失業給付(基本手当)と再就職手当のしくみを実務目線で整理する(2026年版・退職や転職をする人向け)
本記事は2026年6月26日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・期間はいずれも変更されることがあり、上限額などは毎年8月1日に改定されます。申請前に必ずハローワークや厚生労働省の公式情報で最新の内容をご確認ください。
この記事が整理すること
会社を辞める、あるいは転職を考えたときに多くの方が気になるのが「失業給付(いわゆる失業保険)はいくら、いつから、何日分もらえるのか」という点です。基本的なしくみを説明した情報は世の中にたくさんありますが、給付日数がどう決まるのか、待期と給付制限がどう違うのか、そして早く再就職した場合の再就職手当まで、ひとつながりの実務として整理した情報は意外と多くありません。
この記事では、雇用保険の基本手当(失業給付)について、誰がいつ何をすればよいかを順を追って整理します。具体的には、受給できる条件、待期と給付制限の違い、給付日数の決まり方、もらえる金額の計算、そして所定給付日数を残して早く就職した場合に受け取れる再就職手当までを、実際に動けるレベルで解説します。
申請するのは本人で、窓口はお住まいを管轄するハローワーク(公共職業安定所)です。代行を頼まなくても自分で手続きできる制度ですので、流れを理解しておくことがそのまま価値になります。本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行や書類作成の代行は行いません。最終的な受給可否や日数の判定はハローワークが行います。
制度の全体像
失業給付(基本手当)は、雇用保険に加入していた方が離職して、働く意思と能力があるのに就職できない状態にあるときに、再就職までの生活を支えるために支給される手当です。全体の流れを大づかみにすると、次のようになります。
まず、受給できるかどうかは離職前の雇用保険の加入期間で決まります。原則として、離職日以前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが条件です。倒産や解雇などで離職した方(特定受給資格者)や、やむを得ない理由で離職した方(特定理由離職者)は、離職日以前の1年間に通算6か月以上で受給できます。
次に、ハローワークで求職の申込みをして受給資格が認められると、7日間の「待期」があり、この間は手当が出ません。さらに、自分の都合で辞めた場合は待期のあとに「給付制限」という支給されない期間が加わります。この給付制限が、2025年4月から原則2か月から原則1か月へ短縮された点が、近年の大きな変更点です。
そして、実際に何日分もらえるか(所定給付日数)は、離職の理由・年齢・加入期間の組み合わせで90日から最長360日まで変わります。1日あたりの金額(基本手当日額)は、離職前の賃金をもとに計算します。
最後に、所定給付日数を多く残して早く再就職すると、残り日数に応じた「再就職手当」が受け取れます。早く決まった人ほど損をしない設計になっているのが特徴です。
全体像を1つの表にすると、次の通りです。
| 段階 | 内容 | 誰が動くか |
|---|---|---|
| 受給資格の確認 | 離職前2年で被保険者期間12か月以上(特定受給資格者等は1年で6か月以上) | 本人がハローワークで確認 |
| 求職申込み・待期 | 求職申込み後、通算7日間は支給されない | 本人がハローワークで手続き |
| 給付制限(自己都合のみ) | 2025年4月以降の離職は原則1か月(一定の場合3か月) | 本人 |
| 基本手当の受給 | 4週間ごとの失業認定を受けて支給 | 本人が認定日に来所 |
| 再就職手当 | 所定給付日数を3分の1以上残して再就職すると支給 | 本人が就職後に申請 |
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失業給付でいちばん知りたいのは、結局「自分の場合、いつから、何日分、いくらもらえるのか」だと思います。ここでは典型的な1ケースを取り上げ、待期・給付制限から金額まで、途中の計算過程を省略せずに最後まで通してみます。あくまで制度のしくみを理解するための一例であり、実際の金額や日数は離職理由・年齢・加入期間・賃金などで変わる点はあらかじめご了承ください。
想定するのは、次のような会社員のケースです。
- 35歳、雇用保険の加入期間は通算8年
- 2026年5月に、自分の都合(転職のため)で退職
- 過去5年以内に自己都合で失業給付を受けたことはない
- 離職前6か月の賃金(賞与を除く)は毎月およそ30万円
まず、もらえるかどうかを確認します。自己都合の退職は、離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが条件です。このケースは加入8年なので、受給資格は満たします。
次に、いつからもらえるかです。ハローワークで離職票を提出して求職の申込みをすると、まず7日間の「待期」があります。これは離職理由を問わず全員に共通する期間で、この7日間は手当が出ません。
自己都合の退職の場合は、待期のあとにさらに「給付制限」があります。ここが2025年4月の改正で変わったところで、2025年(令和7年)4月1日以降に離職した方の給付制限は、それまでの原則2か月から原則1か月に短縮されました。このケースは2026年5月の離職なので、給付制限は原則1か月です。過去5年以内に自己都合での受給がないため、3か月になる例外にも当たりません。
つまりこのケースでは、求職申込みから7日間の待期、そのあと1か月の給付制限を経て、基本手当の支給が始まります。おおむね求職申込みから1か月強で受給が始まるイメージです。
続いて、何日分もらえるか(所定給付日数)です。自己都合などの一般の離職者の所定給付日数は、年齢に関係なく加入期間だけで決まります。加入10年未満は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日です。このケースは加入8年なので、所定給付日数は90日です。
最後に、1日あたりいくらか(基本手当日額)を計算します。基本手当日額は、まず賃金日額を出してから給付率を掛けます。
賃金日額は、離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って求めます。賞与は含めません。このケースは月30万円が6か月なので、
30万円 × 6か月 = 180万円
180万円 ÷ 180 = 1万円(賃金日額)
賃金日額は1万円となります。
次に給付率を掛けます。給付率は賃金日額に応じておおむね50%から80%の範囲で決まり、賃金が低い人ほど高い率になります。賃金日額1万円・年齢35歳のケースでは、給付率はおおむね60%前後の水準になります。ここでは60%として計算します。
1万円 × 60% = 6,000円(基本手当日額の目安)
このケースの基本手当日額は、おおむね6,000円程度になります。給付率は段階的に細かく定められているため、実際の額はハローワークが正式に計算しますが、考え方としては「賃金日額×給付率」で求めるという点を押さえておけば十分です。
ここまでをまとめると、このケースでは次のようになります。
- 受給開始: 求職申込みから待期7日+給付制限1か月を経て開始
- 所定給付日数: 90日
- 基本手当日額: おおむね6,000円
- 受け取れる総額の目安: 6,000円 × 90日 = 54万円程度
ただし、これは90日分をすべて受け取った場合です。途中で再就職すれば、残った日数に応じて再就職手当が受け取れる可能性があり、ここから先の続きで計算していきます。
このように、自己都合退職の1ケースであれば、いつから・何日・いくらを最後まで具体的に出すことができます。実際には、離職理由が会社都合か自己都合か、年齢や加入期間、賃金の水準によって日数も金額も大きく変わります。会社都合のケースの日数の出し方、再就職手当の計算、申請の具体手順、必要書類、チェックリスト、よくある質問はこの続きで解説します。
ここから先は、申請に直結する実務です。
受給できる条件と「離職理由」で変わるもの
失業給付の手続きを進めるうえで最初に押さえたいのが、自分が「一般の離職者」なのか「特定受給資格者・特定理由離職者」なのかという区分です。離職理由によって、受給資格に必要な加入期間、待期のあとの給付制限の有無、そして所定給付日数が変わるからです。
受給資格に必要な加入期間
一般の離職者(自己都合・定年・契約期間満了など)は、離職日以前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが必要です。被保険者期間は、賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある月を1か月として数えます(11日以上ある月が足りない場合は、賃金支払の基礎となった時間が80時間以上の月を1か月として数えます)。
倒産・解雇などで離職した特定受給資格者や、雇い止めなどやむを得ない理由で離職した特定理由離職者は、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば受給資格が得られます。一般の離職者より緩やかな条件になっているのが特徴です。
給付制限の有無
待期7日間は全員に共通しますが、待期のあとの給付制限は離職理由で変わります。倒産・解雇などの特定受給資格者には給付制限がなく、待期7日が終われば受給が始まります。一方、正当な理由のない自己都合の離職には給付制限があります。
自分がどの区分になるかは、離職票に記載される離職理由をもとにハローワークが判断します。会社の記載に納得がいかない場合は、ハローワークで異議を申し立てることができます。
待期と給付制限の違い(2025年4月の短縮を含む)
「待期」と「給付制限」は混同されやすいのですが、別のものです。
待期は、ハローワークで求職の申込みをした日から、失業している状態が通算7日経過するまでの期間です。これは離職理由を問わず全員に適用され、この7日間は基本手当が支給されません。
給付制限は、待期が終わったあとに、正当な理由のない自己都合で離職した方などに課される、さらに支給されない期間です。
2025年4月からの短縮
2025年(令和7年)4月1日以降に離職した方の自己都合の給付制限は、それまでの原則2か月から原則1か月に短縮されました。これは雇用保険法の改正によるもので、転職などで自分から辞めた場合でも、以前より早く手当を受け取れるようになっています。離職日が2025年3月31日以前の場合は、原則2か月のままです。離職日がいつかによって扱いが変わるため、自分の離職日を基準に確認してください。
給付制限が3か月になる場合
短縮されたとはいえ、すべての自己都合離職が1か月になるわけではありません。離職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合で2回以上離職し受給資格決定を受けている場合、つまり3回目以降の自己都合離職にあたるときは、給付制限が3か月になります。また、自分の責めに帰すべき重大な理由による解雇(懲戒解雇など)の場合も、給付制限は3か月です。
教育訓練を受けると給付制限が解除される
2025年4月以降の取り扱いとして、正当な理由のない自己都合で離職した方でも、自ら雇用の安定や再就職に役立つ教育訓練などを受けた場合は、給付制限が課されない(解除される)しくみがあります。具体的には、令和7年4月1日以降に受講を開始した対象の教育訓練等を、離職日前1年以内に受けた場合(途中で退校した場合は対象外)、または離職日以後に受けている場合に、その訓練を受ける期間と受け終わったあとの期間について給付制限が解除されます。
対象となる教育訓練には、教育訓練給付の対象となる講座、公共職業訓練などが含まれます。これから転職を考えていて、何らかの学び直しを予定している方は、給付制限の面でも有利になる可能性があるため、ハローワークで対象になるかを確認しておくとよいでしょう。
なお、給付制限が解除された場合でも、給付制限のあった離職理由の方は、待期満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職することが再就職手当の要件になる点には注意が必要です。
所定給付日数の決まり方
何日分もらえるか(所定給付日数)は、離職理由・年齢・加入期間の組み合わせで決まります。離職理由によって3つの表に分かれます。
一般の離職者(自己都合・定年・契約満了など)
一般の離職者は、年齢に関係なく加入期間だけで日数が決まります。
| 被保険者期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
特定受給資格者・一部の特定理由離職者(倒産・解雇など)
倒産・解雇などで離職した方は、年齢と加入期間の両方で日数が決まり、一般の離職者より手厚くなります。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
就職困難者(障害のある方など)
障害のある方など、就職が困難と認められる方の所定給付日数は次の通りです。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 360日 | 360日 |
同じ加入期間でも、自己都合で辞めた人と会社都合で辞めた人とで日数が大きく変わる点が、失業給付の重要なポイントです。たとえば加入15年・45歳の人は、自己都合なら120日ですが、会社都合(特定受給資格者)なら270日になります。
もらえる金額(基本手当日額)の計算と上限
1日あたりの金額(基本手当日額)は、賃金日額に給付率を掛けて求めます。
賃金日額
賃金日額は、離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って求めます。賞与(ボーナス)は含めません。残業手当や通勤手当など、毎月決まって支払われるものは含みます。
給付率
給付率は賃金日額に応じておおむね50%から80%の範囲で定められ、賃金が低い人ほど高い率になります。60歳以上65歳未満の方は45%から80%の範囲です。低い賃金で働いていた人ほど、賃金に対する給付の割合が手厚くなる設計です。
上限額・最低額(令和8年8月1日改定)
基本手当日額には年齢ごとに上限が定められており、毎年8月1日に改定されます。2026年(令和8年)8月1日改定後の額は次の通りです。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限額 | 賃金日額の上限額 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 7,450円 | 14,900円 |
| 30歳以上44歳以下 | 8,270円 | 16,540円 |
| 45歳以上59歳以下 | 9,110円 | 18,220円 |
| 60歳以上64歳以下 | 7,830円 | 17,400円 |
基本手当日額の最低額は、年齢にかかわらず2,562円です。
賃金が高い人でも、基本手当日額には上限があるため、青天井で増えるわけではありません。たとえば離職時35歳で賃金日額が2万円あったとしても、賃金日額の上限16,540円が適用され、そこに給付率を掛けた額になり、最終的に基本手当日額は上限の8,270円で頭打ちになります。
これらの上限額・最低額は毎年8月1日に見直されます。申請のタイミングで最新の額を必ずハローワークの公式情報で確認してください。
受給期間(いつまでにもらわないといけないか)
注意したいのが「受給期間」です。基本手当を受け取れるのは、原則として離職日の翌日から1年間に限られます。この1年の中で、所定給付日数を限度に支給されます。所定給付日数が残っていても、この1年を過ぎると、それ以降は受け取れなくなります。
たとえば所定給付日数150日の人が、手続きを後回しにして受給開始が遅れると、1年の期限内に150日分を消化しきれず、一部を受け取れないことがあります。離職したら早めにハローワークで手続きを始めることが大切です。
なお、病気・けが・妊娠・出産・育児などで30日以上働けない状態になった場合は、受給期間を最大3年延長できます(本来の1年とあわせて最大4年)。すぐに求職活動ができない事情がある方は、延長の手続きをハローワークに相談してください。
再就職手当のしくみと計算
失業給付には、早く再就職した人が「もらい損ねた感」を抱かないように、残った日数に応じて手当を出すしくみがあります。それが再就職手当です。
支給の主な条件
再就職手当を受け取るには、主に次の条件をすべて満たす必要があります。
- 待期7日間が終わったあとに就職または事業を開始したこと
- 就職日の前日までの失業認定を受け、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 離職前の事業主に再び就職したものでないこと(資本・資金・人事・取引面で密接な関係がある事業主への就職も対象外)
- 給付制限がある離職理由の方は、待期満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職したこと
- 1年を超えて勤務することが確実であること
- 原則として雇用保険の被保険者になること
- 過去3年以内の就職について、再就職手当や常用就職支度手当を受けていないこと
- 求職の申込み前から採用が内定していた事業主への就職でないこと
給付率
再就職手当の金額は、支給残日数が所定給付日数のどれだけ残っていたかで率が変わります。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合: 70%
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上3分の2未満の場合: 60%
早く決まった人ほど高い率になる設計です。
計算式
再就職手当 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率(60%または70%)
なお、再就職手当の計算に使う基本手当日額には上限があります。令和7年8月1日改定後の上限は、離職時60歳未満で6,570円、離職時60歳以上65歳未満で5,310円です(令和8年7月31日まで)。
申請期限と窓口
再就職手当は、就職した日の翌日から1か月以内に、ハローワークへ申請します。本人の来所のほか、代理人や郵送による申請も可能です。会社が記入する「採用証明書」などが必要になるため、就職先にも早めに依頼しておくとスムーズです。
金額の計算例(複数ケース)
ここでは、無料サンプルとは別の条件で3つのケースを取り上げ、基本手当と再就職手当の計算を通してみます。いずれも制度の理解を助けるための一例であり、実際の金額・日数はハローワークが正式に計算します。
ケース1: 自己都合で辞めて、早めに再就職した人
無料サンプルと同じ35歳・加入8年・基本手当日額6,000円・所定給付日数90日の人が、給付制限が明けて基本手当を10日分受け取った時点で再就職が決まったとします。
このとき、すでに受け取った10日を除いた支給残日数は80日です。所定給付日数90日に対して80日が残っているので、90日 × 3分の2 = 60日以上が残っており、給付率は70%になります。
6,000円 × 80日 × 70% = 33万6,000円
つまり、90日分すべてを受け取れば54万円程度でしたが、早く再就職したことで、基本手当として受け取った6万円(6,000円×10日)に加えて、再就職手当として33万6,000円を一括で受け取れる計算になります。早く決まっても、残り日数の多くが手当として戻ってくることがわかります。
ケース2: 会社都合で辞めた45歳・加入20年の人
倒産で離職した45歳・加入20年の人は、特定受給資格者にあたり、所定給付日数は330日です。会社都合のため給付制限はなく、待期7日が終われば受給が始まります。
賃金日額が1万2,000円だったとすると、給付率はおおむね50%台になります(賃金が高い人ほど給付率は下がります)。仮に給付率を55%とすると、
1万2,000円 × 55% = 6,600円(基本手当日額の目安)
この方が一度も再就職しないまま330日分を受け取った場合、
6,600円 × 330日 = 217万8,000円程度
となります。会社都合の離職が、給付制限がないうえに日数も長く、手厚くなることがわかります。
この方が、所定給付日数330日のうち120日分を受け取った時点で再就職した場合、支給残日数は210日です。330日 × 3分の2 = 220日には届かず、330日 × 3分の1 = 110日以上は残っているため、給付率は60%です。
ここで注意が必要なのは、再就職手当の計算に使う基本手当日額には上限があり、令和7年8月1日改定後は離職時60歳未満で6,570円という点です。このケースの基本手当日額6,600円は上限6,570円を上回るため、再就職手当の計算では上限の6,570円を用います。
6,570円 × 210日 × 60% = 82万7,820円
が再就職手当の目安になります。基本手当そのものの計算と、再就職手当の計算とで、適用される基本手当日額の上限が異なる点に注意してください。
ケース3: 給付制限中に再就職が決まった人
自己都合で辞めて給付制限が1か月ある人が、待期7日の後、給付制限期間中に再就職が決まったとします。この場合、まだ基本手当を1日も受け取っていないため、支給残日数は所定給付日数とほぼ同じです。所定給付日数90日であれば、ほぼ90日が残っており、3分の2以上が残っているので給付率は70%です。
基本手当日額が6,000円であれば、
6,000円 × 90日 × 70% = 37万8,000円
が再就職手当の目安になります。ただし注意点として、給付制限がある離職理由の方は、待期満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したことが、再就職手当の条件になります。この期間に自分で見つけた求人に直接応募して就職した場合は、再就職手当の対象にならないことがあるため、給付制限の最初の1か月はハローワークの紹介を活用するのが安全です。
よくある誤解・つまずきポイント
「自己都合だと2か月待たないといけない」は古い情報
2025年3月31日以前に離職した場合は給付制限が原則2か月でしたが、2025年4月1日以降の離職は原則1か月に短縮されています。古い情報のまま「自己都合は2か月」と思い込んでいると、受給開始の見通しを誤ります。自分の離職日を基準に確認してください。
待期と給付制限を混同する
待期(7日)は全員に共通し、給付制限(自己都合の場合の1か月など)は待期の後に加わるものです。会社都合で離職した人には給付制限がないため、待期7日が終わればすぐに受給が始まります。「待期=給付制限」と誤解すると、いつからもらえるかの計算がずれます。
所定給付日数の表を「自分の年齢の列」だけで見てしまう
一般の離職者(自己都合など)は年齢に関係なく加入期間だけで日数が決まります。会社都合(特定受給資格者)になって初めて、年齢の区分が日数に影響します。自分がどちらの区分かを先に確認しないと、表の読み方を間違えます。
早く再就職すると損だと思って受給を引き延ばす
再就職手当があるため、早く決まっても残り日数の60%または70%が一括で戻ってきます。基本手当を満額もらいきるために就職を先延ばしにするより、早く再就職して再就職手当を受け取るほうが、結果的に収入が増えるケースは少なくありません。
受給期間(離職日翌日から1年)を意識していない
所定給付日数が残っていても、離職日の翌日から1年を過ぎると受け取れなくなります。手続きを後回しにすると、日数を消化しきれないことがあります。離職したら早めにハローワークへ行くことが大切です。
申請の具体的な手順
ここでは、離職してから基本手当を受け取り、再就職した場合に再就職手当を申請するまでの流れを、ステップごとに整理します。
ステップ1: 離職票を受け取る
退職後、勤務先からおおむね10日前後で「離職票」が交付されます。退職時に発行を依頼しておくとスムーズです。なかなか届かない場合は、勤務先またはハローワークに相談してください。
ステップ2: ハローワークで求職の申込みと受給資格決定
住所地を管轄するハローワークへ行き、求職の申込みをして、離職票などの必要書類を提出します。ここで受給資格が決定され、離職理由(自己都合か会社都合か)も確認されます。この日が、待期や給付制限の起点になります。
ステップ3: 雇用保険説明会への参加
受給資格決定後、指定された日時の雇用保険説明会に参加します。ここで「雇用保険受給資格者証」などが交付され、今後の失業認定日などが案内されます。
ステップ4: 失業認定と受給
原則として4週間に1度の失業認定日にハローワークへ行き、求職活動の状況を申告します。失業の状態にあると認定されると、その分の基本手当が指定口座に振り込まれます。これを所定給付日数の範囲で繰り返します。
ステップ5: 再就職したら再就職手当を申請
所定給付日数を3分の1以上残して再就職した場合は、就職日の翌日から1か月以内に再就職手当を申請します。就職先に記入してもらう採用証明書などが必要です。
申請チェックリスト
何をいつまでに準備すればよいかを整理します。必要書類は制度の変更や個別の状況で追加されることがあるため、最終的にはハローワークで最新のものを確認してください。
基本手当の手続き(求職申込み時)で準備するものの目安は、おおむね次の通りです。
- 離職票(1と2の2種類。勤務先から交付されます)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 写真(最近のもの。サイズはハローワークの指示に従います)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(振込先の確認用)
- 印鑑(必要な場合)
再就職手当の申請で準備するものの目安は、次の通りです。
- 再就職手当支給申請書(ハローワークから交付される様式)
- 雇用保険受給資格者証
- 就職先に記入してもらう採用証明書など、雇用関係を確認できる書類
- 1年を超えて勤務することが確実であることがわかる書類(雇用契約書など。求められた場合)
期限と窓口について押さえておきたい点は次の通りです。基本手当は、離職日の翌日から1年が受給期間の原則です。手続きが遅れると日数を消化しきれないことがあるため、離職後は早めにハローワークへ行きます。再就職手当は、就職日の翌日から1か月以内が申請期限です。窓口はいずれも住所地を管轄するハローワークで、本人が申請します(再就職手当は代理人・郵送も可)。
よくある質問(FAQ)
失業給付について迷いやすい点をQ&A形式で整理します。最終的な判断の前には、ハローワークや厚生労働省の公式情報での確認をおすすめします。
Q1. 自己都合で辞めると、いつから手当をもらえますか。
2025年4月1日以降に離職した場合、待期7日間のあと原則1か月の給付制限を経て支給が始まります。おおむね求職申込みから1か月強が目安です。ただし過去5年以内に2回以上自己都合で受給している場合などは、給付制限が3か月になります。
Q2. 会社都合で辞めた場合はどう違いますか。
倒産・解雇などの特定受給資格者には給付制限がなく、待期7日が終われば受給が始まります。所定給付日数も自己都合より長く、年齢と加入期間に応じて最長330日まであります。
Q3. 何日分もらえるかはどうやって決まりますか。
離職理由・年齢・加入期間の組み合わせで決まります。自己都合などの一般の離職者は年齢に関係なく、加入10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。会社都合の場合は年齢区分が加わり、より長くなります。
Q4. 1日あたりの金額はどう計算しますか。
離職前6か月の賃金(賞与を除く)の合計を180で割って賃金日額を出し、それに給付率(おおむね50%から80%、賃金が低い人ほど高率)を掛けます。年齢ごとに上限額があります。
Q5. 教育訓練を受けると給付制限がなくなるというのは本当ですか。
2025年4月以降、正当な理由のない自己都合で離職した方でも、対象の教育訓練等を離職日前1年以内または離職後に受けている場合、その訓練期間と受講後の期間について給付制限が解除される取り扱いがあります。対象になるかはハローワークで確認してください。
Q6. 早く再就職すると、残りの手当はもらえなくなりますか。
所定給付日数を3分の1以上残して再就職した場合、残り日数に応じて再就職手当が受け取れます。3分の2以上残っていれば70%、3分の1以上3分の2未満なら60%です。早く決まった人ほど高い率になります。
Q7. 再就職手当はいつまでに申請すればよいですか。
就職した日の翌日から1か月以内に、ハローワークへ申請します。就職先に記入してもらう書類が必要なため、早めに依頼しておくとよいでしょう。
Q8. 給付制限中に再就職が決まったらどうなりますか。
支給残日数がほぼ満額残っているため、再就職手当の対象になり得ます(給付率70%)。ただし、給付制限がある離職理由の方は、待期満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職したことが条件になる点に注意してください。
Q9. 手続きを後回しにすると不利になりますか。
基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年です。手続きが遅れると、所定給付日数が残っていても1年を過ぎた分は受け取れなくなることがあります。離職後は早めに手続きを始めることが大切です。
Q10. 病気ですぐに求職活動ができない場合はどうすればよいですか。
病気・けが・妊娠・出産・育児などで30日以上働けない場合は、受給期間を最大3年延長できます(本来の1年とあわせて最大4年)。早めにハローワークへ相談し、延長の手続きをしてください。
Q11. パートやアルバイトでも失業給付はもらえますか。
雇用保険に加入していて、受給資格に必要な被保険者期間を満たしていれば、雇用形態にかかわらず対象になり得ます。週の労働時間などによって雇用保険の加入対象かどうかが変わるため、まず自分が加入していたかを確認してください。
Q12. 申請は自分でできますか。代行が必要ですか。
基本手当の手続きは本人がハローワークで行うもので、自分で申請できます。社会保険労務士などへの代行を頼まなくても手続きは可能です。本記事も、制度の情報提供を目的としており、申請の代行や書類作成の代行は行いません。
出典一覧(URL・確認日)
本記事は以下の一次情報を確認した上で執筆しています。
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(厚生労働省)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
確認日: 2026年6月26日
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(厚生労働省)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
確認日: 2026年6月26日
- 雇用保険の基本手当日額の変更(令和7年8月1日実施)(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59748.html
確認日: 2026年6月26日
- 賃金日額・基本手当日額の上限額・最低額の変更(厚生労働省・別添)
https://www.mhlw.go.jp/content/001520021.pdf
確認日: 2026年6月26日
- 雇用保険法等の一部を改正する法律の概要(給付制限の見直しを含む)(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001253533.pdf
確認日: 2026年6月26日
- 教育訓練を受講した場合の給付制限の解除について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00045.html
確認日: 2026年6月26日
- 再就職手当のご案内(ハローワーク・LL070801保02・令和7年8月版)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/saishuushokuteate.pdf
確認日: 2026年6月26日
- 所定給付日数の整理(給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」。特定受給資格者表の照合に使用)
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/1879/
確認日: 2026年6月26日
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言を行うものではありません。失業給付の受給可否、所定給付日数、基本手当日額、給付制限の有無や期間、再就職手当の支給可否などの最終的な判定は、住所地を管轄するハローワークが行います。制度の詳細・最新の要件・金額・期限については、ハローワークまたは厚生労働省の公式情報を必ずご確認ください。上限額・最低額は毎年8月1日に改定されます。本記事に記載の数値・要件は2026年6月26日時点のものであり、その後変更される場合があります。