特別児童扶養手当・障害児福祉手当の申請ガイド(2026年版)

本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・所得制限はいずれも毎年改定されることがあるため、申請前に必ず公式サイトまたは市区町村の担当窓口で最新情報をご確認ください。

この記事が整理すること

障害のある子どもを育てるご家族が受け取ることのできる手当として、「特別児童扶養手当」と「障害児福祉手当」の2つがあります。どちらも国が設けた制度で、毎月の家計を継続的に支える仕組みです。

ところが、よく似た名前であるにもかかわらず、対象となる障害の程度も、申請の流れも、支給される金額も、それぞれまったく別の制度です。また、同じくお子さんがいる家庭を支援する「児童扶養手当」(ひとり親家庭向け)や、成人の障害者を対象とした「障害年金」と混同されることも少なくありません。

この記事では、2つの手当のしくみを一つひとつ整理した上で、申請の具体的な手順・必要書類・よくある疑問をまとめています。受給を検討するご家族の手助けになれば幸いです。

本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行や書類作成代行は行いません。申請の可否や障害の程度の判定は、医師の診断書をもとに行政が行うため、詳細は市区町村の担当窓口か主治医にご相談ください。

制度の全体像

2つの手当と、混同されやすい制度を横断的に整理すると以下のようになります。

制度名対象者支給月額(2026年4月〜)所得制限申請先
特別児童扶養手当障害のある20歳未満の子を養育する父母等1級:58,450円、2級:38,930円あり(父母等の所得)市区町村
障害児福祉手当重度障害があり常時介護が必要な20歳未満の在宅児16,560円あり(本人・扶養義務者の所得)市区町村
児童扶養手当ひとり親家庭の父母等所得に応じて変動あり市区町村
障害年金成人した障害者(原則20歳以上)等級・加入期間等による20歳前障害のみ所得制限あり年金事務所等

2つの手当はどちらも市区町村の窓口に申請しますが、それ以外の点では制度設計が異なります。特に「対象障害の重さ」と「誰の所得で制限されるか」が大きな違いです。

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特別児童扶養手当を実際にどのくらい受け取れるのか、典型的な1ケースを最後まで計算します。

想定するのは次のような家庭です。

まず2級の月額を確認します。2026年4月から適用されている月額は38,930円です。

年間受給額を計算してみます。

38,930円 × 12か月 = 467,160円

この金額が毎年受け取れる額の目安です。

次に所得制限の確認をします。特別児童扶養手当の所得制限は、お子さんを養育する父母等(受給資格者本人)の前年の所得が対象です。扶養親族が1人の場合、受給資格者本人の所得制限限度額は4,976,000円(2026年時点の目安。毎年見直しがあります)です。

このケースでは父親の所得が450万円程度なので、4,976,000円を下回ります。所得制限に該当しないため、2級の満額を受け取れる計算になります。

念のため、配偶者・扶養義務者の所得制限もあります。扶養親族が1人の場合、こちらの限度額は6,536,000円が目安です。

ここで一点確認しておきたいのは、「所得」と「収入」の違いです。給与を受け取っている方の場合、「所得」は収入(年収)から給与所得控除を引いた後の金額を指します。年収600万円でも、給与所得控除後の「所得」は450万円前後になることが一般的です。年収ではなく所得で比較する点にご注意ください。

支給のタイミングも整理しておきます。特別児童扶養手当は年3回まとめて支給されます。

1回の振り込みでまとまった金額が入金されるため、事前に把握しておくと家計管理がしやすくなります。

2級・月38,930円を10年間(お子さんが10歳から19歳まで)受給した場合の合計は、毎年度の改定がないという単純な計算でも約467万円になります。制度の内容を正確に理解して申請することが、ご家族の選択肢を広げる第一歩になります。

ここから先は、申請に直結する実務です。

特別児童扶養手当と障害児福祉手当の違いを整理する

2つの手当の最大の違いは「対象の障害の重さ」と「誰の所得が制限されるか」です。

特別児童扶養手当は、身体・知的・精神に一定以上の障害がある20歳未満の子どもを養育する父母等が対象です。1級と2級の2段階があり、1級がより重度の障害に対応します。発達障害(自閉スペクトラム症・ADHDなど)も、社会行動やコミュニケーションの障害により日常生活に著しい制限がある場合には認定対象になります。

障害児福祉手当は、特別児童扶養手当の中でもさらに重度の障害があり、日常生活において常時の介護を必要とする状態にある20歳未満の在宅の子どもに対して支給されます。施設に入所している子は対象外です。

注意したいのは、所得制限の対象者が異なる点です。

障害児本人(子ども)に大きな所得があるケースは一般的ではありませんが、制度上は本人の所得も確認されます。

特別児童扶養手当の所得制限の計算方法

所得制限の計算は「前年の所得」をもとに行われ、8月(前年の所得確定後)に審査が行われます。

所得制限限度額(2026年度時点の目安)は次の通りです。

扶養親族数受給資格者(父母等)本人配偶者・扶養義務者
0人4,596,000円6,287,000円
1人4,976,000円6,536,000円
2人5,356,000円6,749,000円
3人5,736,000円6,962,000円
4人6,116,000円7,175,000円
5人6,496,000円7,388,000円

加算される場合があります。受給資格者本人側の所得について、扶養親族に老人控除対象配偶者または老人扶養親族がいる場合は1人につき10万円、特定扶養親族(年齢16〜23歳未満の扶養親族)がいる場合は1人につき25万円が加算されます。また、給与所得または公的年金等の所得がある場合は合計から10万円を控除します。

実際の所得の計算は、市区町村が住民税の課税情報をもとに行います。申請者が自分で計算する必要はなく、窓口で確認してもらえます。

障害児福祉手当の所得制限の計算方法

障害児福祉手当の所得制限(2026年度時点の目安)は次の通りです。

扶養親族数受給資格者(障害児本人)配偶者・扶養義務者
0人3,661,000円6,287,000円
1人4,041,000円6,536,000円
2人4,421,000円6,749,000円
3人4,801,000円6,962,000円
4人5,181,000円7,175,000円
5人5,561,000円7,388,000円

特別児童扶養手当より本人の所得制限限度額が低い点に注意が必要です。

申請の手順と申請窓口

どちらの手当も、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口(市役所・区役所の福祉課・子ども家庭課等、自治体によって名称が異なります)が申請の受付窓口です。

申請の流れは次の通りです。

  1. 市区町村の窓口に相談し、申請書類一式を受け取る
  2. 主治医(または指定を受けた医師)に診断書(所定の様式)を作成してもらう
  3. 必要書類をそろえて窓口に提出する
  4. 都道府県(または指定都市)が認定審査を行う
  5. 認定されると、申請翌月分から支給開始

審査には時間がかかる場合があります。認定されると申請月の翌月から遡及して支給対象となるため、早めに窓口に相談することが大切です。

申請に必要な書類

書類の種類は申請者の状況によって異なります。以下は一般的な目安です。自治体によって追加書類を求められる場合もあるため、窓口で事前に確認することをおすすめします。

特別児童扶養手当の申請には、一般的に次の書類が必要です。

障害児福祉手当の申請には、一般的に次の書類が必要です。

既に特別児童扶養手当を受給中で、同時に障害児福祉手当を申請する場合は、書類の一部を共用できることがあります。

支給時期と支払いの周期

特別児童扶養手当は、年3回まとめて振り込まれます。

障害児福祉手当は、年4回まとめて振り込まれます。

よくある誤解・つまずきポイント

「障害者手帳がないと申請できない」は誤解です

特別児童扶養手当の認定は、身体障害者手帳の等級とは別の基準(医師の診断書による障害程度の認定)によって行われます。手帳を持っていなくても申請できます。反対に、手帳を持っていても認定基準を満たさない場合は受給できません。

「施設に入所したら」申請できないことがあります

お子さんが児童福祉施設等(児童入所施設など)に入所している期間は、特別児童扶養手当と障害児福祉手当のどちらも支給が停止されます。通所施設(放課後等デイサービスなど)の利用は停止の対象外です。

「公的年金を受けているとき」も支給停止になります

お子さんが障害を理由として厚生年金・国民年金等の公的年金を受給している場合は、特別児童扶養手当が支給停止になります。成長とともに年金の受給資格が生じた際には、窓口への届出が必要です。

「国外に居住するとき」も支給停止になります

お子さんまたは受給者(養育者)が日本国内に住所を有しない場合も、特別児童扶養手当の支給は停止されます。障害児福祉手当も同様です。海外赴任・移住等の際には速やかに窓口へ届出が必要です。

所得制限は「収入」ではなく「所得」で判定します

給与所得者の場合、収入(年収)から給与所得控除を差し引いた後の「所得」が判定の基準になります。年収が高くても「所得」ベースで限度額以下であれば受給できることがあります。詳細は窓口でご確認ください。

「2級だから少ない」ではなく、受給できるかどうかがまず重要です

月額の差(1級58,450円・2級38,930円)を気にされる方も多いのですが、認定等級は障害の程度を医師の診断書と都道府県の審査によって決めるものです。申請者が等級を選ぶことはできません。まずは窓口に相談し、診断書の提出を経て審査を受けることが大切です。

申請チェックリスト

申請前の準備として、以下を確認してください。

既に手当を受給中の方の定期確認として、以下も確認してください。

計算例(複数ケース)

ケース1:特別児童扶養手当1級・2人世帯

お子さんが重度の肢体不自由で特別児童扶養手当1級の認定を受けています。母親が養育者で、扶養親族はお子さんのみ(扶養親族1人)です。母親の前年所得は300万円とします。

1級の月額は58,450円です。

年間受給額:58,450円 × 12 = 701,400円

所得制限の確認:扶養親族1人の場合の本人限度額は4,976,000円。母親の所得300万円はこれを下回るため、満額受給できます。

ケース2:特別児童扶養手当2級・同居の扶養義務者の所得が高いケース

お子さんが自閉スペクトラム症で2級の認定を受けています。父親の前年所得は650万円で、扶養親族はお子さんのみ(1人)とします。

2級の月額は38,930円です。

父親(受給資格者)の限度額を確認します。扶養親族1人の場合、本人の限度額は4,976,000円。父親の所得650万円は限度額を上回るため、父親が請求者として申請する場合は所得制限に該当し支給されません。

この場合、所得の低い配偶者(母親)が養育しているならば、母親を請求者として申請することを窓口で相談してみる余地があります。ただし、「実際に監護している者」が要件であるため、実態に基づいて窓口に確認することが必要です。

ケース3:障害児福祉手当と特別児童扶養手当の両方を受給するケース

お子さんが重症心身障害で、特別児童扶養手当1級かつ障害児福祉手当の両方の要件を満たしている(在宅・常時介護が必要)場合、制度上は両方の手当を同時に受給できます。

特別児童扶養手当1級:58,450円/月

障害児福祉手当:16,560円/月

合計:75,010円/月

ただし障害児福祉手当には別の所得制限(本人の所得制限は扶養親族0人の場合3,661,000円、扶養義務者は6,287,000円)がかかるため、それぞれ確認が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 発達障害でも申請できますか。

自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害は、特別児童扶養手当の対象となる可能性があります。知能指数の水準だけでなく、社会行動・コミュニケーション能力の障害により日常生活に著しい制限がある状態にある場合には2級として認定されることがあります。ただし、認定は医師の診断書と都道府県の審査によって行われるため、まずは市区町村の窓口でご相談ください。

Q2. 申請から支給開始まで、どのくらいの時間がかかりますか。

市区町村への申請後、都道府県の認定審査を経て通知が来るまで数か月かかる場合があります。審査結果が出た後、認定された場合は申請月の翌月分から支給対象となります(遡及して支給されます)。早めに窓口に相談することをおすすめします。

Q3. 特別児童扶養手当を受給中に子どもが施設に短期入所(ショートステイ)した場合はどうなりますか。

短期入所(ショートステイ)は「施設に入所している」とはみなされないのが一般的で、一時的な利用は支給停止の対象にならない場合がほとんどです。ただし解釈が自治体によって異なる場合もあるため、窓口で確認しておくと安心です。

Q4. 子どもが20歳になる年の手当はどうなりますか。

特別児童扶養手当と障害児福祉手当は、子どもが20歳に達した日の属する月の翌月分から支給されなくなります。20歳以降は、成人を対象とした「特別障害者手当」や「障害年金」に移行する可能性があります。移行の手続きについては、子どもが20歳になる前に市区町村の窓口に相談しておくことをおすすめします。

Q5. 認定を受けたのに額が想定より少ない場合はありますか。

所得制限に該当すると支給額が全額停止されます(一部支給という仕組みはありません)。制限に該当した場合、次の8月以降に所得が下がれば支給が再開されることがあります。また、申請したのに認定されなかった場合、申請から3か月以内に審査請求(不服申立て)を行う制度があります。

Q6. 親が亡くなった場合、手当はどうなりますか。

養育者が変わった場合は、新しい養育者(祖父母など)が改めて申請することが必要です。支給が継続されるかどうかは、新たな申請と審査の結果によります。速やかに市区町村の窓口に相談してください。

Q7. 毎年更新の手続きは必要ですか。

特別児童扶養手当は毎年8月に「所得状況届(現況届)」の提出が必要です。これを提出しないと、翌月以降の支給が止まります。市区町村から案内が届きますが、届いていない場合は窓口に確認することをおすすめします。また、障害の程度が変化した場合は再認定が行われることがあります。

Q8. 障害年金と特別児童扶養手当を同時に受給できますか。

お子さんが障害を理由として公的年金(厚生年金・国民年金等)を受給している場合は、特別児童扶養手当の支給が停止されます。一般的に、子どもが公的年金を受給するのは20歳前傷病による障害基礎年金などの場合ですが、受給が始まった際には速やかに窓口へ届出が必要です。

出典一覧(URL・確認日)

本記事は以下の一次情報を確認した上で執筆しています。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/huyou.html

確認日:2026年6月27日

https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/hukushi.html

確認日:2026年6月27日

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jidou/index.html

確認日:2026年6月27日

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shisetsu/jigyosyo/shinsho/teate/toku_ji

確認日:2026年6月27日

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shisetsu/jigyosyo/shinsho/teate/jidou

確認日:2026年6月27日

https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/shogaifukushi/shintaishogai/1040615/1023691.html

確認日:2026年6月27日

https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/oyakokenko/teate/teate/20190306141300296.html

確認日:2026年6月27日

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言・医療的助言を行うものではありません。障害の程度の認定は、医師の診断書をもとに行政機関が行うものであり、本記事で対象になるかどうかを断定することはできません。制度の詳細・最新の要件・申請手続きについては、市区町村の担当窓口または各公式サイトで直接ご確認ください。手当の受給は要件を満たした全員に自動的に行われるものではなく、申請と審査が必要です。