子ども医療費助成(自治体)の使い方と地域差——対象年齢・自己負担・所得制限の確認から医療証の使い方まで

本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。子ども医療費助成の内容は自治体ごとに毎年改定されるため、申請前に必ずお住まいの自治体の公式サイトまたは窓口で最新情報をご確認ください。

この記事が整理すること

子ども医療費助成は、住んでいる自治体によって内容が大きく異なる制度です。対象年齢が就学前のみの自治体もあれば、高校卒業年度まで無料にしている自治体もあり、自己負担額も「まったくない」ところから「1回500円」まで幅があります。

こうした差を知らずに「どこでも無料なはず」と思って医療機関を受診すると、窓口で想定外の請求を受けることがあります。また、引っ越しをした際に手続きを忘れてしまい、しばらくの間助成が切れた状態で受診していたというケースも少なくありません。

この記事では、子ども医療費助成を「どう調べるか」「何が自治体によって違うのか」「実際に使うときどうするか」という3つの軸で整理します。全国共通の金額を断定することは制度上できないため、東京都・大阪市・札幌市・仙台市・名古屋市を具体的な比較の例として取り上げつつ、お住まいの自治体で自分の制度を確認するための判断軸をお伝えします。

本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成の代行・医療の受診勧奨は行いません。

制度の全体像

子ども医療費助成は、各都道府県が基本制度を設け、市区町村が独自に上乗せする仕組みで成り立っています。国が一定額を支援する事業ですが、最終的な内容(対象年齢・自己負担・所得制限)は市区町村レベルで決まります。

制度の名称も自治体によって異なります。東京都では「マル乳・マル子・マル青」という3種の医療証が年齢段階別に発行されます。大阪では「こども医療費助成制度」と呼ばれます。名称が違っても、目的は同じ——子どもの医療費の自己負担を軽減することです。

2026年6月時点の全国的な傾向は以下の通りです。

比較項目内容(全国の傾向)
対象年齢18歳年度末まで助成する自治体が多数派になっています。ただし就学前まで、または中学卒業まで、という自治体も存在します。
自己負担「完全無料」から「通院1回ごとに負担あり(100〜600円程度)」まで差があります。月に上限額が設定されているケースも多いです。
所得制限撤廃の流れが続いており、大多数の自治体では所得制限なしです。一部の自治体では一定所得以上の世帯が対象外になります。
医療証窓口申請が基本ですが、一部の自治体ではオンライン申請や自動送付(出生届と連動)に対応しています。

申請者は保護者本人で、窓口は居住している市区町村の子育て支援課・保健福祉センターなどが担当します。医療機関の窓口では、健康保険証と医療証を提示するだけで受診できます(自治体によって手順が若干異なります)。

【無料サンプル】引っ越して新しい自治体に転入した際の子ども医療費助成の手続きを1ケース完全公開

転入時の手続きは、子ども医療費助成で最も手間がかかる場面のひとつです。「転出前に旧医療証をどうするか」「新しい自治体ではいつから助成が始まるか」「申請に何が必要か」をまとめて確認します。ここでは、3歳のお子さんを連れて他市区町村へ引っ越しをする保護者のケースを例に、手続きの流れを最後まで示します。

想定するケース

埼玉県内のA市からB区(東京都23区内の1区)に引っ越しをする、3歳のお子さんがいる保護者のケースです。A市では乳幼児医療費助成の医療証を持っていました。

ステップ1: 転出前に旧医療証の有効期限を確認する

医療証の有効期限は、転出日(住民票の異動日)の前日までです。転出日当日からは医療証が使えなくなります。転出前に旧医療証を使って受診しておきたい場合は、転出日の前日までに済ませておく必要があります。

旧住所の市区町村の窓口に転出の届出を出すと同時に、医療証の返却を求められます。自治体によっては郵送での返却を受け付けているところもあります。

ステップ2: 転入先の自治体で新しい医療証を申請する

転入届を出したら、できるだけ早く子ども医療費助成の申請を済ませます。転入日から6か月以内に申請すると、転入日(住民票の異動日)に遡って資格が発生します。6か月を過ぎて申請した場合は、申請した月の1日からの資格となり、その間の医療費助成を受けられなくなります。

このケースでは東京都B区への転入なので、B区の窓口(子育て支援課・子ども家庭センターなどの名称は区によって異なります)で申請します。

一般的に必要な書類の目安は以下の通りですが、自治体によって異なるため、事前に窓口か公式サイトで確認することをおすすめします。

ステップ3: 医療証が届くまでの空白期間の対応

申請から医療証の交付・郵送まで、一般的に数日から2週間程度かかります。この期間中に受診が必要になった場合は、いったん窓口で通常の自己負担額を支払い、医療証が届いた後に還付申請(払い戻し申請)をする流れになります。

還付申請の方法は自治体によって異なりますが、一般的には領収書と申請書を窓口に持参します。

ステップ4: 新しい医療証で受診する

医療証が届いたら、健康保険証と一緒に受診の際に医療機関窓口へ提示します。東京都のマル乳医療証の場合、医療機関が対応していれば自己負担額が自動的に軽減されます。

東京23区の多くは区が上乗せ助成を行っており、自己負担が実質ゼロになっているケースが多いですが、転入先の区の具体的な自己負担額は事前に区の公式サイトで確認しておくと安心です。

ステップ5: 医療証の更新を忘れない

医療証には有効期限があります。東京都では毎年10月1日が更新日で、新しい医療証は前月頃に郵送されます。更新忘れは受診時のトラブルにつながるため、有効期限は手帳やカレンダーに控えておくことをおすすめします。

ここから先は、申請に直結する実務です。

自治体比較の見方——5つの自治体を例に

ここでは東京都・大阪市・札幌市・仙台市・名古屋市の5例を取り上げ、対象年齢・自己負担・所得制限・申請方法を比較します。あくまで2026年6月時点の確認情報であり、改定があれば変わります。

比較項目東京都(都制度の原則)大阪市札幌市仙台市名古屋市
対象年齢0〜18歳年度末(3段階)0〜18歳年度末0〜18歳年度末0〜18歳年度末(令和8年4月〜)0〜18歳年度末
自己負担(通院)1回200円(上限)。区市町村上乗せで無料化多数同一医療機関で1日500円・月2日まで。全医療機関合計で月2,500円上限初診時のみ医科580円・歯科510円令和8年4月から無料無料
自己負担(入院)食事療養標準負担額のみ同一医療機関で1日500円・月2日まで。全医療機関合計で月2,500円上限初診時のみ580円(再入院は別)令和8年4月から無料無料
自己負担(調剤薬局)0円0円0円0円0円
所得制限区市町村により異なるなし(令和6年4月から撤廃)あり(高所得世帯は対象外)なしなし
申請窓口各区市役所・町村役場各区役所保健福祉センター各区保健センター等各区役所等各区役所市民課等

この表からわかることは、「制度があること」は全国共通でも、「内容は自治体ごとに大きく違う」という現実です。

大阪市の自己負担には、覚えておくと得をする仕組みがあります。同一の医療機関での負担は1日500円ですが、これは「月2日まで」が上限です。つまり同じ病院に月3回以上かかった場合、3日目以降は自己負担が発生しません。さらに、複数の医療機関にかかったとしても、全医療機関の合計でひと月2,500円が上限です。通院が続く月でも負担が青天井にならない設計になっています。

調剤薬局での自己負担がゼロというのは5例すべてで共通していますが、通院の自己負担は大阪市のように上限つきで残る自治体もあれば、名古屋市のように完全無料の自治体もあります。

引っ越しを検討している方にとっては、対象年齢の広さと自己負担の大きさが家計に影響する要素になります。お子さんが複数いて通院頻度が高い場合は、年間の負担差が数万円単位になることもあります。

対象年齢別の申請タイミングと手続きの考え方

子ども医療費助成は、お子さんの年齢が変わるタイミングで医療証の種類が切り替わる自治体があります。東京都を例にすると、次のような節目があります。

出生直後は、出生届と同時または別途申請することで乳幼児医療証(マル乳)が交付されます。多くの自治体では出生届と連動して案内が届きますが、申請は保護者が行う必要があります。

就学(小学校入学)のタイミングでは、乳幼児対象の医療証が失効し、義務教育対象の医療証(東京都ではマル子)に切り替わります。切り替えの通知が届く自治体と、自分で申請が必要な自治体があります。

中学卒業・高校入学のタイミングでも同様に切り替えが発生する自治体があります(東京都ではマル子からマル青へ)。

高校生年代(15〜18歳年度末)の助成については、対応している自治体と対応していない自治体がまだ混在しています。2026年時点では、主要都市の多くが18歳まで対応していますが、地域によっては未対応のところもあります。特に地方の中小規模の自治体では、就学前または中学卒業まで、というところも残っています。

医療証の使い方と注意点

受診の基本手順

医療機関を受診する際は、健康保険証と医療証を一緒に窓口へ提示します。医療機関が自治体と契約している場合は、窓口でそのまま助成を受けられます(現物給付方式)。

自治体によっては「マイナ保険証で受診」に対応しているケースもありますが、医療証は引き続き必要な場合がほとんどです。受診前に医療機関への問い合わせか自治体のサイトで確認しておくと安心です。

医療証が使えない場面

以下の費用は、子ども医療費助成の対象外となります。自治体によって細部の扱いが異なる場合がありますが、一般的に対象外とされることが多い費用を挙げます。

これらは医療証を提示しても助成されないため、別途自己負担が発生します。受診前に医療機関に確認すると見通しが立てやすいです。

都道府県外・県外受診の場合

居住地の自治体の医療証は、原則として居住する都道府県内の医療機関での受診に使います。県外(東京都の場合は都外)で受診した場合は、医療証をその場で使えないことが多く、いったん自己負担を支払い、後から自治体に還付申請をする「償還払い」の手続きが必要になります。

旅行先や帰省先での急な受診を想定して、領収書を必ず保管しておくことをおすすめします。還付申請の有効期間も自治体によって異なりますが、受診日から2〜3か月以内という場合が多いです。

償還払いの申請では、次の書類を求められることが一般的です。手元にそろっているか、受診後すぐに確認しておくと手戻りが減ります。

つまずきやすいのは、領収書に「保険点数」や「保険診療か自由診療か」の区別が書かれていないケースです。受診時に窓口で「子ども医療費の還付申請に使うので、点数の記載がある領収書をお願いします」と一言伝えておくと、後日の差し戻しを避けられます。

転入・転出時の注意事項

転出前にすること

転出届を提出する前後に、旧医療証の有効期限が転出日の前日で終わることを確認します。転出日以降は旧医療証が使えないため、急ぎの受診は転出前に済ませておくのが安心です。転出時に旧医療証の返却を求める自治体が多いため、手続きの際に窓口でも確認します。

転入後にすること

転入届を提出したら、できるだけ早く子ども医療費助成の申請をします。前述の通り、転入日から6か月以内の申請であれば転入日に遡って資格が発生しますが、6か月を超えると申請日ベースになります。

転入先の自治体の助成内容(対象年齢・自己負担・所得制限)が転出元と異なる場合があるため、転入後は新しい自治体の制度を改めて確認することをおすすめします。

保険証が変わった場合

転職・就職・退職・扶養変更などで健康保険の種類や被保険者が変わった場合、医療証の記載内容と合わなくなることがあります。この場合は自治体に変更の届出が必要です。変更届出をしていないと、受診時に医療証が使えないケースがあります。

申請チェックリスト

出生時・転入時の初回申請

医療機関受診時

年次更新・切り替え時

医療証を使い忘れた場合・還付申請

よくある質問(FAQ)

Q1. 子ども医療費助成はすべての自治体で無料ですか。

無料かどうかは自治体によって異なります。完全に自己負担がゼロの自治体もあれば、通院のたびに一定額を負担する自治体もあります。お住まいの自治体の公式サイトか窓口で確認してください。

Q2. 上の子が小学生、下の子が3歳ですが、医療証は別々に申請が必要ですか。

はい、お子さん一人ひとりに対して医療証が発行されます。申請も個別に行う必要があります。ただし、同じ窓口で同時に手続きができる自治体がほとんどです。

Q3. 所得制限があると言われましたが、審査はいつ行われますか。

所得制限がある自治体では、一般的に前年の所得(または前々年)を基準として、年に1回審査が行われます。更新の時期(多くは年度初め)に自治体から通知が届きます。収入の大幅な変化があった年は、前年の所得が反映されるまでのタイムラグがあります。

Q4. 歯科や眼科でも使えますか。

保険診療の範囲であれば、歯科や眼科でも医療証を使えます。ただし、保険適用外の処置(審美歯科・コンタクトレンズの処方箋料など)は助成の対象外です。

Q5. 薬局でも医療証は使えますか。

処方箋による調剤薬局での費用は、子ども医療費助成の対象になっているケースが多く、多くの自治体で自己負担ゼロとなっています。健康保険証と医療証(またはマイナ保険証)を薬局でも提示してください。ただし市販薬は対象外です。

Q6. 高校生の子どもも対象になりますか。

2026年時点では、18歳年度末まで対象としている自治体が多数派ですが、対象が中学卒業まで・就学前のみという自治体もまだあります。お住まいの自治体の制度を確認してください。高校在学中かどうかは問わない自治体が多いです。

Q7. 転居後、新しい医療証が届くまでの間に受診が必要になった場合はどうすればいいですか。

いったん窓口で通常の自己負担額を支払い、医療証が届いてから還付申請(払い戻し申請)をする流れになります。領収書は必ず保管してください。還付申請の受付期間は自治体によって異なるため、窓口か公式サイトで確認します。

Q8. マイナンバーカードがあれば医療証は不要になりますか。

マイナ保険証(マイナンバーカードを健康保険証として利用)への対応は進んでいますが、子ども医療費助成の医療証については、2026年6月時点では別途提示が必要な医療機関・自治体が多い状況です。「マイナ保険証だけで受診できる」かどうかは、受診する医療機関と自治体の両方で確認することをおすすめします。

Q9. 所得制限に引っかかる場合、まったく助成が受けられなくなりますか。

所得制限がある自治体の場合、一定の所得を超えると助成の対象外となります。ただし「対象外」とは助成を受けられないという意味であり、通常の健康保険での受診はできます。また、所得状況は毎年見直されるため、収入が変わった翌年度から対象に戻る場合もあります。

Q10. 保護者が自営業やフリーランスで収入が不安定な場合、所得制限の審査はどうなりますか。

一般的に、前年の所得(確定申告の所得金額)が審査の基準になります。収入が変動しやすい自営業・フリーランスの方の場合、前年の所得によっては対象外と判定される年もあれば、翌年度から対象に戻る年もあります。詳細はお住まいの自治体に確認してください。

Q11. 制度が改善されるかどうかはどこで確認できますか。

お住まいの市区町村の公式サイトや広報誌で告知されます。制度改正は年度初め(4月)に反映されることが多いため、3月頃にサイトを確認する習慣をつけておくと見逃しが減ります。こども家庭庁も全国の動向をまとめた資料を公表していることがあります。

自分の自治体の制度を調べる方法

インターネットで「(市区町村名) 子ども医療費助成」または「(市区町村名) こども医療証」と検索すると、各自治体の公式サイトがヒットします。

確認しておくと便利な項目は以下の5点です。

  1. 対象年齢(何歳の年度末まで助成されるか)
  2. 自己負担の有無と金額(通院・入院・調剤薬局それぞれ)
  3. 所得制限の有無と基準
  4. 医療証の申請方法と必要書類
  5. 更新時期と更新の手続き(自動更新か、手続きが必要か)

厚生労働省が都道府県ごとの乳幼児等医療費助成の概要を毎年調査・公表しています。都道府県レベルの制度概要を確認したい場合は、厚生労働省の資料も参考になります。

出典一覧(URL・確認日)

本記事は以下の一次情報を確認した上で執筆しています。

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/josei/marunyu

確認日:2026年6月27日

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/josei/maruko

確認日:2026年6月27日

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/josei/maruao

確認日:2026年6月27日

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000369443.html

確認日:2026年6月27日

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000597952.html

確認日:2026年6月27日

https://www.city.sapporo.jp/hoken-iryo/iryojosei/kakudai.html

確認日:2026年6月27日

https://www.city.sapporo.jp/hoken-iryo/iryojosei/gendo.html

確認日:2026年6月27日

https://www.city.sendai.jp/kate/kurashi/kenkotofukushi/kosodate/teate/kodomoiryou_r8seidokaisei.html

確認日:2026年6月27日

https://www.city.sendai.jp/kate/kurashi/kenkotofukushi/kosodate/teate/jose.html

確認日:2026年6月27日

https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000097221.html

確認日:2026年6月27日

https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e049/qa/kosodate/kosodate/marunyu/nyuyojiiryo02.html

確認日:2026年6月27日

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言・医療の受診勧奨を行うものではありません。子ども医療費助成の内容は自治体によって異なり、毎年改定されることがあります。申請前に必ずお住まいの自治体の公式サイトまたは窓口で最新情報をご確認ください。助成を受けるためには要件を満たす必要があり、要件を満たしていても自治体の審査結果によっては対象外となる場合があります。