結婚新生活支援事業:新婚世帯に最大60万円の補助。2026年度の要件と申請の流れを解説します

本記事は2026年6月25日時点の公開情報に基づきます。補助上限額・対象要件・受付期間・実施自治体は年度ごとに変更されますので、申請前に必ずお住まいの自治体の公式サイトで最新情報をご確認ください。

この記事でわかること

この記事は、2026年(令和8年)に婚姻を予定している、またはすでに婚姻届を提出した新婚世帯の方を対象に書いています。

申請は新婚世帯ご本人が行います。行政書士や社労士などの専門家を介さなくても、ご自身で申請できる制度です。ただし申請先はハローワークや国の窓口ではなく、お住まいの市区町村です。しかも、すべての市区町村がこの事業を実施しているわけではありません。この点がこの制度の最大の特徴であり、最初に押さえておくべきことです。

本記事は情報提供を目的としており、申請書類の作成代行や個別の申請支援は行っていません。記載内容は一般的な制度の解説と準備の流れにとどまります。

この制度は何か

「結婚新生活支援事業」は、こども家庭庁が少子化対策の一環として推進している補助制度です。正式な制度名は「地域少子化対策重点推進交付金」の一メニューで、国が費用の一部を負担する形で、各市区町村が独自に実施する事業として設計されています。

制度の背景にあるのは、結婚という人生の大きな節目に伴う経済的な負担です。新居への引越し、敷金・礼金・仲介手数料、そして毎月の家賃。こうした住まいに関わる初期費用が、婚姻を躊躇させる一因になっているという認識のもと、この補助が設けられました。

補助の対象になるのは住居に関わる費用と引越し費用が中心です。生活用品の購入費や家電代などは、国の標準的な基準では対象外となっています(一部の自治体が上乗せ補助として対応している場合はあります)。

いくらもらえるか

婚姻時に夫婦ともに29歳以下であれば最大60万円、夫婦の一方または両方が30歳から39歳であれば最大30万円が補助の目安です。ただし「最大」という点に注意が必要です。実際の補助額は、対象経費として認められる費用の合計を上限として交付されるため、かかった費用が少なければ補助額もそれに応じて小さくなります。

また自治体によって上限額が国の基準と異なる場合があります。横須賀市の事例では、49歳以下を対象に独自の上限を設けており、国の基準(39歳以下)より年齢要件を広げた自治体も存在します。

この上限額の詳細と適用条件については、続きで整理します。

【無料サンプル】「自分の場合いくら戻るか」を1ケースだけ無料で全部見せます

ここで、続きで扱う計算の中身を1つだけ、最後まで省略せずにお見せします。多くの方が最初に知りたいのは「結局、自分の場合はいくら戻ってくるのか」という一点だと思います。そこで、もっとも問い合わせの多いと思われる賃貸の新婚世帯のケースを、対象経費の拾い方から差し引きまで通しで解いてみます。

設定はこうです。夫27歳・妻26歳で、婚姻日において二人とも29歳以下とします。賃料・共益費の対象を4か月分まで認める自治体(岐阜市で確認されている扱い。船橋市のように支払い時期等の条件で2か月分か4か月分かが変わる自治体もあります)に新居を構えると仮定します。所得は夫婦合算で480万円とし、500万円未満という基準は満たしているものとします。新居の契約内容と引越し費用は、次のとおりとします。

まず、補助の対象になりうる費用を拾い上げます。敷金12万円、礼金6万円、仲介手数料6万6千円は、それぞれ初期費用としてそのまま対象に含められるのが一般的です。ここまでで24万6千円です。

次に、賃料と共益費です。この自治体は4か月分までを対象としているため、家賃6万円と共益費5千円を合わせた月6万5千円に4をかけた26万円が、賃料・共益費の対象上限となります。

ここで見落としがちなのが住宅手当の差し引きです。勤務先から住宅手当が支給されている場合、その分は対象経費から控除するのが一般的な扱いです。月1万円の住宅手当を賃料・共益費の対象期間と同じ4か月分で見ると4万円になりますので、賃料・共益費の対象額26万円から4万円を引いて22万円とします。なお、住宅手当をどの範囲・どの月数で差し引くかは自治体によって運用が分かれるため、ここでは賃料対象月数に合わせて差し引く保守的な見方を採っています。

最後に引越し費用です。引越し業者へ支払った8万円は、業者を介した実費なのでそのまま対象に含められるのが一般的です。

ここまでを合計します。初期費用24万6千円、賃料・共益費(住宅手当差し引き後)22万円、引越し費用8万円で、対象経費の合計は54万6千円になります。

このケースは二人とも29歳以下なので、補助上限は60万円です。対象経費の合計54万6千円が上限60万円を下回っているため、交付されるのは対象経費の実額にあたる54万6千円が目安になります。ここで思い出していただきたいのが、補助額は「上限60万円」ではなく「対象経費の合計を上限とした額」だという点です。かかった費用が60万円に届かなければ、戻ってくるのも費用の範囲内にとどまります。逆に、対象経費が70万円や80万円になっても、29歳以下の世帯では60万円が頭打ちになります。

仮に同じ条件で、夫婦のどちらかが30歳から39歳だった場合は、上限が30万円に下がります。その場合は対象経費が54万6千円あっても、交付額は30万円で頭打ちになる計算です。年齢区分ひとつで戻る額が24万円以上変わりうるという点は、申請を検討する段階で押さえておきたいところです。

なお、この54万6千円という金額はあくまで対象経費を満額認められた場合の目安です。実際には領収書の不備、対象期間外の支払い、対象外経費の混入などで減額されることがあります。また自治体によって賃料の対象月数(1か月分のみとする自治体もあります)や住宅手当の差し引き方が異なるため、同じ契約内容でも戻る額は変わってきます。

ほかのケース(賃貸ではなく住宅購入の世帯、所得が基準ぎりぎりの世帯、奨学金返済を控除して基準を満たす世帯など)の計算例や、申請の実務、チェックリスト、よくある質問は、この続きで解説します。

ここから先は、申請に直結する実務です。

対象者の判定軸

自分がこの制度の対象になるかどうかは、主に5つの軸で判断します。

1つ目は婚姻日の時期です。多くの自治体では令和8年1月1日から令和9年3月31日の間に婚姻届が受理されていることが条件となっています。ただし自治体によって対象婚姻期間が異なるため、令和7年末に婚姻した方も一部の自治体では対象になる可能性があります。確認は必須です。

2つ目は年齢です。国の標準的な基準では、婚姻届出日の時点で夫婦ともに39歳以下であることが必要です。片方だけが39歳以下では対象にならない点に注意してください。年齢の判定には、誕生日の前日に年をとるという民法上の数え方が使われます。

3つ目は所得です。夫婦の所得(税務上の所得金額)を合算した額が500万円未満であることが求められます。これは手取り額や年収とは異なります。目安として年収ベースでは650万円前後が境界線とされていますが、給与収入以外の所得がある場合は計算が変わります。所得の確認には、課税証明書(所得証明書)が必要です。源泉徴収票では受け付けない自治体が多いため、確定申告の有無にかかわらず、市区町村で発行する所得証明書を取得してください。

貸与型奨学金の返済が続いている場合は、その年間返済額を所得から差し引いて計算できます。たとえば夫婦合算の所得が540万円であっても、二人の年間奨学金返済額の合計が50万円以上あれば、500万円未満という基準をクリアできる場合があります。ただし給付型奨学金(返済不要)は控除の対象にはなりません。

4つ目は居住地です。補助を申請できるのは、その事業を実施している自治体に住んでいる(または転入する予定の)世帯に限られます。「事業を実施していない自治体に住んでいれば申請できない」という点は、後述の「よくある誤解」でも触れます。

5つ目は講座等の受講です。令和8年度から、39歳以下の夫婦が申請する場合、夫婦ともに下記のいずれか一つを受講または実施していることが必須要件に加わりました。(1)ライフデザイン支援講座、(2)プレコンセプションケアに関する講座、(3)医療機関への妊娠・出産に関する相談、(4)共家事・共育て講座。国の標準では令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に夫婦ともに受講等を済ませていることが求められます(受講を片方だけで済ませると要件を満たしません)。受講のタイミングや認定される講座の範囲は自治体によって異なります。申請前に担当窓口で確認してください。なお、横須賀市のように独自に40歳以上の世帯には受講を任意としている自治体もあります。

補助対象となる経費の範囲

補助の対象になる経費は、大きく4種類に分かれます。

住宅を賃借する場合は、敷金・礼金・仲介手数料・賃料(家賃)・共益費が対象です。ただし賃料と共益費については、多くの自治体で上限月数が設けられています。1か月分のみ対象とする自治体(加古川市)、3か月分まで対象とする自治体(仙台市)、4か月分まで対象とする自治体(岐阜市)など、自治体によって異なります。また、会社から住宅手当を受け取っている場合は、その分を対象経費から差し引くよう求められることが一般的です。

住宅を購入する場合は、建物部分の購入費・工事費が対象です。土地の購入代金は対象外です。

リフォーム費用は、婚姻を機に行った修繕・増改築・設備更新の工事費が対象です。

引越し費用は、引越し業者に支払った実費が対象です。レンタカーを自分で借りた場合など、業者を介さない引越し費用は対象外とする自治体が多くあります。

「すでに住んでいた住宅はどうなるか」という疑問もよく出ます。婚姻日よりも1年以上前から二人が同居していた住宅については、補助対象外とする自治体が多くなっています。結婚を機に初めて新居を構えるケースが本来の想定です。

補助の対象期間についても確認が必要です。多くの自治体では令和8年4月1日以降に支払った費用が対象となりますが、令和8年1月1日以降を対象とする自治体もあります。婚姻日より前に支払った費用については、婚姻日から遡って1年以内であれば対象とするケースもあります(住宅取得費・リフォームに限る場合が多い)。

また、補助金は課税対象(一時所得)となります。受け取った額が他の一時所得と合わせて50万円を超える場合は確定申告が必要になる可能性があります。

2026年度(令和8年度)の上限額と所得制限

国が示す令和8年度の標準的な要件は以下のとおりです(2026年6月25日確認)。

補助上限額は、婚姻日において夫婦ともに29歳以下の場合は60万円、夫婦の一方または両方が30歳から39歳の場合は30万円です。

所得制限は、夫婦の所得合計が500万円未満です。奨学金(貸与型)の返済がある場合は年間返済額を差し引いて計算します。

年齢上限は、婚姻日において夫婦ともに39歳以下です。

受講要件として、令和8年度から39歳以下の申請世帯は、夫婦ともにライフデザイン支援講座・プレコンセプションケア講座・医療機関への妊娠出産相談・共家事共育て講座のいずれか一つを受講または実施することが必須となりました(国の標準基準では令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に夫婦ともに受講等)。受講を証明する書類の提出を求める自治体もあります。申請前に担当窓口で受講実績の確認を受けてください。

ただし、個々の自治体がこの基準を上回る補助や独自の条件を設けているケースもあります。横須賀市は49歳以下まで対象を広げていること、岡山県内の一部自治体では「パワーアップ事業」として家電・家具代も補助対象とする事業を実施していることが確認されています。自治体ごとの実際の条件については必ず現地で確認してください。

自分の自治体が実施しているかを確認する方法

この制度は全国すべての市区町村で実施されているわけではなく、実施するかどうかは各自治体の判断に委ねられています。実施市町村数は都道府県の公式サイトで公表されており、令和8年度時点で北海道61市町村、岐阜県26市町村、愛知県11市町村などが確認できます(各都道府県公式サイトより。2026年6月25日確認)。兵庫県は令和7年度時点で26市町が実施しており、令和8年度の確定数は各県の更新を要確認です。実施市町村数は年度ごとに更新されるため、最新の数字は必ずお住まいの都道府県の公式ページでご確認ください。

自分の自治体が実施しているかを調べる最も確実な方法は、都道府県の公式ウェブサイトで「結婚新生活支援事業 実施市町村」と検索することです。多くの都道府県が実施自治体の一覧をまとめたページを公開しています。

都道府県ページで見つからない場合は、お住まいの市区町村の公式ウェブサイトを直接確認するか、子育て支援・少子化対策の担当窓口に電話で問い合わせてください。

なお、転入を伴う場合は、現在住んでいる自治体ではなく、新居を構える自治体での実施が前提となります。「転出元の自治体が実施していても、転入先が実施していなければ申請できない」という点に注意が必要です。

誰がいつ申請するか

申請者は新婚世帯の本人(夫婦)です。婚姻した当事者が、新居を構えた自治体の窓口に申請します。

申請できる期間は自治体によって異なります。多くの場合、令和8年4月1日から令和9年3月31日の間が申請受付期間です。ただし予算に上限がある事業のため、予算に達した時点で受付を終了する自治体があります。申請を考えているなら、早めに動くほうが安全です。

6月末までに申請する場合と7月以降に申請する場合では、使用する所得証明書の基準年度が変わる場合があります。6月末までは令和6年(2024年)分の所得証明書、7月以降は令和7年(2025年)分の所得証明書が求められることが一般的です。

婚姻届の提出と申請の順序については特に制限はありません。婚姻届を出してから住宅費用を支払い、費用の支払いが完了した後に申請するという流れが標準的です。住宅費用の支払い前に申請する仕組みにはなっていません。

申請の流れと事前準備

一般的な申請の流れは次のとおりです。

  1. お住まいの(または転入予定の)市区町村が実施しているか確認する
  2. 対象となる婚姻期間・経費の支払い期間を確認する
  3. 対象経費を支払う(賃貸契約・引越し等)
  4. 必要書類を収集する
  5. 市区町村の窓口または電子申請で申請書を提出する
  6. 審査後、補助金が振り込まれる

必要書類の基本セットは次のとおりです。自治体によって追加書類が求められる場合があります。

領収書の原本は返却されない場合があるため、事前にコピーを取っておくと安心です。クレジットカードの明細や銀行口座の通帳写しが領収書の代わりに認められる自治体もあります。申請書類の準備を始める前に、担当窓口に「何が必要か」を事前確認するひと手間が、差し戻しを防ぐための最短ルートです。

よくある誤解・つまずきポイント

「結婚すれば誰でももらえる」という誤解が最も多いものです。この事業はすべての自治体が実施しているわけではなく、実施していない自治体に住んでいる新婚世帯は対象になりません。2026年度の実施自治体数は国全体でも限られており、まずは「自分の自治体が実施しているか」を最初に調べることが出発点です。

転入と申請の関係でつまずくケースも多くあります。補助を受けるためには新居が実施自治体内にあることが必要です。婚姻前から二人が別々の自治体に住んでいた場合、どちらの自治体に新居を構えるかで申請できるかどうかが決まります。転入した後でなければ申請できない自治体も多いため、転入届の提出と申請のタイミングを確認してください。

所得基準の「合計所得」は年収と異なります。給与所得者の場合、年収から給与所得控除を差し引いた額が所得となります。たとえば年収が夫婦それぞれ300万円の場合、合計年収は600万円ですが、合計所得は500万円を下回ることが一般的です。正確には源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を参照するか、市区町村で発行する課税証明書を取得して確認してください。

「婚姻前に契約した住宅はどうなるか」という疑問もよくあります。多くの自治体では、住宅取得費やリフォーム費については婚姻日から1年以内に取得したものが対象となります。賃貸の賃料については、対象期間(多くは令和8年4月1日以降)に支払ったものが対象で、契約日ではなく支払日で判断されます。

令和8年度から39歳以下の申請世帯には夫婦ともに講座等の受講が必須です。片方だけの受講では要件を満たしません。この要件を知らないまま費用を支払い、受講前に申請しようとすると、審査で不交付となるリスクがあります。補助金の申請を考えているなら、費用支払いより前に「どの講座が認められるか」を自治体に確認し、夫婦そろって受講を済ませておくことが安全です。

過去に同様の補助を受けた世帯は申請できません。他の自治体で結婚新生活支援事業の補助を受けたことがある場合も対象外となります。

他制度との関係

移住支援金(東京圏から地方への移住を対象とした支援金。記事06で詳しく解説します)との関係について、よく質問を受けます。

移住支援金は「東京圏から一定の要件を満たす地方への移住」を条件とする別の制度で、実施主体は都道府県・市区町村です。両制度を同一世帯で受け取ることは、一般的に可能とされています。ただし、それぞれの自治体が独自の制限を設けている場合もあるため、移住と婚姻を同時に行う場合は、必ず申請先の自治体窓口に「二つの制度の同時申請は可能か」を直接確認してください。

現時点の補助上限額・所得基準(2026年6月25日確認)

区分補助上限額
婚姻日において夫婦ともに29歳以下の世帯60万円(上限)
婚姻日において夫婦の一方または両方が30〜39歳の世帯30万円(上限)

所得基準:夫婦の所得合計が500万円未満(貸与型奨学金の年間返済額は控除可)

年齢要件:婚姻日において夫婦ともに39歳以下(国の標準基準)

受講要件(令和8年度新設):39歳以下の夫婦は、夫婦ともにライフデザイン支援講座・プレコンセプションケア講座・妊娠出産に関する医療機関相談・共家事共育て講座のいずれか一つを受講または実施することが必須(国の標準基準では令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に夫婦ともに受講等。自治体により詳細異なる)

婚姻対象期間:令和8年1月1日〜令和9年3月31日に婚姻届が受理されていること(自治体により異なる)

申請受付期間:多くの自治体で令和8年4月1日〜令和9年3月31日(自治体・予算状況による)

なお、上記はあくまで国の標準的な基準です。実際の補助上限額・所得制限・年齢要件・申請期間は自治体ごとに異なります。

申請チェックリスト

申請の前に確認しておきたい項目を、準備物・期限・窓口・注意点に分けて整理します。自治体によって運用が異なる部分があるため、最終的にはお住まいの(または転入予定の)市区町村の案内に従ってください。

事前に確認しておきたいことは次のとおりです。

そろえておきたい準備物は次のとおりです。自治体により追加・省略があります。

期限について押さえておきたい点は次のとおりです。

窓口については、申請先は国の機関やハローワークではなく、新居を構える市区町村の子育て支援・少子化対策の担当課が一般的です。電子申請に対応している自治体もありますが、対応状況は自治体ごとに異なります。

注意しておきたい点として、領収書の原本は返却されないことがあるため事前にコピーを取っておくこと、対象外経費(土地代・家具家電・レンタカーによる引越しなど、国の標準では対象外)を含めて申請しないこと、住宅手当が対象経費から差し引かれること、そして書類の準備を始める前に担当窓口へ「何が必要か」を一度確認しておくことが、差し戻しを防ぐ近道になります。

具体的な計算例・記入例

無料サンプルで示した賃貸の29歳以下世帯とは別に、条件の異なる3つのケースを計算過程まで示します。いずれも対象月数や差し引きの運用は自治体によって変わるため、戻る額の目安としてご覧ください。

ケース1は、住宅を購入した30代の世帯です。夫34歳・妻32歳で、夫婦のどちらかが30歳から39歳に該当するため、補助上限は30万円です。婚姻を機に建売住宅を購入し、建物部分の購入費が2,000万円かかったとします。住宅購入の場合は建物部分の購入費・工事費が対象ですが、対象経費がいくら大きくても、この世帯の上限は30万円で頭打ちになります。したがって、対象経費が上限を大きく超えているため、交付額の目安は30万円です。記入の際は、売買契約書の写しと、建物部分の金額がわかる書類(土地と建物の内訳が記載されたもの)を添付し、土地代を含めないように建物部分のみを対象経費欄に記入するのがポイントです。土地と建物が一体価格になっている場合は、按分の方法を窓口に確認してください。

ケース2は、所得が基準ぎりぎりの賃貸世帯です。夫28歳・妻27歳で二人とも29歳以下、補助上限は60万円です。夫の所得が270万円、妻の所得が225万円で、合計495万円とします。500万円未満という基準をわずかに満たしているケースです。対象経費は、敷金・礼金・仲介手数料で20万円、賃料・共益費の対象(4か月分の自治体・住宅手当なし)が月6万8千円の4か月分で27万2千円、引越し費用が7万円で、合計54万2千円とします。上限60万円を下回っているため、交付額の目安は対象経費の実額にあたる54万2千円です。このケースで注意したいのは所得の判定です。所得は年収ではなく、課税証明書に記載される「所得金額」で見ます。記入の際は、夫婦それぞれの所得証明書の「所得金額」欄を合算して申請書に記入し、年収(給与収入額)と取り違えないことが重要です。合算所得が500万円を1円でも超えると対象外になるため、課税証明書の数字を必ず確認してください。

ケース3は、奨学金の返済を控除して所得基準を満たす世帯です。夫29歳・妻29歳で二人とも29歳以下、補助上限は60万円です。夫婦の合計所得が530万円で、一見すると500万円未満の基準を超えています。しかし、二人が貸与型奨学金を返済しており、年間返済額の合計が40万円あるとします。この場合、合計所得530万円から年間返済額40万円を差し引いた490万円で判定でき、500万円未満の基準を満たすことになります。控除の対象になるのは返済義務のある貸与型奨学金で、返済不要の給付型奨学金は控除できません。記入の際は、所得証明書に加えて、奨学金の年間返済額がわかる書類(日本学生支援機構の返還証明書や返還予定表など)を添付し、申請書の所得欄には控除後の金額と控除前の金額の両方を、自治体の様式に沿って記入します。控除の計算方法や対象とする返済額の範囲(前年実績か当年見込みかなど)は自治体によって異なるため、事前に窓口で確認しておくと安心です。

これらはいずれも、対象経費を満額認められた場合の目安です。実際には領収書の体裁、対象期間外の支払い、対象外経費の混入などで減額される可能性があります。

よくある質問(FAQ)

申請を検討する際に迷いやすい点を、質問と回答の形でまとめます。回答はいずれも国の標準的な扱いに基づくもので、最終的な判断は自治体ごとに異なります。

Q1. 入籍すれば全国どこでももらえますか。

いいえ、もらえるとは限りません。この事業はすべての市区町村が実施しているわけではなく、実施していない自治体に住んでいる新婚世帯は対象になりません。まず、新居を構える自治体が実施しているかを確認することが出発点になります。

Q2. 結婚式や披露宴の費用は対象になりますか。

国の標準的な基準では対象外です。対象になるのは住居に関わる費用(敷金・礼金・仲介手数料・賃料・共益費・住宅取得費・リフォーム費)と引越し費用が中心で、結婚式・披露宴・新婚旅行などの費用は含まれないのが一般的です。

Q3. 家具や家電の購入費は対象になりますか。

国の標準的な基準では対象外です。ただし、岡山県内の一部自治体が「パワーアップ事業」として家具・家電代を補助対象に加えている例が確認されています。自治体独自の上乗せがあるかどうかは、現地で確認してください。

Q4. すでに一緒に住んでいた住宅でも対象になりますか。

対象外とする自治体が多くなっています。婚姻日より1年以上前から二人が同居していた住宅については、補助対象外とする扱いが一般的です。結婚を機に新たに新居を構えるケースが本来の想定とされています。

Q5. 婚姻届を出す前に契約した住宅の費用はどう扱われますか。

賃料・共益費については、契約日ではなく支払日で判断され、対象期間内(多くは令和8年4月1日以降)に支払ったものが対象になるのが一般的です。住宅取得費やリフォーム費については、婚姻日から1年以内に取得したものを対象とする自治体が多く見られます。

Q6. 所得制限の「500万円未満」は年収のことですか。

いいえ、年収ではありません。課税証明書(所得証明書)に記載される「所得金額」を夫婦で合算した額で判定します。給与所得者の場合は、年収から給与所得控除を差し引いた後の金額が所得にあたります。年収ベースではおおむね650万円前後が境界の目安とされますが、正確には所得金額で確認してください。

Q7. 奨学金を返済中です。所得から差し引けますか。

貸与型(返済義務のある)奨学金であれば、年間返済額を所得から差し引いて判定できるのが一般的です。これにより、合計所得が500万円をやや超えていても基準を満たせる場合があります。返済不要の給付型奨学金は控除の対象になりません。

Q8. 共働きでそれぞれ収入があります。合算で判定されますか。

はい、夫婦の所得は合算して判定されます。片方の所得が高くても、もう一方の所得と合わせた合計が500万円未満であれば、所得の基準は満たすことになります。

Q9. 補助金は税金の対象になりますか。

一時所得に該当するとされています。受け取った補助金が、他の一時所得と合わせて年間50万円を超える場合は、確定申告が必要になる可能性があります。詳しくは税務署や自治体の案内で確認してください。

Q10. 講座の受講は必ず必要ですか。

令和8年度から、39歳以下の申請世帯については、夫婦ともにライフデザイン支援講座・プレコンセプションケア講座・妊娠出産に関する医療機関相談・共家事共育て講座のいずれか一つを受講または実施することが、国の標準的な基準として必須となりました(標準では令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に夫婦ともに受講等)。片方だけの受講では要件を満たさない点に注意してください。横須賀市のように40歳以上の世帯には受講を任意とする自治体もあります。どの講座が認められるかは自治体ごとに異なるため、費用を支払う前に確認しておくと安全です。

Q11. 他の自治体で同じ補助を受けたことがあります。また申請できますか。

できないのが一般的です。過去に結婚新生活支援事業の補助を受けたことがある世帯は、別の自治体であっても対象外とされることが多くなっています。

Q12. 移住支援金と両方もらうことはできますか。

両制度を同一世帯で受け取ることは、一般的には可能とされています。ただし、それぞれの自治体が独自の制限を設けている場合もあるため、移住と婚姻を同時に行う場合は、申請先の自治体に同時申請が可能かを直接確認してください。

Q13. 申請から振り込みまでどのくらいかかりますか。

自治体によって異なるため一概には言えませんが、申請後に審査を経て交付が決まり、その後に振り込まれる流れが一般的です。年度末に近い時期の申請は処理が混み合うことがあるため、余裕をもって申請するほうが安全です。

Q14. 領収書を紛失してしまいました。代わりになるものはありますか。

クレジットカードの利用明細や銀行口座の通帳の写しを領収書の代わりに認める自治体もあります。ただし対応は自治体ごとに異なるため、まずは担当窓口に相談してください。原本が返却されないことがあるため、提出前にコピーを取っておくことをおすすめします。

Q15. 予算がなくなると締め切られると聞きました。早く申請したほうがよいですか。

予算に上限がある事業のため、受付期間の途中でも予算に達した時点で締め切る自治体があります。対象になりそうであれば、必要書類の準備を早めに進め、対象経費の支払いと申請のタイミングを整えておくと安心です。

出典一覧(確認日:2026年6月25日)

https://www.cfa.go.jp/policies/shoushika/koufukin

https://www.cfa.go.jp/policies/shoushika/koufukin/r8

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kms/kekkon-sinseikatusien.html

https://www.pref.okayama.jp/page/855667.html

https://www.pref.gifu.lg.jp/page/221752.html

http://web.pref.hyogo.lg.jp/kf11/kekkonnshien.html

https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kosodate/tiikishousika.html

https://www.pref.chiba.lg.jp/kosodate/shoshikataisaku/r7sicyousonzigyou.html

https://www.city.funabashi.lg.jp/machi/juutaku/005/p129063.html

https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0810/kekkonshien.html

https://www.city.sendai.jp/kodomo-wakamonokikaku/wakamono/kekkonsinseikatu.html

https://www.city.kakogawa.lg.jp/soshikikarasagasu/kodomo/kodomoseisaku/kekkonshinseikatsu/31177.html

https://www.city.gifu.lg.jp/kosodate/kosodateshien/1003631/1004162.html

https://www.city.ageo.lg.jp/page/304984.html

https://www.city.sakura.lg.jp/soshiki/jutakuka/103/2843.html

https://www.city.matsudo.chiba.jp/kurashi/sumai/tatemono_jyosei/marriage_new_life.html

免責事項

本記事は2026年6月25日時点の公開情報をもとに作成した一般的な情報提供を目的としたものです。補助金額・対象要件・申請期間・実施自治体は年度ごとに変更されます。申請にあたっては必ず申請先自治体の公式情報をご確認ください。本記事の情報を参照したことによって生じた損害について、筆者は責任を負いかねます。