介護で使える自治体サービスまとめ(紙おむつ支給・配食・緊急通報・住宅改修上乗せ)
本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・受付期間はいずれも変更されることがあるため、申請前に必ず各自治体の公式サイトや窓口で最新情報をご確認ください。
この記事が整理すること
介護保険のサービスを使いながら在宅介護を続けているご家族が、「まだほかに使える制度があるらしいけれど、どこで調べればいいかわからない」という状況に陥ることがあります。原因は明確で、介護保険制度のほかに、市区町村が独自に実施している支援サービスが存在するにもかかわらず、介護保険の制度説明の中では詳しく紹介されないからです。
この記事が対象にしているのは、介護保険の「外側」にある自治体独自のサービスです。具体的には、紙おむつの支給・助成、食事の宅配を補助する配食サービス、緊急時の連絡体制を整える緊急通報装置の貸与、そして介護保険の住宅改修費(上限20万円)に自治体が独自に上乗せする補助、さらに訪問理美容・寝具清掃・移送サービス・徘徊SOSネットワークといったその他の独自サービスが対象です。
これらは全国共通の金額や条件がある制度ではなく、市区町村ごとに実施の有無・内容・費用が大きく異なります。そのため、この記事では「探し方と共通の判断軸」を示し、具体例として参照できる自治体の数値を補足する形で整理します。紹介する自治体の数値は2026年6月27日時点の確認によるもので、実際の利用にあたっては必ず最新情報をご確認ください。
この記事で整理すること:
- 介護保険と自治体独自サービスの違い(上乗せサービス・横出しサービスの概念)
- 紙おむつ支給制度の3方式(現物支給・助成券・償還払い)、対象要件、所得制限、上限額
- 配食サービスの仕組み、安否確認との兼用、対象要件と申請方法
- 緊急通報装置・見守りシステムの貸与型と設置費補助、対象者と費用負担
- 介護保険住宅改修費(20万円枠)の詳細と自治体上乗せ補助の探し方
- 訪問理美容・寝具清掃・移送サービス・徘徊SOSネットワークなどその他のサービス
- 申請の流れ(調査→申請書提出→審査→利用開始)
- 自治体差の調べ方(公式ウェブサイト・広報・地域包括支援センター)
- 医療費控除との併用可否(おむつ代・住宅改修費)
- サービスを組み合わせた月あたりの自己負担シミュレーション
この記事の読者として想定しているのは、在宅介護を担っているご家族、担当のケアマネジャーと相談しながら利用できるサービスを増やしたいと考えているご本人や支援者です。本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成の代行は行いません。
制度の全体像
介護保険と自治体独自サービスの2層構造
介護保険制度は、要支援1・2または要介護1〜5の認定を受けた方が利用できる全国共通の仕組みです。保険者(運営主体)は市区町村ですが、サービスの種類・単価・給付割合は国が定めており、全国どこでも同じ制度のもとで使えます。
これに対して、自治体独自サービスは各市区町村が地方財政の中から独自に実施しているものです。介護保険制度の上に「上乗せ」する形のものと、介護保険とは別の目的で「横出し」するものに分かれます。
上乗せサービスとは、介護保険が定める支給限度額や給付割合を超えて、自治体がさらに費用を補助するものです。住宅改修費への上乗せ補助が代表例で、介護保険の20万円枠を使いきった後に、自治体の独自予算からさらに補助を受けられる仕組みです。
横出しサービスとは、介護保険の対象外のサービスを自治体が独自に提供するものです。紙おむつの支給、配食サービスの補助、緊急通報装置の貸与、訪問理美容、寝具洗濯などが代表例です。介護保険の認定を受けていない方でも対象になる制度もあります。
重要な点として、これらの制度は市区町村ごとに実施の有無が異なり、同じ都道府県内でも隣の市と制度が違うことは珍しくありません。引越しをした場合は、転居先の市区町村で改めて確認が必要です。
主な制度の早見表
| サービス名 | 介護保険の内外 | 典型的な対象者 | 申請窓口の例 |
|---|---|---|---|
| 紙おむつ支給・助成 | 介護保険外(横出し) | 要介護者・在宅の高齢者 | 市区町村高齢福祉課 |
| 配食サービス補助 | 介護保険外(横出し) | ひとり暮らし高齢者等 | 市区町村高齢福祉課・地域包括 |
| 緊急通報装置貸与 | 介護保険外(横出し) | ひとり暮らし高齢者等 | 市区町村高齢福祉課 |
| 住宅改修費上乗せ補助 | 介護保険外(上乗せ) | 要介護認定者・在宅 | 市区町村介護保険担当課 |
| 介護保険住宅改修費 | 介護保険内 | 要支援1〜要介護5 | 市区町村介護保険担当課 |
| 訪問理美容補助 | 介護保険外(横出し) | 要介護者・外出困難者 | 市区町村高齢福祉課 |
| 寝具洗濯・乾燥消毒 | 介護保険外(横出し) | 要介護者等 | 市区町村高齢福祉課 |
| 移送サービス | 介護保険外(横出し) | 外出困難な高齢者等 | 市区町村高齢福祉課 |
| 徘徊SOSネットワーク | 介護保険外(横出し) | 認知症高齢者のいる家族 | 市区町村高齢福祉課・警察 |
自治体によっては上記の一部を実施していない場合があります。また同一の制度でも、所得要件・要介護度・世帯構成によって対象者が絞られることがあります。
【無料サンプル】要介護3の独居高齢者Aさん(非課税世帯)に使えるサービスを一通り申請してみるケース
在宅介護の場面でどのようなサービスが使えるのかを、1つのケースで手順・金額・窓口まで完結して解説します。あくまで制度の理解を助けるための例示であり、実際の給付額は居住する自治体・世帯の所得・要介護度などで変わります。
Aさんのプロフィール:
- 75歳女性、ひとり暮らし
- 要介護3の認定を受けている
- 市民税非課税世帯
- 在宅で生活中。日中は介護保険の訪問介護・通所介護を利用
- 常時失禁があり、紙おむつを使用
- 一人で食事を準備することが難しい
- 独居なので緊急時の連絡手段が心もとない
このAさんが介護保険の「外側」で利用できる自治体独自サービスを、実際の申請手順に沿って整理します。ここでは横浜市・大阪市・船橋市等の実例を参照しながら、典型的な手順を示します(確認日:2026年6月27日。各制度の内容は自治体・年度によって異なります)。
ステップ1:地域包括支援センターへ相談する(費用ゼロ)
在宅介護で利用できる自治体独自サービスを調べる出発点は、地域包括支援センターへの相談です。地域包括支援センターは市区町村が設置または指定する機関で、介護・福祉・保健・医療の4分野の専門職(主任ケアマネジャー・保健師・社会福祉士など)が常駐しています。
相談は無料です。「要介護3で在宅生活を続けていて、紙おむつ・食事・緊急時の連絡に不安がある」と状況を伝えると、担当者がAさんの居住する市区町村で実施されているサービスの一覧を案内してくれます。
すでにケアマネジャーが担当についている場合は、ケアマネジャーに相談することでも同様の案内を受けられます。ケアマネジャーは居宅介護支援事業所に所属していますが、介護保険の枠外にある自治体サービスについても情報提供の役割を担っています。
問い合わせスクリプトの例(電話の場合):
「母が要介護3で、ひとり暮らしをしています。常時おむつが必要で、食事の準備も一人では難しい状況です。介護保険以外に、市で使えるサービスはありますか?紙おむつの支給や配食サービス、緊急時の通報装置について教えていただけますか?」
地域包括支援センターに電話する場合は「地域包括支援センター 〇〇市」で検索するか、市区町村の代表番号に電話して「高齢者の福祉サービスについて相談したい」と伝えると担当窓口につないでもらえます。
ステップ2:紙おむつ支給の申請をする
地域包括支援センターまたは市区町村の高齢福祉課から申請書類を受け取ります。
横浜市を例に取ると、以下の書類を提出します(確認日:2026年6月27日)。
- 紙おむつ給付申請書
- 要介護認定証(コピーを添付)
- 世帯の市民税非課税を確認できる書類(非課税世帯の場合)
申請書を提出すると、市の担当者が必要性を審査します。Aさんのケースでは要介護3で常時失禁があるため、横浜市の基準(要介護4・5が基本対象だが、要介護1〜3でも必要性が認められると対象になる)を踏まえると、担当者の認定次第では対象として承認される可能性があります。
承認された場合、月額6,000円(3単位)の支給限度内でおむつが支給されます(横浜市の要介護1〜3認定者の場合。確認日:2026年6月27日、要確認)。自己負担は支給額の1割(約600円)ですが、市民税非課税世帯の場合は自己負担がさらに軽減される場合があります。おむつは指定業者から毎月届くか、助成券が発行されて近隣の薬局・ドラッグストアで使う方式になるか、方式は自治体によって異なります。
おむつ代の医療費控除との関係:Aさんがおおむね6カ月以上ねたきりの状態で医師による治療を受けている場合、購入したおむつ代のうち自己負担分は医療費控除の対象になります。確定申告の際に必要になるのは、医師が発行する「おむつ使用証明書」(または介護保険の主治医意見書の内容を市区町村が確認した書類)と購入の領収書です。この点については続きの医療費控除の章で詳しく解説します。
ステップ3:配食サービスの申請をする
配食サービスは、市区町村または委託を受けた事業者が高齢者の自宅に昼食・夕食を届けるサービスです。単なる食事の提供にとどまらず、配達の際に担当者が玄関先で声をかけて安否確認を行う点が特徴です。
Aさんのケースでは、ひとり暮らし・75歳・調理困難という条件を満たしているため、多くの自治体の対象要件に該当すると考えられます。
申請の流れ:
- 市区町村の高齢福祉課または地域包括支援センターで申請書を受け取る
- 申請書(氏名・住所・要介護度・配達を希望する曜日・時間帯・緊急連絡先等を記入)を提出する
- 担当者が自宅訪問または書類確認で状況を確認する
- 承認後、開始日が通知される(受付から開始まで市区町村によっては2〜3週間かかる場合がある)
自治体補助の有無について:配食サービス自体の利用料金は、通常1食500〜700円程度です。自治体が補助する場合は1食あたり100〜200円程度を補助し、利用者の実質負担が軽減されます。補助のない自治体では利用者が全額負担するケースもあります。
安否確認の仕組み:配達員が呼び鈴を押しても反応がない場合は、担当者から緊急連絡先(家族・ケアマネジャー等)に連絡が入る仕組みを設けている事業者が多くあります。ひとり暮らしの高齢者にとって、食事の提供と安否確認を同時にカバーできる点が大きなメリットです。
ステップ4:緊急通報装置の貸与申請をする
緊急通報装置は、急病・転倒などの緊急時に手元のボタンを押すと、消防署や民間のコールセンターに通報が入る機器です。多くの自治体で貸与事業が実施されており、固定設置型の本体(電話回線・コールセンター接続)と持ち歩けるペンダント型のボタンがセットになっているものが一般的です。
船橋市の例(確認日:2026年6月27日):65歳以上のひとり暮らし高齢者で、心疾患・脳血管疾患・高血圧・糖尿病・喘息など慢性的な病気や転倒リスクが高い方は無料で貸与を受けられます。Aさんは75歳・独居であり、要介護3という状況から健康上のリスクも相応にあると考えられるため、対象として承認される可能性が高いといえます。
申請手順(船橋市の例):
- 高齢者福祉課の窓口または郵送で申請書を取り寄せる
- 申請書・利用誓約書・同意書・調査票を記入する
- 固定電話の請求書の写し(装置の接続確認に使う場合がある)を添付する
- 提出後、審査が行われ、貸与が決定したら装置の設置日が案内される
- 設置時に合鍵の提供を求められる場合がある(緊急時の対応のため)
費用:Aさんは65歳以上・独居・慢性疾患等ありという条件を満たすため、船橋市の制度では無料で利用できる対象に相当します。他の自治体でも非課税世帯や要件を満たす高齢者は無料か低額(月500〜2,200円程度)で利用できる場合が多くあります。
ステップ5:合算した月あたりの自己負担シミュレーション
Aさんが3つのサービスを利用した場合の月あたり費用の目安(横浜市・船橋市の例を参照。実際の額は居住する自治体で異なります):
- 紙おむつ支給(月額6,000円の支給に対し1割自己負担):約600円
- 配食サービス(1食600円×週7回×4週=月16,800円として、自治体補助150円/食ある場合は約16,800円−4,200円=12,600円)
- 緊急通報装置貸与:0円(対象要件を満たす場合)
合計の自己負担目安:月あたり約13,200円前後(サービス構成・自治体・補助額によって変動します)。
このシミュレーションはあくまで目安であり、居住する自治体の補助金額・配食の頻度・おむつの使用量によって前後します。この続きでは要介護1・2のケースと課税世帯のケースを加えた比較試算を掲載しています。
ここから先は、申請に直結する実務です。
紙おむつ支給制度の全詳細
3つの支給方式の違いと使い勝手
紙おむつの自治体支援は、全国的に見ると大きく3つの方式で実施されています。
現物支給型は、市区町村が指定した業者から月1回程度、おむつが自宅に直接配送される仕組みです。利用者は在宅しておく必要がありますが、購入の手間がかかりません。支給されるおむつの種類・メーカーは業者が選定したものに限られるため、使い慣れた製品でない場合もあります。多くの自治体では「〇月分に〇枚まで」という数量で上限が定まっています。
助成券(クーポン)給付型は、市区町村から月額〇円分のクーポンや助成券が発行され、利用者がドラッグストアや薬局でおむつを購入する際に使う仕組みです。自分が使い慣れたメーカー・種類を選べる利点があります。ただし助成券の有効期限や使用できる店舗が限られている場合があります。
償還払い型は、利用者が一度おむつ代を全額立替払いし、後から市区町村に申請して助成額を受け取る方式です。月ごとまたは複数月まとめて申請するケースが多く、申請書に領収書を添付して提出します。立替払いの必要があるため、資金繰りに余裕が必要です。
支給方式は自治体ごとに決まっており、利用者が選べるわけではありません。どの方式かは申請前に担当窓口に確認しましょう。
対象要件の共通傾向と自治体による差
全国の市区町村のおむつ支給制度を比較すると、対象要件には一定の共通傾向があります。ただし以下はあくまで傾向であり、自治体によって大きく異なります。
要介護度の条件:要介護3以上を対象としている自治体が多く見られます。要介護1・2は基本対象外とする自治体もありますが、医師や担当者が必要性を認めた場合は対象になる自治体もあります。要支援1・2の方は対象外となるケースが多いものの、台東区のように「要支援1以上」を対象にしている自治体もあります(確認日:2026年6月27日)。
世帯の所得条件:多くの自治体は市民税非課税世帯または生活保護受給世帯を対象にしています。課税世帯は対象外とする自治体が多数ありますが、一部の自治体では所得に応じた自己負担割合の調整のみで課税世帯も対象に含めています。
在宅要件:施設入所中(特別養護老人ホーム・老人保健施設・介護医療院等)の方は基本的に対象外です。入院中も対象外となる場合があります。自宅・グループホーム等の生活の場にいる方が対象です。
失禁・排泄の状態:常時おむつが必要な状態にあること(失禁等)が要件とされる自治体が多くあります。医師や担当者の確認を経て判定される場合があります。
自治体を比較した例(いずれも確認日:2026年6月27日、要確認):
| 自治体 | 対象要介護度 | 所得要件 | 月額上限の目安 | 自己負担 |
|---|---|---|---|---|
| 横浜市 | 要介護4・5(1〜3は個別判断) | 非課税世帯・生活保護 | 6,000〜8,000円 | 1割(生活保護は無料) |
| 大田区(東京) | 要介護3〜5(1・2は医師認定要) | 記載なし | 要確認 | 要確認 |
| 川崎市 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 台東区(東京) | 要支援1以上 | 非課税世帯は自己負担なし | 要確認 | 非課税は0円 |
上記の数値は記事作成時点の調査に基づくものです。最新の制度内容は必ず各自治体の公式ウェブサイトや窓口でご確認ください。
申請の流れ(ステップバイステップ)
ステップ1:市区町村の高齢福祉課または地域包括支援センターに電話または窓口で相談する。「紙おむつの支給や助成を受けたい」と告げると、その自治体の制度の有無と申請書の入手方法を案内してもらえます。
ステップ2:申請書類を入手・記入する。申請書、誓約書、同意書などが一式になっている場合が多くあります。要介護認定の結果通知書(コピー)、世帯の市民税非課税を確認できる書類(必要な場合)などを準備します。
ステップ3:窓口に提出する、または郵送する。市区町村によってはオンライン申請にも対応しています。
ステップ4:担当者が申請内容を確認し、必要に応じて訪問調査を実施する。承認または不承認の通知が届きます。
ステップ5:承認された場合、最初の支給(または助成券の送付・配送の開始)が始まります。
支給開始までの期間:申請から1〜2週間を要するケースが多く、月をまたぐと翌月分からの支給になる場合があります。急を要する場合は早めに相談しましょう。
支給内容が年度ごとに変わる可能性について
自治体独自サービスは、市区町村の予算編成によって毎年4月に制度内容が変わることがあります。支給量・自己負担割合・対象要件が変更される場合があるため、年度初め(4月〜5月頃)に最新の制度を確認することをおすすめします。更新申請が必要な自治体もありますので、支給決定通知書に「次の申請期限」が記載されている場合は見逃さないようにしてください。
よくあるつまずきポイント
つまずき1:「要介護認定を受けていれば自動的にもらえると思っていた」
自治体のおむつ支給制度は自動的に適用されるものではなく、自分(または家族)が申請する必要があります。要介護認定の手続きとは別に申請が必要です。
つまずき2:「施設入所後も継続して支給されると思っていた」
施設に入所した場合は支給が停止されます。在宅に戻った場合は改めて申請が必要です。
つまずき3:「先月の制度で手続きしたはずなのに、今年度から対象外になった」
制度内容は年度ごとに変わる場合があります。継続申請の際に条件が変わっていないか確認しましょう。
つまずき4:「領収書を捨ててしまった(償還払い型の場合)」
償還払い型では購入の領収書が必要です。申請書類の中に「領収書は保管してください」という記載があっても見落とすことがあります。申請書を受け取った時点で、領収書保管のルーティンを家族に共有しておくことをおすすめします。
配食サービスの全詳細
介護保険と配食サービスの関係
介護保険の訪問介護(ホームヘルプ)サービスの中に「生活援助」として「調理」が含まれています。これは、訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅に来て食事の準備を手伝うサービスです。
これに対して、ここで扱う自治体の配食サービス補助は、外部の業者が毎日定時に食事を届ける宅食サービスの利用料を市区町村が補助するものです。訪問介護の「調理」は毎回ヘルパーが来て調理する形ですが、配食サービスは調理済みの弁当を届けるため、ヘルパーの訪問頻度や利用時間の節約にもつながります。
なお、配食サービス自体は市場にも民間業者が多数参入しており、自治体の補助なしに自費で利用することも可能です。自治体補助の対象になるかどうかによって、利用者の自己負担額が変わります。
対象要件の共通傾向
配食サービスの自治体補助対象として多くの自治体が設定している要件を整理すると、以下の傾向があります。
年齢:65歳以上が対象とするケースが大多数です。一部の自治体では60歳以上や要件によっては年齢不問のケースもあります。
世帯構成:ひとり暮らし、または高齢者のみの2人以上の世帯を対象とすることが多いです。同居の家族がいる場合は対象外とする自治体もあります。
自立度・調理困難度:身体的な理由(疾病・障害・要介護認定等)により調理が困難であることが条件となります。単に「不便だから」ではなく、健康状態や身体能力の問題があることを要件とする自治体が多くあります。
要介護度の条件:介護保険の認定(要支援1以上、要介護1以上等)を条件にする自治体もありますが、認定を受けていない虚弱高齢者を対象に含める自治体もあります。
安否確認サービスとしての機能
配食サービスで最も重要な付加価値の一つが、安否確認です。
配達員が自宅を訪問し、玄関先で声をかけた際に応答があれば、その日の安否が確認されます。応答がない場合の対応として、繰り返し呼び鈴を押す、施設の担当者が電話で連絡を試みる、緊急連絡先(家族・ケアマネジャー等)に連絡するという流れを設けている事業者が多くあります。
利用開始時には、緊急連絡先として家族またはケアマネジャーの連絡先を登録することが求められます。緊急連絡先の電話番号は正確に記入し、変更があれば速やかに届け出てください。
自治体補助の有無と補助額の探し方
配食サービスへの自治体補助は、市区町村によって大きく3つのパターンに分かれます。
パターン1:自治体が委託業者を通じてサービスを提供し、利用者の自己負担は1食当たり100〜300円程度という低価格になっている(自治体が残りを負担)。
パターン2:自治体が登録した複数の民間業者のリストを案内し、利用者が業者を選んで自費で利用する(補助なしまたは一部補助)。
パターン3:自治体独自の補助制度はないが、地域の社会福祉協議会や民間業者が独自のサービスを提供している。
補助の有無と額を確認するには、市区町村の高齢福祉課または地域包括支援センターに「高齢者の配食サービス補助はありますか?」と直接問い合わせるのが最も確実です。市区町村の公式ウェブサイトで「高齢者 配食サービス」と検索しても確認できます。
申請の流れ(ステップバイステップ)
ステップ1:市区町村の高齢福祉課または地域包括支援センターで制度の有無を確認し、申請書類を入手する。
ステップ2:申請書に必要事項(氏名・住所・年齢・世帯構成・要介護度・希望する配達曜日と時間帯・緊急連絡先・食事に関するアレルギー等)を記入する。
ステップ3:要介護認定通知書(コピー)等、必要に応じた添付書類を準備する。
ステップ4:窓口または郵送で提出する。
ステップ5:担当者が状況を確認し(必要に応じて訪問)、承認後に業者から開始日の連絡が入る。
サービス開始からの流れ:業者から担当者が指定の時間帯に弁当を届けます。最初の配達時に担当者と対面して確認することが多く、食事の形態(普通食・きざみ食・嚥下調整食等)を再確認する機会があります。
よくある誤解とつまずきポイント
誤解1:「配食サービスは毎日使わなければいけない」
多くの自治体では週2〜7回など、利用したい曜日・頻度を選べます。介護保険の訪問介護で調理ができる日は除いて、ヘルパーが来ない日だけ利用するといった使い方も可能です。
誤解2:「業者は自由に選べる」
自治体の補助付きサービスでは、自治体が指定・登録した業者から選ぶことが条件になっている場合があります。希望のメニューやアレルギー対応のある業者かどうかは、申請前に確認しましょう。
つまずき1:「食形態の変更が届いた後も反映されなかった」
利用中に本人の嚥下能力が低下した場合は、食形態の変更申請が必要です。変更は口頭だけでなく書面で届け出ることが求められる場合があります。
つまずき2:「入院で一時中断したが、退院後の再開手続きを忘れた」
入院中は配食を中断し、退院後に再開申請が必要です。自動的に再開される仕組みになっているかどうかを事前に確認しておきましょう。
緊急通報装置・見守りシステムの全詳細
緊急通報装置の仕組み
緊急通報装置は、高齢者の自宅に設置する機器とボタン端末(ペンダント型・手首型など)がセットになったシステムです。本体は固定電話回線またはインターネット回線に接続され、ボタンを押すと自動的に消防署または民間のコールセンターに通報が入ります。
大きく2種類の接続先があります。
消防署直結型:ボタンを押すと消防署に通報が届き、救急車が派遣される仕組みです。一部の自治体が実施しており、緊急性が最も高い場面に対応します。
民間コールセンター型:ボタンを押すと24時間対応のコールセンターに接続され、オペレーターが状況を確認してから、必要に応じて救急要請や家族への連絡を行う仕組みです。状況に応じた柔軟な対応が可能です。
機器の形態として、センサー付き本体(火災報知器のように天井・壁に設置して周囲の異常を検知するもの)、ボタン端末(ペンダントや手首に装着する押しボタン)、生活音センサー(一定時間動きがない場合に通報する)などがあります。自治体によって貸与される機器の種類・世代が異なります。
対象者の典型的な要件
各自治体が設定している緊急通報装置貸与の対象要件を整理すると、以下の傾向があります。
年齢:65歳以上のひとり暮らし高齢者が最も多い対象設定です。一部の自治体では60歳以上や、65歳以下でも身体上の理由がある場合は対象にしています。
世帯構成:ひとり暮らし、または同居家族が日中不在になる高齢者世帯を対象とするケースが多くあります。大阪市では「1日のうち8時間以上1人になる方」を対象に含めています(確認日:2026年6月27日)。
健康状態・リスク:心疾患・脳血管疾患・高血圧・糖尿病・喘息など、急変や発作のリスクがある慢性疾患を抱えている方、転倒リスクが高い方を優先対象にしている自治体が多くあります。
所得要件:所得要件を設けている自治体と設けていない自治体があります。費用面では、非課税世帯は無料・低額とし、課税世帯は月額数百〜2,000円程度の負担とする設定が一般的です。
費用の目安
各自治体の実例(確認日:2026年6月27日、要確認):
| 自治体 | 対象者 | 月額費用の目安 |
|---|---|---|
| 船橋市 | 65歳以上・独居・慢性疾患等(無料対象) | 無料 |
| 船橋市 | 75歳以上・独居(有料対象) | 非課税1,100円・課税2,200円 |
| 大阪市 | 65歳以上・独居または高齢者のみ世帯等 | 非課税無料・課税940円 |
| 松戸市 | 要確認 | 要確認 |
貸与される機器そのものは無料で、月額費用は機器のリース料・通信費・コールセンター使用料などを市区町村が補助した上での利用者負担分です。機器の購入型補助(設置費用の一部を補助する)を採用する自治体もあります。
民間の見守りサービスとの違い
民間の見守りサービスは市場にも多数あります(月額1,000〜5,000円程度が多い)。自治体の貸与事業との主な違いは以下の通りです。
自治体貸与:費用が無料または低額(非課税世帯等)。機器の種類・機能は自治体が指定したものになる。申請・審査が必要。
民間サービス:対象者の条件なし。豊富な種類から選べる。本人・家族がすぐに契約して利用できる。費用は自己負担。
自治体の貸与を利用できる場合はコスト面で大きなメリットがあります。対象外の場合や、自治体の機器に不足を感じる場合は、民間サービスの併用を検討することもできます。
申請の流れ(ステップバイステップ)
ステップ1:市区町村の高齢福祉課に電話または窓口で相談し、貸与事業の有無と対象要件を確認する。
ステップ2:申請書類(申請書・誓約書・同意書・調査票)を入手・記入する。
ステップ3:必要書類(固定電話の請求書の写しを求める自治体がある)を添付して提出する。
ステップ4:担当者が審査を行う(訪問調査がある場合もある)。
ステップ5:貸与決定の通知が届き、設置日が案内される。設置は業者または市の職員が行い、操作の説明を受ける。
ステップ6:合鍵を預ける手続きが求められる場合がある。合鍵は緊急時に対応者が自宅内に入るための措置であり、大切に管理されます。
よくあるつまずきポイント
つまずき1:「固定電話がない場合は使えないと思っていた」
近年は固定電話回線が不要なモバイル型・通信機能内蔵型の緊急通報装置を貸与する自治体も増えています。固定電話なしの場合でも利用できるかどうかを窓口で確認してみましょう。
つまずき2:「機器の電池切れに気づかず通報できなかった」
本体・ボタン端末の電池切れは定期的に確認が必要です。多くの機器はバッテリー残量が少なくなるとアラームが鳴る仕様ですが、本人が気づかない場合もあります。定期的に操作確認(テスト通報)を行うことをおすすめします。
つまずき3:「入院や施設入所中も機器を借りたままにしていた」
入院・施設入所の際は機器の返却が求められる場合があります。退院・在宅復帰後に再申請が必要です。
介護保険住宅改修費の全詳細
介護保険の住宅改修費とは
介護保険では、在宅の要支援・要介護者が自宅に必要な改修工事を行う際に、費用の一部を支給する制度があります。支給限度基準額は20万円で、1〜3割の自己負担を除いた額が保険給付されます。
自己負担割合は所得によって異なります。一般的な利用者(低所得でない方)は1割負担で、費用が20万円であれば最大18万円が介護保険から支給されます。所得が一定以上の場合は2割または3割の自己負担になります。
この20万円枠は原則として生涯1回ですが、要介護状態区分が3段階以上上昇した場合(例:要介護1→要介護4)と、転居した場合には再び20万円の支給限度がリセットされます。
対象となる工事の種類(6種類)
介護保険の住宅改修費の対象工事は、厚生労働省が定める以下の6種類とこれらに付帯する工事です。
- 手すりの取り付け:廊下・便所・浴室・玄関・玄関から道路までの通路等への固定型手すりの設置。取り外し可能な手すりは対象外。
- 段差の解消:居室・廊下・便所・浴室・玄関・玄関から道路までの通路等の段差や傾斜を解消する工事。スロープの設置、浴室の洗い場の段差解消、浴室の嵩上げ(洗い場から脱衣所への段差解消)などが含まれます。
- 滑り防止および移動の円滑化のための床材の変更:居室・廊下・便所・浴室・玄関等の床材を変更する工事。畳からフローリングへの変更、浴室の床に滑り止め素材を張る工事などが含まれます。
- 引き戸等への扉の取り替え:開き戸を引き戸・折れ戸・アコーディオンカーテン等に変更する工事。ドアノブを握り型からレバー型に変更することも含まれます。
- 洋式便器等への便器の取り替え:和式便器から洋式便器への取り替え。既存の洋式便器の位置を変更する工事も含まれます(位置変更は排水管工事が必要な場合のみ)。
- 上記の工事に付帯して必要となる工事:手すりの設置のために壁の下地補強を行うなど、上記1〜5の工事に附随して必要となる工事。
申請の流れ(事前申請が必須)
住宅改修費の申請では、工事を始める前に市区町村に申請して承認を受けることが原則として必須です。工事が終わってから申請しても認められない場合があります。緊急やむを得ない場合は事後申請を認める自治体もありますが、原則として着工前に申請を完了させましょう。
ステップ1(事前):ケアマネジャーまたは担当医・リハビリ専門職に相談し、どの工事が必要かを検討する。
ステップ2(事前):工事を依頼したいリフォーム業者を選び、現地調査・見積もりを依頼する。
ステップ3(事前申請):以下の書類を市区町村介護保険担当課に提出する。
- 住宅改修が必要な理由書(ケアマネジャー・占用作業療法士・理学療法士・建築士等が作成)
- 改修前の写真(日付入り)
- 工事費見積書(内訳明細書を含む)
- 完成予定の図面(平面図・立面図等)
ステップ4:市区町村が書類を審査し、改修の承認通知書を発行する。
ステップ5(工事):承認通知書を受け取ってから工事を着工する。
ステップ6(完了後申請):工事完了後、以下の書類を提出して費用の支給を申請する。
- 住宅改修費支給申請書
- 改修後の写真(日付入り)
- 工事費領収書(原本)
- 工事費明細書
ステップ7:市区町村の審査を経て、支給決定通知と費用の振込が行われる。自治体によっては工事業者への直接支払い(受領委任払い)が選べる場合があります。受領委任払いの場合は、利用者は自己負担分のみを業者に払えばよく、立替払いの必要がありません。
必要書類の正式名称と取得先
「住宅改修が必要な理由書」:市区町村の介護保険担当課またはケアマネジャー事務所(居宅介護支援事業所)から様式を取り寄せる。記入は担当のケアマネジャー、建築士、理学療法士、作業療法士など専門職が行う。
「改修前の写真」:スマートフォン等で撮影し、日付・撮影者のわかるプリントを添付する。デジタル画像の場合は撮影日が記録された状態でプリントして添付する。
「工事費見積書」:工事を依頼する業者から取り寄せる。項目ごとの単価・数量・金額が明記された明細書が必要。
「完成予定図」:工事業者が作成した図面(平面図等)。手書きでも可とする自治体もあるが、必ず工事箇所・寸法等が明記されていること。
「住宅改修費支給申請書」:市区町村の介護保険担当課から取り寄せる(窓口、郵送、自治体によってはウェブサイトからもダウンロード可能)。
「工事費領収書」:業者から発行される原本が必要。コピーは認められない場合があります。
「工事費明細書」:完成後の工事内容を示す明細書。見積書との相違がある場合は理由の説明が求められる場合があります。
自治体上乗せ補助の仕組みと探し方
介護保険の住宅改修費(上限20万円)とは別に、市区町村が独自の上乗せ補助を設けている場合があります。
上乗せ補助の代表的なパターン:
パターン1:介護保険の20万円とは別に、さらに数万〜十数万円を市区町村が独自に補助する。
パターン2:介護保険の対象工事に加えて、介護保険では対象外の工事(扉の幅の拡張・廊下の拡幅・居室移動等)も独自補助の対象に含める。
パターン3:介護保険の自己負担分(1〜3割)を市区町村が肩代わりする形での実質的な上乗せ。
これらの上乗せ補助が実施されているかどうかは、市区町村の介護保険担当課または高齢福祉課に「住宅改修費の上乗せ補助はありますか?」と直接確認するのが最も確実です。
住宅改修費の計算例(複数ケース)
ケース1:要介護1・1割負担・自治体上乗せなし
浴室の手すり設置と玄関スロープ設置の工事費:合計22万円
介護保険の支給計算:支給限度基準額20万円の範囲内で工事費を精算。20万円の1割(2万円)が自己負担、残り18万円が保険給付。工事費22万円のうち20万円が対象になり、残り2万円は全額自費負担。利用者の最終負担は2万円(自己負担分)+2万円(限度超過分)=4万円。
ケース2:要介護3・2割負担・自治体上乗せあり(仮に自治体補助上限10万円の場合)
廊下の段差解消と便所の手すり設置の工事費:合計25万円
介護保険の支給計算:限度額20万円の範囲内で、自己負担2割(4万円)を除いた16万円が保険給付。25万円−20万円=5万円は保険対象外。
自治体上乗せ補助(仮定):対象工事費25万円のうち自治体上乗せ補助が10万円まで出る場合、5万円(保険対象外分)がカバーされる計算。
利用者負担:介護保険自己負担4万円+限度超過分(5万円から自治体補助5万円を除いた)0円=4万円。
ただしこの計算は上乗せ補助が「保険対象外分を補填する形」の場合の例であり、実際の補助の計算方法・上限・条件は自治体によって異なります。
ケース3:転居後に再び20万円枠を利用するケース
要介護2の方が転居後、転居先の自宅に手すり設置(工事費8万円)を実施した場合。過去に20万円枠を使い切っていても、転居により枠がリセットされるため、8万円全体に対して介護保険が適用されます(1割負担なら自己負担は8,000円)。
住宅改修費の医療費控除との関係
介護保険の住宅改修費は医療費控除の対象にはなりません。住宅改修費は「介護保険の給付」であり、医療費控除の対象となる「医療費」とは別物です。
ただし、要件を満たす場合はバリアフリーリフォームについて「住宅特定改修特別税額控除」(所得税の減税)の対象になりえます。この減税の詳細は別記事(住宅関連の制度解説)を参照ください。
その他の自治体独自サービス
訪問理美容サービス
訪問理美容サービスは、理容所・美容所に通うことが困難な高齢者の自宅に理容師・美容師が出張して、散髪・洗髪・顔そり等のサービスを行うものです。
自治体補助の有無と内容:川崎市・横浜市など多くの市区町村が、利用者の費用の一部を補助する制度を設けています(確認日:2026年6月27日)。補助額の目安は1回あたり1,000〜2,500円程度としている自治体が多いですが、自治体によって異なります。
対象者の典型的な要件:要介護3以上(または要介護1以上)で、理容所・美容所への通院が困難な方。在宅の方に限定しており、施設入所中は対象外とする自治体が多くあります。
利用回数の上限:年4〜6回程度を上限とする自治体が多くあります。
申請窓口:市区町村の高齢福祉課。担当のケアマネジャーに相談することでも情報を得られます。
訪問理美容サービスは介護保険の適用外であるため、介護保険の給付額の使用実績とは別に利用できます。利用料金の残額(補助を超えた部分)は利用者が自己負担します。
寝具清掃(洗濯・乾燥・消毒)サービス
寝具清掃サービスは、寝たきり状態や要介護状態の高齢者が使用する布団・毛布・シーツ等の洗濯・乾燥・消毒を業者が行い、自宅まで回収・返却するサービスです。
対象者の典型的な要件:要介護3以上で在宅の高齢者世帯、ひとり暮らしまたは高齢者のみの世帯。
費用の目安:無料または1回あたり数百円〜1,000円程度の自己負担。
利用頻度:年2〜4回程度を上限とする自治体が多くあります。
自治体の補助を受けるには、市区町村の高齢福祉課に申請が必要です。自力での布団の洗濯が困難な世帯にとって、季節の変わり目に清潔な寝具で過ごせるようになる重要なサービスです。
移送サービス
移送サービスは、公共交通機関を利用することが困難な高齢者・障害者等が病院・福祉施設等に移動する際に、支援を受けられるサービスです。
大きく2種類があります。
自治体または社会福祉協議会が運営するもの:ボランティアや委託業者が自動車で送迎します。費用は無料または実費程度。要予約で対応できる地域・時間帯が限られる場合があります。
NPO・ボランティア団体が運営する福祉有償運送:道路運送法に基づき登録されたNPO等が利用者から費用を受け取って運送するサービス。タクシーより低価格なことが多く、車椅子・ストレッチャー対応の車両も使えます。
申請・利用登録:市区町村の高齢福祉課または社会福祉協議会に問い合わせることで、地域で利用できる移送サービスの一覧を紹介してもらえます。
徘徊SOSネットワーク
認知症のある高齢者が外出して迷子になった場合(いわゆる「徘徊」)に、すみやかに発見・保護するために地域全体で協力するネットワークです。
仕組み:本人や家族があらかじめ市区町村または警察署に登録しておくと、行方不明になった際に地域の関係機関(コンビニ・スーパー・タクシー会社・郵便局・地域住民等)に情報を共有し、広範囲で捜索に協力してもらえます。
GPS端末の活用:自治体によっては、本人に持たせるGPS端末(靴やリュックに取り付けるタイプなど)の購入費用の一部を補助する制度を設けています。購入費用補助の有無と上限は自治体ごとに異なります。
事前登録の重要性:徘徊SOSネットワークは「事前登録した方」が対象です。行方不明が起きてから慌てて登録しようとしても間に合いません。認知症の診断を受けた直後、または「外出して戻るのが遅くなることが増えてきた」と感じたタイミングで、早めに市区町村の高齢福祉課または地域包括支援センターに相談して登録手続きを進めましょう。
申請窓口:市区町村の高齢福祉課・認知症担当窓口・地域包括支援センター。都道府県単位のネットワーク(例:神奈川県認知症等行方不明SOSネットワーク)に接続されている場合は、都道府県内の隣市町村とも連携します。
窓口と相談先のまとめ
市区町村の高齢福祉課(高齢者保険福祉課・介護保険課等)
市区町村役所の中に設置されている部署で、介護保険のほか、今回紹介した自治体独自サービスのほぼすべての窓口になります。部署名は自治体によって「高齢福祉課」「介護保険課」「長寿支援課」など名称が異なります。市区町村の公式ウェブサイトの組織図・担当部署一覧から探すことができます。
電話番号:自治体の代表電話番号に電話して「高齢者の福祉サービスについて相談したい」と伝えると担当に転送してもらえます。
相談できること:紙おむつ支給・配食サービス・緊急通報装置・訪問理美容・寝具洗濯・移送サービス・徘徊SOSネットワーク・住宅改修費の申請など。
地域包括支援センター
市区町村が設置または指定する機関で、高齢者の総合相談窓口です。専門職(主任ケアマネジャー・保健師・社会福祉士)が常駐し、介護・福祉・医療・保健の幅広い相談に対応します。
「地域包括支援センター 〇〇市(自分の住む自治体名)」で検索するか、市区町村の代表番号に問い合わせると窓口を教えてもらえます。
相談費用:無料。
対応範囲:介護保険の申請相談、自治体独自サービスの案内、ケアマネジャーへの紹介・引継ぎ、成年後見制度の相談、虐待の相談など。
担当ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)
要介護認定を受けてケアプランを作成しているケアマネジャーは、介護保険の枠外のサービスについても情報提供を行う役割があります。紙おむつ・配食・緊急通報・住宅改修に関しても「市の独自サービスについて教えてください」と聞いてみることで、担当地域の制度を案内してくれます。
ただし、ケアマネジャーは自治体の全制度を網羅しているわけではない場合もあります。聞いた内容に加え、市区町村の窓口や地域包括支援センターで直接確認することを組み合わせると、取りこぼしが少なくなります。
申請の流れ(共通パターン)
自治体独自サービスの申請は、制度によって細部は異なりますが、共通する流れがあります。
共通の申請ステップ
ステップ1:情報収集
地域包括支援センターまたは市区町村の高齢福祉課に連絡し、居住地域で実施されているサービスの一覧と対象要件を確認します。
ステップ2:申請書類の入手
窓口・郵送・ウェブサイトからダウンロードの3通りが多くあります。
ステップ3:必要書類の準備
要介護認定通知書(コピー)、世帯の所得・課税状況を示す書類(必要な場合)、医師の証明書(一部の制度で必要)、写真等。
ステップ4:申請書の提出
窓口・郵送・オンライン(自治体によって異なる)。
ステップ5:審査・調査
担当者が書類を確認し、必要に応じて訪問調査を行います。
ステップ6:結果通知
承認または不承認の通知が届きます(郵送・電話等)。
ステップ7:サービス開始
承認後、指定日からサービスが始まります。
複数サービスの同時申請
紙おむつ・配食・緊急通報の3サービスを同時に申請する場合は、市区町村の窓口に「まとめて申請したい」と伝えると、それぞれの申請書をまとめて受け取れる場合があります。手続きの効率化のために、窓口に一度足を運んで相談するのが最も確実です。
自治体差の調べ方
自治体独自サービスは「市区町村ごとに違う」ことが特徴です。自分が住む自治体でどのサービスが使えるかを調べる方法をまとめます。
方法1:市区町村の公式ウェブサイトで検索する
「〇〇市 高齢者向けサービス 一覧」「〇〇区 介護保険以外 サービス」「〇〇市 紙おむつ 支給」などのキーワードで検索します。多くの市区町村は「高齢者福祉サービスのご案内」「在宅高齢者向け支援サービス」といったページに独自サービスをまとめています。
方法2:市区町村の広報誌を確認する
毎月発行される市区町村の広報誌(紙版・電子版)には、年度更新のタイミング(4〜5月号)に最新のサービス内容が掲載されることがあります。電子版は市区町村のウェブサイトからPDFでダウンロードできます。
方法3:地域包括支援センターへ電話で問い合わせる
「当自治体で使える高齢者向けの自治体独自サービスを一覧で教えてほしい」と依頼すると、専門職が一覧を案内してくれます。
方法4:転居後は必ず再確認する
転居前に使っていたサービスが転居先でも使えるとは限りません。転居後は速やかに新しい市区町村の高齢福祉課または地域包括支援センターに相談しましょう。
年度更新時期と継続申請の落とし穴
自治体独自サービスは年度ごとに予算が組まれるため、4月以降に制度内容が変わることがあります。特に注意すべき点は以下の通りです。
年度更新(継続申請)が必要なサービス:一部の自治体では、配食サービス・緊急通報装置貸与等について毎年4月に継続申請や現況確認が必要です。更新を忘れるとサービスが停止される場合があります。
支給量・自己負担の変更:対象要件が厳しくなる、支給上限が下がるなど、制度改悪に相当する変更が行われる場合もあります。4月以降に届く通知や広報誌を確認しましょう。
新サービスの開始:一方で、新たな独自サービスが年度初めに追加されることもあります。毎年4月前後に一度「使えるサービスがないか」を改めて確認する習慣をつけると取りこぼしを防げます。
医療費控除との二重活用
おむつ代の医療費控除
要介護の高齢者がおむつを使用している場合、おむつ代は確定申告の医療費控除の対象になります。ただし要件があります。
適用要件:
- 傷病によっておおむね6カ月以上ねたきりの状態にある者
- 医師による治療を受けていること
必要書類:
- おむつ使用証明書:担当の医師が発行する書類です。令和6年分(2024年分)以降の確定申告(令和7年1月以降に提出)からは、介護保険の主治医意見書の記載内容に基づいて市区町村が確認した書類(または主治医意見書の写し)を代わりに使えるようになりました(国税庁「おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて」2024年10月更新、確認日:2026年6月27日)。
- おむつ購入の領収書:購入したおむつ代の領収書を保存しておく必要があります。領収書は確定申告書の提出後5年間保管が必要です(税務署から確認を求められた際に提示するため)。
- 医療費控除の明細書:確定申告書に添付する書類で、医療費の内訳を記入します。
控除額のイメージ:おむつ代として月1万円(年間12万円)支払っている場合、医療費控除の計算では「年間の医療費合計−10万円(または所得の5%のいずれか低いほう)」の差額が控除対象になります。ほかの医療費(通院費・薬代・介護サービス利用料の自己負担分等)と合算できるため、控除対象額が大きくなるケースがあります。
自治体のおむつ支給との関係:自治体からおむつの現物支給を受けている場合、自治体負担分は医療費に含まれません。利用者が実際に自己負担した額のみが医療費控除の対象です。
介護保険の利用料と医療費控除
介護保険サービスの自己負担分(居宅サービス・施設サービスの1〜3割分)も、一定の要件を満たすサービスについて医療費控除の対象になります。確定申告の際に「介護保険サービスの医療費控除対象金額証明書」を居宅介護支援事業所やサービス事業者に発行してもらいましょう。
住宅改修費と医療費控除
介護保険の住宅改修費(支給分・自己負担分のいずれも)は、医療費控除の対象にはなりません。
なお、バリアフリーリフォームについては所得税の「住宅特定改修特別税額控除」(省エネ改修控除の一種)の対象になりえますが、これは介護保険とは別の税制制度です。詳細は税理士や税務署に確認することをおすすめします(本記事は情報提供を目的としており、個別の税務助言は行いません)。
申請チェックリスト
以下は、在宅介護の家族が自治体独自サービスの申請を進める際の確認事項です。
事前確認チェックリスト
- 居住する市区町村の高齢福祉課または地域包括支援センターへの問い合わせを完了しているか
- 利用したいサービスの対象要件(年齢・要介護度・世帯構成・所得)を確認したか
- 担当のケアマネジャーに自治体独自サービスの利用意向を伝えたか
紙おむつ支給の申請チェックリスト
- 申請書類を窓口または郵送で入手したか
- 要介護認定通知書(コピー)を準備したか
- 世帯の市民税非課税を示す書類(必要な場合)を準備したか
- 申請書に失禁の状況・使用しているおむつの種類等を記入したか
- 申請書を提出したか
- 承認通知を受け取ったか
- サービス開始日を確認したか
- 医療費控除のためにおむつ代の領収書を保管する仕組みを整えたか
配食サービスの申請チェックリスト
- 申請書類を入手したか
- 希望する配達曜日・時間帯・食事形態(普通食・きざみ食等)を決めたか
- 緊急連絡先(家族・ケアマネジャー)の電話番号を準備したか
- アレルギー・食事制限(塩分制限・糖尿病食等)を申請書に記入したか
- 申請書を提出したか
- サービス開始日と配達業者の連絡先を確認したか
緊急通報装置の申請チェックリスト
- 申請書類を入手したか
- 固定電話の有無(機器接続に必要な場合がある)を確認したか
- 申請書・誓約書・同意書・調査票を記入したか
- 固定電話の請求書(コピー)を準備したか(求められる場合)
- 緊急連絡先を記入したか
- 合鍵の準備ができているか(設置後に求められる場合がある)
- 申請書を提出したか
- 機器の設置日・設置の立会いについて確認したか
住宅改修費の申請チェックリスト(事前)
- ケアマネジャーまたは担当者に工事の計画を相談したか
- 工事を依頼するリフォーム業者を選定したか
- 「住宅改修が必要な理由書」の作成をケアマネジャーに依頼したか
- 改修前の写真(日付入り)を撮影したか
- 工事費見積書(内訳明細書付き)を業者から受け取ったか
- 完成予定図を業者から受け取ったか
- 市区町村の介護保険担当課に事前申請書類を提出したか
- 事前承認通知書を受け取ったか(着工はこの後)
住宅改修費の申請チェックリスト(完了後)
- 工事完了後の写真(日付入り)を撮影したか
- 工事費領収書(原本)を業者から受け取ったか
- 工事費明細書を受け取ったか
- 住宅改修費支給申請書に必要事項を記入したか
- 書類一式を市区町村に提出したか
- 支給決定通知と振込の確認をしたか
よくある質問(FAQ)
Q1:要介護1でも自治体の紙おむつ支給を使えますか?
自治体によって異なります。横浜市のように要介護1〜3の方について「市の担当者が必要と認めた場合」に支給対象とする自治体があります(確認日:2026年6月27日)。一方、要介護4・5のみを対象とする自治体も多くあります。「要介護1なので対象外だろう」と思い込まずに、まず窓口に相談することをおすすめします。常時失禁があることを担当者に具体的に伝えると、個別判断の余地がある場合があります。
Q2:施設(特養・老健等)に入所した場合も配食サービスは使えますか?
使えません。配食サービス・紙おむつ支給をはじめとする自治体独自の在宅高齢者向けサービスは、原則として在宅生活(自宅・グループホーム等)を前提にしています。施設入所後は対象外になりますので、施設入所の際はサービスの停止手続きが必要です。
Q3:緊急通報装置は固定電話がないと使えませんか?
必ずしもそうとは限りません。従来の機器は固定電話回線を使うものが多くありましたが、近年は携帯電話回線やインターネット回線で動作する機器も自治体で採用されています。固定電話がない場合でも利用できるか、市区町村の窓口で確認してください。
Q4:住宅改修費の20万円枠は何回も使えますか?
原則として1人につき1回(生涯1回)ですが、2つの例外条件があります。1つは要介護状態区分が3段階以上上昇した場合(例:要介護1→要介護4)、もう1つは転居した場合です。これらの条件を満たすと、再び20万円の枠が利用できます。
Q5:ケアマネジャーがいない場合でも申請できますか?
介護保険の認定を受けていない方や、まだケアマネジャーが未定の方でも、自治体の高齢福祉課や地域包括支援センターに直接申請できる制度があります。住宅改修費については「住宅改修が必要な理由書」の作成者としてケアマネジャーが一般的ですが、自治体によっては建築士・理学療法士・作業療法士・介護福祉士等も作成者として認められています。
Q6:訪問理美容や配食サービスは要介護認定がないと使えませんか?
自治体によって異なります。一部の自治体では要介護認定がなくても、身体的に外出が困難な高齢者や虚弱な一人暮らし高齢者を対象に含めています。認定を受けていない場合でも、まず窓口で確認することをおすすめします。
Q7:おむつ代の医療費控除は介護施設の入所者でも受けられますか?
施設入所中でも、要件(おおむね6カ月以上ねたきり・医師の治療を受けている)を満たす場合はおむつ代を医療費控除に算入できます。ただし、施設が提供するおむつ代が施設サービス費に含まれている場合と、別途請求される場合とで扱いが変わります。詳細は担当の医師や施設、または税務署に確認することをおすすめします(本記事は個別の税務助言を行いません)。
Q8:サービスを組み合わせると介護保険の限度額に影響しますか?
自治体独自サービス(紙おむつ支給・配食サービス・緊急通報装置等)は、介護保険の区分支給限度基準額(使える介護保険サービスの月額上限)とは別です。自治体独自サービスを利用しても、介護保険の限度額が減ることはありません。
Q9:家族が県外にいて申請の手続きを代わりにできますか?
多くの申請では、本人の家族が代理人として申請することが認められています。委任状が必要な自治体と不要な自治体があります。家族が遠方にいる場合は、まず電話で「家族が代わりに申請することはできますか?必要な書類は何ですか?」と窓口に確認することをおすすめします。
Q10:年度が変わると申請が必要になる場合がありますか?
自治体によって異なります。一部のサービスでは毎年4月に現況確認または継続申請が必要です。承認の際の通知書に「有効期限」「継続申請の案内」が記載されている場合は見逃さないようにしてください。継続申請を忘れるとサービスが停止される場合があります。
Q11:自治体の制度が廃止されたらどうなりますか?
自治体独自サービスは、市区町村の財政状況や政策判断によって制度自体が廃止・縮小されることがあります。年度ごとに広報誌や公式ウェブサイトを確認し、利用中のサービスが継続されるかどうかを確認する習慣をつけましょう。また、担当のケアマネジャーから変更があった場合に知らせてもらえるよう依頼しておくことも有効です。
出典一覧
- 横浜市「高齢者紙おむつ給付事業」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/kaigohoken-igai-service/zaitaku-yoengo-shien/kourei-omutsu.html
確認日:2026年6月27日
- 船橋市「緊急通報装置の貸与」
https://www.city.funabashi.lg.jp/senior/service/0002/p001782.html
確認日:2026年6月27日
- 大阪市「緊急通報システム事業」
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000006497.html
確認日:2026年6月27日
- 厚生労働省「介護保険における住宅改修」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/dl/07.pdf
確認日:2026年6月27日
- 大和市「介護保険における住宅改修費の支給手続きについて」
https://www.city.yamato.lg.jp/gyosei/soshik/18/seniorlife/kaigoservice/19565.html
確認日:2026年6月27日
- 国税庁「寝たきりの者のおむつ代」(質疑応答事例)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/54.htm
確認日:2026年6月27日
- 国税庁「おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/241009/index.htm
確認日:2026年6月27日
- MY介護の広場「自治体が提供するサービス」
https://www.my-kaigo.com/pub/individual/seido/hokengai-service/0010.html
確認日:2026年6月27日
- 厚生労働省「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158814.html
確認日:2026年6月27日
- 大阪市「生活支援型食事サービス事業(配食サービス)」
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000006603.html
確認日:2026年6月27日
免責事項
本記事は、介護関連の自治体独自サービスについて一般的な情報を提供することを目的としています。本記事の内容は情報提供にとどまり、個別の申請代行・書類作成の代行・個別の法律・税務・医療に関する助言は行いません。
制度の内容(金額・対象要件・申請方法・申請期限等)は、自治体・年度によって異なり、また変更されることがあります。申請にあたっては必ず各自治体の公式窓口または公式ウェブサイトで最新情報をご確認ください。
本記事で紹介した自治体の数値(横浜市・船橋市・大阪市等の例)は、2026年6月27日時点の公式ウェブサイトの確認に基づくものです。これらの情報が現在も有効かどうかは、各自治体の窓口でご確認ください。