事業承継・M&A補助金を個人事業主が使い倒す実務ガイド(2026年版・廃業から親族承継まで全4枠を完全解説)

本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・受付期間はいずれも変更されることがあるため、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

この記事が整理すること

「後継者が見つからないまま年齢を重ねてしまった」「従業員に引き継いでもらいたいが費用が心配」「廃業を決断したが、次のスタートに向けた費用を何とかしたい」——そういった個人事業主や小規模事業者の方が、真っ先に調べるべき補助金が「事業承継・M&A補助金」です。

ところが多くの解説記事は法人向けに書かれており、個人事業主が実際にどの枠を使えるのか、何を準備すればいいのかが見えにくくなっています。「青色申告をしていないと使えないの?」「廃業を選んでも補助が出るの?」「行政書士に頼まないといけないの?」といった疑問も、個人事業主目線での解説が少ないために残りがちです。

この記事は次の読者に向けて書いています。

本記事では、制度の概要から4枠の比較・個人事業主が実際に使える枠と書類・廃業時のリアルな活用シナリオ・申請手続きの流れまで、実務に直結する情報を網羅します。本記事は情報提供を目的としており、個別の申請書類の作成代行や法律・税務の個別助言は行いません。

制度の全体像

「引継ぎ補助金」から「M&A補助金」へ——改称の経緯と何が変わったか

この補助金はもともと「事業承継・引継ぎ補助金」という名称で運営されていました。令和7年度(2025年度)に「事業承継・M&A補助金」へ改称されると同時に、内容も大幅に見直されました。

改称によって最も目立つ変化は3点あります。1点目は補助上限額の引き上げで、特に専門家活用枠で「100億企業宣言特例」が設けられ、条件を満たした事業者は最大2,000万円まで拡大されました。2点目はPMI推進枠の新設で、M&A成立後の経営統合(PMI)に必要な費用を補助する仕組みが加わりました。3点目は専門家活用枠への「小規模売り手支援類型」の新設で、15次公募(2026年6月〜)から正式に加わりました(補助上限450万円・補助率2/3、M&Aが成立しなかった場合は上限50万円)。

制度を運営するのは中小企業庁で、申請窓口は「事業承継・M&A補助金事務局」が担います。申請はすべて電子申請(Jグランツ)で行います。

公募回次の流れ(沿革)

この補助金は年に複数回の公募が行われています。令和7年度(2025年度)以降の公募は、14次(2026年2月〜4月)、15次(2026年6月〜7月予定)と続いており、2026年6月27日時点では15次公募の公募要領が中小企業庁から公表されています。採択率はこれまでおおむね50〜60%で推移しており、12次・13次ともに約60%前後(廃業枠を除く)が採択されています。

4つの支援枠の概要一覧

この補助金には4つの支援枠があります。どの枠を使うかは、承継の形態や現在の状況によって異なります。

支援枠主な対象補助上限(通常)補助率
事業承継促進枠5年以内に親族・従業員承継を予定800万円(賃上げ時1,000万円)1/2(小規模2/3)
専門家活用枠(買い手支援類型)M&Aで経営資源を引き継ぐ側600万円(DD込800万円、特例最大2,000万円)2/3
専門家活用枠(売り手支援類型)M&Aで経営資源を譲渡する側600万円(DD込800万円)1/2または2/3
専門家活用枠(小規模売り手支援類型・15次新設)小規模な売り手450万円(M&A不成立の場合は上限50万円)2/3
PMI推進枠(専門家活用類型)M&A後の経営統合に専門家活用150万円1/2
PMI推進枠(事業統合投資類型)M&A後の経営統合に設備投資等800万円(賃上げ時1,000万円、特例最大2,000万円)1/2(小規模2/3)
廃業・再チャレンジ枠承継・M&Aに伴い廃業し再挑戦300万円(小規模売り手支援類型と同時申請の場合は150万円)2/3

「補助上限(通常)」はあくまで標準的な上限であり、賃上げ加点・100億企業宣言・他枠との組み合わせによって変わります。また補助金は事業完了後の精算払いのため、費用は一旦自己負担してから受け取る形になる点に注意が必要です。

個人事業主が申請できる枠はどれか

結論から言えば、個人事業主は4つの枠すべてに申請できる可能性があります。ただし、枠によって必要な要件が異なります。特に重要な共通要件として「青色申告5年以上」の条件があります。

具体的には、「個人事業の開業届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出した日から5年が経過していることが必要です。この5年という期間は、どちらの書類の提出日も満たす必要があります。開業が先で青色申告承認申請が後になっている場合は、青色申告承認申請書の提出日から5年を数えます。

白色申告の個人事業主は、この要件を満たせないため現時点では申請できません。ただし、これは「白色申告を続けている限り」という条件であり、今すぐ青色申告に切り替えた場合は、切り替えから5年後に申請資格が生まれます。

白色申告の個人事業主が青色申告に切り替える手順

青色申告への切り替えは難しい手続きではありません。まず「所得税の青色申告承認申請書」(国税庁の書式)を取得します。この書類は国税庁のウェブサイトからダウンロードできるほか、最寄りの税務署でも入手できます。

提出期限は、青色申告を適用したい年の3月15日までが原則です(その年の1月1日からすでに事業を営んでいる場合)。新規に開業した場合は、開業日から2か月以内が提出期限となります。記入は比較的シンプルで、氏名・住所・事業所の所在地・事業の種類・帳簿の種類を記入して税務署に提出するだけです。

切り替えと同時に、帳簿の種類も白色申告時代の単式簿記(現金出納帳等)から複式簿記または簡易帳簿(65万円控除を受ける場合は複式簿記が必要)に変える必要があります。会計ソフトを使えば、複式簿記に詳しくなくても日々の入力ができる設計になっているものが多いため、並行して会計ソフトの導入を検討してみてください。

【無料サンプル】廃業を決断した個人事業主・飲食店主のケース——廃業・再チャレンジ枠を使うまでの全手順

ここでは、廃業・再チャレンジ枠を単独で使う個人事業主の典型ケースを、手順・金額・窓口まで完全に公開します。この続きでは複数の枠を組み合わせたより複雑なケースを扱いますが、まず「廃業時に使える補助」として一番シンプルなケースを理解していただくことが実務の出発点になります。

想定ケース

廃業・再チャレンジ枠で補助されるもの

廃業・再チャレンジ枠で対象となる経費は次の通りです。廃業支援費、在庫廃棄費、建物解体費、原状回復費(内装の撤去等)、リース解約費、土壌汚染調査費、移転・移設費、これらの経費に関連する申請書類の作成に要した費用などが含まれます。

このケースの場合、おおよそ次のような費用が想定されます。

補助金の計算

廃業・再チャレンジ枠を単独で使う場合(公募要領では「再チャレンジ申請」と呼びます)の補助上限は300万円以内、補助率は補助対象経費の2/3以内です。15次公募の廃業・再チャレンジ枠公募要領でも、再チャレンジ申請の補助率は2/3以内、補助下限額は補助対象経費75万円未満の申請は受付不可、と明記されています。

このケースでは補助対象経費が約120万円と試算しました。補助率2/3を当てはめると、

120万円 × 2/3 = 約80万円

補助対象経費が下限の75万円以上あり、上限の300万円にも達していないため、補助対象経費全体に補助率2/3を掛けた約80万円がそのまま補助額の目安になります。もし廃業費用が450万円まで膨らんだとしても、450万円 × 2/3 = 300万円で上限に達し、それ以上は補助されません(上限300万円が絶対的な上限です)。

ここで一点、見落とされやすい上限があります。廃業・再チャレンジ枠の経費のうち「廃業支援費」(廃業に関する登記申請手続に伴い司法書士等に支払う経費)については、別途50万円という補助上限(サブ上限)が公募要領で定められています。今回のケースの厨房機器廃棄・原状回復・在庫廃棄・リース解約費は廃業支援費ではなく、それぞれ別区分の対象経費(廃棄費・解体費・原状回復費・リース解約費)に当たるため、この50万円の枠とは別枠で計上できます。司法書士への登記費用などが大きくなりそうな場合だけ、この50万円のサブ上限を意識しておけば十分です。

なお、これらの上限・補助率・補助下限はいずれも公募回ごとに変わりうるため、申請前に必ず最新の公募要領(廃業・再チャレンジ枠)で確認することが必要です。

申請から補助金受取までの実際の流れ

ステップ1:GビズIDプライムを取得する

申請は電子申請システム「Jグランツ(jGrants)」で行いますが、ログインにはGビズIDプライムのアカウントが必要です。個人事業主がGビズIDプライムを取得する方法は2つあります。

マイナンバーカードとスマートフォン(GビズIDアプリのインストール)があれば、オンライン申請で最短即日発行が可能です。マイナンバーカードがない場合は郵送申請となりますが、審査に1週間程度かかります。混雑期には2〜3週間かかることもあるため、公募開始の1か月前には取得手続きを済ませておくことを強くすすめます。

取得先はGビズIDの公式サイト(https://gbiz-id.go.jp/)です。「GビズIDプライム オンライン 個人事業主 申請開始」のページから手続きできます。

ステップ2:公募要領を読み、申請期間を確認する

15次公募(2026年6月〜7月予定)の公募要領は、中小企業庁のウェブサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260522001.html)および事業承継・M&A補助金事務局のサイトで公開されています。公募ごとに要件や対象経費が変わることがあるため、必ず最新の公募要領を確認してください。

ステップ3:事業計画書を作成する

廃業・再チャレンジ枠の申請でも、廃業の経緯と今後の再チャレンジの方向性を示す事業計画書が必要です。どのような事情で廃業に至ったか、廃業後にどのような新しい取り組みを予定しているかを具体的に記述します。再チャレンジの内容は就職でも新規創業でも構いませんが、具体性があるほど評価されやすい傾向があります。

廃業・再チャレンジ枠を単独で申請する場合も、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に相談することが実質的に推奨されています。認定支援機関は税理士・公認会計士・中小企業診断士・商工会・金融機関などが認定されており、最寄りの商工会議所や顧問税理士が認定支援機関になっていることも多いです。中小企業庁の認定支援機関検索サイト(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/)で探すことができます。

ステップ4:Jグランツで電子申請する

事業計画書・必要書類を揃えてJグランツから申請します。このケースで必要になる主な書類は次のとおりです。

申請書類の作成を第三者に依頼する場合は、行政書士(または行政書士法人)に限られます。これは2025年10月以降に厳格化されたルールで、行政書士以外のコンサルタントや民間業者が申請書を作成代行することは認められていません。ただし、相談・アドバイスを受けることは問題ありません。

ステップ5:採択・交付決定後に事業実施

採択通知が届いたら、交付申請を行います。交付決定が下りてから初めて、廃業費用の発注・契約ができます。交付決定前に着手した費用は一切補助の対象外になるため、この順番は厳守してください。

廃業工事や手続きを急いでいる場合でも、交付決定前の見積もり取得・計画立案は問題ありませんが、実際の発注・契約は交付決定後にする必要があります。

ステップ6:実績報告書を提出して補助金を受け取る

廃業費用の支払いが完了したら、補助事業の実績報告書を提出します。事務局による確定検査(書類審査・現地確認等)を経て、補助金の交付額が確定します。その後、補助金の請求手続きをして受け取ります。補助金の受取は精算払い(先払いではなく後払い)のため、廃業費用は一旦全額を自己負担してから戻ってくる形になります。

ステップ7:補助金の税務処理

受け取った補助金は、個人事業主の場合は事業所得または雑収入として収入計上し、確定申告で所得税の申告が必要です。廃業に伴う補助金受取がその年の所得を増やすことになるため、翌年の国民健康保険料の算定にも影響する可能性があります。事前に税理士に相談しておくと安心です。

このケースのまとめ

廃業費用が120万円、補助率を2/3として受け取れる補助金は約80万円です。自己負担分は約40万円になります。廃業費用が全体で大きくなるほど(単独申請の上限300万円まで)補助金も増えますが、費用は一旦全額立て替えが必要です。申請から補助金受取まで半年〜1年程度かかることを見込んで、資金計画を立てておくことが重要です。

一番大切な準備は「GビズIDプライムの早期取得」と「交付決定前に廃業工事を着手しないこと」の2点です。

ここから先は、申請に直結する実務です。

4枠を徹底解説——個人事業主が使いこなすための実務情報

事業承継促進枠:親族・従業員への承継を支援する枠

事業承継促進枠は、5年以内に親族内承継または従業員承継によって事業を引き継ぐことを計画している事業者が対象です。承継後の事業成長に向けた設備投資や業務改善のための費用を補助します。

補助上限は通常800万円で、賃上げを実施する場合(賃上げ加点要件を満たす場合)は1,000万円まで引き上げられます。補助率は、法人・個人事業主ともに1/2が基本で、小規模事業者に該当する場合は2/3になります。

個人事業主が「承継させる側(先代)」として申請する場合と、「承継を受ける側(後継者)」として申請する場合の両方があります。いずれの場合も青色申告5年以上の要件が課されます。

補助の対象となる主な経費は次のとおりです。設備費(機械装置・工具・備品等)、産業財産権関連経費(特許権の取得等)、謝金(専門家への謝礼等)、旅費、外注費、委託費が対象です。

この枠で注意したいのは「事業承継として認められないケース」です。不動産のみの売買(土地・建物だけを譲渡する場合)や特定の資産のみを切り売りするような取引は、事業承継とは認定されません。事業そのものを引き継ぐ実態が求められます。

また、認定経営革新等支援機関による確認書の提出が求められることがあります。事業計画書には、承継後の経営改善・生産性向上の具体的な数値目標を記載することが採択のポイントになります。

専門家活用枠:M&Aで「売る・買う」を支援する枠

専門家活用枠は、M&Aによって経営資源を譲渡する(売り手)または引き受ける(買い手)事業者が対象です。M&A仲介会社やファイナンシャルアドバイザー(FA)への報酬、デューデリジェンス(DD)費用などを補助します。この枠の特徴は「M&A支援機関登録制度に登録されたM&A支援機関」の利用が必須であることです。

3つの類型があります。

買い手支援類型は、M&Aで他の事業者の経営資源を引き継ぐ事業者が対象で、補助上限は通常600万円(デューデリジェンス費用を含む場合は800万円)、「100億円企業を目指す」宣言をした事業者は特例として最大2,000万円まで拡大されます。補助率は2/3です。ただし100億企業特例で2,000万円まで使う場合の補助率は一律2/3ではなく、補助対象経費のうち1,000万円以下の部分が1/2、1,000万円超2,000万円までの部分が1/3という段階構造になっている点に注意してください(15次公募の専門家活用枠のよくある質問で確認できます)。なお買い手支援類型でM&Aが成立しなかった場合は、デューデリジェンス費用のみを対象に上限300万円以内で補助される扱いがあります。

売り手支援類型は、M&Aで自分の事業を誰かに譲渡する事業者が対象で、補助上限は通常600万円(デューデリジェンス費用を含む場合は800万円)、補助率は原則1/2ですが、赤字事業者の場合は2/3になることがあります。

小規模売り手支援類型(15次公募から新設)は、小規模な売り手の事業者を対象とした新しい類型で、補助上限は450万円(補助率2/3)です。ただしM&Aが成立しなかった場合は上限が50万円に縮小されます。廃業費を同時申請する場合は廃業費分の上限が別途150万円加算されます。これまで「M&Aは大きな案件のための制度」という印象がありましたが、この類型の新設により、小規模な個人事業主でも使いやすくなりました。

個人事業主が「売り手」として専門家活用枠を使う具体的な手順

個人事業主が美容室・飲食店・農業・小売業などの事業をM&Aで誰かに譲渡したい場合、専門家活用枠の売り手支援類型が使えます。手順を整理します。

まずM&A支援機関登録制度に登録されたM&A仲介会社またはFAに相談します。登録事業者一覧は中小企業庁のサイト(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/r4ma_shien_kikan.html)で確認できます。

次に支援機関と契約(FAまたは仲介契約)を締結し、補助金申請の準備を進めます。ただし補助金の申請は公募期間中でなければできないため、公募スケジュールと自分のM&Aの進行状況をすり合わせておく必要があります。

申請後、採択・交付決定を経てから実際のFA報酬・DD費用を発注・支払います。ここでも「交付決定前の発注は補助対象外」のルールが適用されます。

個人事業主が売り手支援類型を使う際の必要書類は、事業承継促進枠と同様の青色申告関連書類に加え、M&A支援機関との契約書(写し)、見積書などが求められます。

後継者のいない個人事業主が廃業前に検討すべき:M&Aマッチングという出口戦略

廃業を決める前に、まずM&Aによる事業売却を検討することをすすめます。理由は、廃業してしまうと資産価値が失われるからです。事業が存続している間は「のれん(ブランド・顧客・ノウハウ)」の価値があり、M&Aで売却できる可能性があります。廃業してしまった後では、その価値は大幅に下がります。

M&Aマッチングのプラットフォームは近年増えており、数十万〜数百万円規模の小規模な個人事業主案件も成約するようになっています。M&Aには一定の時間(半年〜1年以上かかることも)と費用がかかりますが、専門家活用枠の補助金を活用することでそのコストを抑えられます。

「まずM&Aを試みて、売れなかった場合に廃業」という順序で進めると、事業承継・M&A補助金を最大限活用できます。M&Aに着手したものの成約に至らなかった場合は、廃業・再チャレンジ枠の申請要件(2020年以降にM&Aに着手したが成約に至らなかった者)も満たすことになります。

PMI推進枠:M&A後の「統合フェーズ」を支援する新しい枠

PMI(Post Merger Integration)とは、M&A成立後の経営統合のプロセスを指します。M&Aで事業を引き継いだ後、実際にシステムや業務を統合したり、人員体制を整えたり、ブランドを統一したりするための費用は、これまで支援の手薄な領域でした。

PMI推進枠はこの課題を解決するために新設された枠で、M&A完了から1年以内の事業者が対象です。

専門家活用類型(補助上限150万円・補助率1/2)は、PMIの専門家(中小企業診断士・コンサルタント等)を活用するための費用を支援します。M&Aで引き継いだ事業の経営課題分析や統合計画の策定に使えます。

事業統合投資類型(補助上限通常800万円・賃上げ時1,000万円・100億企業特例最大2,000万円、補助率1/2・小規模2/3)は、統合に必要な設備投資・システム導入等の費用を支援します。

PMI推進枠を使うには、M&A後の経営統合計画が明確に示されていることが審査上の重要なポイントになります。単に設備を購入するだけでなく、M&Aを通じてどのような統合効果を生み出すかを具体的に示すことが採択につながります。

個人事業主のための必要書類完全ガイド

個人事業主が事業承継・M&A補助金を申請する際に必要な書類を、枠別に整理します。公募ごとに求められる様式や書類が変わることがあるため、最終的には公募要領で確認してください。

全枠共通で必要な書類

  1. 個人事業の開業届出書の写し

取得先:保管しているもの(再発行は税務署で手続き可能)。提出日から5年以上経過している必要があります。

  1. 所得税の青色申告承認申請書の写し

取得先:保管しているもの(再発行は税務署で手続き可能)。提出日から5年以上経過している必要があります。

  1. 確定申告書B(第一表・第二表)の直近2〜3年分の写し

確認ポイント:税務署の受付印またはe-Taxの受付通知があること。

  1. 所得税青色申告決算書の直近2〜3年分の写し

取得先:保管しているもの。税理士に依頼している場合は税理士から。

  1. 事業計画書(公募要領指定の様式)

作成のポイント:承継・M&A・廃業の経緯と、補助事業の内容・数値目標・実施スケジュールを記載。

  1. 補助事業に係る見積書(2者以上からの見積書が求められることが多い)
  1. GビズIDプライムアカウント(申請システムへのログインに必要)

事業承継促進枠で追加で必要な書類

専門家活用枠で追加で必要な書類

廃業・再チャレンジ枠で追加で必要な書類

書類取得時のつまずきポイント

開業届や青色申告承認申請書の控えを紛失している方は少なくありません。この場合、税務署に「個人事業の開廃業届出書の控えの確認依頼」を行うことで再確認できますが、時間がかかることがあります。公募開始の2か月前には書類の有無を確認しておくことをすすめます。

確定申告書Bの控えも保管していない場合は、税務署で「申告書等閲覧サービス」を利用して閲覧・撮影が可能です(発行はされませんが記録を取ることはできます)。e-Taxで申告している場合はマイページから取得できます。

申請手続きの完全フロー

個人事業主が事業承継・M&A補助金を申請するための手順を、開始から補助金受取まで時系列で整理します。

フェーズ1:申請前の準備(公募開始の1〜2か月前から)

まず公募スケジュールを中小企業庁のウェブサイトで確認します。公募は年に2〜3回程度行われており、公募期間はおおむね1か月程度です。

GビズIDプライムを未取得の場合は今すぐ申請します(取得に1〜3週間かかるため早めに動くことが重要です)。

認定経営革新等支援機関に相談します。中小企業診断士・税理士・商工会・金融機関の担当者が認定支援機関になっていることが多いです。相談費用は機関によって異なりますが、無料相談に対応しているところも多くあります。事業承継・引継ぎ支援センター(都道府県ごとに設置されており、無料相談が可能)への相談も選択肢の一つです。

フェーズ2:公募申請(公募期間中)

Jグランツのシステムに接続(GビズIDプライムでログイン)し、申請様式を取得します。公募要領に従って事業計画書・必要書類を整備し、Jグランツ上でアップロードして申請します。

申請時の注意事項として、Jグランツは締切直前に混雑することがあります。余裕をもって申請することをすすめます。また、添付書類のファイル形式・サイズ制限があるため、PDFでの添付が基本になります。

フェーズ3:採択・交付決定(申請締切から1〜2か月後)

審査結果が採択の場合、採択通知が届きます。採択後、交付申請(本申請)を行います。交付決定通知書が届いて初めて、補助事業を開始できます。

ここで強調しておきたいのが、採択と交付決定は別物であるという点です。採択通知は「補助金を出すことを決めた」という通知であり、交付決定通知書は「具体的な補助額・条件を確定した」という通知です。補助事業(費用の発注・契約)は交付決定後に始める必要があります。

フェーズ4:補助事業の実施

交付決定後に設備発注・専門家への依頼・廃業手続き等を実施します。補助事業期間中はすべての経費について「領収書・振込明細書・請求書」を保管しておくことが必須です。証憑書類が不足すると、実績報告時に補助金が認められない経費が生じます。

補助事業期間中は「補助対象外の支出との混同」に注意が必要です。補助対象の経費と個人の生活費・その他の事業費は明確に区別して管理してください。

フェーズ5:実績報告と補助金の受取

補助事業が完了したら、実績報告書を提出します。提出書類は、実績報告書本体・経費の明細書・領収書等の写し・補助事業の成果を示す書類等です。

事務局による確定検査(書類審査・場合によっては現地確認)を経て、補助金の交付額が確定します。確定後に補助金の請求手続きをして、指定口座に補助金が振り込まれます。

申請から補助金受取まで、早いケースでも半年〜1年程度かかります。廃業費用が先行投資になることを踏まえ、手元資金の確保と返ってくるタイミングを想定した資金計画を立てておくことが重要です。

フェーズ6:事業化状況報告(3〜5年間)

補助金受取後も、補助事業の成果についての報告義務が3〜5年程度続きます。年次で経営状況・売上・雇用などを報告する必要があります。廃業・再チャレンジ枠の場合でも、再チャレンジ後の状況について報告義務がある場合があります。公募要領で確認してください。

採択率と採択されるための事業計画書のポイント

採択率の実態

事業承継・M&A補助金の採択率は、これまでの実績でおおむね50〜60%で推移しています。12次公募・13次公募ともに約60%(廃業枠を除く)が採択されており、「準備をしっかりすれば通る可能性が高い」制度と言えます。半数以上が採択されているとはいえ、申請すれば必ず通るわけではなく、事業計画書の質が採否を分けます。

採択されるための事業計画書の3つのポイント

第1のポイントは「具体的な数値目標を示すこと」です。採択審査では事業の具体性・実現可能性が重視されます。「生産性が向上します」という記述ではなく、「補助事業実施後3年以内に従業員1人あたりの売上を年○○万円から○○万円に向上させる計画です」という形で数値目標を記載することが重要です。

第2のポイントは「加点項目を活用すること」です。賃上げの実施(賃上げ加点)、中小企業会計基準の適用、経営力向上計画の認定、健康経営優良法人の認定など、加点対象となる要件があります。自社が該当する加点項目があれば、必要な証明書類を準備して積極的に活用してください。

第3のポイントは「認定支援機関との連携を明確にすること」です。認定支援機関に確認を受けた計画書は、信頼性の面で評価されやすくなります。認定支援機関との打ち合わせ内容・確認事項を計画書に反映させることで、計画の実現可能性が裏付けられます。

個人事業主が書きやすい採択実例のパターン(業種別)

事業承継・M&A補助金の採択事例として、個人事業主・小規模事業者に多いパターンを紹介します(個人名・特定企業名は伏せています)。

美容室の個人事業主が従業員に事業承継する際、承継後の設備(シャンプー台・業務用椅子等)を刷新するための投資費用を事業承継促進枠で補助した事例があります。補助事業の中核に「承継後の顧客維持率向上と新規客獲得のための設備改善計画」を置き、数値目標を明記しました。

農業の個人事業主が後継者(子)に農地と農機具を引き継がせるにあたり、老朽化した農機具を更新するための費用を事業承継促進枠で補助した事例もあります。この事例では「農業経営基盤強化促進計画」との連携が加点につながりました。

飲食店の個人事業主がM&Aで店舗を譲渡する際に、FA費用とデューデリジェンス費用を専門家活用枠(売り手支援類型)で補助したケースも報告されています。売り手側でも「事業の魅力を正しく伝えるためのFA費用に補助が出る」ことは、多くの個人事業主に知られていない点の一つです。

公募回次の変遷——何次で何が変わったか

制度は公募ごとに変更されることがあります。把握しておくと申請の判断がしやすくなります。

令和3年度補正(引継ぎ補助金の始まり)から令和6年度補正(令和7年度公募)にかけての主要な変更点を整理します。

初期(令和3〜4年度)は「事業承継・引継ぎ補助金」として「経営革新枠(親族・従業員承継の設備投資)」と「専門家活用枠(M&Aのアドバイザリー費用)」および「廃業・再チャレンジ枠」の3枠が中心でした。

令和5〜6年度にかけて補助上限が段階的に引き上げられ、専門家活用枠の「100億企業宣言特例」が設けられました。

令和7年度(2025年度)以降は制度名が「事業承継・M&A補助金」に改称され、4枠体制(事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業・再チャレンジ枠)になりました。PMI推進枠の新設が最大の変更点です。

令和8年度(2026年度)の15次公募では「専門家活用枠・小規模売り手支援類型」が新設されました。また申請代行規制(行政書士のみ)が2025年10月から適用されています。

申請代行規制の実務的な影響——個人事業主がすべき対応

2025年10月以降、この補助金の申請書類の作成代行は行政書士(または行政書士法人)に限定されています。これはそれ以前に問題になっていた「補助金獲得保証」を謳うコンサルタントによる不適切な申請代行を防ぐためのルール強化です。

このルールによって、個人事業主が注意すべき点は次の通りです。

コンサルタントや税理士などに相談することは問題ありません。アドバイスを受けること、計画書作成のサポートをしてもらうことは許容されています。しかし、申請書類そのものを第三者に作成してもらう場合は、行政書士(または行政書士法人)であることを確認し、行政書士証憑と委任契約書を用意する必要があります。

行政書士以外の業者(コンサルタント会社・補助金専門会社など)が「申請書を作ります」「採択を保証します」と言っている場合は、ルール違反の可能性があります。採択後に発覚した場合、採択取消・補助金返還の対象になるリスクがあるため、依頼先の確認は慎重に行ってください。

白色申告から青色申告に切り替えた場合の詳細手順

事業承継・M&A補助金の個人事業主要件のうち「青色申告5年以上」を満たしていない場合、今すぐ手を打てば将来の申請に備えることができます。

青色申告への切り替えに必要な手順は次の通りです。

国税庁ウェブサイト(https://www.nta.go.jp/)から「所得税の青色申告承認申請書」(様式は「申告・申請・届出等の作成」ページから取得)を取得します。または最寄りの税務署でも配布しています。

申請書に、氏名・住所・事業所の所在地・業種・使用する帳簿の種類を記入します。「備付帳簿名」の欄には、複式簿記を採用する場合は「仕訳帳、総勘定元帳」などを記入します。

提出期限は、青色申告を適用したい年の3月15日まで(1月1日〜3月15日の間に新たに申請する場合)または事業開始年については開業日から2か月以内です。

承認が下りると(通常は通知なしに承認とみなされます)、その年の確定申告から青色申告が適用されます。翌年の確定申告書Bと青色申告決算書で、青色申告の実績が積み重なっていきます。

5年間の実績が積み重なった時点で、事業承継・M&A補助金の個人事業主要件を満たすことになります。

注意点として、青色申告決算書を複式簿記(仕訳帳・総勘定元帳方式)で作成し、期限内に確定申告書を提出することが、65万円の青色申告特別控除を受けるための条件です。白色申告時代に比べて記帳の手間が増えますが、会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生会計等)を使えば日々の入力は比較的シンプルです。

よくある誤解・つまずきポイント

誤解1:廃業・再チャレンジ枠の補助上限は150万円だと思っていた

廃業・再チャレンジ枠を単独(再チャレンジ申請)で申請する場合の補助上限は300万円(補助率2/3)です。「150万円」という数字は、専門家活用枠(小規模売り手支援類型)と「同時申請」した場合の廃業費の上限であり、単独申請の上限ではありません。また補助下限は補助対象経費75万円未満の申請が受付不可という下限設定がある点にも注意が必要です。

誤解2:採択されれば費用を補助してもらえるので自己負担はない

補助金は精算払い方式のため、費用は一旦全額自己負担して、事業完了・実績報告後に補助金として返ってくる仕組みです。補助率が2/3であっても、残りの1/3は自己負担となります。また、補助対象外の経費も発生するため、実際の費用はすべて補助されるわけではありません。

誤解3:公募が始まってから準備すれば間に合う

GビズIDプライムの取得に1〜3週間かかること、事業計画書の作成に時間がかかること、認定支援機関との打ち合わせが必要なことを考えると、公募開始から準備を始めるのでは間に合わないことがほとんどです。公募要領が公開されたタイミング(公募開始の1か月程度前に公表されることが多い)で読み込みを始め、書類準備と計画書作成を進めておくことが重要です。

誤解4:交付決定前に少し仕事を始めてもいい

交付決定前の着手は一切認められません。見積もりの取得・相談・計画立案は問題ありませんが、発注・契約・工事開始は交付決定後でなければなりません。これを守らないと、採択されても補助対象から外れることになります。

誤解5:行政書士でなくてもコンサルタントに申請代行してもらえる

2025年10月以降、申請書類の作成代行は行政書士に限定されています。コンサルタント会社が「作成代行します」と言っている場合はルール違反の可能性があります。採択後に問題が発覚した場合は補助金返還の対象になるため、依頼先の確認が必要です。

誤解6:白色申告の個人事業主でもすぐに申請できる

白色申告の個人事業主は、青色申告承認申請書を税務署に提出した日から5年が経過しないと申請要件を満たせません。今すぐ青色申告に切り替えても、5年後の申請になります。

誤解7:認定支援機関への相談は有料で高い

認定支援機関への相談費用は機関によって大きく異なります。税理士・商工会・商工会議所・金融機関が認定支援機関になっており、顧問税理士がいればその税理士に確認することが多いです。事業承継・引継ぎ支援センター(都道府県ごとに設置)は無料相談に対応しており、事業承継の初期相談の窓口として利用しやすい場所です。

誤解8:M&Aは大企業のためのもので個人事業主には関係ない

近年は小規模なM&Aが増えており、数百万〜数千万円規模の個人事業主の案件も多く成約しています。後継者不在の個人事業主が廃業を考える前に、まずM&Aの可能性を探ることは実務的な選択肢の一つです。15次公募から「小規模売り手支援類型」(補助上限450万円・補助率2/3)が新設されたことも、小規模案件への対応強化の表れです。

不採択時のリカバリー策

採択率が50〜60%というのは、裏を返せば40〜50%が不採択になるということでもあります。不採択になった場合の対処法を整理します。

次回公募への再挑戦

この補助金は年に複数回公募が行われています。1回不採択になっても次の公募に再申請できます。過去に一度不採択になった事業者が次回に採択されるケースは多くあります。不採択の通知に記載されている審査意見等を参考にして、事業計画書を改善して再挑戦することが有効です。

また、不採択実績は一定の回数以上繰り返した場合に加点になる制度があります。公募要領で「不採択加点」に関する記載を確認してください。

他の補助金・助成金への切り替え

事業承継・M&A補助金の対象にならなかった場合、状況によっては他の支援制度が使えることがあります。

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓・業務効率化を支援する補助金で、事業承継とは直接の関係がなくても、承継後の事業改善に使えることがあります。補助上限は通常50万円(特定の枠では200万円等)で、採択率が比較的高いことが特徴です。

事業再構築補助金は、既存事業から新たな事業分野への転換・再構築を支援する補助金で、廃業後の再チャレンジにおける新規事業立ち上げに活用できる可能性があります。補助上限・補助率は類型によって大きく異なります(最新情報は中小企業庁で確認)。

ものづくり補助金は、製造業・サービス業の設備投資を支援する補助金で、事業承継後の設備刷新・生産性向上に活用できる場合があります。

各制度は申請要件・補助上限・補助率・申請窓口が異なります。複数の制度を組み合わせることはできる場合もありますが、同じ経費に複数の補助金を重複させることは認められません。

認定支援機関の探し方・費用感・付き合い方

認定支援機関は「認定経営革新等支援機関」の略称で、中小企業・小規模事業者の経営支援を行う機関として国が認定した専門家・機関です。税理士・公認会計士・中小企業診断士・商工会・商工会議所・地方銀行・信用金庫・信用組合などが対象です。

認定支援機関の探し方

中小企業庁の認定支援機関検索システム(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/)で、自分の地域や業種に応じた認定支援機関を検索できます。最寄りの商工会・商工会議所に問い合わせると、地域に詳しい認定支援機関を紹介してもらえることもあります。

事業承継に特化した相談窓口として「事業承継・引継ぎ支援センター」が都道府県ごとに設置されています。無料で相談できるため、初めての方には特にすすめします(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/syoukeishien/)。

費用感

認定支援機関への相談費用は、顧問税理士・顧問公認会計士などはそのまま顧問料の範囲で対応してくれることが多いです。新規に相談する場合は初回相談が無料の機関もあります。事業計画書の作成支援は、案件の規模にもよりますが数万〜十数万円程度が多いようです。ただし機関によって大きく差があるため、複数の機関に費用感を確認することをすすめます。

補助金採択後の成果報酬型(補助金額の○%)を設定しているコンサルタントもいます。この場合、成功報酬の額と支払い条件を契約前に明確にしておくことが重要です。

付き合い方のポイント

認定支援機関には「確認書を出してもらう」だけの関係になりがちですが、事業承継・M&A補助金の申請においては、計画の実現可能性を共に検討する「伴走者」としての関係が理想です。

数値目標・実施スケジュール・リスク対策について、認定支援機関と一緒に議論しながら計画書を固めることで、採択率が上がるだけでなく、補助事業終了後の経営の安定にもつながります。

税務処理——補助金受取後に個人事業主がすべきこと

補助金の収入区分

事業承継・M&A補助金で受け取った補助金は、個人事業主の場合は原則として事業所得の収入または雑収入として計上し、所得税の課税対象となります。「補助金だから非課税」ではないため注意が必要です。

設備投資に充当した補助金については、税務上の「圧縮記帳」(取得した固定資産の帳簿価額を圧縮することで課税繰り延べを図る特例)が適用できる場合があります。この適用可否は個別の状況によって異なるため、税理士に相談することをすすめます。

確定申告への影響

補助金を受け取った年の確定申告では、補助金収入を収入欄に計上する必要があります。補助金の金額が大きいと、その年の所得が増えるため、所得税・住民税が増える可能性があります。

国民健康保険料への波及

個人事業主が加入している国民健康保険の保険料は、前年の所得をもとに算定されます。補助金収入によって前年の所得が増加した場合、翌年の国民健康保険料が増加する可能性があります。補助金を受け取った後、翌年の国民健康保険料の増加分も見込んだ資金計画を立てることをすすめます。

廃業年の確定申告

廃業を決断した個人事業主が廃業・再チャレンジ枠を使う場合、廃業年の確定申告は「廃業届を提出した後でも、廃業日まで(または廃業年の翌年2月16日〜3月15日の確定申告期間中)に確定申告が必要」です。廃業費用(補助対象外の部分)も経費計上できる場合があるため、廃業年の確定申告は税理士に相談することをすすめます。

申請チェックリスト

個人事業主が事業承継・M&A補助金を申請するにあたって確認すべき項目を一覧にしました。

【基本要件の確認】

【GビズIDの確認】

【認定支援機関の確認】

【事業計画書の確認】

【書類の確認】

【事前着手禁止の確認】

【補助金受取後の確認】

よくある質問(FAQ)

Q1. 個人事業主ですが、青色申告を始めたのは3年前です。今すぐ申請できますか。

青色申告承認申請書を提出した日から5年が経過していないため、現時点では申請要件を満たしません。あと2年継続して青色申告を行えば、5年の要件を満たすことができます。その間に公募要領を熟読し、認定支援機関への相談・GビズIDの取得・事業計画書のたたき台作成を進めておくと、5年経過後にスムーズに申請できます。

Q2. 廃業を急いでいます。交付決定を待たずに廃業工事を進めてしまうとどうなりますか。

交付決定前に発注・着手した費用は補助対象外になります。採択されても、交付決定前に実施した工事費用は補助されません。廃業工事の手配は交付決定通知書を受け取ってから始めてください。どうしても廃業を急ぐ事情がある場合は、廃業工事の一部を交付決定後に実施する計画にして、補助対象経費を確保することを検討してください。

Q3. 親族に事業を引き継いでもらう予定ですが、後継者がまだ決まっていません。それでも申請できますか。

公募要領の要件次第ですが、承継先が未定の状態では申請要件を満たさないことが多いです。「5年以内に承継を予定」という要件はありますが、具体的な後継者候補との合意や計画がある状態であることが実務上は求められます。認定支援機関に現状を相談した上で申請可否を判断することをすすめます。

Q4. 補助金の申請は自分でできますか。行政書士に頼まないといけませんか。

自分で申請することは問題ありません。GビズIDプライムを取得し、Jグランツにログインして必要書類を揃えて申請することは自分でできます。第三者に申請書類の作成を依頼する場合に、行政書士への依頼が義務付けられています。事業計画書の書き方について相談するだけであれば、認定支援機関や商工会の担当者に助けを借りることができます。

Q5. M&A仲介会社はどこに頼めばいいですか。選び方のポイントは何ですか。

専門家活用枠を使う場合、M&A支援機関登録制度に登録されている業者でないと補助対象になりません。まず登録業者一覧(中小企業庁サイト)を確認した上で、小規模案件の実績・手数料体系・担当者との相性を複数社で比較することをすすめます。「成約件数が多い」「小規模事業者の実績がある」「契約前に費用総額を開示している」の3点を重視すると選びやすくなります。

Q6. M&Aで買い手が見つかりませんでした。廃業・再チャレンジ枠は使えますか。

2020年以降にM&Aに着手したが成約に至らなかった事業者は、廃業・再チャレンジ枠の申請要件を満たす可能性があります。「M&Aに着手した」という実績(仲介会社との契約書等)を証明できるようにしておくことが重要です。

Q7. 補助金で設備を購入した後、承継できなかった場合はどうなりますか。

補助金で購入した設備等には、一定期間(通常は処分制限期間)の転用・売却制限があります。承継できなくなった場合は、事務局に速やかに報告し、指示に従う必要があります。状況によっては補助金の一部返還が求められることがあります。

Q8. GビズIDのアカウントが期限切れになってしまいました。再取得は必要ですか。

2026年7月以降にGビズIDの有効期限設定が導入される予定です。有効期限が切れたアカウントは更新手続きが必要です。GビズIDの公式サイト(https://gbiz-id.go.jp/)で最新の手続き方法を確認してください。

Q9. 補助率が1/2と2/3があるようですが、どちらが適用されるかはどうやって決まりますか。

補助率は申請者の規模区分(中小企業か小規模事業者か)や、選択する類型・申請する経費の種類によって異なります。「小規模事業者」とは、製造業・建設業・運輸業は従業員20人以下、それ以外の業種は従業員5人以下が目安(業種や地域によって異なることがある)です。個人事業主は多くの場合、小規模事業者に該当することが多いですが、公募要領の定義で確認してください。

Q10. 採択率は何%くらいですか。不採択になったらもう申請できませんか。

これまでの公募では採択率がおおむね50〜60%(廃業枠除く)で推移しています。不採択になっても次の公募に再申請することができます。不採択歴がある場合、加点が設けられることもあります。不採択時は審査結果に示される評価の観点を確認した上で計画書を改善して再挑戦することが有効です。

Q11. 事業承継・M&A補助金と小規模事業者持続化補助金は両方申請できますか。

同じ経費に複数の補助金を重複させることは認められません。ただし、別の経費であれば両方の補助金を活用できる可能性があります。申請前に各補助金の公募要領で「他の補助金との併用可否」を確認し、重複計上にならないよう注意してください。

Q12. 認定支援機関の確認書は絶対に必要ですか。

事業承継促進枠など、一部の枠では認定支援機関の確認書が申請要件に含まれています。廃業・再チャレンジ枠を単独で申請する場合は、公募要領で確認書が必須かどうかを確認してください。いずれにしても認定支援機関への相談は採択率向上の観点から実務上は強くすすめられます。

出典一覧(URL・確認日)

本記事は以下の一次情報を確認した上で執筆しています。

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260522001.html

確認日:2026年6月27日

https://shoukei-mahojokin.go.jp/assets/documents/r7h/14-challenge/requirements_challenge_14.pdf

確認日:2026年6月27日

https://shoukei-mahojokin.go.jp/r7h/15-experts_faq/

確認日:2026年6月27日

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260130001.html

確認日:2026年6月27日

https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/syokei/

確認日:2026年6月27日

https://mirasapo-plus.go.jp/hint/29717/

確認日:2026年6月27日

https://shoukei-mahojokin.go.jp/r6h/

確認日:2026年6月27日

https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_info/succession_subsidy.html

確認日:2026年6月27日

https://gbiz-id.go.jp/top/apply/prime_sole-proprietor_04.html

確認日:2026年6月27日

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/

確認日:2026年6月27日

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/syoukeishien/

確認日:2026年6月27日

https://hojyokin-portal.jp/columns/jigyoshokei

確認日:2026年6月27日

https://www.sme-support.co.jp/column/p1221/

確認日:2026年6月27日

https://fundbook.co.jp/column/understanding-ma/business-succession-subsidy/

確認日:2026年6月27日

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言・税務上の助言を行うものではありません。制度の詳細・最新の要件・申請手続きについては、各公式サイトまたは担当窓口(事業承継・M&A補助金事務局・中小企業庁・認定経営革新等支援機関・税務署)に直接ご確認ください。補助金の採択・給付は予算の範囲内で行われるものであり、要件を満たした全員が必ず受給できることを保証するものではありません。申請書類の作成に際しては、2025年10月以降の規制に従い、第三者への作成依頼は行政書士(または行政書士法人)に限られます。税務上の取り扱い(課税関係・圧縮記帳の適否等)については、税理士または公認会計士にご相談ください。