移住支援金・起業支援金のしくみと申請実務(2026年最新)

本記事は2026年6月25日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・対象地域は制度年度や市町村によって変更されるため、申請前に必ず移住先市町村の公式情報をご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、申請書類の作成代行や個別の申請代行は行いません。

この記事で分かること

「東京圏から地方に移住すると、最大100万円(世帯)または60万円(単身)の支援金がもらえる」という制度が、「移住支援金」です。18歳未満の子どもを連れて移住する場合はさらに子ども1人あたり100万円が上乗せされ、地方で起業する場合には別途「起業支援金」として最大200万円の補助も受けられます。

申請者は移住者本人です。申請先は移住後の住所がある市町村の窓口で、自己申請ができます。手続きに行政書士などの専門家は原則不要ですが、市町村ごとに要件の細部が異なるため、移住前から現地自治体への相談が欠かせません。

この記事では、「どんな人が対象か」「いくらもらえるか」「起業支援金との組み合わせはどうなるか」を整理します。

この制度は何か

移住支援金(正式には「地方創生移住支援事業」)は、東京圏への人口集中を緩和し、地方への人の流れをつくることを目的に国が設けた事業です。都道府県と市町村が共同して実施し、国の交付金を財源としています。2019年度に始まり、その後制度の対象や金額が段階的に拡充されてきました。

起業支援金は移住支援金の姉妹制度で、地方に移住して「社会的事業」を起業する人に、事業費の2分の1(最大200万円)を補助するものです。両方を同時に活用することも可能で、起業支援金と移住支援金を合わせると、世帯で最大300万円、単身で最大260万円になります。

いくらもらえるか(概要)

移住支援金の基本額は、世帯移住で最大100万円、単身移住で最大60万円です(2026年6月25日時点)。18歳未満の子どもを連れて移住する場合は、子ども1人につき最大100万円が加算されます。

たとえば、2人の子どもを連れて家族4人で移住した場合、基本額100万円に子ども加算100万円×2人分が加わり、最大300万円の支援を受けられる計算になります。

ただし「最大」であり、都道府県や市町村が独自に上限を設定しているため、実際の支給額は移住先によって異なります。また予算に上限があるため、申請が受付期間内でも年度途中で締め切られる場合があります。

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制度の概要だけ読んでも、「結局、自分の家族はいくら受け取れるのか」が分からないままになりがちです。そこで、もっとも問い合わせの多い典型ケースを1つ取り上げ、金額の計算から税金の扱いまで、省略せずに最後まで通して見せます。続きの中身がどういう精度のものかを、ここで確かめていただければと思います。

想定するのは、次のような家族です。

夫(35歳・会社員)、妻(33歳・パート)、子ども2人(8歳・5歳)の4人家族とします。夫は東京都世田谷区に8年間住み、都内の会社に勤めてきました。今回、新潟県新発田市へ家族そろって移住し、夫はこれまでの仕事を週20時間以上のテレワークで続けることにした、という設定です。妻は移住後にパートを探す予定とします。

まず、要件を満たすかどうかを確認します。移住元の要件は「移住直前の10年間のうち通算5年以上、東京23区に在住または通勤」かつ「直近1年以上は継続して23区に在住または通勤」です。夫は世田谷区に8年間在住しているため、この期間要件は満たすと考えられます。次に就業の要件ですが、今回は移住前の業務をテレワークで継続するパターンです。この場合は「自己の意思による移住であること」「移住後も恒常的に通勤しないこと」が問われます。会社の命令による転勤ではなく、夫が自分の希望で移住するため、ここも満たす見込みです。週20時間以上というテレワーク時間の下限についても、フルタイム勤務であれば問題なく超えます。

続いて、金額を組み立てます。新発田市の令和8年度の案内を例にすると、複数人世帯の基本額は100万円です。ここに子ども加算が乗ります。ここで注意したいのは、子ども加算の額は国が「1人あたり最大100万円」としているものの、実際にいくら加算するかは市町村ごとに設定が異なる、という点です。たとえば新発田市の令和8年度の案内では子ども1人につき30万円の加算とされており、国の上限額がそのまま適用されるわけではありません。一方、千葉県香取市のように1人につき100万円(最大2人まで)と設定している市町村もあります。同じ「子ども2人を連れた4人家族」でも、移住先によって受け取れる額が大きく変わるということです。

新発田市の設定で計算すると、次のようになります。

仮に同じ家族が、子ども加算を1人100万円と設定している市町村(香取市の例)へ移住した場合は、基本額100万円に子ども加算100万円×2人=200万円が加わり、合計300万円という計算になります。同じ家族構成でも、移住先しだいで160万円から300万円まで差が出る、というのが現実です。だからこそ、候補地が絞れた段階で、その市町村の子ども加算額を必ず確認しておくことをお勧めします。

最後に、見落とされがちな税金の扱いまで見ておきます。移住支援金は「非課税」と紹介されることがありますが、国税庁の見解では一時所得として扱われ、所得税の課税対象に位置づけられています。ただし、一時所得には年間50万円の特別控除があり、さらに課税されるのはそこから差し引いた額の2分の1です。たとえば、この年に移住支援金160万円を受け取り、ほかに一時所得がなかった場合は、160万円から特別控除50万円を引いた110万円の2分の1、すなわち55万円が課税対象になる、という計算になります。つまり「全額が手取りになる」とは限らない点に注意が必要です。受け取った金額や他の一時所得の有無によって税額は変わるため、心配な場合は確定申告の前に税務署や税理士に相談しておくと安心です。なお、起業支援金は移住支援金とは扱いが異なり、事業所得などとして課税される点も押さえておきましょう。

以上が、1つの典型ケースをひととおり解いた流れです。ほかのケース・申請の実務・チェックリスト・FAQはこの続きで解説します。

ここから先は、申請に直結する実務です。

移住支援金の対象者判定軸

支援を受けるには、いくつかの条件を全て満たす必要があります。順番に確認していきましょう。

東京圏の定義と居住期間要件

まず、移住元の要件です。この制度における「東京圏」とは、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の1都3県を指します。ただし重要なのは、23区の役割です。

具体的な要件は次のとおりです。移住直前の10年間のうち、通算5年以上にわたって「東京23区に在住していた」または「東京圏に在住し、東京23区に通勤していた」実績が必要です。さらに、移住の直前1年以上は、継続して同じ状況(23区在住または23区への通勤)にあることが必要です。

つまり、23区以外の東京都や埼玉・千葉・神奈川に住んでいるだけでは対象外です。必ず「23区に在住」または「23区への通勤」という実績が問われます。これは制度上の大きな絞り込みポイントです。

なお、東京圏内であっても過疎地域など「条件不利地域」に指定されている地域に住んで23区へ通勤している場合も対象となりますが、詳細は申請先市町村に確認が必要です。

就業・活動の条件

移住先での活動についても条件があります。以下のいずれかに該当する必要があります。

  1. 移住先都道府県が運営する移住支援金対象の求人マッチングサイトに掲載された求人に就業すること(週20時間以上の無期雇用)
  2. テレワークにより移住前の業務を継続すること(週20時間以上のテレワーク実施、かつ自己の意思による移住であること)
  3. 農林水産業または家業への就業
  4. 起業支援金の交付決定を受けた起業を行うこと

テレワーク条件で特に注意が必要なのは、「自己の意思によって移住した」という要件です。会社の命令による転勤・出向・出張ではなく、自分が希望して移住し、その後も同じ会社の業務をテレワークで続けるケースが対象です。また「恒常的に通勤しない」ことが求められるため、週に数日だけ出社するような働き方では審査が難しくなる場合があります。週20時間以上というのは、テレワーク時間の下限を示しています。

マッチングサイトを経由した就業の場合は、移住先都道府県が指定するサイトに掲載されている求人であることが必須です。同じ求人サイトでも「移住支援金対象」のマークがついている求人に限られます。内定後に「対象外だった」と気づくケースが多いため、応募前の確認が重要です。

移住先の条件

移住先は、東京圏の外(埼玉・千葉・東京・神奈川以外の道府県)または東京圏内の条件不利地域に限られます。移住した市町村が移住支援金事業を実施していることも必須条件です。全ての市町村が実施しているわけではないため、候補地を絞ったら先に市町村の実施有無を確認します。

継続居住の誓約

申請時には「移住後5年以上、継続してその市町村に居住する意思がある」ことを誓約する書類が必要です。なお、これは意思の表明であり、仮に5年以内に転出した場合でも一律に返還が求められるわけではありませんが、不正申請や虚偽申請は厳しく対処されます。

移住支援金の金額(2026年6月25日確認)

国制度としての基本金額は次のとおりです。ただし、都道府県・市町村の設定によってはこれより低い場合もあります。

子ども加算は、令和5年4月1日以前は金額が小さく設定されていましたが、2023年度以降は1人あたり最大100万円に大幅に引き上げられています。申請年度の4月1日時点で18歳未満の子どもが対象となります。ただし子ども加算の実際の支給額は市町村ごとに設定が異なるため、移住先市町村に個別に確認してください。

また、移住支援金の税金の扱いには注意が必要です。「非課税」と紹介されることがありますが、国税庁の見解(令和元年公表)では、移住支援金は一時所得として所得税の課税対象に位置づけられています。ただし、一時所得には年間50万円の特別控除があり、課税されるのはそこから差し引いた額の2分の1です。そのため、受け取った額が特別控除の範囲内に収まれば、結果として税負担が生じないケースも多いと考えられます。一方で、起業支援金は事業所得等として課税対象となるため、両者で扱いが異なる点に違いがあります。心配な場合は確定申告前に税務署や税理士に確認することをお勧めします。

起業支援金の仕組み・上限額・対象事業

起業支援金(地方創生起業支援事業)は、東京圏以外の地域または東京圏内の条件不利地域で、地域の課題を解決する社会的事業を起業する人に対して、事業費の2分の1(上限200万円)を補助する制度です。

「社会的事業」とは、「社会性・事業性・必要性」の3つの観点を満たす起業とされており、具体的には子育て支援、買い物弱者支援、地域産品を活用する飲食業、まちづくり推進など、地域の課題に根ざした幅広い分野が想定されています。事業承継・第二創業については、Society5.0関連業種など付加価値の高い分野も対象となります。

ただし、「社会的事業」の具体的な対象分野や審査基準は、各都道府県・市町村が独自に設定しています。そのため、同じ事業内容でも、自治体によって採択されるかどうかが異なります。申請前に必ず移住予定先の都道府県または市町村に事前相談を行うことが重要です。

起業支援金は採択審査があり、全員が受給できるわけではありません。また、支援を受けた場合でも事業費の半額は自己負担となります。

なお、起業支援金の実施都道府県は限定されています。令和7年度の実績では、東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府の4都府県は対象外となっており、残り43道府県が実施しています。令和8年度の実施都道府県については、各都道府県の公式情報を事前に確認してください。

対象地域の調べ方

移住支援金が受けられる市町村を調べるには、以下の方法が有効です。

まず、内閣府地方創生推進事務局が運営する「起業支援金・移住支援金 ふるさと求人サイト」(https://www.chisou.go.jp/sousei/shienkin_map.html)から、各都道府県ごとの求人情報と対象市町村の一覧を確認できます。

次に、公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構が運営する「ニッポン移住・交流ナビ JOIN」(https://www.iju-join.jp/support_search/index.html)では、全国の自治体ごとの支援制度を地図から検索できます。

候補地が絞れたら、その市町村の公式サイトまたは移住担当窓口に直接問い合わせるのが確実です。「移住支援金事業を実施しているか」「令和8年度の受付はいつまでか」「テレワーク移住は対象か」など、自分の状況に合わせて確認してください。

誰がいつ申請するか

申請者は移住者本人です。申請先は、実際に転入した市町村の窓口となります(都道府県ではなく市区町村です)。

申請期限は「転入後1年以内」が全国共通の基本ルールです。ただし、各市町村の年度内予算が尽きた時点で受付終了となる場合があるため、転入後なるべく早めに手続きを進めることをお勧めします。令和8年度の受付期間を例に挙げると、「令和8年4月1日〜令和9年2月26日まで(予算上限に達した時点で終了)」という形式が多くの市町村で採られています。

必要書類の例(自治体によって異なります):

申請の流れと事前準備

移住支援金の申請は、移住してから手続きするものです。しかし、受給できるかどうかは移住前の状況によって決まるため、早めに確認しておくことが肝心です。

おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 移住先の市町村が事業を実施しているか確認する
  2. 自分が東京23区在住または通勤の実績(10年で通算5年以上・直近1年以上継続)を満たしているか確認する
  3. 就業先または継続するテレワーク業務が対象条件を満たすか確認する
  4. 移住先市町村の相談窓口に事前相談する(移住前でも相談可能な自治体が多い)
  5. 実際に移住・転入手続きを行う
  6. 転入後1年以内に市町村窓口へ申請書類を提出する
  7. 審査後、支援金が振り込まれる

起業支援金を同時に活用したい場合は、さらに都道府県・市町村への事前申請と採択審査が必要となるため、起業計画の策定と平行して早期に相談を始めることをお勧めします。

なお、「地域おこし協力隊」は移住支援金とは別の制度です。協力隊は自治体に雇用される形で活動報酬が支払われる仕組みであり、移住支援金とは併用できる場合もありますが、協力隊として活動しているだけで移住支援金が自動的に受けられるわけではありません。

よくある誤解・つまずきポイント

移住支援金については、制度の名前が広まる一方で、実際の要件との乖離からトラブルになるケースが見受けられます。主なポイントを整理します。

一つ目は「全国どこへ移住してもOKではない」という点です。移住支援金は、移住先の市町村が事業を実施していることが必須です。移住後に「この市町村は対象外だった」と気づいても遡及して受給することはできません。必ず移住前に確認します。

二つ目は「東京圏のどこに住んでいたかが問われる」という点です。東京都でも23区以外(例:八王子市、府中市など)に住んで23区外の会社に勤めていた場合は対象外となります。「東京に住んでいたから大丈夫」という思い込みは危険です。

三つ目は「テレワーク条件の厳密さ」です。週20時間以上のテレワーク実施は最低ラインにすぎず、「自己の意思による移住」「恒常的に通勤しない」の2点も問われます。たとえば、毎月数日は本社へ出社するような場合、自治体の判断によっては対象外とされる可能性があります。事前に就業先の会社と確認書類の準備を進めておくことが重要です。

四つ目は「申請のタイミングのミス」です。「転入後1年以内」という期限は意外に短く感じられます。引越し直後はバタバタしがちですが、書類の収集に時間がかかる場合もあるため、転入後すみやかに動き始めることをお勧めします。また、年度途中で予算が尽きると受付が締め切られるため、余裕をもって申請することが大切です。

五つ目は「同一世帯での再受給ができない」という点です。過去10年以内に申請者を含む世帯員として移住支援金を受給したことがある場合は、再受給の対象外となります。

他制度との関係

記事05で解説した「結婚新生活支援事業」(新婚世帯への住居費補助・最大60万円)とは、受け取れる自治体が異なる場合が多いものの、理論上は併用が可能なケースがあります。新婚カップルが地方へ移住した場合、条件次第で両方を申請できる可能性があります。ただし、同じ用途(住居費)に対して国の補助金を二重に受け取ることが制限される場合もあるため、具体的には各自治体に問い合わせて確認してください。

【現時点の金額・要件(2026年6月25日確認)】

以下は2026年6月25日時点の公式情報に基づく情報です。制度年度や市町村ごとに異なる場合があります。

移住支援金(国制度の基本額)

起業支援金

テレワーク条件

申請期限

移住支援金の課税扱い:一時所得として所得税の課税対象(年間50万円の特別控除があり、控除後の額の2分の1が課税対象。控除の範囲内なら税負担が生じないことも多い)

起業支援金の課税扱い:課税(個人は事業所得等に算入、法人は益金に算入)

申請チェックリスト

申請でつまずく方の多くは、書類の不足や確認のタイミングのずれが原因です。移住前から移住後までを時系列で整理しましたので、自分の状況に合わせて確認してください。記載した書類名や期間は一例であり、最終的には移住先市町村の案内に従ってください。

移住前に確認しておくこと(候補地が絞れた段階で):

  1. 移住先の市町村が移住支援金事業を実施しているか
  2. その市町村の世帯額・単身額・子ども加算額がいくらに設定されているか(子ども加算は1人30万円の自治体もあれば100万円の自治体もあります)
  3. 自分が東京23区への在住または通勤の実績(直近10年で通算5年以上、直近1年以上は継続)を満たしているか
  4. 就業・テレワーク・起業のうち、自分がどの条件で申請するか
  5. テレワークで申請する場合、勤務先が「自己の意思による移住」「恒常的に通勤しない」という条件に合う働き方を認めてくれるか
  6. 起業支援金も使う場合、移住予定先の都道府県・市町村が起業支援金を実施しているか、社会的事業の分野・受付期間はどうなっているか

移住後に進めること:

  1. 転入手続き(住民票の異動)を済ませる
  2. 転入後1年以内に申請する(年度予算が尽きると早期に締め切られるため、できるだけ早く動く)
  3. 必要書類を集めて市町村窓口へ提出する

主な必要書類の例(自治体によって名称や様式は異なります):

申請の窓口は、転入した市町村の移住担当課です(都道府県ではありません)。窓口の名称は「みらい創造課」「定住促進係」など自治体ごとに異なるため、市町村公式サイトで「移住支援金」と検索して担当部署を確認してください。

特に注意したい点:

具体的な計算例・記入例

無料部では、子ども2人を連れた4人家族のケースを取り上げました。ここでは、それとは別の条件で3つのケースを計算し、申請書を書くときのポイントもあわせて整理します。金額はいずれも、各市町村が公表している設定額の一例をもとにした試算です。実際の額は移住先の設定により異なります。

ケース1:単身でのテレワーク移住

会社員のAさん(28歳・独身)が、東京都江東区から地方都市へ単身で移住し、勤務先の業務をテレワークで続ける場合を考えます。

記入のポイントとして、テレワーク移住では「移住前から同じ会社の同じ業務を続けている」ことを示す就業証明書や、勤務先が発行する在職・テレワーク勤務の証明が求められることが一般的です。申請書の就業形態欄では「テレワーク」を選び、添付書類でそれを裏づける形になります。会社命令の転勤ではない点を示すため、勤務先に証明書の記載内容を事前に相談しておくと安心です。

税金については、60万円であれば一時所得の特別控除(年間50万円)を差し引いた10万円の2分の1、すなわち5万円が課税対象になる計算です。ほかに一時所得がなければ、税負担はごく小さくなると考えられます。

ケース2:夫婦2人世帯で就業マッチングを利用

共働きを希望するBさん夫婦(夫32歳・妻30歳、子どもなし)が、東京23区から地方へ移住し、夫が移住先都道府県のマッチングサイト経由で地元企業に就職する場合です。

記入のポイントは、就業先がマッチングサイトに掲載された「移住支援金対象求人」であることの確認です。申請書には求人番号や企業名を記載し、雇用契約書の写しを添えます。多くの自治体で「週20時間以上の無期雇用」「5年以上の継続勤務の意思」が条件とされているため、雇用形態がこれに合致しているかを契約前に確かめておくことが大切です。世帯申請の場合、申請者は世帯の代表者となり、配偶者も同一住所に転入していることを住民票で示します。

ケース3:子ども3人を連れた世帯+起業支援金の併用

地方で子育て支援サービスを起業したいCさん夫婦(子ども3人:10歳・7歳・3歳)が、東京23区から、子ども加算を1人100万円と設定し、かつ起業支援金も実施している地域へ移住する場合です。なお、子ども加算は「最大2人まで」のように人数に上限を設けている自治体もあるため、3人目以降が加算対象になるかは移住先への確認が必要です。ここでは、3人とも加算対象になる自治体を想定して試算します。

移住支援金の計算:

起業支援金の計算:

移住支援金と起業支援金を合わせると、最大で600万円規模の支援になり得るという試算です。ただし、起業支援金は採択審査があり、全員が受給できるわけではありません。社会的事業として認められること、事業費の半額は自己負担であることが前提です。子ども加算の上限人数も自治体によって異なるため、この金額はあくまで条件がすべて整った場合の上限イメージとお考えください。

記入のポイントとして、起業支援金は移住支援金より先に手続きが始まることが多く、事業計画書の提出と採択審査を経て「交付決定通知書」を受け取り、その写しを移住支援金の申請に添える流れになります。事業計画書では、地域のどんな課題を、どのように解決するのかという「社会性・事業性・必要性」を具体的に書くことが求められます。

よくある質問(FAQ)

ここでは、移住支援金・起業支援金について読者の方が迷いやすい点を、質問と回答の形で整理します。回答はいずれも一般的な傾向であり、最終的な可否は移住先の市町村の設定によります。

Q1. 東京都に住んでいれば誰でも対象になりますか。

いいえ、そうとは限りません。移住元の要件は「東京23区に在住」または「東京圏(東京都・埼玉・千葉・神奈川)に住んで23区へ通勤」していたことです。東京都でも23区以外(たとえば多摩地域)に住み、23区以外へ通勤していた場合は対象外となる可能性が高いです。

Q2. 移住直前に転職したばかりでも対象になりますか。

要件は勤務先の継続年数ではなく、「23区への在住または通勤」の実績です。直近1年以上は継続して23区に在住または通勤していることが必要とされるため、その期間を満たしていれば、移住直前の転職そのものは直接の問題にならないと考えられます。ただし通勤実績で申請する場合は、勤務先が変わると通勤先も変わるため、通算期間の計算に影響が出る場合があります。詳しくは申請先に確認してください。

Q3. テレワークでの移住です。月に数日だけ会社へ出社しても大丈夫ですか。

自治体の判断によります。テレワーク移住では「恒常的に通勤しないこと」が条件とされるため、定期的な出社が多いと対象外と判断される可能性があります。出社の頻度がどの程度まで認められるかは自治体ごとに異なるため、申請前に市町村へ具体的に確認することをお勧めします。

Q4. 会社の辞令による転勤でも移住支援金はもらえますか。

テレワーク移住の枠では難しいと考えられます。テレワーク条件では「自己の意思による移住であること」が問われるため、会社命令の転勤・出向・出張は対象外とされるのが一般的です。

Q5. 単身でも世帯でも、金額は全国一律ですか。

いいえ。国の基準は世帯100万円以内・単身60万円以内ですが、実際の額は都道府県・市町村が設定します。単身額が60万円より低い自治体もあり得ます。子ども加算に至っては1人30万円の自治体もあれば100万円の自治体もあるため、移住先によって受け取れる額は大きく変わります。

Q6. 子ども加算は何歳までが対象ですか。何人まで加算されますか。

18歳未満の子どもが対象とされています。加算人数については上限を設けず人数分を加算する自治体もあれば、「最大2人まで」のように上限を定める自治体もあります。判定の基準日や上限人数は市町村ごとに異なるため、必ず移住先に確認してください。

Q7. 移住支援金に税金はかかりますか。

国税庁の見解では、移住支援金は一時所得として所得税の課税対象です。ただし一時所得には年間50万円の特別控除があり、課税されるのは控除後の額の2分の1です。受け取った額がこの範囲に収まれば、結果として税負担が生じないことも多いと考えられます。一方、起業支援金は事業所得などとして課税されるため、扱いが異なります。

Q8. 起業支援金は誰でも採択されますか。

いいえ。起業支援金には審査があり、採択されるとは限りません。地域の課題解決につながる「社会的事業」であること、事業計画に妥当性があることなどが審査されます。また、支援を受けても事業費の半額は自己負担です。

Q9. 移住支援金と起業支援金は両方もらえますか。

両方を活用することは可能です。起業支援金の交付決定を受けたうえで、それを就業要件の一つとして移住支援金を申請する流れになります。ただし、起業支援金を実施していない都道府県もあるため、移住予定先で両方を使えるかを先に確認する必要があります。

Q10. 申請してからどのくらいで振り込まれますか。

審査の期間は自治体によって異なります。書類の提出後に審査が行われ、交付決定を経て振り込まれる流れのため、申請から入金まで数週間から数か月かかることもあります。具体的な目安は申請先の市町村に確認してください。

Q11. 移住して5年以内に引っ越したら、お金を返さないといけませんか。

返還を求められる場合があります。多くの自治体が5年以上の継続居住を誓約条件としており、たとえば「3年未満で転出した場合は全額返還、3年以上5年未満で転出した場合は半額返還」と定めている例があります。偽りの申請や、申請後一定期間内の離職などを返還事由とする自治体もあります。返還条件は市町村ごとに異なるため、申請前に必ず確認してください。

Q12. 「地域おこし協力隊」として移住すれば、自動的に移住支援金ももらえますか。

別の制度のため、自動的に併給されるわけではありません。地域おこし協力隊は自治体に雇用されて活動報酬を受け取る仕組みで、移住支援金とは要件が異なります。併用できる場合もありますが、協力隊だからといって移住支援金の要件を自動で満たすわけではない点に注意が必要です。

Q13. 過去に移住支援金を受け取ったことがあります。もう一度もらえますか。

再受給を制限している自治体があります。たとえば、過去に申請者本人や同一世帯員として移住支援金を受給したことがある場合は対象外、と定める例があります。制限の有無や期間は自治体ごとに異なるため、過去に受給歴がある場合は申請先に確認してください。

Q14. 申請に行政書士などの専門家は必要ですか。

原則として、申請は移住者本人が自分で行えます。手続き自体に専門家の関与は必須ではありません。ただし、起業支援金の事業計画書づくりなど、内容が複雑になる部分について相談したい場合は、自治体の相談窓口や中小企業支援機関を活用する方法もあります。なお、本記事は一般的な制度解説を目的としており、申請書類の作成代行や個別の申請代行は行いません。

Q15. 移住前に申請しておくことはできますか。

移住支援金そのものは「転入後」に申請する制度のため、移住前に申請を完了させることはできません。ただし、要件を満たすかどうかや必要書類の確認は移住前から相談できる自治体が多く、起業支援金については移住前から事業計画の相談・申請を進めるのが一般的です。受給できるかどうかは移住前の状況で決まる部分が大きいため、早めの事前相談が肝心です。

出典一覧(2026年6月25日確認)

https://www.chisou.go.jp/sousei/ijyu_shienkin.html

https://www.chisou.go.jp/iikamo/shienkinkaisetsu/index.html

https://www.chisou.go.jp/iikamo/ijushienkin/

https://www.chisou.go.jp/sousei/kigyou_shienkin.html

https://www.chisou.go.jp/sousei/shienkin_index.html

https://www.chisou.go.jp/sousei/shienkin_map.html

https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/1021252/1019670.html

https://www.city.shibata.lg.jp/kurashi/iju/uiturn/1018454.html

https://www.city.katori.lg.jp/government/plan_policy/ijuu_teijuu/ijushienkin.html

https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/2025031300026/

https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/shotoku/h31/004/besshi.htm

https://www.iju-join.jp/support_search/index.html

免責事項

本記事の情報は、2026年6月25日時点の公式情報をもとに作成した参考情報です。移住支援金・起業支援金の実施有無・金額・要件は、都道府県・市町村ごとに異なり、かつ毎年度変更される場合があります。申請前には必ず移住予定先の市町村窓口に最新情報をご確認ください。本記事は一般的な制度解説を目的としており、個別の受給可否や申請代行を行うものではありません。