公的職業訓練(ハロートレーニング)の使い分け完全ガイド:離職者訓練・求職者支援訓練・在職者訓練の違いと申込みの流れ

本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・受付期間はいずれも変更されることがあるため、申請前に必ず公式サイトまたは最寄りのハローワークで最新情報をご確認ください。

この記事が整理すること

仕事を辞めた後にスキルを身につけたい、転職に向けて資格を取りたい、今の職場でもっと専門的な技術を磨きたい——そういった目的で「職業訓練を受けたい」と考えたとき、まず直面するのが制度の複雑さです。

検索してみると「ハロートレーニング」「公共職業訓練」「求職者支援訓練」「能力開発セミナー」「給付金」などのキーワードが次々と出てきます。それぞれが別の制度なのか、同じ制度の別名なのか、自分はどれを使えばよいのか——情報が多いだけに、かえってわかりにくくなってしまうことがあります。

この記事では、国が運営する「ハロートレーニング(公的職業訓練)」という制度の全体像を整理した上で、離職者訓練・求職者支援訓練・在職者訓練という3つの区分の違いを具体的に解説します。さらに、失業保険(雇用保険基本手当)や職業訓練受講給付金との関係、教育訓練給付金との使い分けまで、実際に動くための情報を網羅します。

この記事が特に役立つのは、次のような状況の方です。

本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言を行うものではありません。申請内容の判断や個別状況の確認については、最寄りのハローワーク(公共職業安定所)または社会保険労務士にご相談ください。

制度の全体像

ハロートレーニングとは何か

「ハロートレーニング」は、厚生労働省が推進する公的職業訓練の総称です。希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識を習得できる訓練で、受講料は原則無料です(ただしテキスト代など一部の費用は自己負担)。ハローワーク(公共職業安定所)が中心となって案内・手続きを担い、全国各地で実施されています。

ハロートレーニングは、大きく次の3つに分けられます。

この3つは対象者・訓練期間・費用・給付制度がすべて異なります。まず「自分がどの区分に当てはまるか」を確認することが、制度を正しく使うための出発点になります。

3制度の比較表

項目離職者訓練求職者支援訓練在職者訓練
主な対象者雇用保険を受給中の求職者雇用保険を受給できない求職者等在職中の労働者(主に中小企業)
受講料無料(テキスト代等は自己負担)無料(テキスト代等は自己負担)有料(コースにより異なる)
訓練期間概ね3か月〜2年2〜6か月2〜5日(短期)または長期
受給できる給付雇用保険基本手当の延長+技能習得手当職業訓練受講給付金(月10万円・要件あり)特になし(在職者向け助成金は別途)
申込窓口ハローワークハローワークポリテクセンター・都道府県
主な実施機関独法・都道府県・民間委託民間訓練機関(厚生労働大臣認定)独立行政法人・都道府県

この表の通り、3つの訓練は対象者の「雇用保険の有無」「在職/離職」を軸に分かれています。

教育訓練給付金(No.14)との違い

ここで混同しやすい制度として「教育訓練給付金」があります。No.14で詳しく解説していますが、整理のために両者の違いを簡単に示します。

端的に言えば、ハロートレーニングは「訓練そのものが無料」、教育訓練給付金は「自分で払った受講費用を後から一部返してもらう」という仕組みです。どちらを使うべきかは、希望する訓練内容・雇用保険の加入歴・現在の就業状況によって変わります。後ほど「使い分けの判断フロー」の章で詳しく解説します。

No.01・No.14・No.38との給付関係の整理

この記事では、関連する他の記事との重複を避けつつ、補完的な情報を提供します。

本記事(No.49)では、これら3つの制度がハロートレーニングとどう関係するかを整理し、「どの訓練を受けるときにどの給付が使えるか」という観点から全体像をまとめます。

【無料サンプル】雇用保険を受給中の30代Aさんが離職者訓練に申し込み、給付延長で無料でITスキルを身につけるまでの流れ

ここでは、会社を辞めた30代の会社員Aさん(雇用保険あり)が、ハローワークの離職者訓練を活用してITスキルを習得し、転職を実現するまでの流れを1ケース丸ごと公開します。金額・手順・窓口まで、出し惜しみなく最後まで全部見せます。

Aさんのプロフィール

ステップ1:ハローワークで求職申込み・雇用保険の手続き

Aさんはまず、自宅近くのハローワークで「求職申込み」と「雇用保険(失業給付)の受給手続き」を同時に行いました。

持参したもの:

雇用保険の手続きが完了すると「雇用保険受給資格者証」が交付されます。これが給付の受給資格を証明する書類で、以後の手続きで繰り返し使うため、大切に保管します。

自己都合退職の場合、失業給付には「給付制限期間」が設けられています。令和7年(2025年)4月1日以降に離職した場合、この給付制限期間は原則1か月に短縮されました(同日より前は原則2か月)。この期間は基本的に給付が支給されない期間です。さらに令和7年4月以降は、リ・スキリングのために教育訓練等(ハロートレーニングを含む)を受ける場合は、この給付制限が解除され、訓練開始日から基本手当を受給できるようになりました。Aさんはこの改正の恩恵を受けます。

ステップ2:職業相談で訓練を探す

次にAさんはハローワークの職業相談窓口を訪問し、「職業訓練を受けたい」と伝えました。

担当者と相談した結果、Aさんの希望するWebアプリ開発系のコースが、都道府県の委託訓練として近隣の民間スクールで実施されていることがわかりました。コース名は「WEBアプリケーション開発科」、訓練期間は3か月(週5日・約480時間)で、ハロートレーニング(離職者訓練)として認定されているため受講料は無料です。

コースを探す方法は2つあります。

  1. ハローワークの窓口で相談する(担当者が地域の訓練コース一覧を持っている)
  2. 「ハローワークインターネットサービス 職業訓練検索」(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/kensaku/GECA150010.do?action=initDisp&screenId=GECA150010)でオンライン検索する

担当者から「ハロートレーニング受講申込書」と「受講指示申請書」を受け取り、Aさんはそれらを自宅で記入して次回の来所日に持参することになりました。

ステップ3:受講申込み・選考

Aさんは受講申込書を訓練実施機関(民間スクール)に提出し、選考を受けました。選考内容はスクールによって異なりますが、このケースでは面接と志望動機書の提出が求められました。

選考で問われる主な内容は次の通りです。

Aさんは「小売業での接客経験を生かしてWebサービスを提供する会社へ転職し、ユーザー体験の改善に貢献したい」という具体的な動機を伝え、無事に合格しました。

合格後、ハローワークから「受講あっせん状」が交付されます。これが訓練実施機関に提出する入学許可証のような書類で、受講開始の前日までに訓練実施機関に提出します。

ステップ4:訓練受講中の給付

Aさんは離職者訓練の受講が決まったため、訓練期間中に次の給付を受け取ります。

失業給付(雇用保険基本手当)の延長:

Aさんの所定給付日数は、退職理由・被保険者期間・年齢から決まります。自己都合退職で被保険者期間6年・34歳のAさんは、所定給付日数が90日です。通常は90日で給付が終わりますが、離職者訓練を受講している場合は「訓練延長給付」により、訓練が終わるまで基本手当が延長されます。3か月の訓練なら、最大で約90日分の延長給付が受けられます(ただし所定給付日数が残っていた場合はその残り分と通算)。

また、令和7年4月の改正により、自己都合退職に伴う給付制限期間(令和7年4月以降の離職者は原則1か月)も、訓練受講開始日をもって解除されます。

技能習得手当(技能習得手当の内訳):

寄宿手当(家族と別居して訓練を受ける場合):月10,700円

Aさんは自宅から電車で通うため、基本手当と通所手当を受け取りながら訓練を受けました。月ごとに「失業認定申告書」を提出し、ハローワークでの認定日にきちんと出向くことで給付を継続できます。

基本手当の日額の計算例(Aさんの場合・概算):

離職前6か月の賃金総額 ÷ 180 = 賃金日額

月収22万円 × 6か月 = 132万円

132万円 ÷ 180 = 約7,333円(賃金日額)

給付率は賃金日額によって変わりますが、離職時60歳未満の方はおおむね50〜80%の範囲で決まります(賃金日額が低い方ほど高い割合が適用される仕組みです。離職時60〜64歳の場合は45〜80%)。34歳のAさんの場合、賃金日額の水準からおおよそ50〜60%台が適用されるため、仮に給付率55%とすると、

7,333円 × 55% = 約4,033円(基本手当の日額)

月20日分の認定があれば、

4,033円 × 20日 = 約80,660円(月の基本手当)

これに通所手当が加わるため、訓練中の月収入は合計で10万円前後になる見込みです。実際の給付率・給付額はハローワークの窓口で正確に計算してもらえます。

ステップ5:訓練修了・就職活動

3か月の訓練を修了したAさんは、訓練実施機関から「訓練修了証」を受け取りました。この証明書があることで、履歴書に訓練修了のスキルを記載し、転職活動に臨むことができます。

訓練修了後も基本手当の給付が残っている場合(延長給付の残り日数)は、ハローワークで就職活動を続けながら給付を受けられます。Aさんは修了後2か月で希望する企業からの内定を得て、就職が決まりました。

就職が決まった場合、「再就職手当」の支給対象になる可能性もあります。所定給付日数の一定割合以上を残して就職できた場合に、残余の給付の一部を一括して受け取れる制度で、就職した翌日以降にハローワークへ申請します。

このケースで使えた制度の合計整理

Aさんの場合、訓練を受けながら失業給付をもらい続け、かつ訓練受講料は無料という形で、実質的なコストを大幅に抑えながらITスキルを習得することができました。

ここから先は、申請に直結する実務です。

離職者訓練(公共職業訓練)の詳細

対象者と利用条件

離職者訓練(公共職業訓練)は、主に雇用保険の基本手当を受給している求職者を対象にしています。ただし、雇用保険の受給資格者でなくても、ハローワーク所長が訓練受講を必要と認めた場合は受講できるケースがあります。

対象者として想定される主なケースは次の通りです。

訓練期間とコース内容

訓練期間は概ね3か月から2年です。実施する機関によって異なります。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が実施する訓練は、ポリテクセンター(職業能力開発促進センター)やポリテクカレッジ(職業能力開発大学校)で行われます。工業系・ものづくり系のコースが多く、比較的期間が長いものが中心です。

都道府県が実施する訓練は、各都道府県の職業能力開発校などで行われます。製造・建設・IT・介護・美容など幅広い分野をカバーしています。

民間の教育訓練機関への委託訓練は、パソコンスクール・調理学校・医療事務専門学校など、民間のスクールが実施します。比較的短期のコースが多く、都市部では選択肢が豊富です。

主な訓練分野とコース例を以下に示します。

IT・デジタル系:

医療・福祉系:

建設・製造系:

ビジネス・事務系:

デザイン・クリエイティブ系:

各コースの詳細な開講状況は、地域・時期によって異なります。全国の訓練コースはハローワークインターネットサービスの「職業訓練検索」(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/kensaku/GECA150010.do?action=initDisp&screenId=GECA150010)で検索できます。

費用と負担

受講料は原則無料です。ただし、次の費用は受講者の自己負担になります。

受給できる給付の詳細

離職者訓練を受講すると、次の給付が受けられます。

基本手当の延長(訓練延長給付):

所定の給付日数が残っていれば、給付が続きます。さらに、訓練期間中に所定給付日数が終わってしまった場合でも、「訓練延長給付」として訓練修了日まで基本手当が延長されます。

基本手当の給付制限解除(令和7年4月以降):

自己都合退職した場合、令和7年4月1日以降に離職した方は給付制限期間が原則1か月に短縮されました(同日より前は原則2か月)。さらに令和7年4月以降は、リ・スキリング(学び直し)のために教育訓練等を受ける場合、この給付制限がさらに解除されます。離職者訓練(公共職業訓練)への受講もこの対象となります。ハローワークの担当者に「訓練を受けたいので給付制限の解除を申請したい」と伝えることで手続きが進みます。

技能習得手当:

技能習得手当は、訓練受講中に雇用保険の基本手当に上乗せして支給される手当です。2種類あります。

受講手当:訓練を受けた日1日あたり500円。ただし支給される日数は合計40日が上限なので、最大でも20,000円までです。毎月の失業認定日に申告して受け取ります。

通所手当:電車・バス等の公共交通機関を使って訓練施設に通う場合、定期乗車券相当額が支給されます。月の上限は42,500円です。ガソリン代の場合は、通所距離に応じて別途計算されます。

寄宿手当:

訓練を受けるために家族と別居しなければならない場合に支給される手当です。月10,700円が支給されます(すべての受講者が受け取れるわけではなく、家族の状況に応じた要件があります)。

受給できる給付の有無による比較表

給付の種類受け取れる条件金額の目安
雇用保険基本手当雇用保険の受給資格があること賃金日額のおおむね50〜80%(離職時60〜64歳は45〜80%)
訓練延長給付所定給付日数が不足したとき基本手当と同額で延長
給付制限解除(令和7年4月〜)自己都合退職でリ・スキリング目的の訓練を受講する場合給付制限期間(令和7年4月以降の離職者は原則1か月)分の基本手当を追加で受給できる
受講手当訓練受講中(上限40日)1日500円(最大20,000円)
通所手当公共交通機関等で通所する場合月上限42,500円
寄宿手当家族と別居して通う必要がある場合月10,700円

求職者支援訓練の詳細

制度の位置づけ

求職者支援訓練は「求職者支援制度」の一部で、雇用保険を受給できない求職者(あるいは受給終了後に就職できていない方など)を主な対象として、無料で職業訓練を受けられる制度です。

もともとは「雇用保険を受けられない方専用」の制度として設計されていましたが、令和4年(2022年)7月1日の改正により、雇用保険の受給資格者でもハローワーク所長の指示を受けた場合には受講できるようになりました。受給資格者が受講する場合は、訓練期間中に訓練延長給付と技能習得手当等の支給も受けられます。

対象者

求職者支援訓練の主な対象者は次の通りです。

訓練の種類(基礎コースと実践コース)

求職者支援訓練は「基礎コース」と「実践コース」の2種類があります。

基礎コースは、就職に必要とされる基礎的な技能・知識の習得を目的としたコースです。ビジネスマナー・パソコン操作・コミュニケーションスキル・語学など、幅広い職種への就職を支援する内容が中心です。訓練期間は2か月または3か月が多く設定されています。

実践コースは、特定の職業・分野を想定した専門的な知識の習得を目的としたコースです。IT・デジタル・介護・医療事務・ビジネス・農業など、業種別に細かく設定されています。訓練期間は3〜6か月程度が多いです。

主な実践コースの分野例:

費用

受講料は原則無料です(テキスト代・教材費等は自己負担)。

訓練期間

1コースあたり2か月から6か月が一般的です。

職業訓練受講給付金(月10万円)との関係

求職者支援訓練を受講すると、要件を満たす場合に「職業訓練受講給付金」が支給されます。給付金は「職業訓練受講手当(月10万円)」「通所手当(月上限42,500円)」「寄宿手当(月10,700円)」の3種類です。

この給付金の詳細については、後述の「職業訓練受講給付金(月10万円)の全要件と審査の厳しさ」の章で詳しく解説します。

選考のしくみ

求職者支援訓練は、訓練実施機関(民間スクール等)が選考を実施します。選考方法は各機関によって異なりますが、一般的には次のような内容が多いです。

定員に対して応募者が少ない「定員割れ」のコースでも、必ずしも全員が合格するわけではありません。訓練の必要性・就職意欲・通学可能性などが個別に判断されます。

在職者訓練(能力開発セミナー)の詳細

制度の全体像と特徴

在職者訓練は、主に中小企業に在職する従業員を対象に、業務に必要な専門知識・技能・技術の向上を図るための比較的短期間の訓練制度です。ほとんどの競合記事では1段落で終わっているか、記述がほぼない分野ですが、実際には在職者にとって非常に使いやすい制度です。

在職者訓練では、受講料が発生する点が離職者訓練・求職者支援訓練と大きく異なります。ただし、後述する中小企業向けの助成制度(人材開発支援助成金)を活用すると、企業が一部の費用補填を受けられる場合があります。

実施機関

在職者訓練を実施する主な機関は次の通りです。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)運営のポリテクセンター(職業能力開発促進センター):全国に設置されており、工業系・機械系・電気系・IT系のコースが豊富です。

ポリテクカレッジ(職業能力開発大学校):より高度な技術者育成を目的とした機関で、長期の訓練コースも実施しています。

高度ポリテクセンター(国立職業能力開発総合大学校・相模原市):高度技術者・管理者向けの能力開発セミナーを実施。企業からのオーダーセミナー(カスタム研修)にも対応しています。

都道府県が運営する職業能力開発校:地域の産業ニーズに合ったコースを実施。電気・溶接・建設・IT・サービスなど地域産業に応じた内容が中心です。

訓練内容とコース例

能力開発セミナーの具体的なコース例を以下に挙げます(地域・実施機関によって異なります)。

機械・製造系:

電気・設備系:

IT・デジタル系:

管理・ビジネス系:

各コースの訓練時間は1日6〜7時間が目安で、コースによって2日〜5日の短期日程が多く設定されています。

費用と申込方法

在職者訓練(能力開発セミナー)には受講料がかかります。費用はコースの内容・実施機関・日数によって異なるため、各ポリテクセンターのコースガイド(またはウェブサイト)で確認する必要があります。一般的には1コースあたり数千円〜数万円の範囲が多いですが、高度な専門コースではそれ以上になることもあります。

申込方法は次の通りです。

  1. ポリテクセンターまたは都道府県の職業能力開発校のウェブサイトで、受講したいコースを探す
  2. コースガイド(PDF)または在職者訓練の一覧ページで日程・定員・費用を確認する
  3. 「受講申込書」を入手して記入する(ウェブからダウンロードできる場合が多い)
  4. FAXまたは郵便で受講申込書を提出する(セミナー開始日の原則2週間前までが申込期限の目安)
  5. 定員に空きがある場合は受付確認の連絡が来る
  6. 訓練開始日に施設に出向いて受講する

ハローワークを通す必要はなく、直接各機関に申し込む点が離職者訓練・求職者支援訓練と異なります。

オーダーセミナー(カスタム研修)の活用

ポリテクセンターや高度ポリテクセンターでは、企業・事業主団体からの要望に応じた「オーダーセミナー(オーダーメイド型セミナー)」も実施しています。

通常のコースでは日程が合わない、自社の技術課題に特化したカリキュラムを組みたい、という企業のニーズに対応しています。高度ポリテクセンター(相模原)では、1セミナーあたり12時間以上(1日6時間換算で2日以上)のカリキュラムを組み、企業独自の課題に合わせた内容で研修を実施できます。

費用は教材費・諸経費を含めて見積もりが提示される形式で、通常の在職者訓練よりも費用が高くなりますが、自社の人材育成ニーズにピンポイントで対応できるメリットがあります。中小企業で社員研修の機会が少ない場合には、有力な選択肢になります。

在職者訓練と人材開発支援助成金

企業として従業員に在職者訓練を受講させる場合、「人材開発支援助成金(特別育成訓練コース等)」を活用できる可能性があります。これは厚生労働省が実施する事業主向けの助成金で、訓練にかかった費用(受講料)の一部と、訓練中の賃金の一部が補助される制度です。

ただし人材開発支援助成金の詳細な要件・申請手順は複雑であり、社会保険労務士等の専門家への相談を推奨します。本記事では詳細な解説は行いません。

離職者訓練と求職者支援訓練の選び方フローチャート

「どちらを使えばよいかわからない」という方のために、判断の流れを示します。

フロー図(文章版)

ステップ1:現在の状況を確認する

「今、失業保険(雇用保険基本手当)を受給しているか、または受給できる資格があるか」を確認します。

ステップ2(離職者訓練を選んだ場合):

ハローワークで「離職者訓練の受講申込みをしたい」と相談し、希望するコースを探します。訓練期間中も基本手当が継続します。

ステップ2(求職者支援訓練を選んだ場合):

ハローワークで「求職者支援訓練を受けたい」と相談します。あわせて「職業訓練受講給付金の要件を確認したい」と伝えると、担当者が個別に要件をチェックしてくれます。

ステップ3(特殊なケース):

「雇用保険の受給資格はあるが、希望する離職者訓練のコースが地域にない」「求職者支援訓練のコースに興味がある」という場合でも、2022年7月以降は受給資格者でもハローワーク所長の指示を受けることで求職者支援訓練を受講できます。ただしその場合、給付の扱いは「訓練延長給付と技能習得手当」になります(求職者支援訓練の給付金ではありません)。

2022年7月改正の重要ポイント

令和4年7月1日の改正以前は、求職者支援訓練は「雇用保険を受給できない方専用」の制度でした。この改正により、雇用保険受給資格者でも一定条件のもとで受講できるようになりましたが、これは「雇用保険があるのに求職者支援訓練を受けたほうが得」という状況を必ずしも意味しません。

基本的な判断軸として、雇用保険受給資格者は離職者訓練を、受給できない方は求職者支援訓練を選ぶという原則は変わっていません。ただし離職者訓練にコースの選択肢が少ない地域では、求職者支援訓練の活用も選択肢に入ります。

職業訓練受講給付金(月10万円)の全要件と審査の厳しさ

給付の概要

求職者支援訓練を受講する場合、一定の要件を満たすと「職業訓練受講給付金」として月10万円の職業訓練受講手当が支給されます。これは求職者支援制度の一部として国が支給するもので、訓練中の生活費を支えることを目的にしています。

給付金の内訳:

月10万円の給付だけでは生活費が不足する場合に備え、求職者支援制度には「求職者支援資金融資」という貸付制度も用意されています。これは職業訓練受講給付金の支給対象者で、給付金だけでは生活費が足りないと認められた方が利用できる貸付です。貸付額は単身者など扶養家族がいない方が月額5万円、配偶者や扶養家族がいる方が月額10万円を上限に、受講予定の訓練月数分(最大12か月分)までまとめて借りられます。利用するには、まずハローワークで職業訓練受講給付金の支給決定を受けたうえで「求職者支援資金融資要件確認書」の交付を受け、労働金庫(ろうきん)の窓口で手続きします。返済期間は貸付日から原則5年以内(貸付額が50万円以上になる場合は10年以内)で、訓練終了後しばらくの間は元金の返済を据え置き利息のみとする期間が設けられています。あくまで借入のため返済義務がある点には十分注意してください。給付金で足りるかどうかの判断も含め、詳細はハローワークの担当窓口でご確認ください。

8つの受給要件

職業訓練受講給付金を受け取るには、次の8つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも満たさない場合は支給されません。

要件1:本人の月収が8万円以下であること

給付金を受け取る月の本人収入が8万円以下である必要があります。アルバイトや副業がある場合は、その収入が8万円を超えると支給されません。

要件2:世帯全体の月収が30万円以下であること

同居する家族全員の収入の合計が月30万円以下である必要があります。配偶者が高収入の場合は要件を満たせないことがあります。

注意:一部の古いウェブサイトでは「25万円以下」と記載されていますが、厚生労働省の公式サイト(2026年6月27日確認)では「30万円以下」となっています。申請時は最新の要件を必ずハローワークで確認してください。

要件3:世帯全体の金融資産が300万円以下であること

預金・株式等の金融資産の合計が、世帯全体で300万円以下である必要があります。

要件4:現在の住居以外に土地・建物を所有していないこと

現在居住している住宅以外の不動産(別荘・投資用マンション等)を所有していないことが要件です。

要件5:訓練の全実施日に出席していること(やむを得ない理由がある場合は8割以上)

全日出席が原則です。体調不良や慶弔等のやむを得ない事情で欠席せざるを得なかった場合でも、月の出席率が8割を下回ると、その月の給付金は不支給になります。無断欠席は1回でも支給が停止され、退校処分のリスクもあります。

要件6:世帯の中に他に給付金受給者がいないこと

同じ世帯内に、すでに職業訓練受講給付金を受けている方がいる場合は受給できません。

要件7:過去3年以内に給付金の不正受給がないこと

不正受給の履歴がないことが条件です。

要件8:過去6年以内に職業訓練受講給付金を受給していないこと

過去6年以内に職業訓練受講給付金を受給したことがある場合は、再度受給することができません。

審査はどの程度厳しいか

申請時のハローワーク窓口での手続きは比較的丁寧に案内してもらえますが、要件の確認は厳格に行われます。特に次の点で問題が起きやすいです。

出席率について:月の途中から訓練を欠席し始めると、その月の給付金が全額不支給になるケースがあります。体調不良でどうしても休む必要がある場合は、医師の診断書等の「やむを得ない事情の証明書類」をそろえた上で、欠席後速やかにハローワークおよび訓練実施機関に連絡することが重要です。

収入について:訓練中にアルバイトを始めて月8万円を超えると、その月の給付金が出ません。生活費の足しにアルバイトをすることは可能ですが、収入管理が必要です。

世帯収入について:配偶者の収入変動(ボーナス月など)で世帯月収が30万円を超える月は、その月の給付金が不支給になる場合があります。

給付金の申請手順(詳細)

  1. ハローワークで求職申込み・職業相談を行う
  2. 希望する求職者支援訓練のコースを選び、受講申込書に記入する
  3. ハローワークへ受講申込書を提出する(このタイミングで給付金の審査も開始される)
  4. 訓練実施機関の選考(面接・筆記等)を受ける
  5. 合格後、訓練実施機関から合格通知が来る
  6. ハローワークで「就職支援計画書」が交付される(給付金受給には必須の書類)
  7. 訓練受講開始後、毎月1回ハローワークで職業相談を行い、給付金の支給申請書を提出する
  8. 申請からおおむね1週間程度で、指定の金融機関口座に振り込まれる

訓練実施機関から「出席確認書」を受け取り、ハローワークに提出することで出席率の確認が行われます。

申込みの流れ(共通の注意点)

ハローワーク求職申込みから受講あっせんまで

離職者訓練・求職者支援訓練ともに、申込みの流れは基本的に次の順序になります。

第1段階:ハローワークで求職申込みと職業相談

まず最寄りのハローワークで「求職申込み」を行います。ハローワークに登録した求職者でなければ、訓練の受講を申し込むことができません。登録の際は本人確認書類(マイナンバーカードまたは住民票・運転免許証等)が必要です。

職業相談では、担当者が現在の職歴・スキル・転職希望分野などをヒアリングした上で、受講が適切かどうかを判断します。「ただ訓練を受けたい」という動機だけでは受講あっせんにつながりにくく、「このスキルを身につけてこの仕事に就きたい」という具体的な就職イメージを持つことが大切です。

第2段階:受講したいコースを選ぶ

担当者に地域で実施されている訓練コースの一覧を出してもらうか、ハローワークインターネットサービスで自分で検索します。検索時は「都道府県」「訓練種別(公共職業訓練/求職者支援訓練)」「訓練分野」などで絞り込めます。

訓練の開始日・訓練期間・訓練実施場所・定員・応募期間などを確認し、申込みたいコースを決めます。人気のコースは定員がすぐに埋まることがあるため、早めに動くことが重要です。

第3段階:受講申込書の提出

希望するコースが決まったら、ハローワークで「受講申込用紙」を受け取り、必要事項を記入してハローワークに提出します(訓練実施機関ではなくハローワークが受付窓口です)。

この際、「なぜこのコースを受けたいか」「どんな仕事に就きたいか」を具体的に記入した「志望動機書」も求められる場合があります。

第4段階:訓練実施機関による選考

受講申込書を提出後、訓練実施機関による選考が行われます。面接・筆記・書類審査などがあり、選考結果は合否として通知されます。

第5段階:受講あっせん・訓練開始

選考に合格した後、ハローワークから「受講あっせん状」が交付されます。これを訓練実施機関に提出することで、正式な受講者として登録されます。訓練開始日の前日までに提出するのが一般的です。

選考に不合格になった場合の選択肢

選考に不合格になっても、次の選択肢があります。

選択肢1:同じコースに再申込みする

同じコースが次の期(月)に再び開催される場合は、再申込みが可能です。ただし、同一コースへの再申込みが連続して許可されるかどうかは、ハローワークの担当者との相談になります。

選択肢2:別のコース・別の訓練機関に申込む

希望する分野の別のコースや、別の訓練実施機関のコースを探して申込みます。地域によっては複数の機関が類似のコースを開講している場合があります。

選択肢3:離職者訓練と求職者支援訓練を行き来する

求職者支援訓練の選考に落ちた場合でも、離職者訓練に申込みなおすことができます(雇用保険受給資格があれば)。逆も然りです。

選択肢4:教育訓練給付金(No.14)の活用に切り替える

ハロートレーニングの訓練コースが自分に合わない場合や選考に通らない場合は、教育訓練給付金を使って民間の講座を自分で受講するという選択肢もあります。教育訓練給付金の詳細は本補助金ラボのNo.14をご覧ください。

選考を通過するためのポイント

選考で重視されるのは、「訓練の必要性」と「就職意欲の具体性」です。

志望動機でよく問われるのは次の3点です。

なぜ今このスキルが必要なのか:これまでの職歴・スキルギャップ・希望する転職先の求人動向を結びつけて説明できると説得力が増します。

訓練修了後のビジョン:「どんな会社に就職したいか」「どんな業務を担当したいか」を具体的に述べられると、訓練の必要性が認められやすくなります。

通学可能性:週5日の通学が可能かどうか(体調・家庭の事情・居住地からの距離等)を現実的に説明できることも重要です。

受講中の注意点:給付打ち切りのルールとアルバイトの扱い

欠席した場合のリスク

離職者訓練・求職者支援訓練ともに、欠席には厳しい扱いがあります。

無断欠席:1回でも無断欠席をすると、その月の給付(基本手当または職業訓練受講給付金)が不支給になる可能性があります。また、訓練実施機関から退校処分を受けるリスクもあります。

やむを得ない欠席(病気・慶弔等):事前に担当者に連絡し、後から医師の診断書・証明書類を提出することで「やむを得ない欠席」として扱ってもらえる場合があります。それでも、月の出席率が8割(求職者支援訓練の給付金の場合)を下回ると、その月の給付金は不支給になります。

アルバイトについて

訓練中のアルバイトは、法律上禁止されているわけではありません。ただし、次の点に注意が必要です。

離職者訓練(基本手当受給中):アルバイトをしている日は「失業状態でない日」として扱われ、その日の基本手当は不支給になります。また、継続的にアルバイトをしている場合は「就職」とみなされ、給付が打ち切られる可能性があります。アルバイト収入・就労日数はハローワークへの申告が必要です。

求職者支援訓練(職業訓練受講給付金受給中):本人月収が8万円を超える月の給付金は不支給になります。また、出席率の問題もあるため、訓練を優先しながら無理のない範囲でアルバイトをすることが必要です。

給付が打ち切られるケース

給付が止まってしまうケースをあらかじめ把握しておくことが、訓練を最後まで続けるための重要なポイントです。

教育訓練給付金との使い分け判断フロー

制度の本質的な違い

ハロートレーニング(公的職業訓練)と教育訓練給付金(No.14)は、どちらも「仕事に向けてスキルを身につける」ための国の支援ですが、根本的な仕組みが異なります。

ハロートレーニング:

教育訓練給付金:

どちらを選ぶかの判断軸

判断1:在職中か離職中か

在職中→ 教育訓練給付金または在職者訓練(ハロートレーニング)を検討する

離職中→ 雇用保険の有無に応じて離職者訓練または求職者支援訓練を検討する

判断2:雇用保険の加入期間

教育訓練給付金(一般教育訓練)は雇用保険加入1年以上が必要

専門実践教育訓練給付金は雇用保険加入3年以上(初回は2年以上)が必要

ハロートレーニングは雇用保険加入期間に関係なく利用できる(求職者支援訓練は雇用保険なしでも可)

判断3:学びたい内容がハロートレーニングにあるか

ハロートレーニングのコースは地域・時期によって限られるため、希望のコースが近くにない場合は教育訓練給付金での民間講座活用が現実的です。

判断4:費用を先に払えるかどうか

教育訓練給付金は受講費用を自分でいったん払う必要があります。まとまった出費が難しい場合はハロートレーニング(受講料無料)のほうが向いています。

両方の組み合わせが可能なケース

離職中の場合、次のような組み合わせが考えられます。

この2段階の学び方は、費用を最小化しながらキャリアを積み上げる実践的な方法です。

教育訓練休暇給付金(2025年10月新設):在職者向けの新制度

制度の概要

令和7年(2025年)10月1日から、「教育訓練休暇給付金」が新設されました。これは在職者向けの新しい給付制度で、職業訓練制度の中でも見落とされがちな制度です。ほとんどの競合記事がまだこの制度を扱っていない中で、本記事では詳しく解説します。

教育訓練休暇給付金は、雇用保険の一般被保険者(在職中の労働者)が、業務命令によらず自発的に教育訓練のために無給の休暇を30日以上取得した場合に、失業給付(基本手当)に相当する給付金が支給される制度です。

「在職したまま訓練に専念するために休むが、その間の収入がゼロになるのは困る」という状況に対応する制度です。

対象者の要件

次の要件をすべて満たす必要があります。

対象となる教育訓練

次のいずれかに該当する教育訓練が対象です。

ハロートレーニング(公的職業訓練)が明示的に対象として挙げられているかは、2026年6月時点の厚生労働省公式サイトの記載では確認しきれていないため、実際に活用する際はハローワークで確認してください。

給付額と給付期間

給付額は、失業給付(基本手当)と同様の算定方法で計算されます。基本手当の給付率は賃金日額のおおむね50〜80%(離職時60〜64歳の場合は45〜80%)であり、賃金水準が低い方ほど高い割合が適用されます。

給付期間は、雇用保険の被保険者期間に応じて最大90日・120日・150日のいずれかになります。ただし給付を受けられるのは休暇開始から1年以内の期間内に限られます。

申請方法は次の通りです。

  1. 事業主がハローワークに対して事前申請を行う(労働者単独では申請できない)
  2. 労働者が教育訓練休暇を開始する
  3. 休暇開始後30日ごとに、労働者がハローワークへ教育訓練休暇の取得状況を申告する
  4. 認定後、給付金が支給される

この制度はまだ始まったばかりの新制度のため、制度の詳細・対象訓練の範囲・事業主側の申請手続きなどは、今後変更・整備される可能性があります。最新情報は厚生労働省公式サイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/kyukakyufukin.html)または最寄りのハローワークでご確認ください。

必要書類の正式名称・取得先・注意点

離職者訓練の申込み時に必要な主な書類

ハローワークでの求職申込み・訓練申込みに必要な書類を整理します。書類の種類や様式は変更されることがあるため、来所前に最寄りのハローワークに確認することを推奨します。

求職申込み・雇用保険手続きに必要なもの:

訓練申込みに追加で必要になるもの:

求職者支援訓練の申込み時に必要な主な書類

ハローワークでの求職申込みに必要なもの(基本的に離職者訓練と同様):

求職者支援訓練の受講申込みに必要なもの:

職業訓練受講給付金の申請に必要なもの(申請時・毎月提出):

在職者訓練の申込み時に必要なもの

在職者訓練(能力開発セミナー)は、ハローワークを通さず直接ポリテクセンター等に申し込む形が多いため、必要書類はシンプルです。

企業担当者が複数名分を申込む場合は、申込書に受講者の氏名・所属部署等をまとめて記入して提出します。

よくある誤解・つまずきポイント

誤解1:「職業訓練は誰でもすぐ受けられる」

ハロートレーニングは無料で受けられる一方、ハローワークへの求職登録と職業相談が前提です。また、受けたいコースへの受講あっせんを受けるためには、担当者が「この人には訓練が必要だ」と判断する必要があります。スキルが高すぎる、就職意欲が不明確、希望するコースと職歴に整合性がないと判断されると、受講あっせんにつながらないことがあります。

誤解2:「求職者支援訓練の給付金は雇用保険より多い」

職業訓練受講給付金(月10万円)は固定額ですが、雇用保険の基本手当は離職前の賃金水準に応じた額になります。収入が高かった方や長く働いていた方は、雇用保険の基本手当のほうが月10万円を大きく上回るケースがあります。「求職者支援制度を選んだほうが給付が多い」という勘違いは危険で、雇用保険受給資格がある場合は原則として離職者訓練を選ぶことが多くの場合有利です。

誤解3:「訓練を受けた後も何度でも給付金がもらえる」

職業訓練受講給付金は、過去6年以内の受給があると再受給できません。また、ハロートレーニングを複数回受けることは不可能ではありませんが、ハローワークの担当者が「再度の訓練が必要か」を判断します。

誤解4:「在職者訓練はポリテクセンターだけ」

ポリテクセンターは在職者訓練の主要な実施機関ですが、各都道府県の職業能力開発校でも在職者向けの訓練を実施しています。コースの内容・費用・日程は機関によって異なるため、自分の地域で使える機関を複数比較してみることをおすすめします。

誤解5:「求職者支援訓練の給付金申請はハローワークに1回行けばOK」

職業訓練受講給付金は、毎月1回ハローワークで職業相談・支給申請を行う必要があります。1度申請すれば自動的に振り込まれる仕組みではないため、月1回の手続きを訓練修了まで継続することが求められます。

誤解6:「教育訓練給付金とハロートレーニングは同じ制度」

これは完全に別の制度です。教育訓練給付金は「民間講座の受講費用の一部を後から返してもらう」制度で、ハローワークで訓練あっせんを受ける必要はありません。ハロートレーニングは「国・自治体・民間が実施する訓練に無料で通う」制度で、ハローワークを通じて申し込みます。

誤解7:「令和7年4月からの給付制限解除はすべての自己都合退職者が自動的に対象」

令和7年4月以降の給付制限解除は、「リ・スキリングのために教育訓練等を受けた(受けている)場合」が条件です。単に「自己都合で退職した」だけでは自動的に解除されません。ハローワークで手続きを行い、訓練受講との関係を明確にする必要があります。

申請チェックリスト

離職者訓練を申し込む前のチェックリスト

求職者支援訓練を申し込む前のチェックリスト

在職者訓練(能力開発セミナー)を申し込む前のチェックリスト

よくある質問(FAQ)

Q1. 雇用保険に加入していなかったのですが、ハロートレーニングは受けられますか。

雇用保険に加入していなかった方(フリーランス・自営業の廃業者・短期雇用等)でも、求職者支援訓練を利用できます。ハローワークで求職申込みを行い、担当者に「雇用保険の加入がなかった」と伝えてください。職業訓練受講給付金の要件(本人月収8万円以下・世帯月収30万円以下等)を満たしていれば、訓練中に月10万円の給付金を受け取ることができます。

Q2. 在職中ですが、離職者訓練を受けることはできますか。

離職者訓練は「求職者」を対象にした訓練であり、在職中の方は原則として対象外です。在職中の方は在職者訓練(能力開発セミナー)を利用するか、2025年10月に新設された教育訓練休暇給付金(30日以上の無給休暇取得の場合)を活用する選択肢が考えられます。また、在職中でも教育訓練給付金(No.14)は利用できるケースがあります。

Q3. 求職者支援訓練を受けながらアルバイトはできますか。

アルバイト自体は禁止されていませんが、月収が8万円を超えるとその月の職業訓練受講給付金が不支給になります。また、アルバイトが増えることで訓練への出席率が下がるリスクもあります。生活費の補充としてアルバイトをする場合は、月収の管理と出席率の維持を両立させる計画を立ててください。

Q3-2. 職業訓練受講給付金の月10万円だけでは生活費が足りません。ほかに利用できる支援はありますか。

職業訓練受講給付金の支給対象になっている方で、給付金だけでは生活費が不足すると認められる場合は、「求職者支援資金融資」という貸付を利用できる可能性があります。扶養家族がいない方は月額5万円、配偶者や扶養家族がいる方は月額10万円を上限に、訓練月数分(最大12か月分)をまとめて借りられます。利用にはハローワークでの支給決定と「求職者支援資金融資要件確認書」の交付が必要で、手続きは労働金庫(ろうきん)の窓口で行います。ただしこれは給付ではなく貸付であり、返済期間は原則5年以内(貸付額が50万円以上になる場合は10年以内)の返済義務があります。借入をする前に、本当に必要な金額かどうかをハローワークの担当者とよく相談してください。

Q4. 訓練の選考に落ちてしまいました。どうすればよいですか。

まず担当のハローワーク職員に状況を報告し、不合格の理由について確認してみてください(教えてもらえる場合とそうでない場合があります)。次に、同じコースに再申込みするか、別のコースを検討するか、教育訓練給付金で民間講座に切り替えるかを担当者と相談しながら決めます。志望動機書の書き方・面接での受け答えを見直すことで、次の選考での合格率を上げられることがあります。

Q5. 訓練期間中に就職が決まったらどうなりますか。

訓練の途中でも就職が決まった場合は、訓練を中断して就職することができます(退校手続きを行います)。就職が決まった時点で失業給付または職業訓練受講給付金は終了しますが、所定給付日数を一定以上残して就職した場合は「再就職手当」を申請できる可能性があります。再就職手当の詳細はNo.01(雇用保険基本手当)を参照してください。

Q6. 離職者訓練と求職者支援訓練は同時に申し込めますか。

同時申込みは基本的にできません。どちらか1つを選んで申し込む形になります。ただし、1つのコースに落選した場合は次のコースを申込みなおすことは可能です。

Q7. 訓練終了後すぐに就職できなかった場合、給付金は続きますか。

離職者訓練(雇用保険受給者)の場合、訓練が終了した後も給付日数が残っていれば基本手当の支給が継続します。求職者支援訓練の職業訓練受講給付金は、訓練期間中のみの支給のため、訓練終了後は受給できません。

Q8. 過去に職業訓練を受けたことがあります。また受けられますか。

以前に離職者訓練を受けたことがある場合でも、また受けられる可能性はありますが、ハローワークの担当者が「再度の訓練が就職に必要かどうか」を判断します。求職者支援訓練の職業訓練受講給付金については、過去6年以内に受給歴がある場合は再受給できません。

Q9. 在職者訓練は個人でも申し込めますか、会社経由でないといけませんか。

在職者訓練(能力開発セミナー)は、個人が自分でポリテクセンター等に申し込むことができます。会社経由である必要はありません。ただし、訓練は平日・日中に実施されることが多いため、職場での欠勤・有給取得の調整が必要になります。

Q10. 教育訓練給付金(一般・特定一般・専門実践)とハロートレーニングを同時に使えますか。

同一の訓練に対して両方を同時に使うことはできません。どちらの制度で受講するかを選択します。別の訓練(例:ハロートレーニングを先に修了させてから、就職後に教育訓練給付金で別の講座を受ける)という使い方は可能です。

Q11. 教育訓練休暇給付金は自分で申請できますか。

教育訓練休暇給付金は、事業主(会社)がハローワークに事前申請を行う必要があるため、労働者本人だけでは申請できません。会社の担当部門(人事・総務等)に事前相談し、会社が申請手続きを行った上で休暇を取得する流れになります。

Q12. 求職者支援訓練の選考で「不合格」になった理由はわかりますか。

選考結果の理由は、必ずしも開示されるわけではありません。ただし、担当のハローワーク担当者を通じて確認できる場合もあります。合格のための改善点を知りたい場合は、ハローワークの担当者に相談してみることをおすすめします。

Q13. ハロートレーニングのコースは全国どこでも同じ内容ですか。

コースの種類・内容・開講時期は地域によって異なります。都市部では選択肢が多い一方、地方では開講コース数が限られることもあります。全国の訓練コースはハローワークインターネットサービスの職業訓練検索で確認できますが、最新の開講情報は最寄りのハローワークで確認することをおすすめします。

Q14. 訓練を受けながら就職活動はできますか。

訓練期間中も就職活動は続けてください。離職者訓練・求職者支援訓練は、あくまで「就職するためのスキル習得」が目的であり、訓練修了後に就職できるよう、並行して求職活動をすることが求められます。訓練修了後ではなく、訓練中に内定を得ることも大歓迎です。

出典一覧(URL・確認日)

本記事は以下の一次情報を確認した上で執筆しています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/rishokusha.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/zaishokusha.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/hellotraining/about/

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/hellotraining/support/

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/kyushokusha_shien/dl/kyusyokusya04.pdf

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00045.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/kyukakyufukin.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/06.html

確認日:2026-06-27

https://www3.jeed.go.jp/osaka/poly/zaishoku/index.html

確認日:2026-06-27

https://www.apc.jeed.go.jp/biz/03_02.html

確認日:2026-06-27

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/kensaku/GECA150010.do?action=initDisp&screenId=GECA150010

確認日:2026-06-27

https://jsite.mhlw.go.jp/saitama-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/shokugyou_kunren/shokugyou-kunren.html

確認日:2026-06-27

https://www.pref.chiba.lg.jp/koyou/rouseichiba/2022/584-07-08.html

確認日:2026-06-27

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言(社会保険労務士法・税理士法に基づく業務)を行うものではありません。雇用保険・職業訓練に関する個別の手続き・判断については、最寄りのハローワーク(公共職業安定所)または社会保険労務士にご相談ください。給付金の採否・額は個別の状況によって異なり、要件を満たすすべての方が必ず受給できることを保証するものではありません。制度の詳細・金額・要件・申請期限は随時変更されるため、必ず申請前に公式サイトまたは窓口で最新情報をご確認ください。