奨学金返還支援を自治体・企業制度から探す(移住・就職で返還を補助)
本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・受付期間はいずれも変更されることがあるため、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
この記事が整理すること
奨学金の返還が続いていると、就職してからも毎月一定額が引き落とされ、生活設計が立てにくいと感じることがあります。そのような状況の中で、「移住したり特定の地域・企業に就職したりすることで奨学金の返還を補助してもらえる制度がある」と耳にしても、実際の手続きや対象になるかどうかがわかりにくく、調べることをあきらめてしまう方も多いと思います。
この記事では、自治体が実施する奨学金返還支援制度と、企業が実施する奨学金代理返還制度の2つの仕組みを整理します。支援内容は自治体・企業によって大きく異なるため、全国共通の金額を断定することはできません。ただし、制度の探し方と、複数の制度に共通する判断軸を理解することで、自分に合った制度を見つけやすくなります。
本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行や書類作成の代行は行いません。
制度の全体像
奨学金返還支援の仕組みは、大きく「自治体型」と「企業型」の2つに分かれます。この2つは申請の窓口も要件の性格も異なります。
自治体型は、特定の地域に移住・定住し、一定期間そこに住んで就業する人を対象に、自治体が奨学金の返還額の一部を補助する仕組みです。地方への若者の定着や人口減少の抑制を目的として、都道府県や市区町村が独自の予算で運営しています。令和7年6月1日現在、全国47都道府県・876市区町村が何らかの奨学金返還支援に取り組んでいます(内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局調査)。
企業型は、就職先の企業が従業員の奨学金を日本学生支援機構(JASSO)に直接送金する「代理返還」の仕組みです。企業側が手続きを行うため、従業員にとっては自分の返還額が企業に肩代わりされる形になります。令和8年3月末時点で全国4,852社がこの制度を導入しています(JASSO発表)。
自治体によっては、企業が代理返還した額の一部をさらに自治体が補助する「上乗せ補助」を用意しているケースもあり、その場合は2つの仕組みを組み合わせた形になります。
いずれの制度も、支援金額・対象年齢・居住期間・就業業種・対象となる奨学金の種類は自治体・企業ごとに設定されており、制度が毎年改定されることもあります。
【無料サンプル】地方移住して奨学金返還支援を受けるケース(申請手順を1つ完全公開)
ここでは、「地方に移住して自治体の奨学金返還支援を申請する」という流れを、1つの仮想ケースで最初から最後まで追ってみます。制度の理解を助けるための例示であり、実際の金額や要件は各自治体で異なります。
想定するのは次のケースです。
関東在住で都内の大学を卒業し、就職後も奨学金を返還中の25歳の社会人(Aさん)が、転職を機に埼玉県行田市へ移住するケースです。行田市には「若者の奨学金返還を支援します」という制度があり(確認日:2026年6月27日)、Aさんはこれを利用しようとしています。
制度の対象かどうかを確認する
まず、Aさんが対象に該当するかを確認します。行田市の制度(確認日:2026年6月27日)では、以下の要件がすべて揃っている必要があります。
- 対象となる奨学金を返還中であること(JASSO第一種・第二種奨学金や埼玉県高等学校等奨学金など)
- 令和6年2月1日以降に行田市へ転入していること
- 申請年度末時点で30歳以下であること
- 3年以上市内に居住する意思があること
- 就業中であること(勤務地は市外でも可)
- 市のアンケートに協力できること
Aさんの場合、JASSO第二種奨学金を返還中で、行田市への転入が済んでおり、26歳未満であり、勤務先は市外ですが就業中のため、すべての要件を満たしています。
窓口に問い合わせる・申請書類を準備する
次に、行田市役所の企画政策課(電話:048-556-1111)に連絡し、今年度の申請受付が開始しているかどうかを確認します。申請方法は持参・郵送・メール・電子申請のいずれかです。
準備する書類の目安は次の通りです(自治体・年度によって変わります。事前に窓口で必要書類を確認してください)。
- 申請書(行田市の様式・市ウェブサイトからダウンロードまたは窓口で受け取り)
- 奨学金の返還を証明する書類(JASSOの場合は「返還確認票」や「返還額証明書」が利用できることがあります。JASSOの返還者向けポータルから出力・請求できます)
- 住民票の写し(転入を証明するために使います)
- 就業を証明する書類(在職証明書や雇用契約書の写しなど)
- 口座情報がわかるもの(補助金の振込先として必要な場合)
申請書類は各自治体が独自の様式を用意していることが多いため、市のウェブサイトまたは窓口で最新の様式を入手するのが確実です。
申請を行い、補助金の交付を受ける
書類がそろったら、定められた申請期間内に企画政策課へ提出します。審査の後、交付決定の通知が届きます。補助金は通常、年度ごとに前年度の返還実績を基に計算・交付される形を取る自治体が多く、毎年申請が必要な場合があります。
行田市の場合、補助額は返還した奨学金の2分の1で、年間上限は12万円です。支援期間は初回申請から最大3年間です。仮に毎年同額の返還を続けていれば、3年間で最大36万円の補助を受けられる計算になります。ただし、他の制度と重複して利用している場合は差額のみが対象になります(確認日:2026年6月27日)。
以上が、地方移住して自治体の奨学金返還支援を申請するおおよその流れです。自治体によって書類の種類や申請タイミング、支援金額や期間は異なりますが、「対象確認→窓口確認→書類準備→申請→毎年更新」という骨格はほとんどの自治体で共通しています。
ここから先は、申請に直結する実務です。
自治体型と企業型の違いを整理する
奨学金返還支援を探す際には、自治体型と企業型のどちらに当たりやすいかを先に考えると、効率よく調べることができます。
自治体型は「居住地ベース」の制度です。一定の地域に住んで就業することが基本的な要件で、就職先は対象地域内の企業に限定している自治体もあれば、勤務地は問わないとしている自治体もあります。長野市のように、在学中にインターンシップへの参加を条件にしている自治体もあり、制度の設計はさまざまです。
企業型(代理返還)は「就職先ベース」の制度です。どの地域に住んでいるかより、どの会社に就職するかが鍵になります。企業がJASSOに直接送金するため、従業員としての手続きは少なく済む場合が多いですが、制度を導入している企業でなければ利用できません。
この2つは排他的ではなく、両方を同時に満たすことも理論上は可能です。ただし、自治体によっては他の支援制度との重複について差額支給としているケースがあるため、複数を組み合わせる場合は各自治体・企業に確認が必要です。
制度を探すためのデータベースと窓口
自分に合った制度を見つけるために、以下の情報源を使うことが現実的です。
JASSOの自治体制度一覧
JASSOのウェブサイトには、都道府県が設置した奨学金返還支援(基金設置団体)の一覧と、市区町村が実施している返還支援の一覧がそれぞれ掲載されています。都道府県別のリンクから各自治体の制度に飛ぶことができます。
JASSO「地方公共団体の返還支援制度」
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/chihoshien/sosei/seido/index.html
(確認日:2026年6月27日)
JASSOの企業代理返還制度検索
代理返還制度を導入している企業を、地域・業種・企業名から検索できます。就職先の企業が制度を導入しているかどうかの確認や、就活中に制度のある企業を探す際に使えます。
JASSO「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度検索」
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/search/index.html
(確認日:2026年6月27日)
内閣官房のポータル
「デジタル田園都市国家構想」の推進に関連して、地方公共団体の取り組み状況を紹介するページがあります。全体の統計や制度の目的、参加自治体の状況をつかむのに役立ちます。
内閣官房「奨学金を活用した大学生等の地方定着の促進」
https://www.chisou.go.jp/sousei/about/shougakukin/index.html
(確認日:2026年6月27日)
移住相談窓口
居住地を変えることを前提に制度を探す場合は、移住相談窓口を使う方法もあります。内閣官房が運営する「ふるさとテレワーク・地方移住支援」のサイトや、各都道府県の移住相談センターでは、奨学金返還支援の有無も含めた移住情報を提供していることがあります。
効率よく探すための順番
これらの情報源を闇雲に見ていくと時間がかかります。次の順番で絞り込むと早く目当ての制度にたどり着けます。まず、すでに住む場所や働く場所が決まっているかで入口を分けます。就職先が先に決まっているなら、JASSOの企業代理返還検索でその会社が制度を導入しているかを確認し、導入していれば人事担当に申請方法を聞くのが最短です。住む地域が決まっている、またはこれから移住先を選ぶ段階なら、JASSOの地方公共団体一覧でその都道府県・市区町村に制度があるかを確認します。都道府県の制度と市区町村の制度は別枠で運用されていることが多いため、県のページと市区町村のページの両方を見ておくと取りこぼしが減ります。制度名がページ上で見つかったら、必ず最終更新日と今年度の受付状況を担当課に確認してから書類準備に進みます。
自治体型の具体的な申請の流れと書類
自治体型の返還支援を申請する際の基本的な流れを整理します。各ステップの詳細は自治体によって異なるため、必ず事前に担当窓口で確認してください。
ステップ1:自分が対象かを確認する
まず、移住先または現住所の自治体が制度を実施しているかを調べます。JASSOの一覧ページや各自治体の公式ウェブサイトで確認できます。制度がある場合は、次の点を自分の状況と照らし合わせます。
- 年齢要件(多くの場合30〜40歳以下の設定が多い)
- 転入・居住の開始時期(いつ以降の転入が対象か)
- 就業要件(勤務地・業種・雇用形態の制限)
- 対象となる奨学金の種類(JASSOのみか、県や市の奨学金も含むか)
- 居住継続年数(3年以上など)
- 納税状況(市税・国民健康保険税の滞納がないことを求める自治体が多い)
ステップ2:窓口に問い合わせる
制度の存在を確認したら、申請受付が開始しているかを担当課に電話またはメールで確認します。奨学金返還支援の担当課は「企画政策課」「まちづくり課」「移住推進課」「雇用政策課」など自治体によって異なります。最新の必要書類の一覧と申請様式をこのタイミングで入手しておくと効率的です。
ステップ3:JASSOから返還証明書類を準備する
JASSO奨学金の場合、返還済み額や残高を証明する書類が必要になることが多いです。JASSO奨学金返還者向けのポータル「スカラネット・パーソナル」(https://scholar-ps.sasi.go.jp/)にログインすると、返還確認票の表示や返還額証明書の請求ができます。書類の発行に数日〜数週間かかることがあるため、申請時期が決まったら早めに動くことをおすすめします。
申請書に「前年度の返還額」を記入する欄がある自治体では、どの数字を書けばよいか迷いやすいところです。多くの自治体は、ある年度(例えば4月から翌年3月まで)に実際に返還した元金と利子の合計額を記入させます。スカラネット・パーソナルの返還確認票には毎月の引き落とし額が一覧で表示されるため、対象年度の12回分(毎月返還の場合)を合計した額が記入額の目安になります。例えば毎月1万8,000円を返還している場合は、12か月分で21万6,000円となり、これが申請書の「前年度返還額」欄に入る数字です。補助額はこの返還額をもとに各自治体の補助率と上限額を当てはめて算定されるため、返還額の根拠となる確認票は手元に控えておくと、窓口で金額を聞かれたときにそのまま答えられます。
ステップ4:申請書類一式を提出する
書類がそろったら、定められた申請期間内に窓口へ提出します(持参・郵送・電子申請のいずれかが多い)。主な提出書類の例として、次のものが多くの自治体で求められています。
- 申請書(各自治体の様式)
- 住民票の写しまたは転入を証明する書類
- 在職証明書または雇用契約書の写し
- 奨学金の貸与・返還を証明する書類(JASSOの証明書、返還確認票など)
- 口座情報(補助金の振込先)
- 本人確認書類
自治体によっては卒業証明書や誓約書が別途必要なこともあります。
ステップ5:交付決定の通知を受け、毎年更新する
審査後、交付決定の通知が届きます。補助金は多くの場合、年度ごとに前年度の返還実績をもとに計算・交付される仕組みです。支援期間が複数年にわたる場合は、毎年度申請(実績報告と交付申請の繰り返し)が必要になります。転居や離職など状況が変わった場合は、制度の対象から外れる可能性があるため、速やかに担当課へ連絡することが求められます。
企業型(代理返還)の流れ
企業型は、会社側が主体となってJASSOと手続きを進める仕組みです。従業員側の基本的な関わり方を整理します。
従業員がすること
まず、就活中または入社前・入社後に、自分の勤務先が代理返還制度を導入しているかどうかを確認します。JASSOの企業検索(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/search/index.html)でも確認できますし、人事担当者に直接確認するのが確実です。
制度がある場合、企業から求められる手続きとして、奨学金の返還残額証明や本人確認書類の提出、「代理返還に同意する」旨の申請書の記入などが一般的です。その後、企業がJASSOに送金の手続きを行い、その分だけ自分の返還残高が減っていきます。送金は払込取扱票または口座振替で企業からJASSOへ直接行われる仕組みで、従業員の口座を経由しません。これが後述する税制上の扱いにも関わってきます。
代理返還でいくら支援されるか、また毎月の支援額は給与天引きの返還とどう連動するかは企業ごとに設計が異なります。全額を肩代わりする企業もあれば、月数千円から1万円程度を上限に支援する企業もあります。入社前であれば求人票や内定後の説明資料、入社後であれば就業規則や福利厚生の案内で、支援の上限額・支援を受けられる期間・在籍年数などの条件を確認しておくと、自分の返還計画が立てやすくなります。
税制面の扱い
企業から代理返還を受けた金額は、一定の条件を満たせば従業員の所得税の課税対象とならない扱いになります(JASSOへの直接送金という形を取ることが要件の一つです)。詳細な税務上の扱いは、企業の経理担当や税理士に確認してください。
自治体の上乗せ補助がある場合
愛知県や沖縄県のように、企業が代理返還した額の一部をさらに自治体が補助する制度を設けているケースがあります。愛知県の場合、県内の中小企業(常時雇用300人以下)が従業員に支給した返還支援手当の2分の1以内を県が補助しており、年間上限は20万円(最大3年)または10万円(最大6年)から企業が選択できます(確認日:2026年6月27日)。この場合は企業が窓口となって県に補助申請を行います。
制度を比較するための共通の判断軸
制度によって内容がさまざまであるため、探す段階でどの要素に注目すべきかを整理します。
居住地の縛りが強い制度と弱い制度があります。市内に住みながら市外で働いてもよいとする自治体と、市内企業への就職を必須とする自治体では、働き方の柔軟性が変わります。すでに転職先が決まっている場合は勤務地から逆算して探すのが効率的です。
年齢要件は30歳以下が多いですが、35歳以下、40歳未満まで拡大している制度もあります。申請時の年齢が対象か、年度末時点の年齢が対象かも確認が必要です。
支援期間と年間上限額は制度によってかなり差があります。年間上限が10万〜20万円程度で3〜5年間支援するケースが多いですが、都道府県単位で大きめの枠(上限100万〜250万円)を設けているケースもあります。年間の返還額が多い場合は年間上限に、返還総額が小さい場合は総額上限に引っかかることがあります。
対象となる奨学金の種類も制度によって異なります。JASSOの貸与型奨学金(第一種・第二種)だけを対象にしている制度が多いですが、都道府県や市区町村独自の奨学金も対象に含めている制度、日本学生支援機構以外の公的機関の奨学金を含む制度もあります。自分が借りた奨学金の種類を確認してから制度を探すと絞り込みやすくなります。
よくある誤解・つまずきポイント
「一度申請すれば終わり」ではない
多くの自治体の制度は、支援期間中に毎年度の申請(実績報告と交付申請)が必要です。前年度にいくら返還したかを証明する書類を毎年提出し、支援を継続してもらう仕組みを取っている自治体が多くあります。手続きを1度で終わりと思っていると、翌年度以降の支援が受けられなくなる場合があります。
「転居したら自動的に対象になる」わけではない
多くの制度は転入してから「一定期間が経過した後」や「就業を開始してから」申請するものです。転入直後でも申請できるかどうかは自治体によって異なります。転入前に窓口で確認しておくことを強くおすすめします。
「移住支援金と奨学金返還支援は別の制度」
国が設けている「移住支援金」(地方への移住・就業を対象とした最大100万円の支援)と、自治体独自の奨学金返還支援は、別の制度です。両方を同時に受けられる場合もありますが、移住支援金の要件(東京圏からの移住、対象企業への就業など)は奨学金返還支援の要件とは別に確認が必要です。詳細は内閣官房「起業支援金・移住支援金」(https://www.chisou.go.jp/sousei/ijyu_shienkin.html)を参照してください。
「代理返還は給与と一緒に課税される」は誤り
企業からJASSOへの直接送金(代理返還)が要件を満たしている場合、従業員の所得税の課税対象とならない扱いになります。給与に上乗せして現金で受け取る場合とは税制上の扱いが変わるため、人事担当や税理士に確認しておくとよいでしょう。
期限・予算に注意する
自治体型の制度は年度ごとの予算で運営されており、予算上限に達した時点で受付が終了することがあります。申請可能な期間や予算の状況を年度の早い段階で確認しておくことが重要です。
申請チェックリスト
自治体型の制度を申請する前に、以下の項目を確認してください。制度・年度によって内容が変わるため、最終確認は必ず担当窓口または公式サイトで行ってください。
居住要件と転入日の確認
- 転入日が制度の対象期間内か確認したか
- 転入後に必要な最低居住期間を確認したか
- 住民票の写しを取得できるか確認したか
年齢要件の確認
- 申請時点または年度末時点の年齢が要件の範囲内か確認したか
就業要件の確認
- 勤務先の場所・業種・雇用形態が対象か確認したか
- 在職証明書または雇用契約書の写しを準備できるか確認したか
奨学金の種類の確認
- 借りている奨学金が制度の対象奨学金かどうか確認したか
- JASSOの場合、スカラネット・パーソナルにログインして返還証明書類を準備できるか確認したか
申請様式と提出期限の確認
- 最新の申請様式を自治体ウェブサイトまたは窓口で入手したか
- 今年度の申請受付期間を担当課に確認したか
毎年の更新手続きの確認
- 支援期間が複数年の場合、毎年度申請が必要かどうか確認したか
- 翌年度以降に必要な書類(前年度の返還額証明など)を把握しているか
よくある質問(FAQ)
Q1. 自治体型の制度は、転入してすぐに申請できますか。
多くの自治体では、転入後に一定の居住実績(6か月以上など)を積んでから申請できる設計になっています。転入してすぐに受け取れるわけではない点に注意が必要です。転入前に担当課に確認しておくと、申請のタイミングを見通しやすくなります。
Q2. 就職先が決まっていなくても申請できますか。
自治体型の多くは「就業中であること」が要件です。内定段階での申請を受け付けていない場合がほとんどなので、就職・転職が実際に始まってから動くことになります。ただし、一部の制度は就職後に一定期間が経過してから申請を受け付ける仕組みを取っているため、就職のタイミングと申請時期のズレに注意してください。
Q3. 第一種(無利子)と第二種(有利子)の両方を借りた場合、両方が対象になりますか。
制度によって異なります。JASSOの第一種・第二種いずれも対象としている自治体が多いですが、一部の制度は無利子奨学金(第一種)のみを対象としています。申請前に担当窓口で確認することをおすすめします。
Q4. 転職や引っ越しをした場合、制度はどうなりますか。
支援期間中に転居・転職をした場合、要件を満たさなくなる可能性があります。状況が変わった場合は速やかに担当課へ連絡することが求められます。連絡を怠ると、受け取った補助金の返還を求められることがある自治体もあります。
Q5. 企業型(代理返還)を利用している場合に、自治体型も使えますか。
理論上は両方を利用できる場合もありますが、自治体によっては他の支援制度との重複について差額支給(合算した支援が返還額を超えないよう調整する)としているケースがあります。企業型を先に利用している場合は、自治体への申請時にその旨を申告し、調整の仕方を確認してください。
Q6. 自分の地域に制度があるかどうか、どうやって調べますか。
JASSO「地方公共団体の返還支援制度」ページ(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/chihoshien/sosei/seido/index.html)から都道府県別・市区町村別の制度一覧にアクセスできます。都道府県・市区町村のサイトにリンクが張られているため、自分が住んでいるまたは移住を検討している地域の制度を直接確認できます。
Q7. 制度を調べる際に注意すべきことはありますか。
掲載情報が最新かどうかの確認が重要です。JASSOや自治体のページには最終更新日が記載されていますが、制度自体が年度ごとに変わることがあります。制度の概要を確認したら、必ず各自治体の担当窓口に電話またはメールで現在も受付しているかどうかを確認することをおすすめします。
Q8. 奨学金を滞納中でも申請できますか。
ほとんどの制度で「奨学金を遅延なく返還中であること」が要件になっています。滞納があると対象外になることがほとんどですので、制度の対象となるためには返還が正常に行われていることが前提になります。
制度例の一覧(確認日:2026年6月27日時点)
| 地域 | 制度の種類 | 支援金額の目安 | 主な要件(概要) | 問い合わせ先 |
|---|---|---|---|---|
| さっぽろ圏(札幌市ほか12市町村) | 自治体型 | 年最大18万円・3年間(最大54万円) | 貸与型奨学金利用者・認定企業就職・さっぽろ圏居住 | 札幌市経済観光局雇用労働課 011-211-2278 |
| 埼玉県行田市 | 自治体型 | 返還額の1/2・年上限12万円・最大3年間 | 令和6年2月以降転入・30歳以下・就業中 | 行田市企画政策課 048-556-1111 |
| 長野市(長野県) | 自治体型 | 返還額の1/2・年上限9.6万円・最大5年間 | 県外大学卒・市内無期雇用・在学中インターン参加 | 長野市移住推進課 026-224-7721 |
| 福岡県筑後市 | 自治体型 | 返還額の2/3以内・年上限20万円・最大5年間(市内勤務) | 30歳以下・1年以上市内在住・筑後地域就業 | 筑後市企画調整課 0942-53-4245 |
| 東京都(特定職種) | 自治体型 | 返還総額の1/2・上限150万円・最大10年間 | 都内公立・私立教員、都・区市町村技術系公務員、警視庁・東京消防庁採用者 | 各採用先機関 |
| 愛知県(企業型+県補助) | 企業型 | 企業支援額の1/2以内・年上限20万円×3年または10万円×6年 | 県内中小企業(300人以下)が導入・正社員 | 愛知県就業促進課 052-954-6366 |
| 沖縄県(企業型+県補助) | 企業型 | 年上限9万円(認証企業13.5万円) | 県内中小企業・正社員・35歳未満(令和8年度〜) | 沖縄県雇用政策課 098-866-2324 |
※上記は2026年6月27日時点の情報です。金額・要件は変更されることがあります。申請前に必ず各窓口で最新情報を確認してください。
出典一覧(URL・確認日)
本記事は以下の一次情報を確認した上で執筆しています。
- 内閣官房「奨学金を活用した大学生等の地方定着の促進」(令和7年6月1日現在47都道府県・876市区町村の参加)
https://www.chisou.go.jp/sousei/about/shougakukin/index.html
確認日:2026年6月27日
- JASSO「地方公共団体の返還支援制度」
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/chihoshien/sosei/seido/index.html
確認日:2026年6月27日
- JASSO「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度」(令和8年3月末時点4,852社)
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/index.html
確認日:2026年6月27日
- JASSO「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度検索」
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/search/index.html
確認日:2026年6月27日
- 内閣官房「起業支援金・移住支援金」
https://www.chisou.go.jp/sousei/ijyu_shienkin.html
確認日:2026年6月27日
- 内閣官房「いいかも地方暮らし」奨学金返還支援制度コラム
https://www.chisou.go.jp/iikamo/column/column20.html
確認日:2026年6月27日
- 札幌市「さっぽろ圏奨学金返還支援事業」(年最大18万円・3年間)
https://www.city.sapporo.jp/keizai/koyo/syougakukin/syougakukin.html
確認日:2026年6月27日
- 行田市「移住した若者の奨学金返還を支援します」(返還額の1/2・年上限12万円・最大3年)
https://www.city.gyoda.lg.jp/soshiki/sougouseisakubu/kikaku_seisaku/gyomu/iju_teizyu/9751.html
確認日:2026年6月27日
- 長野市「若者奨学金返還支援事業補助金」(返還額の1/2・年上限9.6万円・最大5年)
https://www.city.nagano.nagano.jp/n041600/iju/p004279.html
確認日:2026年6月27日
- 筑後市「若者定住促進奨学金返還支援事業」(返還額の2/3以内・年上限20万円・最大5年)
https://www.city.chikugo.lg.jp/iju_teiju/_11823/_28959.html
確認日:2026年6月27日
- 東京都「奨学金の返還を支援する取組について」(上限150万円・最大10年)
https://www.kodomoseisaku.metro.tokyo.lg.jp/syougakukinhenkansien
確認日:2026年6月27日
- 愛知県「中小企業人材確保奨学金返還支援事業補助金」(企業支援額の1/2以内・年上限20万円など)
https://shogakukin-henkan-shien.pref.aichi.jp/subsidy/
確認日:2026年6月27日
- 沖縄県「令和8年度奨学金代理返還支援事業」(年上限9万円・申請期間令和8年4月〜令和9年2月)
https://www.pref.okinawa.lg.jp/shigoto/keizai/1009879/1010143/1010156.html
確認日:2026年6月27日
- JASSO「スカラネット・パーソナル(返還者向けポータル)」
https://scholar-ps.sasi.go.jp/
確認日:2026年6月27日
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言を行うものではありません。制度の詳細・最新の要件・申請手続きについては、各自治体担当窓口またはJASSOの公式サイトに直接ご確認ください。
補助金の採択・給付は予算の範囲内で行われるものであり、要件を満たした方が必ず受給できることを保証するものではありません。奨学金の返還に関する個別の法律・税務の助言については、法律専門家または税理士にご相談ください。本記事で紹介している制度の金額・要件・申請期限は変更されることがあります。申請前に必ず各公式サイトまたは担当窓口で最新情報をご確認ください。