災害弔慰金・災害障害見舞金・被災住宅の応急修理を整理する(災害救助法・弔慰金法の実務ガイド)

本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・受付期間はいずれも変更されることがあるため、申請前に必ず公式サイトおよびお住まいの市町村窓口で最新情報をご確認ください。本記事は制度の情報提供を目的としており、個別の申請書類の作成代行・手続き代行は行いません。

この記事が整理すること

大きな地震や水害で自宅が被害を受けたとき、あるいは家族を失ったとき、行政から受け取れるお金や支援があることはなんとなく知っていても、「どの制度が自分に当てはまるのか」を整理するのが難しいという声を耳にします。

よく混同されるのが、次の3つです。1つ目は、亡くなった方のご家族が受け取れる「災害弔慰金」。2つ目は、災害で重い障害を負った方が受け取れる「災害障害見舞金」。3つ目は、住宅が損壊したときに応急的な修理を受けられる「住宅の応急修理制度」です。

これらはすべて、別々の根拠法に基づく独立した制度であり、それぞれ申請窓口も、対象者も、受け取れる金額も異なります。この記事では、制度のしくみを1つひとつ丁寧に解説するとともに、よく名前が挙がる「被災者生活再建支援金」(本シリーズ32番で解説している制度)や「災害援護資金」(貸付制度)との違いと使い分けも整理します。

この記事が役に立つのは、主に次のような状況にある方です。

本記事で取り上げる制度は、いずれも心身に大きな負担がかかっている状況で対応することになります。申請の手続きや書類の準備には、可能であればご家族や信頼できる方に一緒に対応してもらうことをお勧めします。

制度の全体像

被災後に活用できる公的支援には、大きく分けて「給付(返さなくてよいお金)」と「貸付(返済が必要なお金)」の2種類があります。この記事が扱うのは、主に給付です。

3つの給付制度の横断比較

以下の表は、本記事が対象とする3つの制度と、関連する制度を横断的に比較したものです。

制度名対象事由支給額の目安申請者申請窓口所得・資力要件
災害弔慰金自然災害による死亡250万円または500万円遺族市町村なし
災害障害見舞金自然災害による重度障害125万円または250万円本人市町村なし
被災住宅の応急修理住宅の損壊(準半壊以上)最大70万6,000円本人市町村平成30年改正後は原則なし
被災者生活再建支援金住宅の全壊等(32番参照)基礎+加算で最大300万円本人都道府県なし
災害援護資金(貸付)住居・家財の損害等最大350万円(返済義務あり)本人市町村あり(所得制限)

注:支給額はいずれも2026年6月27日時点の公式情報に基づきます。各制度の適用には対象となる災害の規模要件があります。

「どれが自分に当てはまるか」の判定の考え方

まず確認すべきは、被災した自治体に対して「災害救助法の適用」または「弔慰金法の対象となる災害の規模要件を満たしているか」です。小規模な災害(近所の数軒だけが被害を受けた、など)では、これらの制度の対象とならない場合があります。

次に、何が起きたかで使える制度が分かれます。

貸付と給付の区別も重要です。「災害援護資金」は貸付であり、返済の義務があります。弔慰金・見舞金・応急修理・生活再建支援金とは根本的に性質が異なります。

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応急修理制度に関して、最も多い問い合わせの一つが「うちの被害の程度でも使えますか?」というものです。ここでは、準半壊と判定されたケースを例に、申請から修理完了までの流れを、費用・窓口・書類まで省略せず最後まで解説します。

ケースの前提

想定するのは、次のような方のケースです。

ステップ1:制度の対象かどうかを確認する

応急修理制度(災害救助法に基づく住宅の応急修理)は、以下の3つをすべて満たす場合に利用できます。

第1に、「お住まいの市町村に災害救助法が適用されている」こと。この確認は、市町村のウェブサイトまたは災害対応の窓口で行えます。内閣府防災担当のサイト(https://www.bousai.go.jp/)や都道府県のサイトでも公表されています。

第2に、「住宅の損壊の程度が準半壊以上である」こと。今回のケースは準半壊であるため、この条件を満たしています。対象となる損壊区分は「全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊」の5つで、それぞれ費用限度額が異なります(詳細は続きで解説)。「準半壊に至らない(一部損壊)」の場合は対象外です。

第3に、「応急修理をしなければ、当該住宅への居住が困難であること」。今回のケースでは屋根破損と雨漏りがあり、このままでは居住継続が難しい状態であるため、条件を満たしていると考えられます。

ステップ2:市町村の窓口に問い合わせる

制度の対象と判断できたら、まず被災した住宅が所在する市町村の担当窓口に問い合わせます。窓口は自治体によって名称が異なりますが、「建設住宅課」「住宅政策課」「復興支援課」などが担当することが多いです。大規模な災害の場合は「被災者支援センター」などが設置されることもあります。

問い合わせ時に伝えるべき内容は次の通りです。「罹災証明書に記載されている判定区分(今回は準半壊)」「被害の状況(屋根の破損、外壁のひび、雨漏り)」「現時点で応急修理を依頼できる業者の目処があるかどうか」。

ステップ3:必要書類の準備と申請書の提出

窓口で確認後、申請に必要な書類を準備します。一般的に求められる書類は以下の通りです(正式名称は自治体によって異なる場合があります。窓口で書式を受け取ることをお勧めします)。

なお、大規模災害の場合、申請書を先に提出し、見積書等を後から提出することを認める自治体が増えています。能登半島地震(令和6年)でも、石川県内の市町でこの柔軟運用が採用されました。見積書の準備に時間がかかる場合は、まず申請書を提出することを窓口に相談するとよいです。

今回のケースでは準半壊であるため、申請書・罹災証明書・被害写真をまず持参して窓口に相談するところから始めます。

ステップ4:修理業者の選定と市町村の手配

応急修理制度の最大の特徴は、「自治体が修理業者に直接費用を支払う仕組み」である点です。被災者がいったん修理費を立て替えて後から返金を受けるわけではありません。

ただし実際には、「自治体が業者を一方的に手配する」のではなく、「被災者側が業者と修理内容を話し合い、その内容を自治体に伝えて発注する」というプロセスを経ることが多いです。地域の工務店や建設業者に見積もりを依頼し、どの箇所をどう修理するかを確認し、その内容で市町村が契約・発注する流れとなります。

費用限度額の範囲内(今回の準半壊は34万3,000円以内)で収まる修理内容であれば、自己負担はゼロです。限度額を超えた場合は、超過分が自己負担となります。たとえば修理費の見積もりが45万円と出た場合、34万3,000円が行政負担となり、残り10万7,000円が自己負担です。

ステップ5:修理完了と確認

修理が完了すると、市町村が内容の確認を行い、業者への支払いが行われます。被災者側は、修理が適切に行われたかを確認し、必要があれば市町村の担当者に申し出ます。修理後も引き続き居住できる状態になったことを確認して、手続きは完了です。

まとめ:このケースの金額と要点

項目内容
制度の前提市町村への災害救助法の適用
判定区分準半壊
費用限度額34万3,000円以内(1世帯あたり)
自己負担限度額以内に収まれば0円
立替の必要なし(自治体が業者に直接支払う)
申請窓口被災した住宅が所在する市町村の建設・住宅系窓口
必要書類申請書・罹災証明書・被害写真・見積書・住民票
大規模災害の場合見積書を後から提出できる自治体が増えている

応急修理制度は、「業者にお金を払ってくれる補助金」ではなく「自治体が被災者の代わりに業者に修理を発注するサービス」です。この区別を理解しておくことが、制度を正しく活用するうえで最も重要なポイントです。

ここから先は、申請に直結する実務です。

災害弔慰金の実務:いつ・誰が・どこへ申請するか

制度の根拠と目的

災害弔慰金は、「災害弔慰金の支給等に関する法律」(昭和48年法律第82号)に基づく制度です。自然災害により亡くなった方のご遺族に対して、市町村が弔慰金を支給します。

この制度が設けられている背景には、自然災害による突然の死亡という事態に対して、行政として遺族の生活を支援するという趣旨があります。所得や財産に関係なく支給されるため、誰でも要件を満たせば申請できます。

対象となる災害の規模要件(重要)

すべての自然災害が対象になるわけではありません。法律で定める規模要件を満たした災害が対象となります。主な要件は以下の4つです。

第1の要件は「1つの市町村において5世帯以上の住居が滅失した災害」であり、その被害を受けた市町村が対象となります。

第2の要件は「都道府県内において、5世帯以上の住居が滅失した市町村が3以上ある災害」で、この場合は都道府県全域が対象となります。

第3の要件は「都道府県内において災害救助法による救助が行われた災害」で、都道府県全域が対象となります。

第4の要件は「2つ以上の都道府県において災害救助法による救助が行われた災害」で、全国が対象となります。

言い換えると、近所の数軒だけが被害を受けた小規模な局所的被害の場合は、これらの要件を満たさず、弔慰金制度の対象外となる可能性があります。大きな地震や広域的な水害では多くの場合これらの要件を満たしますが、被災した市町村に確認することが確実です。

支給対象者と支給額

災害弔慰金の支給対象は、自然災害により亡くなった方の「遺族」です。支給を受けられる遺族の範囲と優先順位は次の通りです。

支給の優先順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順です。兄弟姉妹については、亡くなった方と死亡当時において同居していた、または生計を同じくしていた場合で、かつ上記の親族(配偶者・子・父母・孫・祖父母)がいないときに限って受給できます。

支給額は2段階に分かれます。亡くなった方が「その世帯の生計を主として維持していた者(生計維持者)」であった場合は500万円。「その他の者」であった場合は250万円です。

生計維持者かどうかの判定は、単純に「世帯主かどうか」だけで決まるわけではなく、所得状況等を示す資料をもとに市町村が判断します。同居していたとしても、夫婦それぞれが働いていてどちらが主な生計維持者かが明確でない場合は、市町村の窓口に確認してみてください。

申請の期限と早期申請の重要性

弔慰金の申請期限は、法律上は「被災した日から3年以内」とされています(市町村条例で定める期間)。ただし、大規模災害の場合はこれが延長される場合があります。能登半島地震(令和6年)では複数の自治体が申請期限の延長を行いました。

一方で、早期に申請することを強くお勧めします。理由は2つあります。1つ目は、申請のために必要な書類(死亡診断書や遺体検案書など)は、時間が経つほど取得しにくくなる場合があること。2つ目は、大規模災害後の市町村窓口は非常に多忙になるため、早い時期のほうがスムーズに相談・申請ができることが多いためです。

必要書類(正式名称と取得先)

申請に必要な書類は市町村によって異なる場合がありますが、一般的に求められるのは次の通りです。

  1. 「災害弔慰金支給申請書」(市町村が様式を定めている。窓口またはウェブサイトで入手)
  2. 「死亡診断書」または「遺体検案書」の写し(医師が作成。亡くなった方の医療機関または検案を行った医師から取得。原本の提出を求める自治体と写しでよい自治体がある)
  3. 亡くなった方と申請者(遺族)との続柄を証明する書類(「戸籍謄本」または「戸籍全部事項証明書」。本籍地の市区町村役場で取得。1通450円程度が多い)
  4. 「住民票の写し」(被災当時の居住地の市区町村で取得。亡くなった方の住所と申請者の住所が確認できるもの)
  5. 「申請者の本人確認書類」(運転免許証、マイナンバーカード等)
  6. 「印鑑」(申請書への押印が必要な場合。自治体によって不要な場合もある)
  7. 必要に応じて「亡くなった方の生計維持者であることを確認できる書類」(所得証明書、源泉徴収票、通帳の写し等。生計維持者区分の判定に使用)

なお、「生計を同じくしていた兄弟姉妹」として申請する場合は、生計を同一にしていたことを示す書類が追加で求められることがあります。

書類の準備に時間がかかる場合でも、まず窓口に相談することから始めてください。死亡届などと同時に相談することで、効率よく手続きを進められます。

申請窓口

申請先は「亡くなった方が死亡当時に居住していた市区町村の担当窓口」です。窓口の名称は市町村によって異なり、「福祉課」「社会福祉課」「くらし支援課」「被災者支援課」などが担当することが多いです。大規模な災害の際は「被災者支援センター」や「復興支援窓口」などが設置される場合もあります。

申請者が亡くなった方と異なる自治体に住んでいても、申請先は亡くなった方の居住地の市町村となります。

弔慰金の税務上の扱い(非課税)

災害弔慰金は法律上、「租税その他公課を課することができない」と定められており、所得税の課税対象にはなりません。確定申告は不要です。また、遺族が受け取るお金ですが、相続税の対象にもなりません。義援金と同様に、受け取っても税金の心配をする必要はありません。

弔慰金と義援金の違い

災害後に耳にする「義援金」は、一般の方や企業・団体が被災者のために寄付したお金を、行政が仲介して被災者に届けるものです。弔慰金はそれとは別に、法律に基づいて行政が直接支給するものです。両方を受け取ることは可能です。

災害障害見舞金の実務:対象となる障害と申請手続き

制度の概要

災害障害見舞金は、自然災害によって重度の障害を受けた方に対して、市町村が支給する給付金です。災害弔慰金と同じ「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づいており、申請窓口も同じ市町村です。

弔慰金が「死亡した場合の遺族への給付」であるのに対して、見舞金は「生存しているが重い障害を負った本人への給付」です。

対象となる「重度の障害」の具体的な列挙

見舞金の対象となるのは、自然災害により「精神または身体に著しい障害を受けた方」です。法律(施行令)では対象となる障害の種類が具体的に列挙されており、以下の9つのいずれかに該当することが条件となります。

  1. 両眼が失明したもの
  2. 咀嚼(そしゃく)および言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  5. 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
  6. 両上肢の用を全廃したもの
  7. 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
  8. 両下肢の用を全廃したもの
  9. 精神または身体の障害が重複する場合において、その重複する障害の程度が上記各号と同程度以上と認められるもの

上記の通り、「片目の失明」「片腕の切断」などは対象外となります。法律が定める「著しい障害」は非常に重度のものに限定されています。ご自身の状況が上記に当てはまるかどうかは、担当医師に確認するとともに、市町村の窓口にも相談することをお勧めします。

なお、本記事は医療的な判断を行うものではありません。障害の程度の認定については、医師の診断書と行政の審査によって決定されます。

支給額

支給額は2段階に分かれます。亡くなった方ではなく、障害を負った本人が「世帯の生計を主として維持していた者(生計維持者)」である場合は250万円。「その他の者」の場合は125万円です。

ただしこれらは「上限額」であり、実際には市町村の条例で定める額となります。多くの市町村では法律の上限と同額を定めていますが、条例の内容はお住まいの市町村に確認してください。

申請の流れと必要書類

申請の流れは弔慰金と類似しています。申請先は「被災時に居住していた市区町村」です。

必要書類の一般的な一覧は以下の通りです。

  1. 「災害障害見舞金支給申請書」(市町村様式。窓口で入手)
  2. 「医師の診断書または障害の程度を証明する書類」(上記9項目のいずれかに該当することを医師が証明するもの。担当医師に依頼。「診断書」の書式は市町村から提供されることがある)
  3. 「住民票の写し」(被災時の居住地を示すもの)
  4. 「本人確認書類」(運転免許証、マイナンバーカード等)
  5. 「印鑑」(必要に応じて)
  6. 生計維持者であることを示す書類(所得証明書、源泉徴収票等。該当する場合)

身体・精神に重大な障害を負った直後は、書類の準備自体が困難であることも多いです。ご家族や後見人等が代理で申請することも可能ですので、窓口に相談してください。

対象となる災害の規模要件

弔慰金と同じく、市町村単位で5世帯以上の住居が滅失した災害などの規模要件を満たしていることが前提となります。

見舞金の税務上の扱い

弔慰金と同様に、非課税です。所得税・相続税のいずれも課税されません。確定申告も不要です。

被災住宅の応急修理制度の全体像:仕組みと対象

制度の根拠と基本的な考え方

被災住宅の応急修理は、「災害救助法」に基づく支援制度です。大きな災害が発生し、市町村に災害救助法が適用された場合に、被災した住宅の応急的な修理を行います。

この制度の最大の特徴は、「現物支給」の形式である点です。行政が修理費用を被災者に現金で渡すのではなく、行政が修理業者に直接発注して費用を支払います。被災者にとっては、修理費を自分で立て替える必要がなく、費用限度額の範囲内であれば実質的な自己負担なしに住宅の修理を受けられます。

適用の前提:災害救助法の適用確認

応急修理制度を利用できるのは、その市町村に「災害救助法」が適用されている場合に限ります。内閣府の防災情報サイトや、都道府県・市町村のウェブサイトで確認できます。

災害救助法の適用は、都道府県知事が行います。大規模な地震・水害・台風等では発生直後に適用されることが多いですが、局所的な小規模被害では適用されないこともあります。まず「自分が住む市町村は対象になっているか」を確認することが最初のステップです。

損壊区分と費用限度額(判定区分ごとの整理)

罹災証明書に記載される損壊区分は5段階に分かれており、それぞれで応急修理制度の適用可否と費用限度額が異なります。

以下の表は、各損壊区分の定義(損害割合の目安)と応急修理の費用限度額をまとめたものです(2026年6月27日時点の制度内容。今後の改定の可能性があります)。

損壊区分損害割合の目安応急修理の費用限度額
全壊50%以上70万6,000円以内(例外あり。後述)
大規模半壊40%以上50%未満70万6,000円以内
中規模半壊30%以上40%未満70万6,000円以内
半壊20%以上30%未満70万6,000円以内
準半壊10%以上20%未満34万3,000円以内
準半壊に至らない(一部損壊)10%未満対象外

上記の費用限度額はいずれも「1世帯あたり」の上限です。費用が限度額以内に収まれば自己負担はゼロです。限度額を超える修理費が必要な場合、超過分は自己負担となります。

「全壊でも応急修理が使える場合がある」という例外条件

一般的に「全壊=建物が使えない状態」と思われがちですが、応急修理制度には「全壊でも使える場合がある」という例外があります。

全壊と判定された住宅であっても、応急修理を行うことで「そこに引き続き居住できる状態にできる」と判断される場合には、制度の対象となります。

これは、全壊判定が「建物全体の損壊割合が50%以上」という損害割合の計算に基づくものであり、必ずしも「住宅が完全に倒壊して住めなくなった」わけではないためです。外壁や基礎には深刻なダメージがあるものの、応急的な措置によって雨漏りや安全上の問題を解消できるケースもあります。

この「全壊でも使えるかどうか」は、自治体の判断によります。全壊の罹災証明書を受け取った場合でも、あきらめず市町村の担当窓口に相談することをお勧めします。

「自力修理が困難であること」の要件と近年の変更

以前の応急修理制度では「自力で修理する資力のない方」という所得・資力の要件が設けられていましたが、平成30年(2018年)の制度改正により、この資力要件は原則として撤廃されました。現在では、所得の多寡にかかわらず、損壊区分の要件を満たしていれば制度を利用できる運用となっています。

ただし、自治体によって運用の細かな点が異なる場合がありますので、窓口で確認することをお勧めします。

応急修理の「対象範囲」:修理できる箇所と修理できない箇所

応急修理は、あくまでも「日常生活に必要不可欠な最小限度の部分」の応急的な修理を対象としています。豪華なリフォームや、被災とは関係のない部分の改修は対象外です。

一般的に対象となる修理箇所は次の通りです。

逆に、次のものは一般的に対象外とされます。

対象となるかどうかは事前に市町村の担当者に確認することをお勧めします。修理業者が「これも応急修理に入れてもらえる」と言っても、最終的に自治体が承認しなければ対象にならないため、業者任せにせず行政窓口に確認することが重要です。

応急仮設住宅(仮設住宅・みなし仮設)との関係

応急修理制度と応急仮設住宅(建設型仮設住宅・民間賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」)は、原則として同時に利用できません。どちらか一方を選択する制度設計となっています。

例えば、仮設住宅に入居して生活しながら自宅の応急修理を同時に行うことは、原則として認められません。

ただし、実際の大規模災害では「応急修理に時間がかかるため、その期間中に限って仮設住宅に一時的に入居することを認める」という柔軟な運用が取られることがあります。能登半島地震(令和6年)でも、石川県内の一部市町でこうした運用が実施されました。

自分のケースがどちらに当てはまるかは、市町村の窓口に早めに相談することが大切です。仮設住宅を選んでしまった後に「やっぱり応急修理にしたかった」と思っても、変更できない場合があります。

応急修理の申請手順(詳細版)

全体のフロー

応急修理制度を利用する際の全体的な流れを整理します。

第1段階として、「罹災証明書の取得」を行います。応急修理の申請には罹災証明書が必要です。被災後できるだけ早く、住宅が所在する市区町村の担当窓口(市民課、総務課等が多い)に申請します。申請には「被害写真」が非常に重要になるため、被災直後に住宅各部の損壊状況を写真で記録しておくことが不可欠です。

第2段階として、「市町村の担当窓口への事前相談」です。罹災証明書が手元にある段階で、応急修理制度の担当窓口に連絡して相談します。自治体によって、担当課の名前や受付の仕組みが異なります。

第3段階として、「修理業者の選定と見積もり取得」です。修理を行う業者を自分で探して接触します。地元の工務店や建設会社に連絡し、被害状況を伝えて見積もりを依頼します。この際、「行政の応急修理制度を使う予定である」と伝え、業者側でも制度の範囲内の修理内容での見積もりを出してもらうようにします。

なお、修理業者はどこでもよいわけではなく、自治体によっては「登録業者」または「市内の業者」に限定している場合があります。事前に市町村の担当者に確認してください。

第4段階として、「申請書類の提出」です。前述の必要書類を揃えて窓口に提出します。

第5段階として、「自治体による業者への発注」です。申請内容が承認されると、自治体が業者に対して修理を発注します。

第6段階として、「修理の実施と確認」です。業者が修理を行い、完了後に自治体が確認して業者への支払いが行われます。

申請期限と大規模災害での延長

応急修理の申請期限は、通常、発災後1ヶ月以内または数か月以内と設定されることが多いです。ただし大規模災害では延長されることがあります。

能登半島地震(令和6年能登半島地震)では、石川県七尾市など複数の市町で申請期限が大幅に延長されました。2026年6月27日時点の情報では、石川県志賀町の事例(2026年9月30日まで)など、発災から2年以上が経過しても申請を受け付けている自治体が存在します。

ただし、申請期限は随時変更される可能性があります。「まだ時間があるだろう」と先延ばしにすると、気づかないうちに期限が過ぎている場合があるため、早期の相談・申請を強くお勧めします。

修理工事を先に進めてしまった場合の対処

「申請前に業者に依頼して修理工事を始めてしまった」「応急修理制度を知らずにすでに費用を支払ってしまった」というケースもあります。

工事はすでに着手しているが費用がまだ未払いの場合は、制度の適用を認める自治体があります(能登半島地震での対応事例あり)。工事費をすでに支払ってしまった場合は、残念ながら制度の対象外となることが多いです。

「いつ業者に依頼したか」「代金をいつ支払ったか」のタイムラインが重要になります。工事着手前・未払いの状態であれば、急いで市町村の窓口に相談することをお勧めします。

罹災証明書:すべての申請の大前提

罹災証明書とは何か

罹災証明書は、自然災害によって住宅等が受けた被害の程度を、市区町村が公的に証明する書類です。応急修理、被災者生活再建支援金(32番)、各種減税・免除等、ほとんどの被災者支援制度は罹災証明書を前提として動いています。

罹災証明書の取得は、被災後の支援申請における最初の、そして最も重要なステップです。

判定区分の定義と被害割合

市区町村の職員が現地調査を行い、住宅の損壊割合を計算して判定します。判定区分は以下の通りです。

全壊は損壊割合50%以上(または傾斜が1/20以上等の条件も含む)。大規模半壊は40%以上50%未満。中規模半壊は30%以上40%未満。半壊は20%以上30%未満。準半壊は10%以上20%未満。準半壊に至らない(一部損壊)は10%未満です。

なお、損壊割合は住宅の外観や構造部分の損傷状況から計算されるもので、「建物の何パーセントが崩れているか」という単純な見た目の印象とは必ずしも一致しません。

罹災証明書の申請手順

被災後、住宅が所在する市区町村の窓口(市民課・総務課等)またはウェブサイトで申請します。大規模災害の場合は「罹災証明書申請窓口」が特設されることがあります。

申請に必要なものは、一般的に「申請書(窓口またはウェブサイトで入手)」「本人確認書類」「被害写真(必須ではない自治体もあるが、可能な限り提出を勧める)」です。

申請後、市区町村の職員が現地調査に来て、損壊状況を確認します。調査に基づいて損壊区分が決定され、罹災証明書が交付されます。

被害写真の記録:平時からできる準備

罹災証明書の申請において、被害写真は非常に重要です。調査の際に写真があると、外から見えにくい損壊箇所(床下・天井裏等)の被害も判定に考慮してもらいやすくなります。

被災直後(できれば片付けや修理を始める前)に、住宅の各部分を写真で記録しておくことが、後々の申請を有利に進めるうえで大きな助けになります。

さらに理想を言えば、平時から自宅の外観・内部・設備の写真を撮っておくと、被災前後の比較がしやすくなり、損壊の程度の客観的な証明に役立ちます。「ハザードマップを確認して自分の家が浸水リスクや地震リスクの高い地域にあることを知っている方」は特に、平時の記録を残しておくことをお勧めします。

判定結果に不服がある場合

罹災証明書の判定結果に納得がいかない場合は、「再調査の申請(異議申立)」ができます。多くの市区町村では、一次判定に対して「自己判定方式(写真や被害状況を追加で提出して再検討を求める方式)」または「再調査の申請」を受け付けています。

特に「壊れているのに準半壊に至らない(一部損壊)と判定されて支援制度を使えなかった」という方は、再調査を申請することが重要な選択肢となります。

3制度の比較と「どれが自分に当てはまるか」の早見表

「被災者生活再建支援金(32番)」との違いと使い分け

被災者生活再建支援金(本シリーズ32番)と本記事で扱う制度を比較します。

被災者生活再建支援金は「住宅が全壊・大規模半壊・中規模半壊した世帯」に対して、「生活再建のための資金」として支給される制度です。「基礎支援金」と「加算支援金」があり、建設・購入・補修・賃借のどの方法で生活再建するかによって支給額が変わります。最大で300万円(全壊世帯が建て替えを選択した場合:基礎100万円+加算200万円)を受け取れます。

応急修理制度との違いは、目的と仕組みです。応急修理は「今住んでいる家を応急的に修理して住み続けること」が目的で、修理費用を行政が直接業者に支払います。被災者生活再建支援金は「生活再建の方向性(建て替え・補修・賃借)に応じた資金の給付」で、現金が本人に支給されます。

同時受給の可否は、2つの制度の対象が「住宅の損壊」で重なることもあります。ただし、応急修理は「今住んでいる家の応急修理」であるのに対して、被災者生活再建支援金は「生活再建の段階での支援」であり、段階が異なります。一般的には、応急修理で一時的に住み続けながら生活再建を検討し、その後に被災者生活再建支援金を申請する、という流れをたどる被災者も多いです。ただし、制度の適用条件や自治体の運用によって異なりますので、窓口に確認することをお勧めします。

弔慰金・見舞金との同時受給については、「死亡または障害」と「住宅の損壊」は別々の事由であるため、両方が起きた場合は両方を受け取ることが可能です。

「災害援護資金」との区別(給付と貸付の違い)

弔慰金・見舞金・応急修理はいずれも「給付(返さなくてよいお金・サービス)」ですが、「災害援護資金」は「貸付(返済義務あり)」です。

災害援護資金は、住宅の全半壊や家財の損害を受けた方が生活再建のためにお金を借りられる制度(市町村が窓口)です。最大で350万円まで借りられ、利率は年3%以内(市町村条例で定め、据置期間中は無利子)。ただし、申請できる期間が被災から原則3か月以内と短く、所得制限もあります。

弔慰金や見舞金とは性質が根本的に異なります。困窮の度合いによっては援護資金の利用も選択肢になりますが、「給付をもらえると思っていたら貸付だった」という混乱を避けるために、まず給付制度(弔慰金・見舞金・応急修理・生活再建支援金)を確認することが先決です。

義援金と制度の給付の違い

「義援金」は、ふるさと納税型の寄付や企業・個人からの募金が被災者に配分されるものです。行政の給付と義援金を重複して受け取ることは問題ありません。

義援金は災害の規模や被害状況に応じて金額が変動し、1世帯あたりの配分額もその都度決定されます。制度の給付と別枠で考えてください。

判定区分ごとの受けられる支援の整理

以下の表は、罹災証明書の損壊区分によって受けられる支援を横断的に整理したものです。

損壊区分応急修理被災者生活再建支援金(基礎支援金)被災者生活再建支援金(加算支援金)
全壊対象(例外条件あり)最大70万6,000円100万円(複数世帯)・75万円(単数世帯)建設・購入:200万円(複数)・150万円(単数)
大規模半壊対象 最大70万6,000円50万円(複数世帯)・37万5,000円(単数世帯)建設・購入:200万円(複数)・150万円(単数)
中規模半壊対象 最大70万6,000円なし建設・購入:100万円(複数)・75万円(単数)
半壊対象 最大70万6,000円なしなし
準半壊対象 最大34万3,000円なしなし
一部損壊対象外なしなし

注:被災者生活再建支援金の「単数世帯」は1人の世帯(単身世帯)。加算支援金は再建方法によって異なる。表中の金額は主要なケースの目安であり、詳細は32番の記事および公益財団法人都道府県センターのサイト(https://www.tkai.jp/)で確認してください。

申請チェックリスト

被災直後にすること(全制度共通)

以下は被災後できるだけ早い段階で行うべきことのチェックリストです。状況に応じて優先順位を調整してください。

罹災証明書を受け取った後にすること

弔慰金申請のチェックリスト

見舞金申請のチェックリスト

応急修理申請のチェックリスト

よくある誤解・つまずきポイント

誤解1:「半壊なら応急修理が受けられないと思っていた」

半壊(損壊割合20%以上30%未満)は応急修理の対象です。「大規模半壊以上でなければ駄目」というのは誤解です。準半壊(10%以上20%未満)も対象で、費用限度額は34万3,000円です。

一方で、「準半壊に至らない(一部損壊・10%未満)」は対象外です。ここが境界線となります。

誤解2:「業者に頼んでから申請する」

応急修理の仕組みは「行政が業者に直接発注するサービス」です。先に自分で業者を手配して修理代金を支払ってしまった場合は、後から返金されません。必ず「申請して承認を受けてから工事を始める」という順序を守ることが重要です。

ただし、申請中にやむを得ず工事に着手した場合でも、「費用の支払い前」であれば認められるケースがあります(自治体による)。工事が始まってしまっていても、費用を支払う前に急いで窓口に相談してください。

誤解3:「全壊と判定されたら応急修理は一切使えない」

全壊でも応急修理が使える場合があります。「全壊でも、応急修理により元の住宅に居住可能となる場合」は対象となります。全壊判定を受けた場合も、まず窓口に相談することをお勧めします。

誤解4:「弔慰金は申請しなくても自動的にもらえる」

弔慰金は申請しなければ支給されません。自動的に振り込まれる性質のものではないため、ご遺族からの申請が必要です。大きな災害の直後、ご遺族は心身ともに大変な状況にあります。市町村が「申請を忘れていないか」と個別に通知することはほとんどないため、制度の存在を知らないまま申請機会を逃してしまうケースがあります。

誤解5:「弔慰金は相続税がかかる」

かかりません。災害弔慰金は法律で非課税と定められており、所得税も相続税も課税されません。確定申告も不要です。

誤解6:「援護資金と弔慰金は同じ制度だと思っていた」

根本的に異なります。「援護資金」は返済義務のある貸付です。「弔慰金」は返済不要の給付です。両者は同じ法律(災害弔慰金の支給等に関する法律)に規定されていますが、制度としては全く別物です。

誤解7:「罹災証明書は取得後ずっと同じ判定のまま」

罹災証明書の判定は一次判定と二次判定があり、再調査を申請することで変更される場合があります。「一部損壊と判定されたが、もっと被害が大きいはず」と感じる場合は、追加の写真や証拠を持参して再調査を申請できます。

誤解8:「応急修理と仮設住宅は同時に使える」

原則として同時利用はできません。どちらか一方を選ぶ制度です。ただし修理工事期間中に仮設住宅を一時利用できる例外的な運用が行われることもあります。選択する前に窓口で確認することが大切です。

誤解9:「見舞金はどんな怪我でも対象になる」

対象は「精神または身体に著しい障害」に限定されており、法律の施行令で9つの障害が列挙されています。「骨折」「捻挫」「切傷」などの怪我は対象外です。両眼失明、常時介護を要する精神・神経系統の障害、両上肢・両下肢の切断または全廃など、非常に重度の障害に限られます。

誤解10:「災害が小規模だったので制度は使えないと思っていた」

一部の制度は、意外と小規模な事象でも対象になる場合があります。「5世帯以上の住居が滅失」が要件の一つですが、局所的に見えても地域全体では5世帯以上の住居が滅失していることはあります。「自分の地域には関係ない」と思い込まず、市町村の窓口に確認することをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q1:弔慰金の申請は誰がすればよいですか?

支給順位は「配偶者、子、父母、孫、祖父母」の順です。最優先順位にある遺族が申請します。配偶者がいる場合は配偶者が、いない場合は子が申請します。兄弟姉妹が申請できるのは、上記の遺族が誰もいない場合に限ります。代理人による申請も可能ですので、心身の状態が厳しい場合は家族に依頼してください。

Q2:弔慰金の申請は本人が市役所に行かなければなりませんか?

必ずしも本人が窓口に出向く必要はありません。代理人による申請も認められています。委任状が必要かどうかは自治体によって異なりますので、事前に確認してください。郵送申請に対応している自治体もあります。

Q3:応急修理の見積もりは何社から取る必要がありますか?

法律上、特定の社数からの取得が義務付けられているわけではありません。ただし自治体によっては「複数業者からの見積もりを取ることが望ましい」と案内している場合もあります。まず担当窓口に確認してください。

Q4:応急修理の申請後、どれくらいで工事が始まりますか?

自治体や災害の規模によって大きく異なります。大規模災害では窓口が非常に混雑するため、申請から工事開始まで数週間〜数か月かかることもあります。早めの申請が工事開始を早める可能性があります。

Q5:弔慰金を申請したら、他の給付金(被災者生活再建支援金等)は受けられなくなりますか?

基本的に影響しません。弔慰金は「亡くなった方の遺族への給付」であり、被災者生活再建支援金(住宅損壊への支援)や応急修理制度(住宅修理の支援)とは対象事由が異なります。それぞれの要件を満たせば、複数の制度を組み合わせて受け取ることができます。

Q6:応急修理制度を使わずに自分で修理してしまいました。後から申請できますか?

「すでに費用を支払ってしまった」場合は、原則として制度の対象外です。費用の立替払い後の返還を認めていない自治体がほとんどです。ただし、「工事に着手しているが費用を支払っていない」場合は対応してもらえる可能性があるため、急いで窓口に相談してください。

Q7:罹災証明書の判定が「準半壊に至らない(一部損壊)」でした。使える制度はありますか?

本記事で取り上げる応急修理制度・被災者生活再建支援金・弔慰金・見舞金のいずれも、住宅の損壊を要件とする制度では「準半壊以上」が前提です。一部損壊の場合、これらの住宅支援制度は利用できません。ただし、亡くなった方がいれば弔慰金、重い障害を負った方がいれば見舞金は別途申請できます。また、各種税の減免措置や保険請求など別の手段を検討することになります。判定に不服がある場合は再調査を申請することをお勧めします。

Q8:能登半島地震はもう終わった話ですか?まだ申請できますか?

2026年6月27日時点でも、石川県内の一部市町では応急修理の申請期限の延長が行われており、申請受付を継続しています(例:志賀町では2026年9月30日まで)。弔慰金・見舞金についても、申請を受け付けている自治体があります。現在も被災した住宅に住まわれている方や、当時の申請ができていなかった方は、お住まいの市町村の窓口に問い合わせてみてください。

Q9:仕事中の災害(山岳崩壊など)で死亡した場合も弔慰金の対象ですか?

弔慰金の対象は「自然災害による死亡」です。業務上の事故と自然災害が重なる場合(例:就業場所が被災した場合)は、弔慰金の対象となりうる可能性があります。ただし「労働災害補償」と弔慰金の適用関係は複雑な場合がありますので、市町村の窓口と、必要であれば社会保険労務士に相談することをお勧めします(本記事は個別の法律・社会保険手続きの助言は行いません)。

Q10:借家(賃貸住宅)に住んでいた場合も、応急修理制度を使えますか?

借家(賃貸住宅)については、所有者(家主)が制度を利用するのが原則です。借家人(入居者)が直接申請することは一般的にできません。ただし、大規模災害では特例が設けられることがあります。また、借家であっても弔慰金・見舞金の対象となることに変わりはありません。住んでいる建物の状況や権利関係について、市町村の窓口に相談することをお勧めします。

平時にやっておくべき備えと制度の結びつき

被災後に支援制度をスムーズに活用するために、平時から準備しておけることがあります。

ハザードマップの確認と写真記録

お住まいの自治体のハザードマップ(洪水・土砂・地震等のリスクマップ)を確認することで、自分の家がどのようなリスクにさらされているかを把握できます。国土交通省のハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)でも確認できます。

平時に自宅の外観・内装・設備の写真を撮って保管しておくと、被災後の罹災証明書申請の際に被害前後の状態を比較しやすくなります。年に1度、住宅全体をひと通り撮影しておくだけでも大きな助けになります。

火災保険・地震保険の内容の確認

応急修理制度は「公的な制度」ですが、費用限度額があり、すべての修理費用をカバーするわけではありません。火災保険や地震保険(火災保険の特約として加入するケースが多い)に加入している場合、保険金を合わせて受け取ることができます。

ただし公的支援制度と私的保険の組み合わせには、受け取れる金額の上限や控除があることもあるため、保険会社に確認してください。

地震保険は日本で唯一の地震被害に特化した保険で、罹災証明書の判定区分と保険上の被害認定が連動している場合があります。加入内容を平時に確認しておき、被災後の対応を先にイメージしておくことをお勧めします。

家族内での連絡体制と書類の保管

弔慰金・見舞金の申請には戸籍謄本や住民票が必要です。大きな災害では役所の機能が低下し、書類の取得に時間がかかることがあります。マイナンバーカードがあると証明書のコンビニ交付が使えることもあり、平時に取得しておくことが役立ちます。

また、家族全員が「被災後はまずここに連絡する・ここに集まる」という体制を決めておくと、申請手続きの初動がスムーズになります。

防災訓練と地域のつながり

罹災証明書の申請や各種支援の申請は、基本的に「市区町村の担当窓口に自分から連絡する」ことが前提です。大きな災害の後は窓口も混雑し、どこに問い合わせればよいかわかりにくくなることがあります。普段から自治体の防災担当部署のウェブサイトをブックマークしておく、地域の防災訓練に参加して窓口の場所を知っておく、といったことが、いざというときの対応を大きく助けます。

支援制度の対象外になるケース

以下のようなケースでは、本記事で紹介した制度の対象外となる可能性があります。事前に確認してください。

災害関連死と弔慰金:見落とされがちな重要論点

「災害関連死」とは何か

弔慰金の対象となる「自然災害による死亡」には、直接的な被災(倒壊した建物の下敷きになる、津波に流されるなど)による死亡だけでなく、「災害関連死」と呼ばれる間接的な死亡も含まれます。

災害関連死とは、建物の倒壊や津波などで直接亡くなったのではなく、避難生活の長期化による体調悪化、避難所での感染症、医療へのアクセス困難、強いストレスによる持病の悪化などにより亡くなったケースを指します。

能登半島地震(令和6年)では、地震そのものによる死者数と並んで、災害関連死として認定される方の数が社会的に注目されました。関連死の認定件数は、直接死の数倍にのぼることもあります。

弔慰金が受け取れるかどうかの判定

「これは災害が原因と言えるか」という判定は、簡単に見えて実は難しい問いです。亡くなった方が避難所から搬送された後に別の疾患で亡くなった場合や、精神的なショックから数か月後に亡くなった場合など、「関連性がある」と認定されるかどうかは、その方の状況・受けた支援・医師の見解・市町村の審査によって異なります。

弔慰金の対象かどうかについては、「亡くなった経緯を市町村の担当窓口に相談する」ことが出発点です。「どう見ても関係ない」と自分で判断して諦める前に、相談してみることをお勧めします。

特に能登半島地震後の運用では、医師の意見書や死亡診断書の死因記載の内容が判定に重要な役割を果たすことが分かっています。担当医師に「この死亡が地震との関連性を有するか」という観点での意見を文書で得ることが、申請において有力な材料になります。

「災害関連死」認定が難しい理由と対処法

関連死認定の難しさは、「因果関係の証明」にあります。「地震がなければ亡くならなかったはずだ」という事実を医学的・客観的に示すことは、場合によって難しいことがあります。

こうした場合に役立つのが「弔慰金審査委員会」の存在です。多くの市町村は弔慰金の判定にあたって、医師・弁護士・学識者らで構成する審査委員会を設けています。申請者が十分な証拠を提出することで、委員会が総合的に判断します。申請が一度却下されても、不服申立てができる自治体もあります。

「亡くなった経緯を詳細に書面にまとめる」「担当医師からの意見書を添付する」「避難所での生活状況を示す記録(避難所の受け入れ記録、支援員の記録等)を収集する」といった準備が、関連死認定申請では特に重要です。

弔慰金・見舞金の申請後:市町村の審査と支給のタイムライン

申請から支給までの流れ

弔慰金・見舞金の申請は「申請書を出して終わり」ではありません。以下の流れをたどります。

第1段階として申請書類の受付があります。窓口で書類を提出し、受付票(控え)を受け取ります。書類の不備がある場合は補正を求められます。

第2段階として書類審査があります。担当部署が提出書類を確認し、支給対象となるかどうかを審査します。大規模災害では申請件数が多く、数週間〜数か月かかることがあります。

第3段階として支給決定または不支給決定の通知があります。支給が決定した場合は決定通知書が届き、指定した口座に振り込まれます。不支給の場合は不支給決定通知書が届きます。

第4段階として不服申立てがあります。不支給または支給額に不服がある場合は、通知を受けた日から一定期間内に審査請求を行うことができます(行政不服申立て)。

支給期間の目安

被災の規模や申請件数によって大きく異なりますが、一般的に申請から数週間〜数か月で支給決定通知が届く場合が多いです。大規模災害では1年以上かかる場合もあります。

申請してから時間が経っても通知が届かない場合は、担当窓口に進捗状況を確認してください。

代理人申請の注意点

心身の状態が厳しく、ご本人や主たる遺族が申請に対応することが難しい場合は、代理人による申請を活用してください。一般的に代理人として認められるのは、親族、成年後見人、または特定の委任を受けた者です。

代理人が申請する場合、以下を用意することが多いです。

「近くに代理人を頼める人がいない」という場合は、市区町村の社会福祉協議会や地域包括支援センター、民生委員などに相談することで、手続きのサポートを受けられる場合があります。

応急修理制度の詳細実務:業者選定から工事完了まで

修理業者の探し方と選定の注意点

応急修理の修理業者は、原則として被災者自身が探して接触します。ただし自治体によっては「市内業者に限る」「市区町村が紹介する業者リストから選ぶ」「登録制度に登録した業者に限る」といった条件がある場合があります。まず市町村窓口で業者の選定条件を確認してください。

業者を探す際の注意点は、「便乗商法(悪徳業者)に注意すること」です。大規模な災害の後は、被災者を狙った悪質な訪問販売や高額請求が社会問題になることがあります。以下の点に注意してください。

インターネットや電話帳、市区町村が提供する業者リストから業者を探すことが安全です。「今すぐ直してあげる」と突然訪問してくる業者には慎重に対応してください。特に「無料で調査します」という言葉からの高額契約のパターンが多く報告されています。

見積書は必ず書面で受け取り、工事内容・金額・支払い条件を明記してもらいます。応急修理制度を使うことを業者に伝え、制度の範囲内での見積もりを依頼します。

消費者ホットライン(0120-797-188)や国民生活センターに相談することで、業者の信頼性を確認したり、トラブルになった場合に相談したりすることができます。

見積書の読み方:制度の対象範囲との照合

応急修理の見積書が届いたら、修理内容が「日常生活に必要不可欠な最小限度の修理」の範囲に収まっているかを確認してください。

確認のポイントは次の通りです。

  1. 修理箇所が屋根・外壁・床・開口部・台所・トイレ・給排水設備のいずれかであること
  2. 装飾的な工事(壁紙の全面貼り替え、フローリングの全面交換等)が含まれていないこと
  3. 見積書に工事箇所と内容が具体的に記載されており、「一式」だけの表記になっていないこと

市町村の担当者に見積書を持参または写真を送付して「この内容は制度の対象に含まれますか」と確認することが、後からのトラブルを防ぐ最善策です。

工事中のトラブルと対処法

応急修理の工事中にトラブルが発生した場合の対処法を整理します。

「工事が予定通り進まない」という場合は、業者と市町村の担当者の双方に連絡します。工事の遅延が修理期限(自治体が定める完成期限)に影響する可能性がある場合は、早めに窓口に相談してください。

「見積書と違う内容の工事をしようとしている」という場合は、即座に工事を中断させ、市町村の担当者に報告します。承認された内容と異なる工事を行った場合、費用が支払われない可能性があります。

「追加の修理が必要になった」という場合は、追加申請が可能かどうかを市町村に確認します。制度の費用限度額の範囲内であれば、追加の修理箇所を申請に加えることができる場合があります。

過去の大規模災害での運用実績と教訓

東日本大震災(2011年)での運用

2011年3月の東日本大震災では、弔慰金・見舞金・応急修理のいずれの制度も大規模に適用されました。宮城県・岩手県・福島県を中心に、弔慰金の対象が広域に及び、申請件数・支給件数ともに制度開始以来最大規模となりました。

東日本大震災から学んだ教訓として、「申請期限の延長が複数回行われた」という事実があります。通常の期限では対応しきれないと判断された場合、都道府県・市町村が協議して延長措置を講じました。この経験が、その後の大規模災害対応における申請期限延長の慣例につながっています。

また、「仮設住宅の長期化問題」と応急修理制度の関係も東日本大震災で明らかになりました。応急修理よりも仮設住宅を選んだ方の中には、長期的な仮設生活が健康に影響する問題が生じました。応急修理で元の家に住み続けることの意義が、この経験から見直されるようになりました。

熊本地震(2016年)での運用

2016年4月の熊本地震では、内陸部での直下型地震という性質上、住宅被害が広範に及びました。この災害では、「仮設住宅と応急修理の選択の難しさ」が被災者の判断を悩ませる問題として表面化しました。

全壊と判定されながらも、応急修理を行えばまだ住める状態の家が多くあり、「全壊でも応急修理を使えるケース」の判断基準が実務的に問われました。この経験から、「全壊でも居住可能性がある場合は応急修理を検討する」という運用の明確化が進んでいきました。

熊本地震では、弔慰金の「関連死認定」も大きな問題となりました。直接死者は50人であったのに対し、その後に認定された関連死者は220人を超えました(熊本県集計)。避難生活の過酷さが如実に示された事例となり、その後の災害対応で関連死予防への取り組みが強化されるきっかけとなりました。

能登半島地震(2024年)での運用と現在進行形の対応

2024年1月1日に発生した能登半島地震は、石川県能登地方を中心とする大規模な地震で、2026年6月現在も復興が続いています。

この災害での応急修理制度の運用では、特筆すべき点がいくつかあります。

第1に、申請期限が当初の期限から大幅に延長され、2026年9月30日(一部市町)まで延長されています。道路が寸断されて業者が入れない地域があったり、高齢者が多く申請手続きに時間がかかったりする実情を反映した措置です。

第2に、「申請書を先行提出し、見積書等の書類は後から提出する」という柔軟な運用が採用されました。通常は見積書を添付してから申請を受け付けますが、業者の確保や見積もりの取得に時間がかかる被災地の現実に対応した措置です。

第3に、能登半島という地域的特性(人口密度が低く、建設業者が少ない・高齢化が進んでいる)から、「業者を見つけることそのものが困難」という問題が生じました。市町村が業者の紹介や調整に積極的に関与する運用が行われた事例もあります。

これらの運用の柔軟化は、「法律の枠組みの中で実態に合わせた対応ができる」ということを示しており、自分が被災した際にも「制度の原則通りではなく、担当窓口に柔軟な運用ができないか相談してみる」ことの重要性を教えてくれます。

制度の対象外になった場合の代替的な選択肢

「準半壊に至らない」と判定された場合

住宅の損壊が10%未満(準半壊に至らない・一部損壊)と判定された場合、本記事で紹介した応急修理制度・被災者生活再建支援金は利用できません。

ただし、以下の選択肢があります。

  1. 罹災証明書の再調査を申請する。追加の写真や専門家による調査結果を提出し、「もっと被害が大きい」と主張することができます。
  1. 火災保険・地震保険の保険金を請求する。一部損壊であっても保険の対象となる場合があります。保険会社の担当者に連絡してください。
  1. 確定申告での「雑損控除」を活用する。被災で損害を受けた場合、確定申告において「雑損控除」として損害額の一定割合を所得から控除できる制度があります(所得税法第72条)。詳細は国税庁のサイト(https://www.nta.go.jp/)または税理士にご確認ください。本記事では個別の税務助言は行いません。
  1. 市区町村の独自支援を確認する。自治体によっては、国の制度の対象外となった損壊住宅に対して独自の補助制度を設けている場合があります(本シリーズ99番「自治体の独自支援の探し方」を参照)。
  1. 義援金の配分を確認する。義援金は国の制度とは別ルートで配分されるため、一部損壊でも受け取れる場合があります(義援金の配分方針は災害ごと・自治体ごとに異なります)。

「対象となる災害でなかった」と言われた場合

市町村に問い合わせた結果、「弔慰金法の対象となる規模の災害ではない」と告げられた場合、以下を確認してください。

被災地での生活再建:制度を活用したロードマップ

発災直後(0〜1週間)

被災直後は、まず安全の確保と安否確認が最優先です。その上で、行政の支援を活用するための準備として次のことを行います。

住宅の被害状況を写真・動画で記録する(この作業が後のすべての手続きの土台になります)。市区町村のウェブサイトまたは避難所等に掲示されている「被災者支援窓口」の情報を確認する。家族に亡くなった方がいる場合は、死亡届と同時に弔慰金の相談窓口を確認する。

発災後1〜4週間

罹災証明書の申請を行います。市区町村の窓口または特設の申請窓口(大規模災害の場合は市内に複数設置されることがある)に申請書を提出します。

亡くなった方がいる場合は、弔慰金の申請手続きを開始します(書類の収集に時間がかかるため、早めに動くことが重要)。

住宅が損壊している場合は、「仮設住宅に移るか、応急修理で住み続けるか」を検討します。この判断は後から変更が難しいため、市町村の担当者や家族と十分に話し合ってから決めることをお勧めします。

1〜3か月後

罹災証明書の判定区分を確認し、判定に基づいた支援を申請します。応急修理は業者との調整が完了次第申請・着工。被災者生活再建支援金(32番)の申請窓口を確認し、申請を行います。

弔慰金・見舞金の申請書類が揃ったら提出します。

3か月〜1年後

応急修理が完了し、住宅に戻って生活を再建します。被災者生活再建支援金(加算支援金部分)の申請を、住宅の再建方法(建設・購入・補修・賃借)に合わせて行います。

確定申告で「雑損控除」の適用が可能かどうかを、税理士または国税局の電話相談で確認します。

1年以降

住宅の本格的な改修(耐震改修・省エネリフォーム等)の検討を行います。本シリーズ8番(住宅省エネ・リフォーム補助)や36番(耐震改修補助)なども参照してください。

復興計画が策定されている地域では、移転・集団移転支援の情報を市区町村から確認します。

弔慰金・見舞金の受け取り後:生活再建に向けた心の準備

大きな喪失の後に制度と向き合うことの難しさ

家族を失った後や、重い障害を負った後に、行政の書類手続きを進めることは、心身ともに大きな負担を伴います。弔慰金や見舞金の申請は、最も辛い時期に行わなければならない手続きの一つです。

「手続きを進めることで、喪失の現実を受け入れることを強いられているようで辛い」「病院や役所の往復が体力的に限界だ」という声があることも知っておいてください。

このような状況では、手続きのすべてを一人で抱え込まないことが重要です。前述のように代理人申請も可能ですし、民生委員や地域包括支援センター、社会福祉協議会がサポートしてくれる場合もあります。

「今は手続きより休むことが先」と感じた場合は、申請期限に余裕がある限り(弔慰金は被災から概ね3年以内)、体調が回復してから手続きを進めても遅くありません。ただし申請期限は必ず確認し、必要であれば期限前に窓口に現状を伝えて延長可能かどうかを相談してください。

相談できる窓口一覧

被災後の生活再建に関する相談は、以下の窓口で対応しています。

制度改正の動向と今後の注意点

弔慰金・見舞金の金額は変わることがあるか

弔慰金・見舞金の支給額は、「災害弔慰金の支給等に関する法律」により上限額が法定されています。現行の生計維持者500万円・その他250万円(弔慰金)、生計維持者250万円・その他125万円(見舞金)という上限は、1990年代以降長らく据え置かれてきました。

この水準が現代の物価や生活費に照らして低いのではないかという議論は、研究者や支援団体から継続的に提起されています。法改正の動向については、内閣府防災担当のウェブサイトや国会の審議情報で確認することができます。

なお、市町村条例では法律の上限を下回る額を定めることが認められており、自治体によっては法律の上限額より少ない額を支給している場合があります。「自治体の条例で何円と定めているか」は、各市町村の窓口またはウェブサイトで確認してください。

応急修理の費用限度額の改定

応急修理の費用限度額は、建設物価の動向に応じて内閣府の告示で改定されます。現行の大規模半壊以上70万6,000円・準半壊34万3,000円という金額は、2024〜2026年の能登半島地震対応で確認できた値ですが、今後の改定で変更される可能性があります。

申請する際には、内閣府または市町村の窓口で当時点の告示額を必ず確認してください。

住宅被害認定基準の変遷

罹災証明書の判定に使われる住宅の被害認定基準は、内閣府が「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」として整備しており、大規模災害のたびに見直しが行われています。2018年(平成30年)の改定では「中規模半壊」の区分が新設され、2021年(令和3年)にも改定が行われています。

判定基準の変化は、どの支援制度が使えるかという判断に直結します。被災した時点で最新の指針が何であるかを確認することが重要です。市区町村の担当者に「現行の判定基準はどの告示に基づいているか」と確認することで、最新の運用を把握できます。

他の支援制度との組み合わせ受給パターン

被災後の生活再建では、複数の制度を組み合わせて活用することが実質的に重要です。以下は代表的な組み合わせパターンです。

パターン1:住宅が全壊・家族が亡くなった場合

全壊世帯でかつ家族に亡くなった方がいる場合、以下の制度を組み合わせて申請できる可能性があります。

これらは対象事由が「死亡」と「住宅損壊」で異なるため、同時に受け取ることができます。あわせて最大800万円以上の支援を受けられる可能性があります。

パターン2:住宅が半壊・本人が重い障害を負った場合

弔慰金・見舞金の申請は本人または代理人が市区町村に行い、応急修理の申請は別途窓口で行います。

パターン3:住宅が準半壊・家族の死亡はなし

この場合、行政からの給付は応急修理のみとなりますが、税の控除や保険で損失の一部を回収できる可能性があります。

パターン4:借家住まいで住宅損壊の被害を受けた場合

借家に住んでいた場合、応急修理制度の直接利用はできませんが(建物所有者の制度)、以下の点は適用されます。

なお、借家の損壊による退去を余儀なくされた場合は、市区町村の住宅担当窓口に「借家住まいの被災者への支援はどのようなものがあるか」と相談することが、自分に使える制度を把握する最短の道です。

制度を使わなかった場合のリスク:「知らなかった」では取り戻せない

弔慰金・見舞金・応急修理制度のいずれも、申請しなければ自動的には支給されません。申請期限(弔慰金は概ね3年、応急修理は自治体が定める期限)を過ぎてしまうと、要件を満たしていても受け取ることができなくなります。

「制度の存在を知らなかった」という方が申請を逃してしまうことは、残念ながら現実に起きています。特に、家族を亡くされた直後に弔慰金の存在を知る機会がなく、数年後に知ったが時効が過ぎていた、というケースがあります。

本シリーズが、被災後の方やそのご家族が適切な支援にたどり着くための一助となれば幸いです。本記事の内容を必要としている方の周りの方にも、ぜひこの情報を届けてください。

出典一覧(確認日:2026年6月27日)

以下はすべて、本記事の執筆にあたって参照・確認した一次情報です。制度の詳細は変更される可能性があるため、申請前に最新情報をご確認ください。

  1. 厚生労働省「災害弔慰金・災害援護資金などの支援について」

https://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/saigaishien.html

(支給額・支給対象者・窓口の確認)

  1. 内閣府防災「災害弔慰金の支給等に関する法律」

https://www.bousai.go.jp/taisaku/choui/choui.html

(法律の根拠・制度概要の確認)

  1. e-Gov法令検索「災害弔慰金の支給等に関する法律」(昭和48年法律第82号)

https://laws.e-gov.go.jp/law/348AC0100000082

(対象障害の9項目の確認)

  1. 石川県「住宅の応急修理について(災害救助法:令和6年能登半島地震)」

https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kenju/saigai/r6notohantoujisin.html

(応急修理の費用限度額70万6,000円・34万3,000円、申請期限延長、全壊でも使える例外条件の確認)

  1. Yahoo!天気・災害「防災手帳:仮設住宅と応急修理制度」

https://emg.yahoo.co.jp/notebook/contents/article/temporaryhousing240903.html

(応急修理と仮設住宅の原則的な関係(同時利用不可)の確認)

  1. 公益財団法人都道府県センター「被災者生活再建支援事業:支援金支給概要」

https://www.tkai.jp/reconstruction/tabid/82/Default.aspx

(被災者生活再建支援金の支給額の確認)

  1. 内閣府防災「被災者の住まいの確保」

https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/sumai.html

(応急修理制度の全体像の確認)

  1. 宮城県「災害弔慰金・災害障害見舞金の概要」

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/densho/tyouikin.html

(支給額・制度概要の確認)

  1. 石川県「災害弔慰金・災害障害見舞金制度」

https://www.pref.ishikawa.lg.jp/bousai/bousai_g/hisaisha_shien/chouikin.html

(能登半島地震での運用・各市町の窓口の確認)

  1. 秋田市「災害弔慰金・災害障害見舞金について」

https://www.city.akita.lg.jp/bosai-kinkyu/1011678/1042064.html

(受給遺族の範囲・対象障害の確認)

  1. 秋田県「災害援護資金貸付金制度の概要」

https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/27860

(援護資金の貸付額・利率・申請期限の確認)

  1. 国税庁「No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4120.htm

(弔慰金の相続税上の非課税の確認)

免責事項

本記事に記載した情報は、2026年6月27日時点の公開情報に基づいています。制度の金額・要件・期限は法律・政令・通知の改正により変更される場合があります。申請前に必ず、お住まいの市区町村の担当窓口または内閣府・厚生労働省等の公式サイトで最新情報をご確認ください。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務・医療・社会保険手続きに関する助言はしていません。個別の申請書類の作成代行・手続き代行も行いません。具体的な申請については、市区町村の担当窓口にお問い合わせください。

本記事の内容を参考に行った申請・手続きの結果について、著者および発行者は責任を負いません。