高等教育の修学支援新制度とは何か——給付型奨学金と授業料等減免のしくみを2026年6月時点で整理する

本記事は2026年6月25日時点の公開情報に基づきます。給付額・要件・受付期間は変更されることがあるため、申請前には必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

この記事は誰向けか

大学や短期大学、専門学校、高等専門学校への進学を控えている方、あるいはすでに在学中で学費の支援を探している方に向けて書きました。申請するのは学生本人が中心です。在学している学校の窓口を通じて手続きを進める場面もありますが、制度の入口から申込みまで、自分で動くことができます。

この記事を読めば、「高等教育の修学支援新制度」がどんな制度か、自分は対象に入りそうかどうか、いくらもらえる可能性があるのか——その全体像がわかります。

この制度は何か

「高等教育の修学支援新制度」は、2020年4月に国がスタートさせた制度です。大学・短期大学・専門学校・高等専門学校(以下、まとめて「大学等」と書きます)への進学を、家庭の経済状況に関わらず実現できるよう支援することを目的としています。

制度の中身は2本立てになっています。

1本目は「授業料等減免」です。在籍する大学等が、入学金と授業料の一部または全部を免除または減額します。これはJASSO(日本学生支援機構)ではなく、学校側が実施する支援です。

2本目は「給付型奨学金」です。JASSOが毎月、学生本人の口座に返還不要のお金を振り込みます。貸与型(いわゆる借りる奨学金)とは異なり、後から返す必要がありません。

この2つはセットで受け取ることができます。つまり、学校への支払いが減る(または免除になる)うえに、毎月の生活費に使えるお金が口座に入ってくる——という組み合わせになります。

いくらもらえるのか(さわりだけ)

支援の金額は、世帯の収入状況に応じて4つの区分(第1〜第4区分)に分けて決まります。第1区分が最も支援が手厚く、第4区分になるほど支給額は少なくなります。

給付型奨学金は月額で支給されます。たとえば私立大学に自宅外から通う学生が第1区分に該当した場合、月額75,800円が振り込まれます。国公立大学に自宅から通う第1区分の学生であれば月額29,200円です。区分・学校の種類・通学形態の組み合わせで金額は変わります。具体的な金額の一覧は続きで詳しく示します。

授業料等減免については、国公立大学では年間授業料の上限が約54万円、入学金の上限が約28万円です。私立大学では年間授業料の上限が約70万円、入学金の上限が約26万円です。こちらも区分によって受け取れる割合が変わります。

また2025年度(令和7年度)からは、扶養する子どもが3人以上いる「多子世帯」の学生については、所得制限なしで授業料等減免が受けられるようになりました。

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ここまで読んで、「結局、自分の場合はいくらになるのか」が一番気になっている方が多いと思います。区分や学校種別の表をいくつ並べられても、自分に当てはめた金額がイメージできないと、なかなか実感がわきません。そこで、もっとも問い合わせが多いと思われる典型的なケースを1つ取り上げて、最初から最後まで省略せずに金額を計算してみます。ほかのケースや細かな申請手順は続きで扱いますが、このサンプルだけでも「受けられた場合に何がどう変わるのか」の全体像はつかめるはずです。

想定する家庭

ここでは次のような家庭を想定します。あくまで金額のイメージをつかむための一例であり、実際の判定はお住まいの市町村が算出する課税情報によって決まる点は、先にお断りしておきます。

世帯構成は、本人・父・母・高校生の弟の4人世帯とします。父が給与所得者で、母は収入がないものとします。本人は地方の実家を離れ、東京の私立大学(文系)に進学し、アパートを借りて自宅外から通学するとします。世帯の年収は給与収入でおよそ250万円程度を想定します。

この条件であれば、給与所得者の4人世帯における第1区分の年収目安(後述しますがおよそ271万円以下)の範囲に入る可能性が高い、と考えられます。ここでは仮に第1区分に該当したものとして、その先を計算してみます。実際にはご自身の課税標準額をもとに判定されるため、ここでの区分はあくまで仮置きである点にご注意ください。

1. 給付型奨学金はいくら入るか

私立大学に自宅外から通う第1区分の学生の場合、給付型奨学金は月額75,800円です。これは返さなくてよいお金として、本人名義の口座に毎月振り込まれます。

年額に直すと、75,800円 × 12か月 = 909,600円になります。1年でおよそ90万円、4年間在籍して区分が変わらなかったと仮定すると、単純計算で909,600円 × 4年 = 3,638,400円です。もちろん区分は毎年秋の見直しで変わりうるため、4年間ずっと同額が続くとは限りませんが、第1区分が続いた場合の上限イメージとしては、4年間でおよそ360万円前後という規模感になります。

このお金は使いみちが指定されているわけではなく、家賃や食費、教材費など、学生生活の費用にあてることを想定したものです。自宅外通学の学生の金額が自宅通学より高く設定されているのは、家賃などの負担を見込んでいるためと考えられます。

2. 授業料等減免はいくら効くか

次に、学校への支払いがどれだけ軽くなるかを見ます。第1区分の学生は、授業料等減免の上限額が全額分まで支援の対象になります。

私立大学の減免上限額は、入学金がおよそ26万円まで、授業料が年間でおよそ70万円までとされています。第1区分であればこの上限まで減免の対象になる、というのが基本的な考え方です。

入学初年度で考えると、入学金26万円 + 授業料70万円 = 96万円が減免の対象になりえます。2年目以降は入学金がかからないため、授業料の70万円分が毎年の減免対象になります。

ただし、ここで一つ大事な注意があります。この70万円・26万円という数字は、国が定めた減免の「上限額」です。通っている私立大学の実際の授業料が上限額より高い場合、超えた部分は自己負担として残ります。逆に、実際の授業料が上限額より低ければ、減免されるのはその低いほうの実額までです。つまり減免額は「実際の授業料」と「国の上限額」のいずれか低いほうが目安になる、と理解しておくと誤解が少なくなります。

3. 合わせるといくらの効果になるか

このケースで、第1区分が4年間続いたと仮定した場合の支援規模をざっくりまとめてみます。

給付型奨学金は、4年間でおよそ360万円前後(月75,800円 × 48か月)。

授業料等減免は、入学金分のおよそ26万円に加えて、授業料の上限分が4年間でおよそ280万円前後(年70万円 × 4年、いずれも上限まで減免された場合)。

両方を単純に合計すると、4年間でおよそ660万円規模の支援になりうる、という計算になります。返済不要の給付と、学校への支払いそのものが軽くなる減免が重なるため、家計への効果は決して小さくありません。

くり返しになりますが、これはすべての条件がそろい、第1区分が4年間維持された場合の上限的なイメージです。実際には、毎年の家計見直しで区分が下がれば金額は減りますし、通う大学の授業料が上限額より低ければ減免額もその分小さくなります。それでも、「自分の家庭の年収だとどのくらいの規模になりうるのか」を一度ざっくり計算してみると、進学を検討する材料として役に立つはずです。

ほかのケース(国公立に自宅から通う場合、多子世帯の場合、第2区分・第3区分に該当する場合など)の具体的な計算例や、申請の実務、準備物のチェックリスト、よくある質問への回答は、この続きでくわしく解説します。

ここから先は、申請に直結する実務です。

対象者・所得基準の判定軸

支援を受けられるかどうかは、主に「家計基準」と「学力基準」の2つで判定されます。

家計基準——4つの区分と所得の目安

家計基準は「支給額算定基準額」という計算式で算出した数値を使い、4区分に分類されます。この数値は、課税標準額に6%を掛け、各種控除を差し引いて求めます。

世帯年収の目安(給与所得者・予約採用の場合)は以下のとおりです。あくまでも目安であり、家族構成や各種控除によって大きく変わるため、JASSO公式の「進学資金シミュレーター」で個別に確認することをおすすめします。

世帯人数第1区分の目安第2区分の目安第3区分の目安第4区分の目安
2人世帯約207万円以下約298万円以下約373万円以下約630万円以下
3人世帯約221万円以下約298万円以下約373万円以下約630万円以下
4人世帯約271万円以下約303万円以下約378万円以下約635万円以下

在学採用(進学後に申し込む)の場合は、4人世帯(本人・親2人・高校生1人の構成)で第1区分の目安が約295万円、第4区分の目安が約698万円という目安も公表されています。在学採用と予約採用では基準のベースとなる課税年度が異なるため、申請時に確認が必要です。

なお、家計基準を満たしていても、申込時点で学生本人と生計維持者(親など)の資産合計が5,000万円以上の場合は支援を受けられません。多子世帯の授業料等減免については3億円未満が条件です。資産の対象は現金・預貯金・有価証券などで、不動産は含みません。

学力基準——成績だけでは決まらない

入学して最初の1年次については、高校の成績(評定平均3.5以上)や入試成績(上位50%以内)などが基準の一つですが、「学修計画書」の提出によって意欲を示すことでも申請できます。2年次以降は、GPA(成績評価の平均)などが在学する大学等の上位50%以内であることが求められます。

給付型奨学金の金額(2026年6月25日確認)

給付型奨学金の月額は、支援区分・学校の種類(国公立か私立か)・通学形態(自宅か自宅外か)の3つの組み合わせで決まります。

大学・短期大学・専修学校(専門課程)の場合

国公立に通う学生:

区分自宅通学自宅外通学
第1区分月29,200円月66,700円
第2区分月19,500円月44,500円
第3区分月9,800円月22,300円
第4区分(多子世帯)月7,300円月16,700円

私立に通う学生:

区分自宅通学自宅外通学
第1区分月38,300円月75,800円
第2区分月25,600円月50,600円
第3区分月12,800円月25,300円
第4区分(多子世帯)月9,600円月19,000円

高等専門学校(4学年以上)の場合

高等専門学校に通う学生は、月額が大学等とは別に設定されています。第4学年以上の在学者が給付型奨学金の対象です。

国公立に通う学生:

区分自宅通学自宅外通学
第1区分月17,500円月34,200円
第2区分月11,700円月22,800円
第3区分月5,900円月11,400円
第4区分(多子世帯)月4,400円月8,600円

私立に通う学生:

区分自宅通学自宅外通学
第1区分月26,700円月43,300円
第2区分月17,800円月28,900円
第3区分月8,900円月14,500円
第4区分(多子世帯)月6,700円月10,900円

なお、生活保護を受けている世帯の自宅通学者や、社会的養護を必要とする学生については、金額が増額される取り扱いがあります。該当しそうな場合は、在学校の窓口またはJASSO公式で個別に確認することをおすすめします。

授業料等減免の仕組みと上限額

授業料等減免は、在籍する学校が実施する支援です。第1区分の学生は上限の全額が免除され、第2区分では上限の3分の2、第3区分では3分の1が免除の対象になります。第4区分(多子世帯に属する学生・または私立理工農系学科の学生)の授業料等減免については、対象者の区分によって異なります。JASSO公式資料(2026年6月25日確認)によれば、制度上の基準は次のとおりです。第4区分の多子世帯に属する学生は、満額(住民税非課税世帯)の4分の1の給付型奨学金および授業料等減免が基準とされています。多子世帯に属さず私立理工農系の学科等に在籍する学生は、給付型奨学金は0円となり、授業料等減免のみ満額の3分の1(私立大学・私立高等専門学校)または4分の1(私立短期大学・私立専修学校)が基準とされています。ただし、多子世帯に属する学生については、後述する2025年度(令和7年度)拡充により、所得制限なしで上限額(満額)まで授業料等減免を受けられる特別扱いがあります(このため、多子世帯の授業料等減免は実際には4分の1ではなく満額が基準になります)。

上限額の主な例(第1区分の場合)は以下のとおりです。

国公立大学:入学金28万円まで・授業料年54万円まで減免。

私立大学:入学金26万円まで・授業料年70万円まで減免。

これはあくまで国が定めた減免の「上限額」です。実際にどの大学でいくら減免されるかは、大学ごとの授業料額や制度設計によって異なります。

2024年度・2025年度の制度拡充の概要

この制度は、2024年度(令和6年度)と2025年度(令和7年度)に大きく拡充されています。

2024年度——中間所得層への拡大(第4区分の新設)

従来の支援対象はおよそ世帯年収380万円程度までの世帯でした。2024年度から第4区分が新設され、多子世帯(扶養する子どもが3人以上の世帯)や私立大学の理工農系学科に在籍する学生については、世帯年収がおよそ600万円台の中間層にまで支援対象が広がりました。ただし第4区分の給付型奨学金は、多子世帯に属さない理工農系学科の学生については支給額0円(授業料等減免のみ)です。

2025年度——多子世帯への所得制限なし拡充

2025年度(令和7年度)4月から、扶養する子どもが同時に3人以上いる「多子世帯」の学生については、所得制限なしで授業料等減免が受けられるようになりました。私立大学であれば授業料を年70万円・入学金を26万円まで、国公立大学では授業料年54万円・入学金28万円まで、所得にかかわらず支援が受けられます(ただし、学生本人と生計維持者の資産合計が3億円以上の場合は対象外。5,000万円以上3億円未満の場合は授業料等減免のみ対象で給付型奨学金は0円)。

多子世帯かどうかは、生計維持者の扶養親族情報から算出されます。在学中の学生も、2025年4月時点で多子世帯と判定されれば対象になります。なお、扶養する子どもの人数は変動しうる(たとえば兄弟が就職・独立すると減る)ため、毎年秋に実施される「適格認定(家計)」の際に改めて確認されます。

誰がいつ申請するか——在学採用と予約採用

申請方法は「予約採用」と「在学採用」の2種類があります。

予約採用——進学前に高校で申し込む

予約採用は、高校3年生のうちに申請する方法です。高校の担当窓口から書類を受け取り、JASSO の申込サイト「スカラネット」からインターネットで申し込みます。採用候補者に決定された場合は「採用候補者決定通知」が発行され、進学後に在学校へ提出して正式に支援開始となります。

予約採用のメリットは、入学前に支援を受けられる見込みが立つことです。入学前から計画が立てやすくなります。申込みは高校の指定する時期(多くは高校3年生の春〜夏)にあわせる必要があります。

在学採用——進学後に大学等で申し込む

すでに大学等に在籍している人が申し込む方法です。在籍する学校が年2回(春と秋)、募集期間を設けています。

おおまかな流れは以下のとおりです。

  1. 在学校の窓口で申込書類と識別番号(申込IDと初期パスワード)を受け取る
  2. 「スカラネット入力下書き用紙」に必要事項を記入し、マイナンバーの書類を準備する
  3. 期限内にスカラネットから本人が入力・送信する
  4. マイナンバー情報を専用サイトから提出する
  5. 「奨学金確認書兼地方税同意書」を機構へ簡易書留で郵送する
  6. 在学校へ必要書類を提出する
  7. 採用結果の通知を受け取る(春申込の場合は6〜9月頃、秋申込は11〜翌2月頃)

授業料等減免の入学金部分については「入学後3か月以内の申込」という条件があるため、入学直後に手続きの有無を確認することをおすすめします。

申請先

給付型奨学金の申請はJASSOが窓口ですが、実際の書類のやりとりはすべて在学校(または高校)を通じて行います。学生が直接JASSOに書類を持ち込む必要はなく、スカラネット経由のオンライン入力と郵送手続きが中心です。

家計急変採用——年度の途中でも申し込める枠

予約採用と在学採用のほかに、「家計急変採用」という枠があります。これは、年度の途中で家計が急に苦しくなった場合に、通常の募集時期を待たずに申し込める仕組みです。春・秋の定期募集とは別の臨時の入口だと考えるとわかりやすいかもしれません。

家計急変として認められる事由は、おおむね次のようなものとされています。第一に、生計維持者(主に家計を支える人)が亡くなった場合。第二に、生計維持者が事故や病気で3か月以上働けなくなった場合。第三に、生計維持者が自分の意思によらず職を失った場合(自己都合の退職は対象外と整理されています)。第四に、災害によって住宅などに被害を受けた場合。第五に、学生本人が親などからの暴力を理由に避難している場合などです。

家計急変採用には期限の考え方があり、急変の事由が発生してからおおむね3か月以内に申し込む必要があるとされています。事由の発生が入学前であれば、入学からおおむね3か月以内という整理になります。タイミングを逃すと申し込めなくなるおそれがあるため、家計に大きな変化があった場合は、できるだけ早く在学校の窓口に相談することをおすすめします。

また、家計急変採用で支援を受けている間は、支援区分の見直しがおおむね3か月ごとに行われるとされています。通常採用が年1回の見直しであるのに対して、急変採用は短い周期で家計の状況が確認される点が異なります。回復すれば区分が下がる(または支援が終わる)こともあれば、状況が続けば支援が継続されることもあります。

申請の事前準備——用意しておくもの

スムーズに申し込むために、以下を事前に確認しておくと動きやすくなります。

収入情報はJASSOが地方税機関と情報連携する仕組みになっており、マイナンバーを提出することで自動で取得されます。保護者に書類を取り寄せてもらう場面もあるため、早めに伝えておくとよいでしょう。

よくある誤解・つまずきポイント

「浪人生は受けられない」は正確ではない

高校を卒業してすぐ進学しなかった方(いわゆる浪人生)も、高校卒業から一定期間内に進学した場合には対象になりえます。ただし申込資格に在学期間などの要件があるため、JASSO公式サイトの最新の申込資格ページで確認することを強くおすすめします。記憶や周囲の情報だけで判断せず、公式情報をあたってください。

留年すると支援が止まる

支援を受けている状態で標準修業年限(大学なら4年、短大・専門学校なら2年など)を超えた場合、原則として支援は打ち切られます。留年が見込まれる場合は、早めに在学校の窓口に相談することをおすすめします。

成績が振るわなくても「即終了」ではないが注意が必要

2年次以降は毎年、成績(GPA等が上位50%以内か)と修得単位数が確認されます。基準を下回った場合は「警告」が出て、続く年度も改善されなければ支援が打ち切られます。また、出席率が50%を下回るなど修学意欲が低いと判断される場合は廃止になることがあります。成績が悪化してきたと感じたら早めに学校の窓口に相談してください。

私立の理工農系学科でも、多子世帯でなければ給付型奨学金は0円

第4区分は多子世帯でない場合、私立の理工農系学科の学生も対象に含まれますが、この場合の給付型奨学金の支給額は0円です。授業料等減免のみが支援されます(私立理工農系の大学・高等専門学校は上限の3分の1、短期大学・専門学校は上限の4分の1が基準です)。給付型奨学金も受け取れると誤解していると、実際の支援額に驚くことになります。

全ての大学が対象ではない

本制度の対象になるのは、国が定めた基準を満たした「確認大学等」に限られます。文部科学省の公式サイトに対象機関リストが掲載されています。進学先が対象校かどうかは、受験前・入学前に必ず確認してください。文部科学省の公式サイトでは、大学・短期大学では約96%、高等専門学校では約98%、専門学校では約80%が対象とされています(2026年6月25日時点。割合は更新されることがあるため、最新の対象機関リストでご確認ください)。

短期大学や専門学校も対象

「大学だけが対象」と思われがちですが、短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)も対象に含まれます。ただし専門学校については、対象外となる学校も存在するため確認が必要です。

支援区分は毎年見直される

支援区分(第1〜第4区分)は、毎年秋(10月頃)に実施される「適格認定(家計)」で見直されます。支援が始まってからも親の収入変化などによって区分が変わる可能性があります。2025年10月にも支援区分の見直しが行われています。

他制度との関係

同じ「もらえるお金」として、教育訓練給付金(本シリーズの01番で解説)があります。教育訓練給付金は主に社会人が対象で、在職中または離職後1年以内の方がハローワークに申請する制度です。修学支援新制度とは対象者が異なるため、原則として同時に使う場面は限られますが、社会人になってから専門学校等に通う場合などは教育訓練給付金が使える可能性があります。

また、貸与型の奨学金(第一種・第二種)とは併用できますが、貸与月額は給付型奨学金の受給額に応じて上限が調整されます(「併給調整」といいます)。

【現時点の給付額・所得基準】(2026年6月25日確認)

以下の情報はJASSOおよび文部科学省の公式ページで確認した内容です。

給付型奨学金の月額(大学・短大・専修学校専門課程):

国公立・自宅通学:第1区分29,200円 / 第2区分19,500円 / 第3区分9,800円 / 第4区分(多子)7,300円

国公立・自宅外通学:第1区分66,700円 / 第2区分44,500円 / 第3区分22,300円 / 第4区分(多子)16,700円

私立・自宅通学:第1区分38,300円 / 第2区分25,600円 / 第3区分12,800円 / 第4区分(多子)9,600円

私立・自宅外通学:第1区分75,800円 / 第2区分50,600円 / 第3区分25,300円 / 第4区分(多子)19,000円

授業料等減免の上限額(第1区分・満額減免の場合):

国公立大学:入学金28万円・授業料年54万円

私立大学:入学金26万円・授業料年70万円

第2区分は上限の3分の2、第3区分は3分の1が基準(給付型奨学金・授業料等減免とも区分に応じて減額)。第4区分の制度上の基準は、多子世帯に属する場合が満額の4分の1、多子世帯に属さない私立理工農系の学科等の場合が給付型奨学金0円・授業料等減免のみ満額の3分の1(私立大学・私立高等専門学校)または4分の1(私立短期大学・私立専修学校)です。ただし2025年度(令和7年度)以降、多子世帯の学生は所得制限なしで上限額(満額)の授業料等減免が受けられるため、多子世帯の授業料等減免は実質的に満額が基準になります(この満額化は授業料等減免に限り、給付型奨学金の金額は所得区分に応じた算定が引き続き適用されます)。

家計基準の世帯年収の目安(給与所得者・4人世帯・予約採用):

第1区分 約271万円以下 / 第2区分 約303万円以下 / 第3区分 約378万円以下 / 第4区分 約635万円以下

上記はあくまで目安であり、実際には市町村民税の課税情報をもとに算出されます。JASSO公式の「進学資金シミュレーター」を使って個別に試算することをおすすめします。

申請チェックリスト——準備物・期限・窓口・注意点

申請の直前になって書類が足りないと気づくと、提出期限に間に合わなくなることがあります。ここでは、申し込みの前に確認しておきたいことを整理します。あくまで一般的な準備の流れであり、最終的に必要な書類は在学校やJASSO公式の案内で確認してください。

用意しておく書類・情報

おおまかな期限の考え方

窓口

申し込む前に確認しておきたい注意点

具体的な計算例・記入例——条件の違う3つのケースで考える

無料サンプルでは私立大学に自宅外から通う第1区分のケースを取り上げました。ここでは、それとは条件の異なる3つのケースで、金額の見え方がどう変わるかを確認します。いずれも金額のイメージをつかむための試算であり、実際の判定は課税情報によって決まる点は同じです。

ケース1——国公立大学に自宅から通う第1区分の場合

地方の国公立大学に、実家から通学する学生を想定します。世帯は4人で、第1区分に該当したと仮定します。

給付型奨学金は、国公立・自宅通学・第1区分なので月額29,200円です。年額にすると29,200円 × 12か月 = 350,400円になります。私立・自宅外の場合と比べると月額がかなり低く設定されているのは、家賃負担がない自宅通学であり、かつ授業料そのものが私立より低い国公立だからだと考えられます。

授業料等減免については、国公立大学の上限が入学金およそ28万円・授業料年およそ54万円です。第1区分なので、この上限まで減免の対象になりえます。初年度は入学金28万円 + 授業料54万円 = 82万円が減免対象、2年目以降は授業料54万円分が毎年の減免対象、というイメージです。

このケースの記入のポイントは、通学形態を「自宅」と正しく申告することです。自宅か自宅外かで給付額が大きく変わるため、ここを誤ると金額が合わなくなります。実家から通うのであれば自宅通学にあたり、自宅外通学の金額は適用されません。

ケース2——私立大学に自宅外から通う第2区分の場合

無料サンプルと同じく私立大学に自宅外から通うものの、世帯年収がもう少し高く、第2区分に該当したと仮定するケースです。

給付型奨学金は、私立・自宅外・第2区分なので月額50,600円です。年額では50,600円 × 12か月 = 607,200円になります。第1区分の75,800円と比べると月25,200円ほど少なくなります。区分が一つ違うだけで、年額にしておよそ30万円の差が出る計算です。

授業料等減免は、第2区分の場合は上限額の3分の2が基準とされています。私立大学の授業料上限が年70万円なので、その3分の2はおよそ46万7千円ほどになります。入学金についても上限26万円の3分の2が目安となり、およそ17万3千円ほどです。第1区分が「上限まで全額」だったのに対し、第2区分は「上限の3分の2」になるため、その差を自己負担として見込んでおく必要があります。

このケースの記入のポイントは、区分が確定するまで支援額を確定的に見込まないことです。区分は課税情報をもとに決まるため、申込時点では「第1区分のつもりだったが第2区分だった」ということも起こりえます。資金計画は、希望より一つ下の区分でも回るかどうかを一度確認しておくと安全です。

ケース3——多子世帯で私立大学に自宅外から通う場合

扶養している子どもが3人以上いる多子世帯の学生が、私立大学に自宅外から通うケースです。2025年度(令和7年度)からの拡充により、多子世帯は所得制限なしで授業料等減免を受けられるようになりました。

ここで分けて考えたいのが、「授業料等減免」と「給付型奨学金」では取り扱いが異なる点です。

授業料等減免については、多子世帯であれば所得にかかわらず上限額まで支援の対象になりえます。私立大学なら入学金およそ26万円・授業料年およそ70万円までが対象、というイメージです。世帯年収が比較的高い家庭でも、子どもが3人以上いれば授業料・入学金の負担を上限まで軽くできる可能性がある、というのがこの拡充の大きな点です。

一方で、給付型奨学金(毎月振り込まれるお金)のほうは、所得区分に応じた算定が引き続き適用されると整理されています。つまり、収入が高めの多子世帯の場合、「授業料等減免は上限まで受けられるが、給付型奨学金は区分に応じて少額、あるいは支給されない」という組み合わせになることもありえます。減免と給付を一括りに「全部もらえる」と考えると、実際の振込額に差を感じることがあるため、ここは分けて理解しておくと誤解が減ります。

このケースの記入のポイントは、扶養している子どもの人数を正確に申告することです。多子世帯かどうかは生計維持者の扶養親族の情報から判定されます。きょうだいが就職・独立すると扶養から外れて人数が減ることがあり、その場合は判定が変わります。毎年秋の家計確認の際に人数が改めて確認されるため、家庭の状況に変化があったときは学校に伝えておくとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

申し込みを検討するときに迷いやすい点を、質問と回答の形で整理します。制度は改正が続いているため、最終的な判断は必ずJASSOまたは在学校の最新案内で確認してください。

Q1. 給付型奨学金は本当に返さなくてよいのですか。

返還を前提としないお金として案内されています。貸与型(借りる奨学金)とは別の枠組みで、返す必要のないお金と整理されています。ただし、虚偽の申告があった場合や、途中で支援の要件を満たさなくなった場合などには、支援が止まったり、すでに受け取った分の返還を求められたりすることがあります。正しく申告し、適格認定に対応していくことが前提になります。

Q2. 親の収入が高めですが、申し込む意味はありますか。

家計基準を超えていれば対象にならない可能性が高いですが、世帯人数や扶養している子どもの人数、各種控除によって判定は変わります。とくに、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯であれば、2025年度からの拡充により所得制限なしで授業料等減免の対象になりうるため、収入が高めでも一度確認する価値があります。判断に迷う場合は、JASSO公式の「進学資金シミュレーター」で試算してみることをおすすめします。

Q3. 浪人してから進学する場合は対象外ですか。

高校卒業後すぐに進学しなかった場合でも、高校卒業から一定の期間内に進学した場合には対象になりうると整理されています。ただし、申込資格には在学期間や年齢に関する要件があるため、自己判断せず、JASSO公式の申込資格のページで最新の条件を確認してください。

Q4. すでに大学に通っていますが、今からでも申し込めますか。

在学採用として、在学校が設ける春・秋の募集期間に申し込むことができます。すでに2年生・3年生であっても、要件を満たせば申し込める場合があります。学力基準として、2年次以降はGPA等が在学校で上位2分の1以内であることなどが確認されます。詳しくは在学校の奨学金担当に確認してください。

Q5. 区分は途中で変わることがありますか。

毎年秋ごろに行われる「適格認定(家計)」で支援区分が見直されます。親の収入が増えれば区分が下がって支給額が減ることがあり、逆に収入が減れば区分が上がることもあります。支援が始まった後も、家計の状況によって金額が変わりうると考えておくとよいでしょう。

Q6. 成績が下がったら、すぐに支援は止まりますか。

すぐに打ち切られるとは限りませんが、注意が必要です。2年次以降は毎年、成績(GPA等が上位2分の1以内か)と修得した単位数が確認されます。基準を下回ると「警告」が出され、続く年も改善されなければ支援が打ち切られることがあります。また、出席状況が著しく悪いなど修学意欲が低いと判断された場合にも、支援が止まることがあります。気になる点があれば早めに学校に相談してください。

Q7. 留年したらどうなりますか。

標準的な修業年限(大学なら4年など)を超えると、原則として支援は受けられなくなります。やむを得ない事情がある場合の取り扱いは学校やJASSOの判断によるため、留年が見込まれる段階で在学校の窓口に相談しておくことをおすすめします。

Q8. 休学した場合はどうなりますか。

休学している期間は、原則として支援が止まる(休止する)取り扱いになると考えられます。復学後に支援が再開されるかどうかや、その手続きは個別の事情によるため、休学を検討する段階で学校の奨学金担当に確認してください。

Q9. 親が急にリストラされました。次の募集まで待つしかないですか。

家計急変採用という枠があり、定期募集の時期を待たずに申し込める場合があります。生計維持者が自分の意思によらず職を失った場合などは対象になりうると整理されています。ただし、急変の事由が起きてからおおむね3か月以内という期限の考え方があるため、できるだけ早く在学校の窓口に相談してください。

Q10. 貸与型の奨学金と一緒に使えますか。

貸与型(第一種・第二種)との併用は可能とされています。ただし、給付型奨学金を受ける場合、第一種(無利子)の貸与月額には併給調整がかかり、上限が引き下げられる(場合によっては0円になる)ことがあります。第二種(有利子)については別の取り扱いになります。返す奨学金と返さない奨学金を組み合わせる場合は、将来の返済負担も含めて検討することをおすすめします。

Q11. 専門学校や短期大学でも対象になりますか。

短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程、いわゆる専門学校)も対象に含まれます。ただし、すべての学校が対象というわけではなく、国が定めた基準を満たした「確認大学等」に限られます。とくに専門学校は対象外の学校も一定数あるとされているため、進学先が対象校かどうかを入学前に必ず確認してください。

Q12. 外国籍でも申し込めますか。

在留資格などの一定の要件を満たせば対象になりうると整理されています。永住者や定住者、日本人の配偶者等といった在留資格が関係するため、自己判断せず、在留資格を確認できる書類を用意したうえで、在学校またはJASSO公式で要件を確認してください。

Q13. 入学金の減免は入学後でも申し込めますか。

授業料等減免の入学金部分は、入学からおおむね3か月以内に申し込む必要があるとされています。入学直後は手続きが立て込みがちですが、期限を過ぎると入学金部分の減免を受けられなくなるおそれがあるため、入学後すぐに学校の窓口で手続きの有無を確認することをおすすめします。

Q14. 給付型奨学金はいつから振り込まれますか。

採用が決まると、決定後にまとめて振り込まれる初回分を含めて、月ごとに本人名義の口座へ振り込まれていきます。採用結果が出るまでには審査の時間がかかり、春申込であれば初夏ごろ、秋申込であれば年明けごろに結果が出る流れが一般的とされています。正確な振込スケジュールは採用通知や在学校の案内で確認してください。

Q15. 自分が対象になるか、申し込む前に知る方法はありますか。

JASSO公式の「進学資金シミュレーター」を使うと、世帯の収入や家族構成などを入力して、おおよその対象区分を試算できます。あくまで目安ではありますが、申し込む前に見込みを立てておくと、資金計画が立てやすくなります。確定的な判定は申込後の審査によるため、シミュレーターの結果はあくまで参考としてご利用ください。

出典一覧と免責

本記事は以下の公式情報源に基づいて作成しました(いずれも2026年6月25日確認)。

本記事は制度の概要を一般読者向けに整理した情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行は行っておりません。給付を受けられるかどうかは審査によって決定されるため、「必ず受給できる」という保証を伝えるものではありません。申請に際しては必ずJASSOまたは在学校の窓口に最新情報を確認してください。