高齢者・障害者の移動支援を全部まとめる(タクシー券・バス無料パス・福祉有償運送・移動支援給付の横断ガイド)
本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・受付期間はいずれも変更されることがあるため、申請前に必ず各自治体の公式サイトまたは担当窓口で最新情報をご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言を行うものではありません。
この記事が整理すること
移動に困難を抱えるようになった本人やその家族が、「なにか制度を使えないか」と調べ始めると、すぐに壁に当たります。タクシー券・バスの無料パス・福祉有償運送・ガイドヘルパー・介護タクシー・免許返納の特典など、名前の違う制度が次々と出てきて、自分や家族にはどれが当てはまるのかわからなくなるのです。
混乱の根本的な理由は二つあります。一つは、高齢者向けの制度と障害者向けの制度が法律の根拠から異なること。もう一つは、利用できる内容が自治体ごとに大きく違うため、ウェブで調べると別の地域の制度が表示されてしまうことです。
この記事では以下のことを整理します。
まず、移動支援の制度全体をタクシー券・バス無料パス・福祉有償運送・移動支援給付(障害福祉サービス)の4類型に整理して、何が誰に向けた制度なのかを明確にします。次に、高齢者向け制度と障害者向け制度を一つの記事の中で横断的に比較します。これは別々の記事に分散していることが多く、整理されたものがほとんどありません。さらに、複数制度の優先順位と併用ルールを解説します。介護保険が優先になる原則や、バスパスとタクシー券が重複して使えない自治体が多い点など、申請前に知っておかなければ損をする情報も含みます。
読者として想定しているのは、高齢になった親の外出支援を考えているご家族、免許を返納した本人またはそのご家族、障害福祉サービスを初めて検討している方、複数の制度を比べて自分に合うものを選びたい方です。
移動支援制度の全体像
移動を支援する公的な仕組みは大きく4つの類型に整理できます。それぞれ根拠法・実施主体・対象者・費用負担の構造が異なります。
類型1は自治体のタクシー券・交通費助成です。市区町村が独自に実施するもので、高齢者や障害のある方を対象に、タクシー料金の一部を補助するクーポン(タクシー利用券・福祉タクシー助成券など)を交付します。名称・枚数・1枚の金額・対象者の要件・対象タクシー会社が自治体ごとに異なり、全国一律の制度はありません。実施していない自治体も存在します。
類型2は高齢者向けのバス無料パス・乗車証です。70歳(または65歳)以上の高齢者を対象に、公共交通機関を割引または無料で利用できる証明書を交付する制度です。東京都のシルバーパス、大阪市の敬老優待乗車証、名古屋市の敬老パス、横浜市の敬老特別乗車証といった名称で呼ばれます。年間の負担金や利用できる交通機関の範囲は自治体ごとに決まっています。
類型3は福祉有償運送です。道路運送法第79条に基づき、NPO法人・社会福祉法人・医療法人・農業協同組合などが都道府県・市区町村に登録して実施する有償の送迎サービスです。一般のタクシーに相当するサービスを、公共交通の利用が困難な要介護者や障害のある方に限定して提供します。事業者ごとに利用エリア・車両・予約方法が異なり、公共交通が乏しい地域や夜間・休日など一般タクシーが少ない場面で重要な役割を担っています。
類型4は移動支援給付(障害福祉サービス)です。障害者総合支援法に基づく制度で、大きく二種類あります。一つは自立支援給付の中の個別給付(同行援護・行動援護)で、国が法定したサービスとして全国共通の枠組みがあります。もう一つは地域生活支援事業としての移動支援(外出支援)で、市区町村が独自に設計・実施するため、対象者・利用時間・費用負担が自治体によって大きく異なります。
以下の表は4類型の比較です(確認日:2026年6月27日)。
| 類型 | 主な対象者 | 法的根拠・実施主体 | 利用者の費用負担 | 適用範囲 |
|---|---|---|---|---|
| タクシー券・交通費助成 | 高齢者・障害者(自治体による) | 自治体独自事業 | 助成額超過分は自己負担 | 自治体ごとに異なる |
| バス無料パス・乗車証 | 原則70歳以上(一部65歳以上) | 自治体独自事業 | 年間負担金(自治体設定) | 自治体ごとに異なる |
| 福祉有償運送 | 要介護者・障害者等 | 道路運送法第79条、NPO等 | 実費(国の関与なし) | 事業者の登録エリア内 |
| 同行援護・行動援護 | 視覚障害者・行動困難な障害者 | 障害者総合支援法(個別給付) | 原則1割(上限月額あり) | 全国共通の枠組み |
| 移動支援(外出支援) | 障害者(自治体設定) | 障害者総合支援法(地域事業) | 原則1割(自治体設定) | 自治体ごとに異なる |
【無料サンプル】東京都で70歳になった方がシルバーパスを申請する場合を1ケース全部見せます
移動支援の制度の中で、手続きが比較的シンプルで多くの方が最初に検討するのが、バス無料パス(乗車証)の申請です。ここでは東京都のシルバーパスを例に、申請の流れを金額・書類・窓口まで完結して解説します。東京都以外にお住まいの方も、自分の自治体の制度を調べる際の参考としてお読みください。
想定するケースは次の通りです。
東京都世田谷区在住の72歳の女性です。昨年まで車の運転をしていましたが、今年から公共交通機関に切り替えることにしました。年金収入は年間約170万円で、令和7年度の住民税は非課税です。バスと地下鉄を週2〜3回、通院や買い物に使います。
まず制度の概要を確認します。東京都シルバーパスは、都内在住の満70歳以上の方が、都営バス・都営地下鉄・都電荒川線・日暮里舎人ライナー・民営バスなどを利用できる乗り放題のパスです。有効期間は購入日にかかわらず毎年10月1日から翌年9月30日までの1年間で統一されています。2026年度の有効期限は2026年9月30日です(2026年6月27日確認)。
購入費用は所得によって大きく異なります。非課税の方は1,000円で購入できます。課税の方は6,000円(2026年4月以降の令和8年度価格)ですが、令和7年の合計所得金額が135万円以下であれば課税であっても1,000円で購入できる経過措置があります。このケースの女性は非課税のため、費用は1,000円です。
必要な書類と申請の流れを順番に見ていきます。
ステップ1として、購入窓口の場所を確認します。シルバーパスは都営バスの各営業所・乗客案内所、東京バス協会の各事務所などで購入できます。世田谷区内であれば玉川営業所(東急バス)などが窓口として機能しています。詳細な窓口一覧は東京都シルバーパス公式サイト(https://www.silver-pass.tokyo/)で検索できます。
ステップ2として、持参するものを準備します。非課税の方は以下のいずれかが必要です。介護保険料納入(決定)通知書で所得段階区分欄に[1]〜[6]の記載があるもの、または令和8年度住民税非課税証明書(市区町村役場で取得。通常即日発行、手数料300円程度)、または生活保護受給証明書(令和8年4月1日以降発行のもの)です。これに加えて本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証・健康保険証など)が必要です。代理人が申請する場合は委任状と代理人の本人確認書類も必要です。
ステップ3として、窓口で申込書に記入して費用を支払います。パスはその場で発行されます。
このパスを使えば、都営バス(全路線)、都営地下鉄(浅草線・三田線・新宿線・大江戸線)、都電荒川線・東京さくらトラム、日暮里舎人ライナー、多摩地域の民営バスなどに乗り放題で乗車できます。東急バスや小田急バスといった民営バスでも利用できる路線があります。なお、東京メトロ(地下鉄銀座線・丸ノ内線等)は都営ではないため対象外です。
費用感を試算してみます。仮に週2回、1回あたり片道バス210円を利用した場合、月に約1,680円の交通費がかかります。年間では約20,160円です。シルバーパスを1,000円で購入すれば、この費用が丸ごと節約できる計算になります。節約額は年間約19,000円です。週3回以上利用される方ならさらに効果が大きくなります。
更新の手続きについても確認しておきます。シルバーパスの有効期間は毎年10月1日から翌年9月30日までの1年間です。更新の案内は自動的には届かないため、毎年9月を迎えたら更新手続きが必要なことを覚えておく必要があります。更新も同じ窓口で行います。転居した場合は交付元の区市町村が変わる可能性があるため、転居後に住所の区の窓口へ確認してください。
申請を忘れやすいタイミングとして、70歳になった直後に申請していない場合です。満70歳になった月の初日から購入資格が生じますが、申請しないと使えません。誕生日の翌月に購入したとしても有効期限は同じ9月30日までのため、購入が遅れるほど利用できる期間が短くなります。できるだけ70歳になった月に申請することをおすすめします。
この1ケースで、シルバーパスの仕組みと申請の全体像が把握できたと思います。東京都以外の方が自治体の乗車証を申請する際も、窓口と必要書類の基本的な構造はよく似ています。他の自治体の具体例と、障害者向け制度の詳細・複数制度の使い分け・よくある申請のつまずきはこの続きで解説します。
ここから先は、申請に直結する実務です。
高齢者向けバス無料パス・乗車証の詳細
制度の設計思想と全国的な傾向
高齢者向けのバス無料パス・乗車証は、市区町村(または都道府県)が独自に設計・実施する制度であり、法律による全国一律の給付ではありません。財源は自治体の一般会計から出るため、自治体の財政状況・高齢化率・公共交通の密度によって制度の有無や内容が大きく変わります。
制度がある自治体でも、所得に応じた段階的な負担金が設定されているケースと、全員一律の負担金が設定されているケースに分かれます。また、利用できる交通機関の範囲も「市営バスのみ」「民営バスを含む」「地下鉄も含む」などさまざまです。利用回数の上限が設けられているケース(名古屋市の年730回など)もあります。
なお、障害のある方が受けている別の無料パス・割引制度と重複して交付されないルールを設ける自治体が多く、どちらかを選ぶ必要が生じることがあります。
東京都シルバーパス(確認日:2026年6月27日、要確認)
対象:都内在住の満70歳以上
購入費:非課税または合計所得金額135万円以下の課税者は1,000円、その他の課税者は6,000円(2026年4月以降の令和8年度価格。令和7年度10〜3月購入時は12,000円だったが令和8年度より改定)
有効期間:毎年10月1日〜翌年9月30日(1年間)
利用可能交通機関:都営バス全路線・都営地下鉄全線・都電荒川線・日暮里舎人ライナー・民営バス(一部除外路線あり)・八丈町営バス・三宅村営バス
申請窓口:都営バス各営業所・東京バス協会各事務所等
公式サイト:https://www.silver-pass.tokyo/
大阪市敬老優待乗車証(敬老パス)(確認日:2026年6月27日、要確認)
対象:大阪市在住の70歳以上(他の福祉的無料パスを受けていない方)
負担金:年額3,000円(別途、乗車1回につき50円が必要)
利用可能交通機関:Osaka Metro(地下鉄・ニュートラム)・大阪シティバスの路線バス(一部の特殊路線・空港行バス等は除外)
申請窓口:お住まいの区の保健福祉センター(区役所内)
必要書類:カラー顔写真(縦4.5cm×横3.5cm)・本人確認書類・申請書(70歳到達3か月前に郵送)
注意:本人が直接申請する必要があります(代理申請不可)
公式サイト:https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000006483.html
名古屋市敬老パス(確認日:2026年6月27日、要確認)
対象:名古屋市在住の65歳以上(外国籍の方も含む)
負担金(年額・所得別):合計所得基準額以下または生活保護受給者は1,000円、本人が基準額以下・他の世帯員が超過は3,000円、本人の合計所得が基準額超過は5,000円(基準額は扶養なしで45万円)
利用上限:年間730回
利用可能交通機関:市バス・地下鉄・ゆとりーとライン・あおなみ線(無料)、名鉄・JR東海・近鉄の市内運行区間(運賃支給対象)
申請:オンラインまたはコールセンター(052-766-5500)
公式サイト:https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000009582.html
横浜市敬老特別乗車証(確認日:2026年6月27日、要確認)
対象:横浜市在住の70歳以上
仕組み:年に一度、3,200円〜20,500円の負担金を支払い、バス・地下鉄・一部路面交通の乗り放題証を受け取る方式(所得要件を満たす一部の方は無料)
利用可能交通機関:横浜市営バス・市営地下鉄(ブルーライン・グリーンライン)・金沢シーサイドライン・民営バス(相鉄・神奈川中央・京急バス等)
令和7年10月からは「おでかけシャトル」(ワゴン型バス)でも半額程度で乗れる扱いに
公式サイト:https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/kaigoyobo-kenkoudukuri-ikigai/ikigai-shakaisanka/keirou.html
福岡市高齢者乗車券(確認日:2026年6月27日、要確認)
対象:70歳以上で介護保険料所得段階区分が1〜7の福岡市民(身体障害者手帳1〜3級等の所持者は対象外。障害者向け制度が別途あるため)
交付金額:所得段階と申請時期によって異なる。所得段階1〜5・7〜12月申請の場合12,000円分が交付される(6,000円は交通用福祉ICカード専用、残り6,000円はタクシー助成券等にも使える)
タクシー助成券の使い方:1回の乗車で最大2枚(1,000円)まで使用可能。運賃が500円未満の乗車では使えない
申請方法:オンラインまたは郵送(受付センター:0120-502-633)
令和7年度申請期間:令和7年7月15日〜令和8年9月30日
公式サイト:https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/oldage-welfare/health/00/01/1-010207_5_3_2_2-2.html
札幌市の高齢者向け交通支援(参考・確認日:2026年6月27日)
札幌市には「敬老パス」制度があり、70歳以上の方が希望額(1,000円〜70,000円の範囲)を負担金として納付し、その金額を地下鉄・市電・バスのICカードにチャージして利用できる仕組みです。納付額に応じたチャージとなるため、他都市のように「乗り放題」ではなく「金額補填」型の設計となっています。
詳細な所得要件・負担金区分・2026年度の申請期間は変更されることがあるため、札幌市公式サイトまたは区の保健センターでご確認ください。
乗車証が存在しない自治体の場合
都市部と異なり、公共交通の路線が少ない地方では、バス無料パス自体が存在しない自治体が多くあります。そのような自治体では、タクシー助成券や移送サービスの補助が主な支援になります。近隣の市町村との広域連携でデマンド交通(オンデマンドバス)を運営している地域も増えており、探し方の章で後述します。
高齢者向けタクシー券・タクシー助成制度の詳細
タクシー助成制度の仕組み
高齢者向けのタクシー助成制度は、大きく二種類の方式に分かれます。
一つは「タクシー利用券(クーポン)型」です。自治体が発行する紙の利用券を乗車時にタクシー運転手に渡すことで、利用券の額面分がタクシー料金から差し引かれる方式です。利用できるタクシー会社が限定されている自治体が多く(自治体と協定を結んだ事業者のみ)、リフト付き車両や介護専用車両が使えるかどうかも事業者によって異なります。
もう一つは「交通用ICカード助成型」です。交通系ICカードに自治体が補助金相当額をチャージし、バスやタクシーの運賃に充当できる方式です。福岡市の高齢者乗車券に含まれる形式がこれにあたります。
申請対象者の主な要件
自治体によって異なりますが、よく見られる要件は以下の通りです。
65歳または70歳以上の市区町村民であること。要介護認定を受けている(要支援1以上または要介護1以上など自治体による)。所得制限がある(介護保険料段階や住民税の課税・非課税など)。他の交通系助成制度(バス無料パスなど)との重複交付ができない。
年間の交付枚数や総額の上限も自治体ごとに設定されています。例として年間24枚(1枚500円)、年間12,000円相当など幅があります。
リフト付きタクシーと福祉タクシー券の関係
車いすを利用している方にとって重要なのが、リフト付きタクシー(スロープ付きタクシー)に対応する助成制度が別途用意されているかどうかです。通常のタクシー券はリフト付き車両に対応していない場合があります。
障害福祉系の「福祉タクシー料金助成」は、障害のある方を対象としており、高齢者向けの乗車証とは別の窓口・別の財源で運営されています。要介護の高齢者であっても、障害者手帳を持っていれば障害福祉系の助成の対象になる場合があります。どちらも申請できる要件を満たす場合は、どちらかを選ぶ必要があるのか、両方使えるのかを窓口で確認することが大切です。
申請の流れ(タクシー券の場合)
自治体によって異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。
まず申請窓口(市区町村の福祉課・高齢者支援課等)に赴くか、郵送・オンラインで申請します。申請時に必要になる書類の例としては、本人確認書類(マイナンバーカード等)、介護保険被保険者証(要介護認定の確認のため)、住民票(住所確認のため。申請窓口が住民情報と連携している自治体は不要の場合あり)です。
交付決定後に、タクシー利用券(クーポン)が郵送または窓口で渡されます。利用可能なタクシー会社の一覧も一緒に届くことが多いです。
利用時は協定タクシーに乗車し、下車時に運転手に利用券を提示・提出します。お釣りは出ないため、利用券の額面を超える場合は差額を現金またはICカードで支払います。
更新は通常1年ごとです。自動更新はされないため、毎年の申請が必要な自治体と数年間有効な自治体に分かれます。
障害者向けの移動支援制度
4つの制度と対象者の整理
障害のある方が利用できる移動支援は、制度の根拠によって大きく4つに分けられます。
(1)同行援護(障害福祉サービス・自立支援給付)
(2)行動援護(障害福祉サービス・自立支援給付)
(3)移動支援事業(地域生活支援事業)
(4)福祉タクシー料金助成(自治体の単独事業)
これらは対象者・利用できる場面・費用負担・申請先がすべて異なります。同行援護と行動援護は全国共通の枠組みが法律で定められているのに対して、移動支援事業と福祉タクシー助成は自治体ごとの設計です。
同行援護
根拠:障害者総合支援法(障害福祉サービス・自立支援給付)
対象者:視覚障害により移動に著しい困難がある方。障害支援区分の認定を受けていること(ただし、視覚障害以外の障害があっても視覚障害が主因であれば対象になりえます)
支援内容:外出時の移動の介護(白杖使用の方の同伴)、視覚的情報の提供(看板の読み上げ、色の説明など)、代読・代筆(その場で必要になった書類の読み書き補助)
利用できる場面:通院・買い物・官公署への手続き・文化的・社会的な外出など。ただし職場内の移動、病院内での診察介助などは別のサービスとの区別があります
費用:原則1割負担(応能負担)。月額の上限は市区町村民税課税世帯では上限が設定されており、非課税世帯は0円
申請先:市区町村の障害福祉担当窓口
支給決定までの目安:申請から支給決定まで通常1〜2か月かかります。外出が必要な時期から逆算して早めに相談してください
行動援護
根拠:障害者総合支援法(障害福祉サービス・自立支援給付)
対象者:知的障害または精神障害があり、行動上著しい困難を有する方で、一定の障害支援区分(区分3以上、かつ行動関連項目の点数が一定以上)に認定された方
支援内容:外出時の危険回避・パニック時の対応・移動中の介護。行動そのものの援護が主目的であり、単純な移動の付き添いとは性格が異なります
費用:同行援護と同様に原則1割負担
申請先:市区町村の障害福祉担当窓口
移動支援事業(外出支援)
根拠:障害者総合支援法(地域生活支援事業)
対象者:自治体によって設定。全身性障害・知的障害・精神障害・高次脳機能障害のある方を対象とすることが多いですが、視覚障害は同行援護を優先する自治体が多いため対象外のケースもあります
支援内容:社会参加・余暇活動のための外出の介護(日常生活上必要不可欠な外出とは別)。通勤・通学への利用は原則認められないケースが多いですが、一部自治体では条件付きで認めています
費用:原則1割(自治体設定)。大阪市の例では30分あたり95円の負担、月額上限は課税世帯3,000円・非課税世帯0円
利用上限時間:自治体ごとに異なります。月25〜50時間程度の設定が多い
申請先:市区町村の障害福祉担当窓口
同行援護・行動援護と移動支援の違い
よく混同されるのが「同行援護」「行動援護」と「移動支援事業」の違いです。
同行援護と行動援護は法律に定められた障害福祉サービス(自立支援給付)であり、対象者の要件・支援内容・費用負担は法律・省令で全国統一的に規定されています。利用者は支給決定を受けることで、全国のどの自治体でも一定の水準のサービスが受けられます(事業者の数や空き状況は地域によりますが)。
移動支援事業は地域生活支援事業として位置づけられ、法律は実施することを市区町村に義務付けていますが、具体的な対象者・支援時間・費用は各自治体が決めます。そのため、同じ障害種別・同じ程度の障害でも、住んでいる市区町村によって使えるサービスの内容が大きく異なります。
同行援護・行動援護の対象外になった場合に移動支援事業を使う、という補完的な関係が想定されていますが、実際には移動支援事業で設定された時間数が足りない場合に「移動支援の上限を超えたので同行援護を申請する」というケースや、サービス事業者が同行援護事業者と移動支援事業者で重なっていることもあり、担当のケースワーカー(相談支援専門員)と相談しながら組み合わせを決めることが現実的です。
申請手順の詳細(同行援護を例に)
市区町村の障害福祉課または相談支援事業所(地域の相談窓口)に相談します。サービスの内容・利用予定・困っていることを伝えます。
市区町村から調査員が来て、生活状況・外出の困難さ・支援の必要性を聞き取ります(アセスメント調査)。同行援護では、専用のアセスメント票があり、視覚障害の程度と外出時の困難の程度を評価します。
調査結果に基づき、市区町村が「支給決定」を行います。支給決定通知書と受給者証が届きます。
希望するサービス事業者(同行援護を実施するヘルパー事業所等)を探し、利用契約を結びます。
開始後は、毎月または定期的にサービス提供状況を市区町村に報告する手続きが発生します。
必要書類の例は、支給申請書(市区町村窓口でもらえます)、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳などの障害関係の証明書(持っている方)、印鑑・マイナンバーが確認できるもの、医師の診断書(窓口によって必要な場合があります)です。
福祉タクシー料金助成(障害者向け単独事業)
障害のある方を対象に、自治体がタクシー料金の一部を助成するクーポンを交付する制度です。高齢者向けのタクシー券とは別制度で、窓口も通常は障害福祉課になります。
対象者要件の例(市区町村によって異なります):身体障害者手帳1〜3級、療育手帳A(重度)、精神障害者保健福祉手帳1〜2級などを所持している方で、市区町村民税が非課税または低所得の世帯。要件の設定は自治体ごとに差があります。
福岡市の例では「令和8年度福祉タクシー料金助成事業」として、障害者手帳を所持する対象者に年間一定枚数の助成券を交付しています(2026年6月27日確認。内容は年度により変更があるため公式サイトで確認:https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/syougaisyashien/health/taxi_8_1.html)。
福祉有償運送の仕組みと利用者の使い方
福祉有償運送とは何か
福祉有償運送は、道路運送法第79条に基づき、NPO法人・社会福祉法人・医療法人・農業協同組合などの非営利団体が、都道府県または市区町村に登録して実施する有償の送迎サービスです。
一般のタクシー(道路運送法第4条に基づく事業者)とは異なり、「自家用車」を使って有償で旅客を運ぶという形式をとっています。通常、自家用車による有償の旅客輸送は禁止されていますが、公共交通の利用が困難な要介護者・障害者等に限定してこれを認めるのが福祉有償運送の特例です。
利用できる人の要件
道路運送法の規定では、福祉有償運送を利用できるのは「単独では公共交通機関を利用することが困難な身体障害者、要介護認定を受けた者などの移動制約者」とされています。
具体的には、要支援・要介護の認定を受けている方、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を持っている方、難病により移動が困難な方などが対象となります。医師の意見書が必要な場合もあります。
「通院以外のために使えるか」という疑問をよく受けますが、通院に限定されているわけではなく、買い物・官公署への手続き・社会参加のための外出など幅広い目的に使えます。ただし事業者ごとに対応できる目的が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
料金の仕組み
一般のタクシーのように距離・時間に応じたメーター料金制ではなく、通常は「1km単位の定額料金」または「区間ごとの定額料金」が設定されています。料金設定は各事業者が行い、運営協議会(後述)の承認を受けて決められます。タクシーより割安になることが多いですが、事業者によって差があります。
車両はリフト付きの福祉車両(車いすのまま乗車できるスロープ車・リフト車)を使用しているケースが多く、通常のタクシーでは対応が難しい重度の障害がある方でも利用しやすい点が特徴です。
利用方法
福祉有償運送を利用するには、各実施団体に「利用登録」が必要です。以下の流れが一般的です。
まず地域の福祉有償運送事業者を探します。市区町村の障害福祉課・高齢福祉課に問い合わせるか、都道府県の福祉担当部署のウェブサイトに登録事業者の一覧が掲載されている場合があります。
次に事業者に連絡し、利用登録を申し込みます。本人の状況(障害の種類・要介護度等)を確認するために書類の提出や面談が求められることがあります。
登録後は電話・インターネット等で予約し、指定の日時・場所で乗車します。
事業者を探す方法
国土交通省の「福祉有償運送事業者情報検索システム」(https://fukushi-unso.mlit.go.jp/)では、地域別に福祉有償運送の登録事業者を検索できます(2026年6月27日時点で稼働確認)。お住まいの都道府県・市区町村を絞り込んで検索してください。
また、地域の地域包括支援センター(高齢者の場合)や相談支援事業所(障害者の場合)に相談すると、地域の実情に詳しい事業者を紹介してもらえることがあります。
一般のタクシー・介護タクシーとの違い
よく混同されるのが、福祉有償運送と「介護タクシー(ケアタクシー)」です。
介護タクシーは一般のタクシー事業者が実施するサービスで、道路運送法第4条の許可を受けた事業者が福祉車両(リフト付き)を使って旅客を輸送します。介護保険の「通院等乗降介助」(居宅介護支援計画に組み込んで使えるサービス)として使う場合は介護保険が適用されますが、運賃と介護器具レンタル料は実費です。
福祉有償運送は道路運送法第79条の特例で動く自家用有償運送であり、非営利団体が実施するという性格上、料金が割安になる場合があります。ただし福祉有償運送は介護保険の通院等乗降介助として請求できないため、介護保険を使いたい場合は介護タクシーの選択が必要になります。
| 比較項目 | 福祉有償運送 | 介護タクシー | 一般タクシー |
|---|---|---|---|
| 実施主体 | NPO・社会福祉法人等(非営利) | タクシー事業者(営利) | タクシー事業者(営利) |
| 法的根拠 | 道路運送法第79条(自家用有償) | 道路運送法第4条(一般旅客) | 道路運送法第4条 |
| 料金 | 定額(割安なことが多い) | メーター制+介助料等 | メーター制 |
| 介護保険適用 | 対象外 | 通院等乗降介助として可能 | 対象外 |
| 利用制限 | 移動制約者のみ | 原則なし(福祉専門は制限あり) | 原則なし |
| 車両 | 福祉車両が多い | 福祉車両が多い | 一般車両が多い |
免許返納特典と移動支援制度の組み合わせ
免許返納とその後の移動問題
運転免許の自主返納をした場合、返納の証明として「運転経歴証明書」を警察で取得できます(申請から受け取りまで数週間かかります)。この証明書を提示することで、さまざまな特典が受けられます。
タクシー1割引(運転経歴証明書の提示で)
全国個人タクシー協会関東支部や多くの地域のタクシー事業者では、運転経歴証明書を提示したお客様にタクシー運賃の10%割引を実施しています。これはタクシー会社との自主的な協定に基づくもので、すべてのタクシーで使えるわけではありません。利用前に「免許返納の割引は使えますか」と確認してください。
大阪の大阪第一交通などは65歳以上の免許返納者に対してタクシーメーター料金10%引きを実施しています。山口県タクシー協会加盟各社でも「サポート手帳」または運転経歴証明書の提示で10%引きが受けられます(2026年6月27日時点での確認)。
自治体による乗車証・タクシー券の特典
免許返納を条件に乗車証やタクシー利用券を新たに交付する自治体があります。
千葉県八千代市では65歳以上の方が免許返納後に、通院等に使えるタクシー利用券を年間一定枚数交付しています(内容は年度ごとに変わる場合あり。詳細は同市高齢者支援課へ)。
埼玉県各市では「運転免許自主返納及び高齢者の支援施策」として、市区町村ごとにタクシー助成・乗車証等の支援を実施しています(埼玉県のウェブサイト https://www.pref.saitama.lg.jp/a0311/idoshien/menu.html に市町村別の制度一覧が掲載されています)。
警視庁「高齢者運転免許自主返納サポート協議会」の加盟企業・団体の特典一覧(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/shomeisho/support.html)には、タクシー会社のほかに、スポーツクラブ・書店・飲食店等のさまざまな特典が掲載されています。
免許返納特典と各移動支援制度の組み合わせ
免許返納後に利用できる制度は複数あります。重複して使えるものと使えないものがあるため、整理が必要です。
運転経歴証明書によるタクシー1割引は、ほとんどの場合、福祉タクシー券との同時使用ができます。ただし、1割引が適用された後の残額に対してタクシー券を使うのか、タクシー券を使った残額に1割引を適用するのかは、タクシー会社の扱い方によります。乗車前に確認してください。
バス無料パス(シルバーパス・敬老パス等)との組み合わせは、年齢要件を満たしていれば免許を返納していなくても申請できる制度のため、免許返納とは独立して使えます。返納後に年齢要件を満たした場合は速やかに申請してください。
複数制度の優先順位・併用ルール
介護保険が優先される場面
介護保険の訪問介護サービスの中に「通院等乗降介助」があります。これは介護保険の認定を受けた方が通院のためにタクシーを使う際、ヘルパーが乗り降りを介助するサービスを介護保険で賄うものです。
この通院等乗降介助は介護計画(ケアプラン)に組み込まれると、費用の1割(または2〜3割)が自己負担となります。タクシーの運賃自体は自己負担ですが、介助料金部分が介護保険の対象になります。
介護保険で通院等乗降介助を使っている場合、市区町村の福祉タクシー券は「介護保険の対象となるサービスと重複している」として対象外になるケースがあります。反対に、介護保険を使わずにタクシー券だけで対応するケースもあります。ケアマネジャーと相談して、介護保険と市区町村タクシー券のどちらが費用的に有利かを計算することをおすすめします。
複数のタクシー関連制度は重複できないことが多い
多くの自治体では、次のような重複制限が設けられています。
高齢者向けバス無料パス(シルバーパス・敬老パス等)とタクシー助成券は、どちらか一方しか交付しない。
障害者向け福祉タクシー券と高齢者向けタクシー助成券は、どちらか一方しか交付しない(障害者手帳を持っている高齢者の場合は窓口で確認が必要)。
複数の制度を比較して有利なほうを選ぶか、用途に応じて使い分けを決める必要があります。バスをよく使う方はバス無料パス、タクシーを主に使う方はタクシー助成券を選ぶというのが基本的な判断軸です。
同行援護・行動援護と移動支援事業の併用
同行援護・行動援護(自立支援給付)と移動支援事業(地域生活支援事業)を同じ人が同じ日に併用できるかは、自治体によって判断が異なります。原則として同じ目的の外出に両方を使うことはできませんが、午前中は同行援護で通院し午後は移動支援で余暇活動というように別の外出であれば認められるケースが多いです。
支給決定を受けた際に、各サービスの使い分けのルールをケースワーカーまたは相談支援専門員に確認しておくとよいでしょう。
転居後は再申請が必要
自治体の制度(バス無料パス・タクシー券・移動支援事業・福祉有償運送利用登録)はすべて住んでいる市区町村ごとの制度です。転居した場合は新しい市区町村で改めて申請が必要になります。転居前の制度は転居とともに失効するのが一般的です。
転居後の申請を忘れると、その期間の移動支援が受けられなくなります。転居の手続き(転出届・転入届)を役所に出すタイミングで、担当窓口に移動支援の再申請についても相談してください。
地方・過疎地での移動手段の代替策
公共交通が少ない地域での選択肢
都市部では電車・地下鉄・バスが充実しているため、バス無料パスを持っていればかなりの移動をカバーできます。しかし、公共交通網が薄い地方・過疎地域では、上記の制度が制度としては存在しても、使える乗り物そのものが地域に少ないという課題があります。
そのような地域では以下の仕組みを確認してください。
デマンド交通(乗合タクシー・オンデマンドバス)は、事前予約制の乗合型交通で、自治体が運営または補助しているケースが多くあります。バスの路線が廃止された地域で代替として導入されることが多く、利用料は一般タクシーより安く設定されています。自分の自治体にデマンド交通があるかは、市区町村の交通担当部署または広報紙で確認できます。
グリーンスローモビリティは、時速20km未満の電動カートを使った低速の小型交通です。中山間地・観光地・住宅団地の内部交通として自治体が実験的に導入しているケースがあります。環境省・国土交通省が補助事業として推進しており、2026年時点で全国70か所以上で実証実験または本格導入が進んでいます(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_fr_000139.html)。
自家用有償旅客運送(ライドシェア類似)は、過疎地における交通空白地帯で、自治体・NPO等が自家用車を使って有償で旅客を運ぶ形態です。道路運送法第78条第2号・第3号に基づくもので、福祉有償運送とは異なります。タクシーが存在しない・または極めて少ない地域でのみ認められる例外的な仕組みです。
費用感の試算(タクシーを使わざるを得ない場合)
移動支援制度を使えない場合や対象外の移動をする場合は、自費で介護タクシー・一般タクシーを利用することになります。費用の目安を確認しておきましょう。
一般タクシーの初乗り料金は地域によって異なりますが、2026年現在、多くの地域で初乗り500〜680円程度です。通院のために往復5km利用した場合、料金はおよそ往復1,200〜1,800円程度です(距離・地域により変動)。月4回通院すると、月4,800〜7,200円の出費になります。年間で57,600〜86,400円です。
介護タクシーを使う場合は、これに基本介助料(無料〜1,500円程度)・室内介助料(500〜1,000円程度)が加わります。車いすでの乗降を伴う場合は福祉機器レンタル料が別途かかることもあります。
福祉タクシー券・移動支援制度を活用することで、年間数万円の出費が節約できます。手続きに要する時間と費用の削減効果を考えると、申請はできるだけ早く済ませることが合理的です。
申請の流れと必要書類の一覧
バス無料パス・乗車証の申請
一般的な流れは次の通りです。
まず、自分が住む市区町村に「高齢者向けバス乗車証・乗車券」の制度があるかを確認します。市区町村の公式ウェブサイトで「高齢者 乗車証」「敬老パス」「シルバーパス」などのキーワードで検索してください。制度がない場合は、タクシー助成や移動支援事業の窓口に相談してください。
制度がある場合は、申請窓口(市区町村の高齢福祉課・地域包括支援センター等)で申請書をもらうか、ウェブサイトからダウンロードして記入します。
持参する書類の例は次の通りです。本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証・健康保険証等)、顔写真(横3〜3.5cm×縦4〜4.5cm程度。乗車証に貼付するため)、所得確認書類(課税証明書・非課税証明書・介護保険料納入通知書など。自治体によって何が必要かが変わります)、印鑑(シャチハタ不可の自治体もあります)。
窓口で申請し、その場または郵送でパス・乗車証が交付されます。
タクシー助成券・福祉タクシー券の申請
窓口は市区町村の高齢福祉課(高齢者向け)または障害福祉課(障害者向け)です。
高齢者向けタクシー助成の申請書類の例:本人確認書類、介護保険被保険者証(要介護認定の確認)、所得確認書類、申請書。
障害者向け福祉タクシー助成の申請書類の例:本人確認書類、障害者手帳(身体・療育・精神のうち該当するもの)、申請書、印鑑。
同行援護・行動援護の申請
市区町村の障害福祉課または相談支援事業所に相談します。
利用申請書(市区町村の窓口で入手)、障害者手帳または医師の診断書・意見書(障害種別による)、本人確認書類、印鑑・マイナンバーが確認できる書類を準備します。
市区町村が調査(アセスメント)を実施し、障害支援区分の認定を行います(新規の場合は申請から認定まで1〜2か月かかることがあります)。認定後に支給量(利用時間数)が決定し、受給者証が発行されます。
サービス事業者(ヘルパー事業所等)と契約し、利用を開始します。
移動支援事業の申請
手続きは同行援護・行動援護と似ていますが、障害支援区分の認定が不要な場合も多く(自治体による)、申請から利用開始まで比較的短期間で進むケースがあります。市区町村の障害福祉課に問い合わせてください。
福祉有償運送の利用登録
各事業者に直接連絡し、利用登録の申込書に記入します。障害者手帳・要介護認定証等のコピーの提出が求められることが多いです。登録後は電話等で予約して利用します。
申請を忘れやすい場面と更新時期のチェック
転居直後
前述の通り、転居後は新しい市区町村で再申請が必要です。転居の手続きと合わせて、移動支援関係の再申請を忘れないようにしてください。
70歳・65歳の誕生日前後
バス無料パスや乗車証の申請資格が生まれる年齢になったら、速やかに申請してください。申請が遅れると有効期間が短くなります(有効期限が年度末や特定の日付で固定されている制度では特に影響が大きい)。
要介護認定の更新時
要介護認定は有効期間(通常1〜2年)があり、更新を忘れると認定が失効します。認定が失効すると、認定を要件としているタクシー助成・バス乗車証等も使えなくなります。更新のタイミングは認定通知書に記載されているため、カレンダーにメモしておくことをおすすめします。
乗車証・タクシー券の年次更新
バス無料パスや乗車証は多くの自治体で年1回の更新が必要です。自動更新ではないため、期限切れ直前の期間(多くの自治体で秋)に更新手続きが必要です。通知が来ない自治体もあるため、自分で期限を把握しておいてください。
免許返納後の申請忘れ
免許返納後に新たに受けられる特典(自治体の乗車証交付・タクシー助成等)は、返納後に申請しないと適用されません。返納の手続きを終えた後、速やかに自治体の高齢者支援窓口に「免許を返納した場合に受けられる交通支援はありますか」と問い合わせてください。
費用シミュレーション:制度を使った場合と使わない場合
ケース1:70代の方がバス無料パス(1,000円)を取得して月8回利用した場合
バス1回210円として、月8回で1,680円、年間20,160円。
シルバーパス(非課税・1,000円)を取得した場合、年間負担は1,000円のみで、20,160円の交通費がすべてカバーされます。節約額は約19,160円(費用対効果は非常に高い)。
課税区分で6,000円(2026年4月以降の令和8年度価格)の場合、月8回利用でも年間1,680円×12か月=20,160円の交通費がカバーされるため、差し引きで14,160円の節約になります。月10回以上利用する場合はさらに節約額が増えます。
ケース2:車いす使用者が月4回通院する場合(介護タクシー対比)
介護タクシー(リフト付き)を毎回自費で使うと仮定します。片道5km・タクシー料金約700円、基本介助料500円、合計約1,200円。往復2,400円×月4回=9,600円。年間で115,200円。
同行援護(非課税世帯・自己負担0円)または移動支援(非課税世帯・自己負担0円)を使える場合、交通費(ヘルパーが同行するためのヘルパー側の費用は自立支援給付から賄われる)と自分の運賃(バス等)のみ負担になります。タクシーを使わずに済む場合は年間の負担が大幅に軽減できます。
ただし、通院のための移動に同行援護が使えるか・使える時間数はどのくらいかは支給決定内容によるため、担当窓口で具体的に確認してください。
ケース3:年間の節約効果の目安
上記の試算から、制度を活用することで1人あたり年間数万円〜十数万円の節約が可能なケースがあります。申請に要する時間は初回でも1〜2時間程度(窓口往復含む)であることがほとんどです。費用対効果は非常に高いといえます。
よくある誤解・つまずきポイント
「タクシー券はどこでも使えると思っていた」
市区町村が発行するタクシー助成券(利用券)は、その自治体と協定を結んだ特定のタクシー会社でしか使えません。発行時に「利用可能なタクシー会社一覧」が渡されますが、普段利用しているタクシー会社が対象外の場合があります。乗車前に「この乗車券は使えますか」と確認するクセをつけてください。
「家族が使えるかと思っていた」
バス無料パス・タクシー券・移動支援給付はいずれも本人専用です。本人が外出する際に家族と同乗することは認められている場合がほとんどですが、家族だけが使うことや家族の移動に利用することはできません。
「通院以外には使えないと思っていた」
タクシー助成券の利用目的を「通院のみ」に限定している自治体もありますが、制限のない自治体も多くあります。制度の利用目的の要件は交付時の案内または申請書に記載されているため、確認してください。同行援護・行動援護は通院に限らず買い物・官公署手続き・余暇活動にも使えます。
「申請したが、すぐに使えると思っていた」
同行援護・行動援護・移動支援事業は申請してから支給決定までに1〜2か月かかります。バス無料パスはその場で発行される自治体がほとんどですが、タクシー券は申請後に郵送されるまで1〜2週間かかる自治体があります。急いでいる場合は申請時に受け取りまでの期間を窓口で確認してください。
「要介護認定を受ければ自動的に移動支援が使えると思っていた」
要介護認定を受けても、タクシー助成・移動支援事業への申請は別途必要です。認定を受けたこと自体では移動支援の給付が開始されません。認定後に改めて、移動支援を担当する窓口に申請してください。
「障害者手帳があれば自動的に移動支援が使えると思っていた」
手帳の交付も申請のきっかけになりますが、移動支援事業の利用には改めて申請と支給決定が必要です。手帳を取得したタイミングで、担当のケースワーカーや相談支援専門員に「移動支援も申請できますか」と確認することをおすすめします。
「引越し前の制度をそのまま使えると思っていた」
前述の通り、移動支援に関する制度は住民登録がある市区町村の制度です。引越し後は前の自治体の制度は失効し、新しい自治体で再申請が必要です。転入届を出すタイミングで移動支援の窓口にも相談してください。
申請チェックリスト
利用したい制度によって確認事項が変わります。以下を参考に、自分に関係する項目を確認してください。
バス無料パス・乗車証を申請したい場合の確認事項です。
自分が住む市区町村に制度があるかを公式サイトで確認したか。対象年齢(65歳または70歳以上)を満たしているか。所得要件(課税・非課税の確認)を把握しているか。申請に必要な書類(本人確認書類・顔写真・所得確認書類)を準備したか。申請窓口の場所と受付時間を確認したか。有効期間と更新時期をカレンダーにメモしたか。他の制度(タクシー券等)との重複交付が不可かを確認したか。
タクシー助成券を申請したい場合の確認事項です。
自分が住む市区町村にタクシー助成制度があるかを確認したか。対象者要件(年齢・要介護度・所得等)を満たしているか。利用できるタクシー会社の一覧を申請時に入手したか。年間の利用上限(枚数・金額)を把握しているか。更新時期を把握しているか。バス無料パスとの重複制限がある場合、どちらを選ぶか決めたか。
同行援護・行動援護を申請したい場合の確認事項です。
市区町村の障害福祉課または相談支援事業所に相談したか。障害支援区分の認定申請を進めているか(新規の場合)。支給決定までの目安(1〜2か月)を把握した上でスケジュールを立てたか。サービス事業者(ヘルパー事業所)の候補をリストアップしたか。月の支給時間数(支給決定量)を確認したか。利用できる外出の目的・範囲を確認したか。
福祉有償運送を利用したい場合の確認事項です。
地域に登録事業者があるかを国土交通省の検索システムまたは市区町村窓口で確認したか。利用要件(要介護・障害手帳等)を満たしているか。事業者に利用登録の申請をしたか。料金体系・乗車可能な目的・予約方法を確認したか。
よくある質問(FAQ)
Q1. バス無料パスとタクシー助成券を両方申請できますか。
多くの自治体ではどちらかのみの交付としています。利用目的に合わせてどちらが有利かを考えた上で選んでください。バスを頻繁に使う方はバス無料パス、タクシーがメインの移動手段の方はタクシー助成券が有利になることが多いです。どちらか一方に絞る必要があるかは、申請窓口で確認してください。
Q2. 家族が本人の代わりに申請窓口に行けますか。
多くの自治体でバス無料パス・タクシー券の申請は代理人申請が可能です。ただし、委任状と代理人の本人確認書類が必要になります。大阪市の敬老パスのように本人申請を原則とする自治体もあるため、事前に窓口に確認してください。同行援護・行動援護の申請は本人または法定代理人による申請が原則です。
Q3. 引越しで別の市区町村に移った場合はどうなりますか。
前の自治体の制度は転居とともに失効します。新しい市区町村で改めて申請が必要です。同行援護・行動援護は受給者証の住所変更(市区町村の変更)が必要で、場合によっては新規に支給決定の手続きをやり直すことになります。転居が決まったら早めに新しい自治体の障害福祉課・高齢福祉課に連絡してください。
Q4. 介護保険の通院等乗降介助と市区町村のタクシー助成券を同じ乗車で使えますか。
原則として同じ乗車に対して二つの給付を重複させることはできません。介護保険の通院等乗降介助を使った場合の自己負担(1割等)と、タクシー助成券の金額を比較して、どちらが有利かをケアマネジャーと相談してください。
Q5. 医療機関の送迎サービスはこれらの制度と別物ですか。
病院・診療所が独自に実施する患者送迎バス・送迎サービスは、病院が費用を負担する福祉サービスではなく、病院の営業活動の一環です。移動支援の制度とは別物であり、使えるかどうかは各医療機関に問い合わせてください。
Q6. 視覚障害がある場合、移動支援事業と同行援護のどちらを使えばよいですか。
視覚障害のある方は、原則として同行援護(障害福祉サービス・自立支援給付)が優先的に適用されます。同行援護の要件を満たす場合は同行援護を申請してください。移動支援事業は視覚障害者を対象外としている自治体も多いため、申請の優先順位は同行援護の方が先です。
Q7. 精神障害者保健福祉手帳を持っている場合はどの制度が使えますか。
精神障害者保健福祉手帳の所持者は、移動支援事業の対象としている自治体が増えています。ただし、自治体によって対象外の場合もあります。また、行動援護は知的・精神障害で行動上著しい困難がある方が対象のため、精神障害のある方で要件を満たせば申請できる可能性があります。市区町村の障害福祉課に相談してください。
Q8. 福祉有償運送を使いたいが、地域に事業者がない場合はどうすればよいですか。
国土交通省の検索システムで事業者がヒットしない場合や、地域のカバー範囲外である場合は、市区町村の交通担当部署または福祉担当部署に相談してください。地域によっては「自家用有償旅客運送」の仕組みが別途整備されている場合や、介護タクシー事業者が近くにある場合があります。
Q9. 障害支援区分の認定を受けていない場合は移動支援が使えませんか。
移動支援事業(地域生活支援事業)については、障害支援区分の認定を必要としない自治体も多くあります。一方、同行援護・行動援護は障害支援区分の認定が要件の一つとなっています。移動支援事業であれば、手帳の取得後(または医師の意見書等で一定の要件を満たした場合)に比較的速やかに申請できる場合があります。
Q10. 通院に使うとき、病院内でのケアも同行援護・移動支援でカバーされますか。
同行援護は「移動中・外出先での移動介護」が主たる内容であり、病院内での診察への付き添いや待合室でのケアは、医療機関側のサービスまたは別の介護サービス(居宅介護等)との組み合わせとなります。移動支援事業も同様に、移動の部分を担うものです。病院内での介助が必要な場合は、ケアマネジャーまたは相談支援専門員に相談して、適切な組み合わせを検討してください。
Q11. 制度を使う際に事前に覚えておくと便利なことはありますか。
申請してから使えるようになるまでに時間がかかる制度(同行援護・行動援護・移動支援事業)は、「使いたいと思う時点から逆算して早めに手続きを始める」ことが大切です。バス無料パスやタクシー助成券は窓口や郵送で比較的早く交付されますが、申請書類の準備(非課税証明書の取得等)に数日かかることもあります。急な手術入院が決まって急いで通院手段を確保したいといった状況になった場合は、窓口に「急ぎで申請したいのですが、優先対応してもらえますか」と相談することで、対応を考えてもらえる場合があります。
Q12. 制度が見つけられない場合はどこに相談するのが早いですか。
高齢者については地域包括支援センター(お住まいの地域担当)、障害者については相談支援事業所または市区町村の基幹相談支援センターが最初の相談窓口として機能しています。これらの窓口は「何の制度が使えるか」の整理をしてくれる役割を持っており、「移動支援について知りたい」と伝えるだけで適切な制度と申請手順を案内してもらえます。
出典一覧(URL・確認日)
本記事は以下の一次情報を確認した上で執筆しています。
東京都シルバーパス公式サイト(東京都福祉局)
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kourei/shakai_shien/s_pass/hakkou
確認日:2026年6月27日
東京都シルバーパス取得ページ(公式)
https://www.silver-pass.tokyo/obtaining/
確認日:2026年6月27日
大阪市敬老優待乗車証(大阪市公式)
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000006483.html
確認日:2026年6月27日
名古屋市敬老パス(名古屋市公式)
https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000009582.html
確認日:2026年6月27日
福岡市高齢者乗車券(令和7年度)(福岡市公式)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/oldage-welfare/health/00/01/1-010207_5_3_2_2-2.html
確認日:2026年6月27日
福岡市福祉タクシー料金助成事業(令和8年度)(福岡市公式)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/syougaisyashien/health/taxi_8_1.html
確認日:2026年6月27日
横浜市敬老特別乗車証(横浜市公式)
https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/kaigoyobo-kenkoudukuri-ikigai/ikigai-shakaisanka/keirou.html
確認日:2026年6月27日
地域生活支援事業について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/chiiki/gaiyo.html
確認日:2026年6月27日
移動支援とは?同行援護・行動援護との違い、費用、サービス利用までの流れ(LITALICO発達ナビ)
https://h-navi.jp/column/article/35026013
確認日:2026年6月27日
同行援護について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaiseihou/dl/sankou_110926_03_4.pdf
確認日:2026年6月27日
福祉有償運送(横浜市)
https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/chiikifukushi/yusho/fyu.html
確認日:2026年6月27日
福祉有償運送(大阪府)
https://www.pref.osaka.lg.jp/chiikifukushi/yuso/index.html
確認日:2026年6月27日
高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧(警視庁)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/shomeisho/support.html
確認日:2026年6月27日
埼玉県市区町村別運転免許自主返納支援一覧(埼玉県)
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0311/idoshien/menu.html
確認日:2026年6月27日
グリーンスローモビリティ(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_fr_000139.html
確認日:2026年6月27日
介護タクシー利用料金の仕組み(介護タクシー案内所)
https://caretaxi-net.com/price/
確認日:2026年6月27日
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言を行うものではありません。制度の詳細・最新の要件・申請手続きについては、各公式サイトまたは担当窓口(市区町村の高齢福祉課・障害福祉課・地域包括支援センター・相談支援事業所等)に直接ご確認ください。制度は毎年改定されることがあります。本記事中の金額・要件はすべて2026年6月27日時点の確認に基づくものであり、最新情報は公式サイトで必ずご確認ください。給付の実施は各自治体の財源・方針によるものであり、要件を満たした全員が必ず受給できることを保証するものではありません。