求職者支援制度を整理する(職業訓練を無料で受けながら月10万円をもらうしくみと申請の実務)
本記事は2026年6月26日時点の公開情報に基づきます。金額・支給要件・対象訓練はいずれも改定されることがあるため、申請前に必ずハローワークまたは厚生労働省の公式情報で最新の内容をご確認ください。
この記事が整理すること
仕事を辞めた後に「雇用保険(失業保険)の対象にならない」と言われて、生活費の見通しが立たずに不安になる方がいます。会社員として雇用保険に入っていなかった方、加入期間が足りなかった方、フリーランスや自営業で働いてきた方、雇用保険の受給がすでに終わってしまった方などです。
こうした「雇用保険を受けられない求職者」を対象に、無料で職業訓練を受けながら、要件を満たせば生活を支える給付金を月10万円受け取れるしくみがあります。これが求職者支援制度です。
ところがこの制度は、ネット上の解説で数字が食い違っていることが多く、正確に理解するのが難しい制度でもあります。「世帯収入は月25万円まで」「シフト制なら本人収入12万円まで」といった説明を見かけますが、これらは古い数値や、意味を取り違えた説明が混ざっています。誤った前提で申請を諦めてしまうのは、もったいないことです。
この記事では、2026年6月時点での正しい支給要件と金額を一次情報で確認した上で、「誰が・いくら・どこへ・どう申請するか」を実務目線で整理します。本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行や書類作成の代行は行いません。
制度の全体像
求職者支援制度は、大きく2つの柱で成り立っています。
1つ目は、無料で受けられる職業訓練です。これは「求職者支援訓練」と呼ばれ、民間の訓練機関が厚生労働大臣の認定を受けて実施します。事務系、IT系、医療事務、介護、デザインなど分野はさまざまで、受講料は無料です(テキスト代などの一部実費は自己負担になります)。期間はおおむね2か月から6か月程度のものが中心です。
2つ目は、訓練期間中の生活を支える「職業訓練受講給付金」です。これは一定の収入・資産などの要件を満たした方に支給されるもので、内訳は次の3つです。
- 職業訓練受講手当:月額10万円
- 通所手当:訓練施設へ通うための交通費(月上限42,500円、通所経路に応じた所定額)
- 寄宿手当:訓練のために自宅を離れて寄宿する必要があるとハローワークが認めた場合に月額10,700円
ここで押さえておきたいのは、訓練の受講と給付金の支給は別物だという点です。要件を満たさず給付金がもらえない方でも、職業訓練そのものは無料で受けられます。給付金は「訓練を受ける人のうち、収入・資産が一定以下の人への生活支援」という位置づけです。
申請の窓口は、住所地を管轄するハローワークです。代理ではなく本人がハローワークで求職の申し込みをし、訓練と給付金の手続きを進めます。誰か別の人や業者が代わりに申し込む制度ではありません。
対象になるのは、雇用保険の被保険者でも受給資格者でもない「特定求職者」です。具体的には、離職して雇用保険を受けられない方、雇用保険の受給が終わった方、自営業を廃業した方、これまで雇用保険に加入していなかった方などが含まれます。収入が一定額以下で働きながらスキルアップを目指す在職者も、要件を満たせば対象になり得ます。
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求職者支援制度でいちばん知りたいのは、結局「自分の場合、月10万円の給付金がもらえるのか、もらえないのか」という点だと思います。ここでは、よくある1つのケースを取り上げ、支給要件を1つずつ最後まで当てはめて判定してみます。あくまで制度のしくみを理解するための一例であり、実際の判定はハローワークが個別に行う点はあらかじめご了承ください。
想定するのは、次のような方のケースです。
- 30代の単身者(一人暮らし。同居の家族はいない)
- 会社を辞めたが、雇用保険の加入期間が足りず失業保険(基本手当)は受けられない
- 現在は短時間のアルバイトをしており、前月の本人収入は手取りではなく税引き前で月6万円
- 預貯金は120万円。株式や投資信託などは持っていない
- 持ち家・所有している土地や建物はない
- 過去に職業訓練受講給付金を受けたことはない
この方が、3か月間の事務系の求職者支援訓練を受けながら給付金を申請したいと考えています。判定してみましょう。
職業訓練受講給付金には、満たすべき主な要件が8つあります。順番に当てはめます。
1つ目は「ハローワークに求職の申し込みをしている」こと。この方はこれからハローワークで求職申込をするので、満たせます。
2つ目は「雇用保険の被保険者でも受給資格者でもない」こと。この方は失業保険を受けられないため、ここに該当します。求職者支援制度はまさにこういう方のための制度です。
3つ目は「本人収入が月8万円以下」であること。この方の本人収入は月6万円(税引き前)なので、8万円以下に収まっています。満たせます。なお、ここでいう収入は手取りではなく税引き前の額で、給与だけでなく事業収入・年金・仕送りなども含めて見る点に注意が必要です。
4つ目は「世帯全体の収入が月30万円以下」であること。この方は単身で同居家族がいないため、世帯収入は本人の6万円のみとなり、30万円以下に収まります。満たせます。
5つ目は「世帯全体の金融資産が300万円以下」であること。この方の預貯金は120万円で、ほかに金融資産はないため、300万円以下に収まります。満たせます。
6つ目は「現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない」こと。この方は持ち家もなく、ほかに不動産を持っていないため、満たせます。
7つ目は「訓練の全日程に出席する(やむを得ない理由で欠席し証明できる場合でも、8割以上の出席を保つ)」こと。これは申請時点で満たすというより、訓練が始まってから守り続ける条件です。体調不良などでやむを得ず休む場合でも、証明できる欠席にとどめ、出席率8割以上を維持する必要があります。この方は問題なく通える前提とします。
8つ目は「過去3年以内に不正受給がなく、かつ過去6年以内に職業訓練受講給付金を受けていない」こと。この方は過去に給付金を受けたことがないため、満たせます。
8つの要件をすべて当てはめた結果、このケースの方は職業訓練受講給付金(月10万円)の支給対象になり得る、という判定になります。さらに、訓練施設まで通う交通費があれば通所手当(月上限42,500円)も加わります。たとえば1か月の通学定期相当額が1万2,000円であれば、その分が通所手当として上乗せされ、月10万円+1万2,000円という形になります。
ここで強調しておきたいのは、月10万円の給付金は「単身か、同居家族がいるか」で結果が大きく変わるという点です。このケースは単身だったため世帯収入が本人の6万円だけで済みましたが、たとえば配偶者や親と同居していて、その家族の収入を合わせると世帯で月30万円を超える場合は、月10万円の給付金は受けられません。世帯の範囲には、同居している家族だけでなく、生計を一にする別居の配偶者・子・父母も含まれます。
このように、給付金をもらえるかどうかは1ケースであれば最後まで具体的に判定できます。ただし実際には、世帯収入が30万円をわずかに超えた場合の扱い、本人収入が8万円を超えてしまった場合の救済(通所手当のみを受け取れる別ラインがあります)、在職中の方の扱い、申請に必要な書類や提出のタイミングなど、押さえるべき実務がいくつもあります。ほかのケース・申請の具体手順・チェックリスト・FAQはこの続きで解説します。
ここから先は、申請に直結する実務です。
給付金の支給要件を正確に整理する
求職者支援制度の解説で混乱が起きるのは、収入要件まわりの数字です。ここを公式情報に沿って正確に整理します。2026年6月時点の現行要件は次の通りです。
職業訓練受講給付金(職業訓練受講手当10万円を含む給付金)を受けるための主な要件は、以下のすべてを満たすことです。
- ハローワークに求職の申し込みをしていること
- 雇用保険の被保険者または受給資格者でないこと
- 本人収入が月8万円以下であること
- 世帯全体の収入が月30万円以下であること
- 世帯全体の金融資産が300万円以下であること
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していないこと
- 訓練の全日程に出席すること(やむを得ない理由により欠席し証明できる場合でも、8割以上の出席を保つこと)
- 訓練終了後も含め、定期的にハローワークへ来所して職業相談を受けること
- 同一世帯のなかに、同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいないこと
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により特定の給付金の支給を受けていないこと
- 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていないこと
「世帯収入は25万円まで」「40万円まで」という説明について
ネット上の解説では、世帯収入の上限を「月25万円」と書いているものや「月40万円」と書いているものが見られますが、現行の正しい上限は月30万円です。
「25万円」は古いリーフレットに残っている旧来の数値で、その後の引き上げで現在は30万円が定着しています。「40万円」は、過去に一時的に設けられた特例期の表現が一部の記事に残ったものと考えられ、2026年6月時点の公式情報で「世帯収入40万円まで」と断定できる根拠は確認できません。申請の可否を判断するときは、現行の月30万円を基準にしてください。
「シフト制なら本人収入12万円まで」という説明について
これも誤解の多い箇所です。「12万円」という数字は確かに公式情報に出てきますが、「シフト制で働く人の特例」ではありません。
正確には、本人収入が月8万円を超えてしまった場合でも、本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下に収まっていれば、月10万円の受講手当は受け取れないものの、通所手当(交通費)だけは受け取れることがある、というラインです。
つまり「12万円」は、月10万円をもらえる本人収入の上限ではなく、「受講手当はもらえないが通所手当だけはもらえる」境界線です。この場合も、金融資産300万円以下・土地建物の不所有・出席8割・過去6年以内に受給なしといったほかの要件は、すべて満たしている必要があります。
整理すると、本人収入と世帯収入の組み合わせによる扱いは次のようになります。
- 本人収入が月8万円以下、かつ世帯収入が月30万円以下:受講手当(月10万円)+通所手当を受給できる可能性がある
- 本人収入が月8万円を超えても月12万円以下、かつ世帯収入が月34万円以下:受講手当は対象外だが、通所手当のみを受給できる可能性がある
- 上記を超える場合:給付金は対象外(ただし訓練自体は無料で受けられる)
「収入」と「世帯」の定義
ここでいう「収入」は手取りではなく税引き前の金額です。給与(賞与を含む)のほか、自営業の事業収入、役員報酬、不動産の賃貸収入、各種年金、家族からの仕送り、養育費なども含めて計算します。事前の審査では、申請月の前月だけでなく前年の収入も確認されることがあります。
「世帯」は、本人に加えて、同居している家族、または別居していても生計を一にする配偶者・子・父母を含みます。一人暮らしで誰の収入も合算しない場合は、世帯収入は本人収入そのものになります。
申請の具体手順
求職者支援制度の申請は、訓練を申し込む流れと給付金を申請する流れが連動しています。順を追って説明します。
第1段階は、ハローワークでの求職申込と相談です。まず住所地を管轄するハローワークに行き、求職の申し込みをします。窓口で「求職者支援制度を利用したい」「無料の職業訓練を受けたい」と伝え、自分の希望や状況に合った訓練コースを相談します。この時点で、給付金の支給要件に当てはまりそうかどうかも相談できます。
第2段階は、訓練コースの選択と受講申込です。希望する求職者支援訓練のコースを選び、ハローワークの窓口で受講申込の手続きをします。コースによっては選考(面接や筆記)がある場合があります。あわせて、ハローワークが「この訓練の受講が就職に必要だ」と認める「就職支援計画」の対象になることが、給付金を受ける前提になります。
第3段階は、給付金の事前審査です。給付金を希望する場合は、訓練開始前に支給要件を満たすかどうかの事前審査を受けます。ここで本人収入・世帯収入・金融資産・不動産の有無などを書類で確認します。要件を満たすと判断されると、給付金の支給対象として登録されます。
第4段階は、訓練の受講と支給単位期間ごとの申請です。訓練が始まったら、決められた日程に出席します。給付金は、訓練期間を1か月ごとなどの「支給単位期間」に区切り、その期間が終わるたびに申請します。各期間の終了後に、出席状況を確認できる書類などを添えて、指定された日にハローワークへ申請します。出席率が要件を下回った期間は、その期間分の給付金が支給されません。
第5段階は、訓練終了後のフォローです。訓練が終わった後も、就職を実現するためにハローワークへ定期的に来所して職業相談を受けることが求められます。具体的には、訓練終了後の一定期間は原則として月に1回程度の来所が必要になります。
必要書類の目安
事前審査と各期間の申請で必要になる書類は、おおむね次の通りです。コースや個別の状況によって追加・変更されることがあるため、最終的には管轄のハローワークで案内される様式を確認してください。
- 職業訓練受講給付金の事前審査・支給に関する申請書(ハローワークで受け取る所定様式)
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
- 本人の収入を確認できる書類(給与明細、源泉徴収票、事業収入がわかる書類など)
- 世帯の状況を確認できる書類(同居家族の有無や収入を確認するための書類)
- 金融資産の状況を確認できる書類(預貯金通帳の写しなど)
- 通帳の写し(給付金の振込先口座を確認するため)
- 訓練の出席状況を確認できる書類(各支給単位期間の申請時。訓練機関が発行するもの)
- 通所経路を確認できる書類(通所手当を申請する場合)
金額の計算例・記入例(複数ケース)
無料サンプルとは別の条件で、3つのケースを取り上げ、判定と金額の考え方を示します。いずれも制度の理解を助けるための一例であり、実際の判定・支給額はハローワークが個別に確認します。
ケース1:親と同居していて世帯収入が要件を超えるケース
想定するのは、20代の方が実家で親と同居しており、本人は無収入だが、同居する親の収入が月35万円(税引き前)あるケースです。
このケースでは、本人収入は0円で問題ありませんが、世帯収入を見ると親の35万円が合算されます。世帯収入の上限は月30万円のため、35万円ではこれを超えてしまいます。
その結果、このケースでは月10万円の受講手当の対象にはなりません。本人収入が12万円以下であっても、世帯収入が34万円も超えているため、通所手当のみのラインにも収まりません。
ただし、ここで諦める必要はありません。求職者支援訓練そのものは無料で受けられます。給付金は世帯収入の要件で対象外になっても、訓練を通じてスキルを身につけ、就職につなげるという制度の中心的な価値は使えます。世帯収入が要件を少し超える方は、「給付金は受けられないが訓練は無料で受ける」という使い方を検討する形になります。
ケース2:本人収入が8万円を少し超え、通所手当だけ受けられるケース
想定するのは、単身でアルバイトをしている方で、前月の本人収入が月10万円(税引き前)、世帯収入も同じく10万円(単身のため本人収入のみ)、金融資産は80万円というケースです。
このケースでは、本人収入10万円が「月8万円以下」の要件を超えています。そのため、月10万円の受講手当は受け取れません。
しかし、本人収入は12万円以下、世帯収入も34万円以下に収まっています。金融資産も300万円以下で、ほかの要件も満たしているとすれば、通所手当(交通費)のみを受け取れるラインに該当します。
仮に訓練施設までの通所にかかる交通費が月1万5,000円だったとすると、受講手当はゼロでも、通所手当として月1万5,000円が支給される、という形になります。通所手当には月上限42,500円が設定されているため、交通費がこれを超える場合は上限額までの支給になります。
このケースのポイントは、「本人収入が8万円を超えたから何ももらえない」と早合点しないことです。12万円以下のラインまでは通所手当が残る可能性があるため、まずはハローワークで確認することをおすすめします。
ケース3:自営業を廃業した方が訓練を受けるケース
想定するのは、フリーランスとして働いてきた方が事業をたたみ、現在は無職で本人収入0円、単身、金融資産は250万円というケースです。
このケースでは、雇用保険に加入していなかったため失業保険は受けられませんが、求職者支援制度はまさにこうした方を主な対象にしています。
判定すると、本人収入0円は8万円以下、世帯収入も0円で30万円以下、金融資産250万円は300万円以下に収まり、要件を満たします。したがって、月10万円の受講手当の対象になり得ます。
ただし注意したいのが金融資産の要件です。このケースの250万円は300万円以下に収まっていますが、廃業に伴う退職金や事業資金の引き上げなどで貯蓄が増え、300万円を超えると対象外になります。金融資産には預貯金のほか、株式・投資信託・国債などの有価証券も含まれるため、申請前に世帯全体の金融資産を正確に把握しておくことが大切です。
記入のポイントとして、自営業を廃業した方は、廃業の事実や直近の収入状況を確認できる書類を求められることがあります。確定申告書の控えや、廃業届の控えなどを準備しておくと手続きがスムーズです。
よくある誤解・つまずきポイント
「失業保険がもらえないから何の支援もない」と思い込む
会社を辞めて「雇用保険の対象外です」と言われると、何の支援も受けられないと感じてしまう方がいます。しかし求職者支援制度は、まさに雇用保険を受けられない人を対象にした制度です。失業保険が出ないからこそ、こちらの制度が選択肢になる、という関係を押さえておくと判断を誤りません。
世帯収入の「世帯」を一人分だと思い込む
一人暮らしの方は世帯収入が本人収入だけになりますが、実家で親と同居している場合や、配偶者と暮らしている場合は、その家族の収入も合算して30万円以下かどうかを判定します。さらに、別居していても生計を一にする配偶者・子・父母は世帯に含まれます。本人が無収入でも、同居家族の収入で要件を超えることがある点に注意が必要です。
「本人収入8万円を1円でも超えたら全部ダメ」と諦める
本人収入が8万円を超えても、月12万円以下かつ世帯収入34万円以下であれば、通所手当だけは受け取れるラインがあります。8万円を少し超えただけで「自分は対象外だ」と申請を諦めてしまうのは早計です。まずはハローワークで通所手当の可否を確認する価値があります。
出席要件を軽く見てしまう
給付金は「訓練の全日程に出席する」ことが前提です。やむを得ない理由で欠席し、それを証明できる場合でも、支給単位期間ごとに出席率8割以上を保つ必要があります。出席率が8割を下回った期間は、その期間の給付金が支給されません。寝坊や自己都合での欠席は出席要件を崩す原因になるため、訓練が始まったら出席管理を徹底することが大切です。
給付金がもらえないと訓練も受けられないと思い込む
給付金と訓練は別物です。収入や資産の要件で給付金の対象にならなくても、求職者支援訓練そのものは無料で受けられます。世帯収入が要件を超える方や、金融資産が300万円を超える方でも、訓練を受けてスキルを身につけ就職を目指す、という使い方ができます。
過去に受けた人が「また満額もらえる」と思い込む
職業訓練受講給付金には、過去6年以内に受けていないことという要件があります。以前にこの給付金を受けたことがある方は、前回の受給から6年が経過していないと、再び給付金を受けることはできません。この場合も訓練自体は受けられますが、給付金の有無は変わってきます。
申請チェックリスト
求職者支援制度を利用する前に、自分が給付金の対象になりそうか、何を準備すればよいかを整理します。制度や年によって必要書類が追加・変更されることがあるため、最終的にはハローワークで最新の案内を確認してください。
給付金の対象になりそうかを確かめるチェック項目は、おおむね次の通りです。
- 雇用保険の失業給付(基本手当)を受けられない、または受給が終わっている
- 本人の月収(税引き前)が8万円以下である(8万円を超えても12万円以下なら通所手当のみのラインを確認する)
- 世帯全体の月収(税引き前)が30万円以下である
- 世帯全体の金融資産(預貯金・有価証券など)が300万円以下である
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 同一世帯に、同時にこの給付金を受けて訓練中の人がいない
- 過去3年以内に不正受給がなく、過去6年以内にこの給付金を受けていない
- 訓練の全日程に出席し、出席率8割以上を保てる見通しがある
- 訓練終了後も含め、定期的にハローワークへ来所できる
申請の前に準備しておきたい書類の目安は、次の通りです。
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
- 本人の収入を確認できる書類(給与明細、源泉徴収票、事業収入の書類など)
- 同居家族の有無や世帯の状況を確認できる書類
- 金融資産を確認できる書類(預貯金通帳の写しなど)
- 給付金の振込先口座の通帳の写し
- 通所手当を申請する場合の通所経路を確認できる書類
- 自営業を廃業した方は、廃業や直近収入を確認できる書類(確定申告書の控えなど)
期限と窓口について押さえておきたい点を挙げます。給付金は支給単位期間ごとに申請するため、各期間の終了後に指定された日にハローワークへ申請する必要があります。申請日を逃すとその期間分の手続きが滞る原因になるため、訓練開始時に申請スケジュールを必ず確認してください。窓口はいずれも住所地を管轄するハローワークで、本人が手続きします。
よくある質問(FAQ)
求職者支援制度について、読者の方が迷いやすい点をQ&A形式で整理します。制度の詳細や最新の要件は変わることがあるため、最終的な判断の前にはハローワークや公式情報での確認をおすすめします。
Q1. 求職者支援制度は誰が対象ですか。
雇用保険の被保険者でも受給資格者でもない「特定求職者」が対象です。離職して失業保険を受けられない方、失業保険の受給が終わった方、自営業を廃業した方、これまで雇用保険に加入していなかった方などが含まれます。働いていても収入が一定額以下の在職者が、スキルアップのために利用できる場合もあります。
Q2. 給付金は月10万円だけですか。
月10万円の職業訓練受講手当に加えて、訓練施設へ通う交通費にあたる通所手当(月上限42,500円)が支給されます。さらに、訓練のために自宅を離れて寄宿する必要があるとハローワークが認めた場合は、寄宿手当(月10,700円)が加わります。
Q3. 世帯収入は月いくらまでですか。25万円や40万円という説明も見かけます。
現行の上限は月30万円以下です。「25万円」は古い数値、「40万円」は過去の特例期の表現が残ったもので、2026年6月時点では月30万円が基準です。本人収入は月8万円以下が基準になります。
Q4. 本人収入が8万円を少し超えてしまいました。何ももらえませんか。
本人収入が月12万円以下で、世帯収入が月34万円以下に収まっていれば、月10万円の受講手当は受け取れないものの、通所手当(交通費)だけは受け取れる可能性があります。8万円を超えたからといってすぐに諦めず、ハローワークで通所手当の可否を確認することをおすすめします。
Q5. 給付金がもらえなくても訓練は受けられますか。
受けられます。求職者支援訓練そのものは受講料が無料で、給付金の支給要件を満たさない方でも受講できます。給付金は「訓練を受ける人のうち収入・資産が一定以下の人への生活支援」という位置づけなので、給付金の有無と訓練の受講可否は別の話です。
Q6. 訓練の受講にお金はかかりますか。
求職者支援訓練の受講料は無料です。ただし、テキスト代などの一部実費は自己負担になります。受講するコースによってかかる費用が異なるため、申込前に訓練機関やハローワークで確認してください。
Q7. 訓練を休むと給付金はどうなりますか。
給付金は訓練の全日程に出席することが前提です。やむを得ない理由で欠席し、それを証明できる場合でも、支給単位期間ごとに出席率8割以上を保つ必要があります。出席率が8割を下回った期間は、その期間分の給付金が支給されません。
Q8. 申請は自分で行うのですか。代理で頼めますか。
本人が住所地を管轄するハローワークで手続きします。求職の申し込み、訓練の受講申込、給付金の申請は、いずれも本人が行うのが基本です。誰かが代わりに申し込む制度ではありません。
Q9. 金融資産にはどこまで含まれますか。
預貯金のほか、株式・投資信託・国債などの有価証券も含めて、世帯全体で300万円以下かどうかを判定します。退職金などで一時的に貯蓄が増えると要件を超えることがあるため、申請前に世帯全体の金融資産を確認しておくことが大切です。
Q10. 過去にこの給付金を受けたことがあります。また受けられますか。
職業訓練受講給付金には、過去6年以内に受けていないことという要件があります。前回の受給から6年が経過していない場合は、再び給付金を受けることはできません。ただし、その場合でも訓練自体は無料で受けられます。
Q11. 失業保険(基本手当)をもらいながらこの給付金ももらえますか。
求職者支援制度は雇用保険を受けられない方が対象です。失業保険の受給資格がある方は、まず雇用保険の枠組みでの支援が基本になります。失業保険の受給が終わった後に、求職者支援制度の対象になるかどうかを相談する、という流れが一般的です。
Q12. 訓練が終わったら手続きは終わりですか。
訓練終了後も、就職を実現するためにハローワークへ定期的に来所して職業相談を受けることが求められます。訓練終了後の一定期間は原則として月に1回程度の来所が必要になります。来所を怠ると支援が受けられなくなることがあるため、終了後のスケジュールも確認しておきましょう。
Q13. どんな訓練コースがありますか。
事務系、IT・プログラミング系、医療事務、介護福祉、デザイン、Webなど、分野は幅広く用意されています。コースは地域や時期によって変わるため、ハローワークの窓口や検索システムで、自分の住む地域で受けられるコースを確認してください。
Q14. 申請すれば必ず月10万円もらえますか。
いいえ、要件をすべて満たし、ハローワークの審査を通った場合に支給されます。本人収入・世帯収入・金融資産・出席率など複数の要件があり、いずれかを満たさないと受けられなかったり、特定の期間分が支給されなかったりします。要件を満たしているかを事前にしっかり確認することが大切です。
出典一覧(URL・確認日)
本記事は以下の一次情報を確認した上で執筆しています。
- 求職者支援制度のご案内(厚生労働省。通所手当の月上限42,500円はこのページの記載で確認)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html
確認日:2026年6月26日
- 求職者支援制度のご案内(厚生労働省・案内PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/001073991.pdf
確認日:2026年6月26日
- 求職者支援制度 訓練受講のしおり(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000998532.pdf
確認日:2026年6月26日
- ハロトレ特設サイト「職業支援・給付金などについて知る」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/hellotraining/support/
確認日:2026年6月26日
- 「求職者支援訓練」とは(厚生労働省・リーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/training/dl/training01m.pdf
確認日:2026年6月26日
- 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000047
確認日:2026年6月26日
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言を行うものではありません。求職者支援制度の対象になるかどうかの最終的な判定はハローワークが個別に行います。制度の詳細・最新の支給要件・対象訓練・申請手続きについては、住所地を管轄するハローワークまたは厚生労働省の公式情報で必ずご確認ください。給付金の支給は要件を満たした方に対して行われるものであり、申請すれば必ず受給できることを保証するものではありません。