方、年度内に接種できなかった場合の長期療養特例の手続きを知りたい方、50〜64歳で定期接種の対象外だが助成を探している方など、多くの状況があります。
続くこの続きでは、これらの実務をすべてカバーします。
ここから先は、申請に直結する実務です。
帯状疱疹という病気を理解する
ワクチンを検討する前に、帯状疱疹という病気がどのようなものかを理解しておくことが、選択の判断材料になります。
水痘(水ぼうそう)ウイルスとの関係
帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV: Varicella-Zoster Virus)です。このウイルスは、子供のころに水痘(水ぼうそう)にかかった際に体内に侵入し、その後も脊髄や脳神経の神経節(神経細胞が集まる部分)に潜伏し続けます。日本で生まれ育った60歳以上の方の大多数はVZVに感染した経験があるとされています。
このウイルスは、加齢や過労・ストレス・病気などで免疫力が低下すると、潜伏していた神経節から再活性化して神経に沿って広がります。これが帯状疱疹の発症メカニズムです。神経に沿って皮膚に水疱(みずぶくれ)を生じ、強い痛みをともないます。
水痘ウイルスに感染したことのある人であれば、年齢を問わず発症する可能性があります。ただし、免疫力が比較的高い若年層では発症しにくく、50歳以降で免疫力が落ちてくると発症率が上がります。
生涯発症率と年齢別リスク
国立感染症研究所の帯状疱疹ワクチンファクトシート(2024年6月改訂)によると、宮崎県で1997年から長期間実施されている大規模疫学研究(宮崎スタディ)では、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されています。また、60歳以上では年間おおむね100人に1人程度の発症率という研究報告もあります。
50代から発症率が上昇し、70〜80代でピークを迎える傾向があります。
症状と経過
帯状疱疹の典型的な経過は次のようなものです。
発症初期(1〜5日)は皮膚の痛みや違和感が先行します。「チクチクする」「焼けるような感じ」「触ると痛い」などを訴える方が多く、皮膚症状が出る前の段階です。ここで帯状疱疹と気づかれないことがあります。
その後、からだの片側に帯状に赤みと水疱が現れます。「帯状」という名称は、皮疹が神経の走行に沿って帯のように広がる様子を表しています。皮疹は体幹(胸・腹・背中)に出やすいですが、顔・頭部・腕・足など全身に出る可能性があります。
水疱は1〜2週間で乾燥してかさぶたになり、3〜4週間で治癒するのが標準的な経過です。皮膚症状自体は治まりますが、神経の痛みが長引くことがあります。
帯状疱疹後神経痛(PHN)という後遺症
帯状疱疹の最も重要な合併症が、帯状疱疹後神経痛(PHN: Post-Herpetic Neuralgia)です。皮疹が治癒した後も1か月以上痛みが続く状態を指します。
50歳以上の帯状疱疹患者の約5人に1人でPHNへの移行が見られるとされており、加齢とともにリスクが高まります。PHNは持続する灼熱感・刺すような痛み・触れるだけでも痛む状態(接触誘発痛)などを引き起こし、日常生活・睡眠・精神的健康に大きな影響を与えることがあります。
PHNになりやすい要因には、高齢、皮疹の重症度が高い、発症前から強い痛みがある、顔面・頭部に発症した場合などが挙げられています。
合併症のその他のリスク
帯状疱疹は重症化すると、眼(角膜炎・ぶどう膜炎・視力障害)、耳(難聴・めまい・顔面神経麻痺)、内臓(肺炎・脳炎)などに合併症を生じることがあります。とくに顔面・眼の周囲に発症した帯状疱疹は眼合併症のリスクがあり、早期の治療開始が重要とされています。
治療の現状と限界
帯状疱疹には抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)の内服治療があります。発症後72時間(3日)以内に抗ウイルス薬を開始すると、症状の重さを軽減し、PHNへの移行リスクを下げる効果があるとされています。
ただし、PHNになってしまった場合の治療は長期になることが多く、痛みを完全になくすことが難しいケースも少なくありません。帯状疱疹の「予防」に意義がある理由がここにあります。
2025年4月の定期接種化とは何か
B類疾病としての位置づけ
2025年4月1日、予防接種法の一部改正により、帯状疱疹が定期接種の対象疾患(B類疾病)に追加されました。
B類疾病の定期接種は、インフルエンザ(65歳以上)や肺炎球菌感染症(65歳以上)などと同じ分類に入ります。特徴は次の通りです。
- 対象年齢になれば市区町村から案内が来て、一部公費負担で接種できる
- 接種するかどうかは本人の意思に基づく(強制ではない)
- 国として積極的な勧奨(全員に打つよう求めること)はしない
- 自己負担額は市区町村が決定するため、地域によって異なる
- 対象年度中の接種が原則(原則として年度をまたいで持ち越せない)
この「原則として年度をまたいで持ち越せない」という点は、インフルエンザワクチンとは大きく異なります。インフルエンザは毎年対象になりますが、帯状疱疹は対象となる年齢に達した年度の1回だけです。
定期接種化前との違い
2025年4月以前は、帯状疱疹ワクチンは全額自費の任意接種でした。多くの自治体が独自の費用助成制度を設けていましたが、これはあくまで自治体の独自事業であり、法的な「定期接種」ではありませんでした。
定期接種になったことで変わった点を整理します。
健康被害救済制度の面では、任意接種時代は「医薬品副作用被害救済制度(PMDA)」が窓口でした。定期接種に移行したことで、対象年齢での接種は「予防接種健康被害救済制度(予防接種法に基づく)」の対象になりました。後者のほうが補償の水準が一般的に手厚いとされています(詳細は後述)。
費用の面では、自治体が公費負担する根拠が明確になり、全額自費より安く接種できる仕組みが全国で整いました。ただし自己負担額は自治体差があります。
定期接種化でも変わらなかった点
生涯1度という機会の制限は、定期接種化以前から変わっていません。また、定期接種の対象外(50〜64歳など)の方は、以前と同様に任意接種となります。
対象年齢の確認と経過措置の仕組み
基本の対象年齢
定期接種の基本対象は「その年度に65歳を迎える方」です。実務上は「年度末(3月31日)時点で65歳になっている方」として運用されます。
加えて、60〜64歳でHIVによる免疫機能障害があり、身体障害者手帳1級に相当する方も対象となっています。
2025〜2029年度の経過措置
B類疾病の定期接種を新設する際、すでに対象年齢(65歳)を過ぎている人への対応として、5年間の経過措置が設けられました。
経過措置では、2025年度から2029年度の各年度に、65歳以外の5歳刻みの年齢も対象に含まれます。具体的には、70・75・80・85・90・95・100歳が各年度の追加対象となります。
| 年度 | 定期接種の対象年齢(その年度中に達する方) |
|---|---|
| 2025年度(令和7年度) | 65・70・75・80・85・90・95・100歳、および100歳以上の方全員 |
| 2026年度(令和8年度) | 65・70・75・80・85・90・95・100歳 |
| 2027年度(令和9年度) | 65・70・75・80・85・90・95・100歳 |
| 2028年度(令和10年度) | 65・70・75・80・85・90・95・100歳 |
| 2029年度(令和11年度) | 65・70・75・80・85・90・95・100歳 |
2029年度をもって経過措置は終了し、2030年度以降は65歳のみが毎年の対象になる見込みです。
自分の対象年度を確認する早見チェック
「今年度(2026年度)の対象かどうか」を調べるには、2026年度中(2026年4月1日〜2027年3月31日)に何歳になるかを計算します。65・70・75・80・85・90・95・100歳のいずれかに該当すれば対象です。
以下は2026年度(令和8年度)の対象生年の目安です。
| 対象年齢 | 対象となる生まれ年の目安 |
|---|---|
| 65歳 | 1961年(昭和36年)4月2日〜1962年(昭和37年)4月1日 |
| 70歳 | 1956年(昭和31年)4月2日〜1957年(昭和32年)4月1日 |
| 75歳 | 1951年(昭和26年)4月2日〜1952年(昭和27年)4月1日 |
| 80歳 | 1946年(昭和21年)4月2日〜1947年(昭和22年)4月1日 |
| 85歳 | 1941年(昭和16年)4月2日〜1942年(昭和17年)4月1日 |
| 90歳 | 1936年(昭和11年)4月2日〜1937年(昭和12年)4月1日 |
| 95歳 | 1931年(昭和6年)4月2日〜1932年(昭和7年)4月1日 |
| 100歳 | 1926年(大正15年/昭和元年)4月2日〜1927年(昭和2年)4月1日 |
確認日: 2026年6月27日。年度の定義や運用は自治体ごとに確認してください。
66〜69歳の方の扱い
66〜69歳の方(例: 1957〜1960年生まれの一部)は、2026年度には上記の対象年齢のいずれにも該当しません。こうした「経過措置の5歳刻みの間の年齢」の方は、その年度の定期接種の対象外です。
では今後対象になるかというと、次に70歳になる年度が来れば対象になります。たとえば現在67歳の方なら、3年後に70歳を迎える年度に対象となります。
ただし、「その年度に接種しなければ機会は消える」という点は忘れてはいけません。70歳の年度に対象になっても、その年度中に接種しなければ次の機会はありません(長期療養特例を除く)。
接種機会は生涯1度限り
これは、帯状疱疹ワクチンの定期接種で最も重要な注意点です。
なぜ1度限りなのか
帯状疱疹ワクチンの定期接種は、「対象年齢に達した年度の1年間」に限定されています。かつ、その機会で接種を完了した場合(生ワクチン1回、または不活化ワクチン2回の完了)、それ以後は定期接種の対象外となります。
インフルエンザワクチンのように「毎年受けられる」のとは根本的に異なります。接種の機会が来たときに、きちんと受けておくことが重要です。
接種完了とはどういう意味か
生ワクチン(ビケン)の場合: 1回接種で「接種完了」とみなされます。
不活化ワクチン(シングリックス)の場合: 1回目の接種だけでは完了ではありません。2回目の接種まで終えて「接種完了」となります。定期接種の機会は年度内ですが、シングリックスの2回目は「1回目から2か月以上後」に接種する必要があります。そのため、年度末(3月)に1回目を受けると、2回目(2か月後の5月)は次の年度になってしまう場合があります。
この点については、後述の「シングリックス2回目の予約確保」の項でさらに詳しく説明します。
年度内に逃した場合の原則
対象年度内に接種しなかった場合(体調不良で行けなかった、存在を知らなかったなど)、原則として定期接種の資格は失効します。その後は、次に対象年齢に達しない限り定期接種は受けられません(経過措置が終わった後の65歳の方は毎年対象になります)。
66〜69歳など、65歳を過ぎてしまい次は70歳まで機会が来ない方は、その年度を逃すと数年先まで定期接種の機会がありません。任意接種として全額自費で受けるか、次の対象年度まで待つかの選択になります。
2種類のワクチンを徹底比較する
定期接種ではどちらのワクチンも選べます。どちらを選ぶかは、予防効果の強さ、費用、副反応、自分の健康状態などを考慮して、医師と相談の上で決めることになります。以下では客観的な比較情報をまとめます。
効果・有効性の比較
| 比較項目 | 生ワクチン(ビケン) | 不活化ワクチン(シングリックス) |
|---|---|---|
| 接種1年後の帯状疱疹発症予防率 | 約60% | 90%以上 |
| 接種5年後の発症予防率 | 約40% | 約90% |
| 接種10年後の発症予防率 | データなし(効果減弱が推測される) | 約70% |
| PHN(帯状疱疹後神経痛)予防効果 | あり(発症率低下に寄与) | あり(高い有効率) |
| 効果の持続期間 | 5〜7年程度(推定) | 10年以上(追跡継続中) |
シングリックスは発症予防率・持続期間ともに生ワクチンを大きく上回ります。ただし生ワクチンも「まったく効果がない」わけではなく、一定の予防効果が認められています。
接種方法・回数の比較
| 比較項目 | 生ワクチン(ビケン) | 不活化ワクチン(シングリックス) |
|---|---|---|
| 接種方法 | 皮下注射 | 筋肉内注射 |
| 接種回数 | 1回(1回で完了) | 2回(2か月以上の間隔が必要) |
| 2回目の間隔 | 不要 | 1回目から2か月以上後(原則)、医師判断で最短1か月 |
| 接種場所 | 上腕部(皮膚の少し下) | 上腕部(筋肉内) |
シングリックスは2回接種のため、2回分の予約・通院・費用が必要になります。
副反応の比較
| 副反応 | 生ワクチン(ビケン) | 不活化ワクチン(シングリックス) |
|---|---|---|
| 注射部位の痛み | あり(比較的軽い) | 78〜80%に認められる(比較的強い) |
| 注射部位の赤み・腫れ | あり(比較的軽い) | 37〜38%に赤み、26%に腫れ |
| 筋肉痛 | 少ない | 約40%に認められる |
| 疲労感・倦怠感 | 少ない | 約39%に認められる |
| 頭痛 | 少ない | 約33%に認められる |
| 発熱(37.5度以上) | 少ない | 約18%に認められる |
| 悪寒 | 少ない | 約24%に認められる |
シングリックスは生ワクチンに比べて全身性の副反応(倦怠感・筋肉痛・発熱など)が出やすい傾向があります。ただし、これらは通常3〜5日以内に軽快します。
副反応の頻度が高い理由は、シングリックスに含まれるアジュバント(免疫増強剤)にあります。このアジュバントが強い免疫応答を引き出すことで、高い予防効果と長期持続が実現していますが、同時に接種後の反応も出やすくなっています。
翌日の生活設計について
シングリックスを接種した翌日は、3〜4割の方で倦怠感・筋肉痛・発熱などの症状が出る可能性があります。接種の翌日に重要な予定(仕事・旅行・人と会う約束など)が入っている場合は、接種日の調整を検討することをおすすめします。
特に2回目のシングリックス接種後は、1回目より副反応が強く出る傾向が報告されています。2回目の翌日も、余裕を持ったスケジュールが望ましいです。
生ワクチン(ビケン)では、接種後の全身性副反応は少なめのため、翌日の予定に大きく影響しないケースが多いとされています。
禁忌・注意事項の比較
| 項目 | 生ワクチン(ビケン) | 不活化ワクチン(シングリックス) |
|---|---|---|
| 免疫不全者への接種 | 禁忌(接種できない) | 可能(禁忌ではない) |
| 免疫抑制剤を使用中の方 | 禁忌 | 医師の判断で可能 |
| HIV感染者 | 原則禁忌 | 可能 |
| 妊婦 | 禁忌 | 禁忌(安全性未確立) |
| 本成分へのアレルギー | 禁忌 | 禁忌 |
免疫不全・免疫抑制治療中の方は、生ワクチンは接種できません。この場合は不活化ワクチン(シングリックス)を選ぶことになります。ただし最終的な接種可否は医師の判断に委ねられます。
どちらを選ぶかの考え方
医療機関では一般的に、予防効果の強さと持続期間を重視するならシングリックス、費用を抑えたい・副反応を軽くしたい・1回で完了させたい場合は生ワクチン(ビケン)、という形で説明されることが多いです。
ただし、免疫不全・免疫抑制状態の方は生ワクチンを選べないため、必ず医師に自分の状態を伝えた上で相談してください。
自治体ごとの自己負担額と調べ方
全国共通の金額は存在しない
定期接種の自己負担額は、各市区町村が独自に設定します。国が定めているのは「B類疾病は費用の一部を公費で負担する」という枠組みだけで、具体的な金額は定めていません。そのため、自己負担額は住んでいる自治体によって大きく異なります。
以下は複数の自治体の自己負担額の実例です(いずれも2026年6月27日時点で各自治体公式サイトにて確認した数値です。制度は変わることがあるため、接種前に必ず最新情報をご確認ください)。
主要自治体の自己負担額比較(2026年度、確認日2026-06-27)
| 自治体 | 生ワクチン(ビケン)1回 | シングリックス1回×2回 | 非課税世帯等の軽減 |
|---|---|---|---|
| 千葉市 | 4,000円 | 10,000円×2 | 生ワクチン2,000円、シングリックス5,000円×2 |
| 仙台市 | 5,000円 | 11,000円×2 | 免除(非課税世帯) |
| 神戸市 | 4,000円 | 10,000円×2 | 無料(非課税世帯・生活保護) |
| 広島市 | 4,900円 | 18,100円×2 | 免除(非課税世帯) |
| 福岡市 | 4,900円 | 12,000円×2 | 免除(非課税世帯・生活保護) |
| 港区(東京) | 無料(全額公費) | 無料(全額公費) | — |
| 名古屋市(任意接種・50歳以上) | 4,200円 | 10,800円×2 | 免除(非課税世帯・生活保護) |
港区のように定期接種対象者に全額公費負担(自己負担ゼロ)を設定している自治体がある一方で、広島市のようにシングリックスの自己負担が1回18,100円(2回で36,200円)になっている自治体もあります。
名古屋市の欄は定期接種対象外の50〜64歳向け任意接種助成の額であり、令和8年度の定期接種額とは異なる可能性があります。
任意接種の全額自費の場合の参考費用
定期接種の対象外の場合や、自治体の任意接種助成を受けられない場合、全額自費での接種となります。医療機関によって価格は異なりますが、目安として次の水準が参考になります(医療機関の公表価格等より・確認日2026-06-27)。
- 生ワクチン(ビケン)全額自費: 7,000〜13,000円程度(1回)
- 不活化ワクチン(シングリックス)全額自費: 1回20,000〜30,000円程度(2回合計で40,000〜60,000円程度)
これらはあくまで参考であり、医療機関により大きく異なります。接種前に必ず各医療機関に確認してください。
自分の自治体の情報を調べる3つの方法
方法1: 市区町村の公式サイトで検索する
お住まいの市区町村名と「帯状疱疹 定期接種」または「帯状疱疹 予防接種」で検索します。ほとんどの自治体がウェブサイトに掲載しています。
方法2: 厚生労働省のページから情報検索サービスを使う
帯状疱疹ワクチンの接種情報を一括で調べられる情報検索サービス(taijouhoushin-yobou.jp)でも、自治体を選んで検索できます。ただし情報の更新タイミングに差がある場合があるため、確認は公式自治体サイトが優先です。
方法3: 電話で市区町村の保健センターまたは健康福祉課に問い合わせる
確実に最新情報を得るなら、市区町村の窓口(保健センター・健康増進課・健康福祉課など、自治体によって名称が異なります)に電話するのが最も確実です。「帯状疱疹の定期接種を受けたいのですが、今年度の対象かどうかと費用を教えてください」と聞くと教えてもらえます。
低所得世帯・生活保護世帯の自己負担免除
免除制度の概要
多くの自治体では、定期接種の自己負担額について、生活保護世帯・市民税非課税世帯・中国残留邦人等支援給付受給者を対象に、全額または一部を免除する制度を設けています。
ただし、免除制度の対象範囲・証明書類・手続きは自治体によって異なります。「非課税世帯なら絶対に無料」と断言はできません。必ずお住まいの自治体の情報を確認してください。
自治体別の免除パターン(確認例)
確認した自治体では、大きく2つのパターンに分かれています。
パターンA(完全免除型): 生活保護世帯・非課税世帯ともに全額免除(神戸市・仙台市・福岡市等)
パターンB(減額型): 生活保護世帯は全額免除、非課税世帯は定額に減額(千葉市:生ワクチン2,000円・シングリックス5,000円×2等)
港区のように、そもそも定期接種対象者は全員無料という設定の自治体もあります。
手続きの流れ(一般的な例)
- 接種前に市区町村の窓口(または公式サイト)で「非課税世帯の免除が受けられるか」を確認する
- 自治体が指定する証明書類を準備する(介護保険料納入通知書・後期高齢者医療資格確認書・住民税非課税証明書など、自治体によって異なる)
- 接種当日に医療機関で証明書類と接種券を提示する
自治体によっては「事前申請が必要」という場合もあります。接種当日に窓口に行っても対応できないことがあるため、余裕をもって事前に確認することが重要です。
払い戻し(返還)ができない自治体がある点に注意
免除に関して見落とされやすいのが、「いったん医療機関の窓口で自己負担額を支払ってしまうと、後から免除に該当することが分かっても差額を返してもらえない」という運用です。たとえば福岡市・広島市は、公式サイトで「医療機関で一度支払った費用の返還(払い戻し)は行わない」という趣旨を明記しています(いずれも確認日2026-06-27)。つまり、減免を受けたい方は接種「当日その場で」証明書類を提示しなければならず、後日提示では間に合わないということです。
一方で、自治体によっては後日の申請で差額を返金する償還払いを設けている場合もあります。返金可否は自治体ごとに分かれるため、「証明書類を当日忘れたら返ってこない自治体もある」という前提で、接種前に持ち物を確認しておくことが安全です。
シングリックス2回目の予約確保について
シングリックスを選んだ場合、2回目の接種に関して注意が必要な点があります。
2回目の接種間隔のルール
1回目と2回目の間隔は、原則2か月以上必要です。ただし医師が必要と判断した場合(免疫低下がある場合など)は、最短1か月に短縮できます。
上限については、「免疫が低下していない場合は6か月以内」を目安とする情報もありますが、厳密な期限については医師に確認してください。
年度末に接種すると2回目が翌年度になる問題
定期接種の期間は各年度内(4月1日〜翌3月31日)です。年度内の早めの段階で1回目を受けておくことで、2か月以上の間隔を取りながら同じ年度内に2回目まで完了できます。
1回目を2月に受けた場合、2回目は4月以降(翌年度)になります。このとき、「2回目は定期接種として受けられるのか、任意接種(全額自費)になるのか」という問題が生じます。
この点については、自治体によって対応が異なります。1回目が定期接種の対象年度内に完了していれば、2回目も定期接種として認める自治体が多いとされていますが、確実ではありません。接種前にお住まいの市区町村に「1回目を○月に受けた場合、2回目も定期接種の扱いになるか」を確認しておくことをおすすめします。
ワクチンの在庫確保
シングリックスは接種回数が多いため(全国で毎年多くの方が接種)、医療機関によっては在庫が不安定なことがあります。とくに年度前半(4〜6月)は定期接種の初回希望者が集中するため、予約が取りにくい時期があります。
1回目の接種時に「2回目はいつ頃、この医療機関で受けられるか」を確認し、可能であれば2回目の予約も同時に入れておくことをおすすめします。
医療機関が「2回目の時期にはシングリックスの在庫がないかもしれない」という場合は、他の近隣医療機関をあらかじめ調べておくと安心です。なお、1回目と2回目は同じ医療機関で受ける必要はありません(別の医療機関での接種も可能)。
他のワクチンとの接種間隔
帯状疱疹ワクチンを接種する際に、他のワクチンの予定との関係を知っておくと計画が立てやすくなります。
不活化ワクチンとの接種間隔
インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチン・新型コロナワクチン(不活化・mRNA系)などの不活化ワクチンとは、原則として接種間隔の制限はありません。同時接種が可能な場合もありますが、同時接種するかどうかは医師の判断を仰いでください。
生ワクチンとの接種間隔
生ワクチン(ビケン)を接種する場合、他の生ワクチン(MR(麻疹風疹混合)・水痘・BCGなど)との間には、27日以上の間隔を空ける必要があります。
不活化ワクチン(シングリックス)は生ワクチンではないため、この間隔ルールは適用されません。
接種前に医師に伝えること
過去4週間以内に何らかのワクチン接種を受けた場合は、必ず医師に伝えてください。接種間隔に関するルールは2021年の予防接種法改正で変更されましたが、生ワクチン同士の27日ルールは引き続き適用されます。
年度内に接種できなかった場合の長期療養特例
長期療養特例とは
対象年度に帯状疱疹ワクチンを接種できなかった方のうち、「長期にわたって療養を必要とする疾病」にかかっていたと認められる場合、特例として定期接種を受けられる制度です。
接種できなかった理由が「入院中だった」「重篤な疾患で外出不能だった」などの医学的事情であることが要件となります。
長期療養特例の接種可能期間
認定された場合、接種可能となった日(療養が終わって外出できるようになった日など)から1年以内に接種できます。
長期療養特例の申請手順(一般的な流れ)
- かかりつけ医や担当医師に「長期療養で接種できなかった」旨を伝え、医師の意見書や診断書の作成を依頼する
- お住まいの市区町村の保健センター・健康福祉課等に相談する
- 市区町村が指定する申請書類を提出し、特例の認定を受ける
- 認定されれば、接種可能となった日から1年以内に定期接種として接種できる
申請から認定までの流れは自治体によって異なります。まずは市区町村の窓口に「長期療養特例として接種できるか」と問い合わせることが最初のステップです。
特例に該当しない場合の選択肢
長期療養特例に該当しないと判断された場合、または申請しなかった場合は、年度を過ぎた後の接種は任意接種(自費)となります。
選択肢は次の通りです。
- 任意接種として全額自費(または自治体の任意接種助成があれば活用)で接種する
- 次に対象年度が来るまで待つ(65歳以外の方で経過措置期間中の場合、次の5歳刻みの節目まで待つことになります)
50〜64歳の方の任意接種と助成制度の現状
定期接種の対象外であることの意味
50〜64歳の方は、定期接種の対象外です。この年齢層が帯状疱疹のリスクがないわけではなく、50歳代から発症率が上昇することは疫学的に確認されています。
ただし、予防接種法上の定期接種は「65歳以上」を基本としているため、50〜64歳は任意接種の扱いになります。
以前の自治体助成の状況
2025年4月の定期接種化以前は、50歳以上を対象に費用助成を行っていた自治体が多く存在していました。これは各自治体が独自の財源で実施していたものです。
2025年4月の定期接種化を機に、多くの自治体が「50〜64歳向けの任意接種助成」を終了しました。65歳以上が定期接種に移行したため、そちらに公費を集中させた形です。
2026年度時点の残存状況
50〜64歳向けの任意接種助成を継続している自治体は、2026年度時点では限られています(確認日2026-06-27)。
終了した自治体の例: 練馬区(令和8年3月31日終了)、小平市(令和8年3月31日終了)、江東区(受付終了)
継続している自治体の例: 江戸川区(令和8年度も実施。50歳以上65歳未満が対象で、生ワクチン1回4,000円・シングリックス11,000円×2回。シングリックスを選ぶ場合、年度内に2回完了させるため令和9年1月31日までに1回目を受ける必要があるとされています)、奈良市(継続実施中)
継続していた自治体でも年度の節目で終了するケースがあります。たとえば練馬区は50〜64歳向けの任意接種助成を令和8年3月31日で終了しましたが、令和8年1〜3月に50歳になった方など接種期間が短い方への救済措置として令和8年7月31日まで助成を延長しています(確認日2026-06-27)。このように「終了後にも短期の経過措置が設けられる」場合があるため、終了と聞いても念のため最新の案内を確認する価値があります。
状況は自治体ごとに異なり、2027年度以降も変わる可能性があります。「自分のまちではどうか」を確認するには、市区町村の公式サイトで「帯状疱疹 任意接種 50歳 助成」と検索するか、保健センターに直接問い合わせるのが最も確実です。
50〜64歳が自費で接種する場合の費用感
定期接種助成も任意接種助成も受けられない50〜64歳の方が接種する場合は、全額自費です。参考として、全額自費の費用感は前述の通りです(生ワクチン7,000〜13,000円程度、シングリックス2回合計4万〜6万円程度が目安)。医療機関による差があります。
定期接種と任意接種の違い:健康被害救済制度の実際
2つの救済制度の概要
ワクチン接種後に重篤な健康被害が生じた場合、定期接種か任意接種かによって、どの救済制度が適用されるかが異なります。
定期接種の場合: 予防接種健康被害救済制度(予防接種法に基づく)
法律に基づいた制度で、接種との因果関係が認定された場合に医療費・医療手当・障害児養育年金・障害年金・死亡一時金・葬祭料などが給付されます。請求先は、接種を受けた際に住民票を登録していた市区町村です。
任意接種の場合: 医薬品副作用被害救済制度(PMDA)
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が窓口となる制度です。医薬品・ワクチンの副作用による健康被害に対して、医療費・医療手当・障害年金・死亡一時金などが支給されます。
生ワクチン(生物由来製品)を使用した任意接種で健康被害が生じた場合は、「生物由来製品感染等被害救済制度」が適用される場合もあります。
どちらが有利か
一般的に、予防接種法に基づく定期接種の救済制度のほうが、給付水準・認定の仕組みの面で比較的充実しているとされています。ただし、どちらの制度でも因果関係の認定が必要であり、申請したからといって必ず認定・給付されるわけではありません。
請求の手続き
定期接種の健康被害救済の場合
- 接種した市区町村に連絡する
- 市区町村から必要書類の案内を受ける(症状や状況によって必要書類が異なる)
- 書類を市区町村に提出する
- 市区町村から都道府県を経由して厚生労働大臣に進言され、審査・認定が行われる
- 認定されれば市区町村から給付を受ける
任意接種(PMDA)の健康被害救済の場合
- PMDAの相談窓口(電話: 0120-149-931)に連絡する
- PMDAから必要書類・手続きの案内を受ける
- 書類をPMDAに提出する
- 審査・認定が行われ、支給が決定する
既感染者・発症経験者の接種可否
過去に帯状疱疹にかかったことがある場合
過去に帯状疱疹を発症した経験がある方でも、ワクチン接種は可能です。ただし、いくつかの点を理解しておく必要があります。
帯状疱疹は再発することがあります。再発率は報告によって異なりますが、帯状疱疹に罹患した後に再発するリスクがあることは複数の研究で示されており、一度発症したからといって自然免疫が完全に得られるわけではありません。
帯状疱疹の発症後、ウイルスに対する免疫は一時的に高まります。そのため、発症直後のワクチン接種は意味が薄く、一定期間後に免疫が下がってから接種した方が効果的と考える医師が多いです。
発症後の接種タイミングについて、何か月後が適切かという明確なガイドラインはありません。「発症から2か月以上後」「2〜3年後以降を目安に」など、医療機関によって案内が異なります。いずれにせよ、接種のタイミングは担当医師と相談して決めることが重要です。
水痘(水ぼうそう)にかかったことがない場合
水痘にかかったことがない・不確かな場合でも、帯状疱疹ワクチン(特に生ワクチン)の接種に際しては医師への確認が必要です。成人で水痘に初感染した場合は重症化リスクがあるため、まず感染歴の確認(必要であれば血液検査)を医師に相談してください。
なお、水痘ワクチンを過去に接種したことがある場合でも、VZVが体内に潜伏している可能性があるため、年齢・免疫力の低下によって帯状疱疹を発症することはあります。
帯状疱疹ワクチンと医療費控除・民間保険の関係
医療費控除について
ワクチン接種費用は、確定申告の「医療費控除」の対象外です。疾病の予防を目的とする費用は医療費控除の対象にならないという原則に基づくものです(国税庁の「医療費控除の対象となる医療費」に関するFAQ参照)。
定期接種・任意接種を問わず、帯状疱疹ワクチンの自己負担額は医療費控除の申告には含められません。
セルフメディケーション税制との関係
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、スイッチOTC医薬品(医療用から転換された一般用医薬品)の購入費用を一定額控除できる制度です。この税制を利用するには、「一定の取組(特定健診・予防接種・定期健診など)」を行っていることが要件です。
帯状疱疹ワクチンの接種は「予防接種」に該当するため、この「一定の取組」の要件を満たす可能性があります。ただし、セルフメディケーション税制はあくまでOTC医薬品の購入費用が控除対象であり、ワクチン接種費用そのものが控除されるわけではありません。
確定申告でセルフメディケーション税制を活用する場合は、接種を証明できる書類(領収書・接種記録など)を保管しておいてください。詳細は最寄りの税務署またはe-Taxのサイトで確認してください。
民間の医療保険・がん保険との関係
帯状疱疹自体の治療費(入院・外来)は、民間の医療保険の給付対象になる場合があります。帯状疱疹後神経痛による長期治療、合併症による入院なども保険給付の対象になり得ます。
ただし、ワクチン接種費用そのものは一般的に民間保険の給付対象外です。
加入している民間保険の給付条件については、保険会社に直接確認してください。
申請・接種の具体的な手順(複数ケース)
ケース1: 2026年度に70歳を迎える方がシングリックスを選ぶ場合
想定: 1956年(昭和31年)5月生まれの方。2026年度に70歳を迎え、仙台市在住。シングリックス(2回接種)を選択。
2026年度における仙台市の自己負担額(確認日2026-06-27)は、シングリックス11,000円×2回(計22,000円)です。
手順は次の通りです。
まず、仙台市から送付される予防接種案内(接種券)が届いているか確認します。届いていない場合は仙台市総合コールセンター「杜の都おしえてコール」(電話: 022-398-4894・最新は市公式サイト参照)に問い合わせます。
次に、シングリックスを扱っている市内の接種医療機関を探します。仙台市公式サイトの医療機関リストを参照し、電話で予約を取ります。このとき「シングリックスの定期接種を2回受けたい。1回目と2回目の予約を一緒に入れたい」と伝えると、在庫確認と日程調整がスムーズです。
1回目の接種は、できれば2026年7〜9月中に行うことを目安にします。2回目は1回目の2か月以上後で、できれば2026年度内(翌3月31日まで)に完了することを確認します。2026年12月以降に1回目を受けると2回目が翌年度にかかる可能性があります。事前に市に「2回目が翌年度にずれた場合も定期接種の扱いになるか」を確認しておきます。
接種当日の持ち物: 接種券、本人確認書類、自己負担金11,000円(1回分)。
非課税世帯の方は、免除のための証明書類も持参します(仙台市で指定される書類を事前に確認してください)。
ケース2: 2026年度に65歳を迎える方で非課税世帯の場合(千葉市)
1961年(昭和36年)生まれの方が千葉市在住で、市民税非課税世帯に該当する場合、減額後の自己負担額は次の通りです(確認日2026-06-27)。
- 生ワクチン(ビケン): 2,000円(1回)
- シングリックス: 5,000円×2回(計10,000円)
手順は通常と同じですが、接種時に「非課税世帯であることの証明書類」を医療機関に提示する必要があります。
千葉市が指定する証明書類は、介護保険料納入通知書、後期高齢者医療資格確認書、市民税・県民税の課税証明書(非課税証明)などです。これらのうちどれが必要かは、接種前に千葉市の窓口か医療機関に確認してください。
証明書類を持参し忘れると当日の減額適用が受けられない場合があります。初回の医療機関への電話予約の際に「非課税の証明書類は何を持参すればよいか」を聞いておくと確実です。
ケース3: 2025年度に対象年齢だったが入院していて接種できなかった場合(長期療養特例)
2025年度(令和7年度)に80歳を迎えたが、その年度中に入院が長引いて接種できなかったというケースです。
まず、「長期療養特例」として接種できるかどうかを、退院後にお住まいの市区町村に相談します。電話または窓口で「2025年度に帯状疱疹の定期接種の対象でしたが、入院のため接種できませんでした。長期療養特例での接種は可能ですか」と伝えます。
認定のために必要な書類は自治体によって異なりますが、一般的には主治医の意見書・診断書・入院期間を証明する書類(退院証明書や診療録の写し等)が求められます。
市区町村が長期療養特例に該当すると認定した場合、接種可能となった日から1年以内に定期接種を受けることができます。認定されなかった場合は任意接種(自費)となります。
長期療養特例の申請は、退院後できるだけ早めに行うことをおすすめします。認定の審査に時間がかかることがあるためです。
ケース4: 60歳でHIVによる免疫機能障害がある場合
身体障害者手帳1級(免疫機能障害)を持つ60歳の方は、定期接種の対象となります。
この場合、生ワクチン(ビケン)は免疫不全状態への接種が禁忌とされているため、不活化ワクチン(シングリックス)を選ぶことになります。
接種の前に、主治医(HIV感染症の担当医)に「帯状疱疹の定期接種としてシングリックスを受けたい」と相談し、現在の免疫状態・服薬状況を踏まえた上で接種の可否と適切なタイミングを確認することが重要です。
市区町村への接種券の申請も忘れずに行ってください(身体障害者手帳の確認が必要になる場合があります)。
よくある誤解・つまずきポイント
誤解1: 定期接種になったから全員無料になった
定期接種化は「費用の一部を公費負担する」ことを意味します。全員が無料になったわけではありません。自己負担額は自治体によって異なります。ただし港区のように全額公費負担(自己負担ゼロ)にしている自治体もあります。
誤解2: 接種を受ければ帯状疱疹にかからなくなる
どちらのワクチンも発症予防効果はありますが、100%の予防は保証されません。生ワクチンは接種1年後で約60%、シングリックスは90%以上の発症予防率とされています。また、発症した場合でも症状を軽くしたり、PHNへの移行を防いだりする効果があるとされています。
誤解3: 帯状疱疹にかかったことがある人は接種できない
過去に発症した経験があっても接種は可能です。ただし接種のタイミングは医師に相談してください。定期接種の対象年齢であれば、発症経験がある方でも費用の一部を公費で受けられます。
誤解4: 生ワクチンの方が安いから、効果は落ちても仕方ない
自己負担額は生ワクチンの方が安い傾向がありますが、「安いから効果が落ちても仕方ない」という考え方ではなく、自分の健康状態・生活スタイル・副反応への対応力も踏まえて選ぶことが大切です。免疫不全のある方は生ワクチンを選べないことも覚えておいてください。
誤解5: 定期接種の年齢になれば何度でも受けられる
定期接種の機会は生涯1度限りです。対象年度に接種を完了してしまうと、その後は定期接種の対象外になります。また、対象年度に接種しなかった場合も、長期療養特例に該当しない限り次の機会は自動的には来ません。
誤解6: シングリックスの1回目だけ受ければ十分
シングリックスの接種スケジュールは2回です。1回目だけでは「接種完了」ではなく、2回目まで終えることで所定の予防効果が発揮されます。2回目の予約を忘れたり、副反応が嫌で1回だけで止めたりするケースが生じることがありますが、できる限り2回目まで接種することが重要です。
誤解7: 接種後すぐに何をしても大丈夫
シングリックスは接種後の副反応が出やすいワクチンです。接種日・翌日に強い倦怠感・発熱・筋肉痛が出ることがあります。特に接種翌日の重要な予定は避けるか、代替策を考えておくことをおすすめします。
申請チェックリスト
接種前の確認
- 自分が今年度の定期接種対象かどうか(生年月日と年度内の年齢を確認)
- 市区町村から接種券が届いているか、または案内を受けたか
- 接種できる医療機関を確認したか
- かかりつけ医がいる場合は相談したか
- 免疫不全・免疫抑制治療中の場合は医師に伝えたか
- 他のワクチンの接種予定がある場合、接種間隔に問題がないか確認したか
- 非課税世帯・生活保護世帯の方は、免除のための証明書類を確認したか
ワクチン選択の確認
- 生ワクチン(ビケン)とシングリックスの違いを理解したか
- 免疫不全・免疫抑制状態の場合は生ワクチンが禁忌であることを確認したか
- シングリックスを選ぶ場合、2回目の接種スケジュール(2か月以上後)を考慮したか
- 翌日の予定に支障が出ないよう、接種日を調整したか
- 医療機関にワクチンの在庫があるか確認したか
接種当日の持ち物
- 接種券(市区町村から送付されたもの)
- 本人確認書類(マイナンバーカード・健康保険証など)
- 自己負担金(現金で準備)
- お薬手帳(服薬中の薬がある場合)
- 非課税世帯・生活保護世帯の方は証明書類
- 接種後に休む時間を確保した日程か確認
接種後の確認
- 接種後15〜30分は医療機関に待機したか
- 接種部位の痛み・赤み・腫れの状況を確認したか
- シングリックスの場合、2回目の予約は取れているか
- 接種記録を保管したか(接種済みの証明書・領収書など)
- 定期接種として受けた旨を確認し、次回の任意接種時との区別ができているか
よくある質問(FAQ)
Q1. 自分が今年度の対象かどうか、どこで確認すればいいですか。
住民票を登録している市区町村から、対象者に案内が送られてくる仕組みになっています。案内が届いていない場合や確認したい場合は、市区町村の保健センター・健康福祉課などに問い合わせるのが確実です。電話で「帯状疱疹の定期接種の対象かどうか教えてほしい」と伝えると生年月日で確認してもらえます。
Q2. 定期接種は毎年受けられますか。
受けられません。帯状疱疹の定期接種は、対象年齢に達した年度の1年間のみが接種機会です。接種を完了してしまうと、その後は定期接種の対象外になります。ただし65歳の定期接種は毎年65歳の方が対象となるため、「65歳になる年度に毎年新たな対象者が生まれる」という意味では毎年行われます。
Q3. 生ワクチンを選んだ場合、後でシングリックスに切り替えて2回受けることはできますか。
生ワクチンを1回接種で完了した後にシングリックスを接種することは、現状の定期接種制度では「定期接種の機会を使い切った後の接種」として任意接種になります。また、生ワクチン接種後にシングリックスを接種する場合の安全性・有効性については、医師に確認してください。
Q4. かかりつけ医がいない場合、どこで接種できますか。
市区町村が指定する帯状疱疹定期接種の「実施医療機関一覧」に掲載されている医療機関で接種できます。一覧は各市区町村の公式サイトまたは窓口で確認できます。内科・皮膚科・整形外科など、帯状疱疹ワクチンを扱う診療科は比較的幅広いです。
Q5. 定期接種の期間内(4月〜翌3月)に接種しなかった場合、どうなりますか。
原則として、その年度の定期接種の機会は失効します。長期療養特例に該当する場合を除き、その後の接種は任意接種(自費)となります。次に対象年度が来るまで待つか(65歳以外の方で経過措置期間中の場合)、任意接種として自費で受けるかを選ぶことになります。
Q6. シングリックスの2回目を受け忘れた場合はどうしますか。
2回目の接種が遅れた場合でも、必ずしも1回目からやり直す必要があるわけではないとされています。ただし適切な接種間隔に関しては医師の判断が必要ですので、接種を受けた医療機関に相談してください。2回目が年度をまたぐ可能性がある場合は、市区町村にも相談してください。
Q7. 水痘(水ぼうそう)にかかったことがあるかどうかわからない場合、接種できますか。
血液検査(VZV抗体価の測定)で過去の感染歴を確認できる場合があります。接種を希望する場合は、かかりつけ医に相談してください。水痘の既感染歴がない場合の接種については、医師の判断を仰ぐことが重要です。
Q8. 帯状疱疹ワクチンは痛いですか。
どちらのワクチンも注射部位の痛みが出ることがあります。特にシングリックスは約80%に接種部位の痛みが報告されており、程度は人によって異なります。生ワクチン(ビケン)は比較的副反応が少ない傾向にあります。
Q9. 接種後に仕事を休む必要がありますか。
生ワクチン(ビケン)では翌日の仕事に影響が出るケースは少ない傾向です。シングリックスでは約40%の方に倦怠感・筋肉痛、18%に発熱が出るため、翌日に重要な仕事がある場合はスケジュールの調整を検討する価値があります。
Q10. 健康被害が起きた場合、誰に連絡すればいいですか。
定期接種として受けた場合は、接種を受けたときに住民票を登録していた市区町村に連絡します。任意接種として受けた場合はPMDA(電話: 0120-149-931)が相談窓口となります。まずは接種した医療機関に状況を伝え、必要な手続きについて案内を受けることが最初のステップです。
Q11. 帯状疱疹の発症後、何か月後からワクチン接種ができますか。
明確な国際ガイドラインはなく、医療機関によって「2か月以上後」「2〜3年後以降」など異なる案内がされています。主治医に相談して、自分の状態に適したタイミングを決めることが重要です。
Q12. 非課税世帯の証明書類を忘れて接種した場合、後から減額してもらえますか。
対応は自治体によって異なります。接種後に証明書を持参して差額を返金してもらえる場合もあれば、その場で提示しなければ減額が受けられない場合もあります。事前に市区町村に確認しておくことをおすすめします。
Q13. 帯状疱疹ワクチンの費用は確定申告で取り戻せますか。
医療費控除の対象外です。ワクチン接種費用は「予防のための費用」に該当し、医療費控除の計算には含められません(国税庁FAQに基づく)。
Q14. 定期接種を受けた後に引っ越しをした場合、2回目は新しい住所の自治体で受けられますか。
シングリックスの2回目を新しい居住自治体で受けることが可能かどうかは、各自治体の制度によります。引っ越し前の自治体の「接種券」をそのまま使えるかどうか、転入後の自治体での手続きが必要かどうかを、転入先の市区町村に事前に確認することをおすすめします。
Q15. 接種記録はどこに保管すればよいですか。
医療機関から「予防接種済証」や接種記録書が発行されます。これは大切に保管してください。定期接種が「完了済み」であることの証明になります。また、領収書は保管しておくと後日問い合わせの際に役立ちます。
帯状疱疹ワクチン接種の準備から接種後まで:タイムライン全体
帯状疱疹ワクチンを受けようと決めてから、接種を完了するまでの流れを時系列でまとめます。シングリックス(2回接種)を選ぶ場合を中心に解説します。
接種を検討し始める段階(接種2〜3か月前)
まず自分が今年度の定期接種対象かどうかを確認します。確認方法は前述の通りですが、ここで重要なのは「年度内に接種を完了できるかどうか」を考えることです。
シングリックスを選ぶ場合、1回目と2回目の間に2か月以上かかります。仮に今年度の終わり(翌年2〜3月)に1回目を受けると、2回目は翌年度(4月以降)になってしまいます。できれば年度が始まってから早めの時期(4〜9月)に接種を検討することで、余裕をもって2回目まで完了できます。
また、この段階でかかりつけ医に相談することをおすすめします。現在の健康状態・服薬状況を踏まえて、どちらのワクチンが適しているか、接種して問題がないかどうかを確認するためです。
接種医療機関を探す段階(接種1〜2か月前)
市区町村の公式サイトや窓口で、帯状疱疹定期接種を実施している医療機関一覧を入手します。
候補となる医療機関に電話し、以下の点を確認します。
- 帯状疱疹の定期接種に対応しているか
- 希望するワクチン(ビケンまたはシングリックス)の在庫があるか
- シングリックスの場合、2回目の予約も同時に取れるか
- 接種の予約に必要なものは何か(接種券など)
かかりつけ医が定期接種に対応していない場合は、他の医療機関を選ぶことができます。
接種券の受け取りと事前準備
市区町村から接種券が届いていない場合は、保健センターや健康福祉課に連絡して案内を求めます。非課税世帯・生活保護世帯の方は、このタイミングで免除のための証明書類が何か確認し、必要書類を手配しておきます。
シングリックスの2回目の予約は、できれば1回目の予約と同時に取るか、遅くとも1回目の接種当日に医療機関で確保することを目指します。
1回目の接種当日
持ち物を確認します(前述のチェックリスト参照)。接種前に問診票に記入し、医師の問診を受けます。現在服用している薬(特に免疫抑制剤、ステロイドなど)がある場合は必ず医師に伝えてください。
接種後は15〜30分、医療機関内で待機してから帰宅します。接種当日は激しい運動・飲酒を避けます。
シングリックスの場合、接種後数時間から翌日にかけて、腕の痛み・だるさ・筋肉痛・軽い発熱などが出ることがあります。これらは通常3〜5日以内に治まりますが、長引く場合や気になる症状がある場合は医療機関に連絡してください。
1回目接種後の期間(2回目まで2か月以上)
この間に副反応の状況を振り返り、2回目の接種で同様の副反応に備えた準備をしておきます。
2回目の翌日も副反応が出やすいため、翌日の予定を確認し、必要であれば接種日を調整します。
2回目の接種当日
1回目と同じ医療機関でも別の医療機関でも接種可能です。持ち物は1回目と同じです。
2回目の方が1回目より副反応が強く出る傾向があるという報告があります。接種翌日に余裕を持ったスケジュールを設けておくことをおすすめします。
接種完了後
2回目の接種が完了したら、接種済みの記録(予防接種済証・領収書など)を保管します。これで帯状疱疹ワクチンの定期接種は完了です。
「接種を完了した」という記録は、今後何らかの問い合わせや確認が必要になった場合のために、定期接種の記録ができる手帳(母子手帳などと同様の接種記録ページがある場合)やお薬手帳などに記録しておくと便利です。
帯状疱疹ワクチン接種に関するよくある疑問:医師への事前相談チェックリスト
接種前に医師に確認しておくべきことをリストにまとめます。事前に整理しておくことで、医師への相談がスムーズになります。
自分の健康状態について確認すること
- 現在、免疫を抑制する薬(ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤など)を使用しているか。使用している場合、生ワクチン(ビケン)は接種できない可能性がある
- HIVに感染しているか、またはHIVによる免疫機能障害があるか。この場合、生ワクチンは禁忌で、シングリックスが対象となる
- 重篤なアレルギー歴(アナフィラキシー歴)があるか
- 現在妊娠中または妊娠の可能性があるか(どちらのワクチンも妊婦には禁忌)
- 過去に水痘(水ぼうそう)にかかったことがあるか
- 帯状疱疹を過去に発症したことがあるか。その場合、最後の発症からどれくらい経つか
- 現在かかっている疾患(糖尿病・腎臓病・がんなど)の状態
ワクチンの選択について確認すること
- 自分の健康状態から、生ワクチンとシングリックスどちらが適しているか
- 接種時に気をつけることはあるか
スケジュールについて確認すること
- 他のワクチン(インフルエンザ・肺炎球菌など)の接種予定との間隔に問題はないか
- シングリックスを選ぶ場合、今から接種して年度内に2回完了できる見込みがあるか
- 何か月後以降なら接種可能か(帯状疱疹の発症経験がある場合、治癒からどれくらい間隔を置くべきか)
制度活用の実務Q&A(窓口での典型的なやり取り)
実際に市区町村の窓口や医療機関に問い合わせる際に、どのような会話をすればよいかを、場面別にまとめます。
場面1: 市区町村の窓口に電話して対象かどうかを確認する場合
「帯状疱疹ワクチンの定期接種について確認したいのですが、よろしいでしょうか。私は昭和○○年○月○日生まれで、今年度(令和○年度)に対象になるかどうかを教えていただけますか。もし対象であれば、接種券はいつ頃届きますか、まだ届いていない場合はどうすればよいですか」
このように生年月日を伝えると、窓口で対象かどうかをすぐに確認してもらえます。
場面2: 市区町村の窓口に電話して費用・免除を確認する場合
「帯状疱疹の定期接種の自己負担額を教えてください。また、私は現在生活保護を受給しております(または市民税が非課税です)が、費用の免除は受けられますか。その場合、どのような書類が必要ですか」
免除の手続きに必要な書類を事前に確認しておくと、接種当日にスムーズに対応できます。
場面3: 医療機関に電話して予約を取る場合
「帯状疱疹の定期接種を受けたいのですが、御院では対応していますか。シングリックスを希望しているのですが、在庫はありますか。1回目と2回目を合わせて予約したいのですが、いつ頃の枠がありますか」
シングリックスの場合は在庫の確認が重要です。在庫がない場合は、他の医療機関を探す必要があります。
場面4: 長期療養特例を申請する場合
「今年度(令和○年度)に帯状疱疹の定期接種の対象年齢だったのですが、○月から○月まで入院していたために接種できませんでした。長期療養特例として接種できるか相談したいのですが、どのような手続きが必要でしょうか」
窓口ではこのように伝えると、必要な書類と手続きの案内を受けられます。
地域による差を知るための実践ガイド
帯状疱疹ワクチンの自己負担額・免除制度・実施医療機関は、自治体によって大きく異なります。本記事で紹介した自治体の例はあくまでも「差がある」ということを示すための参考例であり、お住まいの自治体が同じ水準かどうかは個別に確認が必要です。
自治体の差が生まれる理由
B類疾病の定期接種では、国が費用の一部を公費で負担する仕組みのうち、自己負担額の設定・追加助成(免除制度など)は各市区町村が決定します。財政状況・高齢化の状況・市区町村の方針によって、自己負担が低い自治体と高い自治体の間に数倍の差が生じることがあります。
港区のように全額公費で自己負担ゼロの自治体がある一方で、広島市のようにシングリックス1回18,100円(2回で36,200円)の自己負担を設定している自治体もあります(いずれも2026年6月27日確認)。
転居前後の確認
転居した場合、住民票を登録している市区町村が定期接種の管轄窓口となります。シングリックスの1回目と2回目の間に引っ越しが生じた場合、転入先の市区町村での手続きが必要になることがあります。転入届を出した後、できるだけ早く新しい市区町村の窓口に「帯状疱疹の定期接種を1回目が完了している状態で転入した」旨を伝え、2回目の扱いについて確認することをおすすめします。
広域実施(市区町村外の医療機関での接種)
定期接種は原則として、住民票を登録している市区町村が契約・指定した医療機関で受けることになっています。市区町村外の医療機関で受けた場合、定期接種の扱いにならない(全額自費になる)場合があります。
ただし、市区町村によっては広域連携を行っており、他の市区町村の医療機関でも定期接種として受けられる場合があります。市区町村外の医療機関での接種を希望する場合は、事前に市区町村に相談してください。
50代のうちに接種を検討する場合の考え方
定期接種の対象が65歳以上(経過措置期間は70〜100歳も含む)であることはすでに述べました。では、50歳代の方はどう考えればよいでしょうか。
50代の発症リスクの実態
帯状疱疹の発症率は50代から上昇します。疫学研究では60歳以上で年間100人に1人程度の発症とされていますが、50代でも発症例は珍しくありません。
また、帯状疱疹は一度発症すると、PHNなどの後遺症が数か月から数年にわたって続くことがあります。働き盛りの50代にとっては、仕事・生活への影響が大きい疾患の一つです。
任意接種として受けるかどうかの判断軸
50代が任意接種でワクチンを受けるかどうかは、最終的には本人と医師の相談で決まります。判断の参考になる情報として次の点が挙げられます。
- 職場・生活環境でストレスが多い・免疫力が落ちやすいと感じる状況があるか
- 家族に免疫不全の方がいて、帯状疱疹の感染リスクを避けたいか
- 自治体の任意接種助成が残っているか(助成があれば費用が軽減される)
- 医師がワクチン接種を選択肢の一つとして提示したか
50代での任意接種は、65歳での定期接種機会と重複しないよう注意が必要です。任意接種でシングリックスを2回完了してしまうと、65歳になった際に定期接種を改めて受けることは通常できません(接種完了とみなされるため)。その点を理解した上で、費用対効果・健康状態を考慮して判断することが重要です。
任意接種助成を探す手順
50〜64歳向けの任意接種助成が残っているかどうかを確認する手順は次の通りです。
- お住まいの市区町村の公式サイトで「帯状疱疹 任意接種」または「帯状疱疹 50歳 助成」と検索する
- 見つからない場合は電話で直接問い合わせる(「50歳から64歳の帯状疱疹ワクチン接種の助成はありますか」と確認する)
- 助成がある場合は対象年齢・費用・申請手続きを確認する
- 助成がない場合は全額自費での接種になる旨を理解した上で接種を検討する
帯状疱疹ワクチンに関する制度整理まとめ
ここまでに解説した内容を、重要な判断ポイントごとに整理します。
まず確認する3つのこと
- 自分が今年度(または来年度以降)の定期接種の対象年齢かどうか
- 65歳になる年度が基本、経過措置で70〜100歳も対象
- 60〜64歳でHIV免疫機能障害がある場合も対象
- お住まいの自治体の自己負担額と免除制度
- 市区町村によって数千円から全額無料まで差がある
- 非課税世帯・生活保護世帯は減額または免除の可能性がある
- ワクチンの選択(生ワクチンかシングリックスか)
- 免疫不全・免疫抑制中の方は生ワクチン禁忌
- シングリックスは予防効果が高い分、副反応が出やすい・2回接種が必要
接種タイミングで気をつけること
- シングリックスは年度末(翌年2〜3月)に1回目を受けると、2回目が翌年度にかかる可能性がある
- 年度の早い時期(4〜9月)に1回目を受けることで余裕が生まれる
- 接種機会は生涯1度限りのため、対象年度を逃さないことが重要
「対象外」の立場での選択肢
50〜64歳で定期接種対象外の場合:
- お住まいの自治体で任意接種助成が残っているか確認する
- 助成がなければ全額自費
- 65歳の定期接種を待つという選択もある(費用の観点から)
年度内に接種できなかった場合:
- 長期療養特例(入院・重篤疾患)に該当するか確認する
- 該当しなければ任意接種(自費)、または次の対象年度を待つ
接種後に保管しておくもの
- 予防接種済証または接種記録
- 領収書
- 接種を受けた医療機関名・日付のメモ
これらは今後の医療機関への相談や、健康被害救済申請が必要になった場合に役立ちます。
出典一覧(URL・確認日)
本記事は以下の一次情報を確認した上で執筆しています。
- 帯状疱疹ワクチン(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/shingles/index.html
確認日: 2026年6月27日
- 帯状疱疹ワクチンファクトシート第2版(国立感染症研究所、2024年6月20日改訂・2024年11月1日一部修正)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001328116.pdf
確認日: 2026年6月27日
- 帯状疱疹と帯状疱疹ワクチンについて(東京都保健医療局)
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/info/taijouhoushin/taijouhoushin
確認日: 2026年6月27日
- 帯状疱疹予防接種のご案内(千葉市)
https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/iryoeisei/seisaku/taijouhoushin.html
確認日: 2026年6月27日
- 高齢者帯状疱疹の予防接種(定期接種)について(仙台市)
https://www.city.sendai.jp/kenkoanzen-kansen/kurashi/kenkotofukushi/kenkoiryo/kansensho/yobosesshu/teki/taijyouhousinn.html
確認日: 2026年6月27日
- 帯状疱疹ワクチンの定期接種(神戸市)
https://www.city.kobe.lg.jp/a00685/taijohoshin-2.html
確認日: 2026年6月27日
- 帯状疱疹ワクチンの定期接種(広島市)
https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/medical/1021221/1035967.html
確認日: 2026年6月27日
- 令和8年度 帯状疱疹の予防接種について(福岡市)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/k-kanri/health/vaccine/taijouhousin.html
確認日: 2026年6月27日
- 帯状疱疹ワクチン予防接種(港区)
https://www.city.minato.tokyo.jp/hokenyobou/yobousessyu/taijyouhoushin.html
確認日: 2026年6月27日
- 帯状疱疹(たいじょうほうしん)予防接種の費用助成(任意予防接種)(名古屋市)
https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000124418.html
確認日: 2026年6月27日
- 予防接種とは(帯状疱疹予防.jp)
https://taijouhoushin-yobou.jp/immunization.html
確認日: 2026年6月27日
- No.1122 医療費控除の対象となる医療費(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
確認日: 2026年6月27日
- 予防接種費用(国税庁確定申告書等作成コーナーFAQ)
https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/cat2/cat22/cat221/ocat324/cid935.html
確認日: 2026年6月27日
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・医療的助言・法律的助言を行うものではありません。制度の詳細・最新の要件・費用・接種手続きについては、各公式サイトまたは担当窓口(市区町村・医療機関)に直接ご確認ください。帯状疱疹ワクチンの接種の可否・適切なワクチンの種類については、必ず医師にご相談ください。
掲載した自治体の自己負担額・免除要件・手続きは2026年6月27日時点での確認に基づいており、今後変更される場合があります。接種前には必ず最新情報を公式サイトまたは窓口でご確認ください。
本記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の医療判断・接種指示をするものではありません。