補装具費支給・日常生活用具給付の制度ガイド(車いす・補聴器・ストーマ用具等)

本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・対象品目はいずれも変更されることがあるため、申請前に必ず公式サイトおよび市区町村の担当窓口で最新情報をご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行は行いません。

この記事が整理すること

車いすや補聴器を購入したい。ストーマ用具の費用を毎月抑えたい。補装具の費用に困っているが、どこに相談すればよいかわからない。こうした状況で調べ始めると、「補装具費支給」と「日常生活用具給付」という2つの言葉が出てきます。名前が似ていても制度は別物で、根拠法も運営主体も、対象品目も自己負担の仕組みも異なります。

この記事は、障害のある方やご家族が「自分の場合はどちらの制度を使えばよいのか」「費用はどのくらいかかるのか」「何をどこに持っていけばよいのか」を実務レベルで把握できることを目的として書いています。

特に以下の点を中心に整理しています。

障害のある方をめぐる福祉制度は種類が多く、名称が似た制度が複数存在するため混乱しやすいと感じています。この記事が、制度の全体像をつかみ、実際に動く手がかりになれば幸いです。

制度の全体像

2つの制度は根拠法から異なる

補装具費支給と日常生活用具給付は、どちらも障害者総合支援法(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づいていますが、根拠条文が異なります。

補装具費支給は第76条に規定されており、「身体の欠損または損なわれた身体機能を補完・代替する用具」への支援です。義肢・装具・補聴器・車いすといった、身体そのものを補う道具が対象になります。国が品目・価格・耐用年数を告示で全国統一で定めているため、住んでいる自治体によって対象品目が変わることはありません。

日常生活用具給付は第77条第1項第6号に規定された「地域生活支援事業」の一部であり、「日常生活上の便宜を図るための用具」への支援です。こちらは市区町村が独自に品目・基準額・対象者を設定する制度であるため、自治体によって内容が大きく異なります。ストーマ装具・紙おむつ・たん吸引器・特殊寝台などが対象に含まれることが多いです。

どちらも申請窓口は市区町村の障害福祉担当課ですが、制度の性質と手続きが異なるため、混同しないことが申請の第一歩です。

比較軸補装具費支給(第76条)日常生活用具給付(第77条)
制度の目的身体機能の補完・代替(長期継続使用)日常生活の便宜を図る(消耗品・補助用具を含む)
品目の決め方国が告示で全国統一で定める市区町村が条例等で独自設定
実施主体市区町村市区町村
自己負担上限月額37,200円(非課税世帯0円)市区町村が設定
身体更生相談所等の判定主要品目で必要市区町村窓口の判断が主
主な対象者身体障害者・障害児・難病患者等障害者全般・難病患者等

対象者の全体整理

補装具費支給の対象者は次の3区分です。

  1. 身体障害者:身体障害者福祉法第15条の規定による身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の方
  2. 身体障害児:身体障害者手帳の交付を受けた18歳未満の方
  3. 難病患者等:障害者総合支援法施行令第1条の疾病による障害の程度が「継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける程度」の方(手帳がなくても対象になる場合があります)

精神障害(精神障害者保健福祉手帳)と知的障害(療育手帳)は補装具費支給の対象外ですが、日常生活用具給付では対象になる品目があります。

日常生活用具給付の対象者は、市区町村が条例等で定めますが、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳の所持者や、難病患者等が対象になることが多いです。品目によって対象者の要件が異なるケースがあるため、住んでいる市区町村の担当窓口に確認することをおすすめします。

自己負担の仕組み

補装具費支給の自己負担は、補装具の基準額に対して原則1割です。上限月額は、市町村民税課税世帯で37,200円(月額)と定められています。市町村民税非課税世帯および生活保護世帯は自己負担が0円です。

一方、障害者またはその配偶者のうち市町村民税所得割額の最多納税者の納税額が46万円以上の場合は、補装具費支給の対象外となります。所得の判断対象は「障害のある方ご本人またはその配偶者」のみであり、同居している親・子など他の世帯員の所得は対象に含まれない点に注意が必要です。

2024年(令和6年度)から、18歳未満の障害児については所得制限が撤廃されました。これまで同一世帯の所得割納税額が46万円以上の場合は障害児も支給対象外でしたが、2024年度からは障害児についてこの除外要件がなくなりました。18歳以上の障害者への所得制限については引き続き従来の基準が適用されています。

日常生活用具給付の自己負担は、市区町村が独自に定めます。多くの自治体が「品目の給付基準額の1割」を原則としており、非課税世帯は0円という設定が多いですが、自治体によって異なります。

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補聴器の購入を検討している方のケースを取り上げて、補装具費支給制度を使った場合の費用感と手続きの全体像を最後まで見せます。実際には使える金額・手続きが異なる場合があります。あくまで制度の仕組みを理解するための一例としてお読みください。

想定するケース

ステップ1:身体障害者手帳を取得する

補装具費支給の申請には身体障害者手帳が必要です。このケースでは既に取得済みですが、まだ取得していない場合は、先に耳鼻咽喉科の専門医(指定医師)に身体障害者診断書・意見書を作成してもらい、市区町村の障害福祉担当課に申請します。

身体障害者手帳の聴覚障害の区分は次の通りです。2級(両耳それぞれ100デシベル以上)、3級(90デシベル以上、耳介に接しなければ大声語を理解し得ない程度)、4級(80デシベル以上、または語音明瞭度50%以下)、6級(70デシベル以上、40センチメートル以上の距離で発声された会話語を理解し得ない程度)となっており(身体障害者障害程度等級表・身体障害者福祉法施行規則別表第5号による)、補聴器の補装具費支給は6級を含む聴覚障害の手帳保持者が申請できます。

ステップ2:市区町村の障害福祉担当課に相談・申請

市区町村の窓口に出向き、補装具費支給(補聴器)の申請を行います。窓口では、身体障害者手帳のほか、申請書(補装具費支給申請書)、見積書(後述)が必要になります。

市区町村によっては、申請前に担当者との事前相談を設けている場合があります。「補聴器が必要になったが、補装具費支給が使えるか知りたい」と伝えれば、必要な手続きを案内してもらえます。

ステップ3:見積書を取る(業者の選び方)

補装具費の申請には、補装具業者(補聴器の場合は認定補聴器技能者のいる販売店等)が作成した見積書が必要です。市区町村によっては「指定業者」のリストを持っている場合があるため、窓口で確認することをおすすめします。

見積書には「補装具の種目・型式・価格」が記載される必要があります。申請時には正式な見積書を添付します。

都市部では補装具業者(補聴器取扱業者)の選択肢が多い一方、地方では指定業者が少なく、遠方まで出向く必要がある場合もあります。補装具業者は厚生労働大臣の指定を受けた業者(補装具製造事業者・修理事業者)と、市区町村・都道府県が把握している業者リストで確認できます。

ステップ4:身体障害者更生相談所(等)の判定

補聴器は身体障害者更生相談所等の判定が必要な品目です。市区町村が申請書を受け付けた後、身体障害者更生相談所に意見照会が行われ、補装具の種目・型式が支給に適切かどうかが判定されます。

東京都の場合は東京都心身障害者福祉センターが判定を担っています。判定には「直接判定」(来所して実際に機器を試す)と「書類判定」(書類だけで判断する)があり、補聴器は書類判定で対応できるケースが多いとされています。

更生相談所の判定を経て、市区町村から「補装具費支給決定通知書」が交付されます。

ステップ5:補装具費(支給金額)を計算する

補聴器の基準額は国の告示で定められています。2026年6月27日時点で公式に確認できた情報では、補聴器には種類(高度難聴用ポケット型・耳かけ型・耳あな型・骨導式等)ごとに基準価格が設定されており、この基準価格と業者からの実際の見積もり金額のうち低いほうが支給対象金額となります。

このケースでは、両耳分の定価30万円の補聴器を希望しています。基準価格を超える部分については自己負担となります。

仮に補聴器(高度難聴用・耳かけ型)の基準価格が1台あたり43,900円(確認日時点での参考値。最新の告示で要確認)とすると、両耳分で87,800円が基準額です。

自己負担は基準額87,800円の1割 = 8,780円が基本的な計算です。ただし、業者の実売価格が基準額を超える30万円の場合、超過分の差額(30万円 - 87,800円 = 212,200円)は全額自己負担となります。

まとめると:

この例では、国の基準額を大きく超える高額補聴器を選んだことで、自己負担が大きくなっています。基準額の範囲内の補聴器を選べば、自己負担は8,780円程度で済みます。購入前に基準額の範囲内に収まる機種を業者に確認することが費用を抑える上で重要です。

また、この世帯の市町村民税課税額は12万円で、月額上限の37,200円は年間約44.6万円分に相当しますが、補装具費支給は原則として購入ごとの単発の支給(消耗品の毎月給付ではなく、耐用年数ごとの購入・修理への支給)であるため、月額上限が直接この計算に影響するケースは少ないです。

ステップ6:給付券を業者に持参して購入する(代理受領方式)

支給決定後、市区町村から「補装具費給付券」が交付されます。業者に給付券を提示して購入します。

支払い方法は2種類あります。

代理受領方式の場合:業者が委任状に基づき市区町村から直接(自己負担分を除いた)補装具費を受け取ります。利用者は自己負担分(8,780円 + 差額等)だけを業者に支払えば完結します。手続きが簡便なため、多くの場合この方式が使われます。

償還払い方式の場合:利用者が全額(30万円)を業者に支払い、給付券と領収書を市区町村に提出して、後日支給額(79,020円)が還付されます。先に全額を準備する必要があるため、資金的な余裕が必要です。

ステップ7:5年後の補聴器交換を見据える

補聴器の耐用年数は5年です。5年が経過する前に壊れた場合は「修理費支給」の申請ができます。修理でも改善しない場合は、状況によって耐用年数内でも再支給が認められる場合があります。

5年を超えた後に補聴器が使えなくなった場合は、改めて補装具費支給(購入)の申請をします。聴力の変化がある場合は、更生相談所での再判定が必要になります。

このケースの「気づき」を整理すると

このケースから読み取れる実務上のポイントは以下の3点です。

1つ目は、基準額を超えた分は全額自己負担という点です。制度は「基準額の範囲内で1割負担」という仕組みのため、高額な機種を選んだ場合には自己負担が想定以上に大きくなります。まず基準額の範囲内の機種で十分かどうかを業者に相談してから、上位機種の検討に移る順番が合理的です。

2つ目は、購入前の申請が必須という点です。補装具費支給は原則として購入前に申請・支給決定を受ける必要があります。先に購入してしまうと補装具費支給を受けられなくなる可能性があります。「気に入った補聴器を買ってから申請しよう」という流れは原則として認められません。

3つ目は、自治体独自の補聴器助成との組み合わせの可能性です。障害者手帳の対象外となる軽度・中等度難聴の高齢者を対象に、自治体独自の補聴器購入助成を設けている市区町村が増えています。大阪市では身体障害者手帳(聴覚)の対象外の65歳以上の方を対象に最大25,000円の助成を行っています。障害者手帳を持ちながらも補装具費支給の基準額を超える部分への補填を狙った独自助成を設ける自治体もあるため、住んでいる市区町村の窓口で「補聴器の独自助成があるか」を確認することをおすすめします。

ここから先は、申請に直結する実務です。

補装具費支給制度の対象品目と耐用年数の詳細

全16種目(成人共通)の解説

補装具費支給の対象品目は国が告示(厚生労働省告示第528号)で定めており、2026年6月27日時点の告示に基づく種目は次の通りです。

義肢(義肢装具)

義肢は失った手足を補う用具です。義手(手・腕が対象)と義足(足・脚が対象)に分けられます。大腿義足・下腿義足・股義足・膝義足という分類があり、それぞれ装着方式(差込式・ライナー式・吸着式等)によってさらに細分化されています。義手は装飾義手(見た目の補完)と能動義手(機能的な操作が可能なもの)・電動義手に分けられます。

装具

装具は麻痺した四肢や変形を矯正・補助する用具です。下肢装具(短下肢装具・長下肢装具・靴型装具・足装具・膝装具)、上肢装具(手装具・指装具・肘装具・肩装具)、体幹装具(頸椎装具・胸腰仙椎装具・腰仙椎装具)があります。材質は硬性(プラスチック・金属)と軟性(布・柔らかい素材)に分けられ、耐用年数が異なります。

姿勢保持装置

座位を保てない重度障害者のために、体幹を適切な姿勢に保つ装置です。体位変換や移動にも対応する複合型の装置が対象になります。

視覚障害者安全つえ(白杖)

視覚障害者が歩行の安全を確保するための白杖です。普通用(全長が腰の高さ程度の標準的な白杖)・携帯用(折りたたみ式等)・身体支持併用(体重を支えながら使える太い白杖)の3種類があります。

義眼

眼球の一部または全部を失った方のための義眼です。既製品(レディメイド)とオーダーメイドがあります。

眼鏡

視覚障害の補装具としての眼鏡は、矯正眼鏡(コンタクトレンズを含む)、遮光眼鏡(まぶしさを軽減する特殊レンズ)、弱視眼鏡(拡大鏡等)が対象です。日常的な近視・老眼への眼鏡は対象外で、あくまで障害に起因する視覚機能の補助を目的とするものが対象です。

補聴器

聴覚障害者のための補聴器です。高度難聴用ポケット型・高度難聴用耳かけ型・重度難聴用ポケット型・重度難聴用耳かけ型・耳あな型・骨導式ポケット型・骨導式眼鏡型の種類があります。

人工内耳(音声信号処理装置の修理のみ)

人工内耳の体外部分(音声信号処理装置)の修理が対象です。新規購入は医療保険の対象であるため、補装具費支給は修理のみに限定されています。

車椅子

手動式車椅子です。普通型・リクライニング型・ティルティング型・手動リクライニング型・ティルト&リクライニング型など多数の型式があります。座位姿勢の保持や移動に使います。

電動車椅子

電動モーターで走行する車椅子です。自走式と介助式があり、ジョイスティック操作などの操作方式の種類があります。重度の上肢・下肢機能障害のある方が主な対象です。

歩行器

両上肢で支持しながら歩行を補助する用具です。四脚型と車輪付き型があります。

歩行補助つえ(T字状・棒状以外)

一般的なT字杖・棒状の杖は対象外ですが、前腕支持型(肘をのせて体重を支えるタイプ)などは補装具の対象です。

重度障害者用意思伝達装置

筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の重度の身体障害者が、文字盤・スイッチ・視線入力等を用いてコミュニケーションするための装置です。携帯型会話補助装置・透明文字盤等が含まれます。

車載用姿勢保持装置(姿勢保持装置の一類型)

自動車の座席に設置して使う姿勢保持装置です。告示上の独立した種目ではなく、姿勢保持装置の一類型として扱われます。

起立保持具(障害児のみ)

立位を保てない障害児が直立位を保つための用具です。

排便補助具(障害児のみ)

上肢機能に障害がある障害児の排便動作を補助する用具です。

補装具の耐用年数一覧

耐用年数は「通常の使用・装用状態において修理不能となるまでの予想年数」であり、再購入(再支給)の目安となります。耐用年数内でも著しく破損して修理不能な場合や、障害の程度の変化で適合しなくなった場合は、耐用年数前でも再支給の申請ができます。

種目主な型式耐用年数
車椅子各型6年
電動車椅子各型6年
補聴器各型5年
歩行器各型5年
重度障害者用意思伝達装置5年
視覚障害者安全つえ(普通用)2年
視覚障害者安全つえ(携帯用)2〜4年
視覚障害者安全つえ(身体支持併用)4年
義眼(レディメイド)2年
眼鏡(矯正用・弱視用)4年
コンタクトレンズ2年
車載用姿勢保持装置3年
起立保持具3年
排便補助具2年
歩行補助つえ(松葉づえ等)2〜4年
義手(能動式・肩・上腕・肘・前腕)能動式3年
義手(手部・能動式)3年
義手(手部・装飾用)1〜2年
義手(手指・能動式)2年
義手(手指・装飾用)1年
義足(股義足)4年
義足(大腿・膝義足)差込式・ライナー式3年
義足(大腿・膝義足)吸着式5年
義足(下腿義足)2年
義足(足趾義足)1年
体幹装具硬性2年
体幹装具フレーム3年
体幹装具軟性1.5年
膝装具・肩装具・肘装具硬性3年
膝装具・肩装具・肘装具軟性2年
短下肢装具硬性3年
短下肢装具軟性2年
足装具・靴型装具1.5年

出典:厚生労働省告示第528号(補装具の種目、購入等に要する費用の額の算定等に関する基準)確認日:2026-06-27

「耐用年数が来ていないのに壊れた」場合の対処

補装具を耐用年数内に修理が必要な状態になった場合、「修理費支給」の申請をします。修理費支給も同じく補装具費支給制度の対象であり、修理の見積書を業者から取得して市区町村に申請します。

修理を繰り返しても使用が難しい状態になった場合(著しく破損・修理不能)は、耐用年数前でも「購入」としての再支給申請が認められる場合があります。この場合は市区町村窓口で相談し、身体障害者更生相談所等の意見を踏まえて判断されます。

逆に耐用年数を過ぎても使用可能な状態であれば、再支給の申請は不要です(引き続き使い続けることができます)。

子どもの成長に伴う補装具の「早期買い替え申請」

成長中の子どもが補装具を使用する場合、成長によって補装具がサイズ的に合わなくなることがあります。この場合、耐用年数が経過していなくても「成長差替え」として再支給の申請ができます。

補装具費支給の考え方では、「現に使用している補装具が身体に適合しなくなった場合」は再支給の対象になります。成長に伴うサイズ変更も、この「適合しなくなった」場合に該当します。

実務的には、障害のある子どもの保護者が市区町村窓口に相談し、身体障害者更生相談所等(児童の場合は児童相談所が担当することもあります)の意見を踏まえて市区町村が判断します。

成長が著しい時期(小学生低学年など)は、1年ごとに再支給が必要になるケースもあります。その都度「申請が必要」であることを理解しておくと、費用を見越した計画が立てやすくなります。

補装具の借受け制度(2018年4月施行)

借受け制度の概要

2016年5月に成立した障害者総合支援法の改正により、2018年4月から補装具費支給の対象に「借受け(レンタル)」が追加されました。それ以前は「購入」と「修理」の2択でしたが、借受けが第3の選択肢になりました。

ただし、借受けは「購入より利用者の利便に照らして適切と考えられる場合に限る」という位置づけです。購入が基本であることは変わりません。

借受けを選ぶべき具体的な状況

厚生労働省のガイドブック(平成30年版補装具費支給事務ガイドブック)では、借受けが適切とされるケースとして次の3つが挙げられています。

1つ目は、成長に伴い短期間での交換が必要な障害児のケースです。子どもは成長により身体のサイズが変わるため、購入した補装具がすぐにサイズアウトすることがあります。借受けにすることで、サイズアウトのたびに「購入費用の1割」を負担することなく、借受け費用の1割負担で交換することができます。

2つ目は、病状の変化が予想される利用者のケースです。病気や障害の進行・回復が見込まれる場合、現在の状態に合わせた補装具が数か月後には合わなくなる可能性があります。このような場合に借受けで対応することで、状態が安定してから購入を判断できます。

3つ目は、購入前の試用を希望するケースです。新しいタイプの補装具(電動車椅子など)が自分の生活スタイルに合うかどうかを実際に使ってみて確認してから購入を判断したい場合に、借受けが有効な選択肢になります。

借受けの期間と費用

借受けに係る補装具の利用期間は最長1年を原則とし、市区町村と身体障害者更生相談所等が必要と判断した場合は概ね1年ごとに再度判定を行います。

費用(自己負担)は借受け費用の1割であり、購入と同様に月額上限37,200円・非課税世帯は0円のルールが適用されます。

日常生活用具給付等事業の詳細

6分類の品目詳細

介護・訓練支援用具

障害者の身体介護を支援する用具と、障害児が訓練に使う用具が含まれます。代表的な品目は、特殊寝台(電動ベッド)・特殊マット(床ずれ防止)・特殊尿器・体位変換器・移動用リフト・訓練用いす等です。

使う対象者は、ほぼ常時ベッドでの生活が必要な方や、重度の知的障害・身体障害のある方です。常時介護が必要な状態にあること、または訓練を必要とする障害児であることが要件になることが多いです。

自立生活支援用具

障害者の入浴・食事・移動等の自立生活を支援する用具です。代表的な品目は、入浴補助用具(シャワーチェア・バスボード・入浴用リフト等)・便器・特殊便器(座面昇降便座等)・聴覚障害者用屋内信号装置(ドアベルの光信号化装置等)・頭部保護帽等です。

入浴補助用具は、介護保険の福祉用具貸与・購入支援(40歳以上の要支援・要介護者向け)と重複する品目があります。65歳以上や特定疾病に該当する40〜64歳の場合は介護保険が優先されるため、介護保険の利用が先かどうかを窓口で確認することが必要です。

在宅療養等支援用具

在宅での医療的ケアを支援する用具です。代表的な品目は、電気式たん吸引器(たんの吸引が必要な方)・盲人用体温計・盲人用体重計・自動腹膜灌流装置(腹膜透析の方)・透析液加温器等です。

医療的ケアが必要な在宅の障害者が主な対象です。難病により在宅での医療処置が必要な方も対象に含まれることが多いです。

情報・意思疎通支援用具

障害者の情報収集・伝達・意思疎通を支援する用具です。代表的な品目は、点字器・点字タイプライター・人工喉頭・携帯型会話補助装置・視覚障害者用音声時計・聴覚障害者用通信装置(ファクシミリ)・情報受信装置(字幕放送受信装置等)等です。

精神障害者や知的障害者も、自治体の判断によって情報意思疎通支援用具の給付を受けられる品目があります。例えば「透明文字盤」「拡大読書器」等が対象になるケースがあります。これらは自治体ごとに条例・要綱で定めているため、住んでいる自治体の窓口で確認することが不可欠です。

排泄管理支援用具

ストーマ装具・紙おむつ等が含まれます。この分類が「月額給付」という形で毎月給付券が発行されることが多い点が、他の5分類と大きく異なります。

主な品目は次の通りです。

ストーマ装具(消化器系)は人工肛門(コロストミー・イレオストミー)を持つ方向けの装具です。パウチ(便袋)・皮膚保護剤・装具固定ベルト等が含まれます。

ストーマ装具(尿路系)は人工膀胱(ウロストミー)を持つ方向けです。尿袋・カテーテル関連用品等が含まれます。

紙おむつ等は常時失禁状態の方が対象です。尿取りパッド・防水シーツ等が含まれる自治体もあります。

電気式吸引器、サービスに応じた特別な衛生用品も含まれることがあります。

居宅生活動作補助用具(住宅改修費)

小規模な住宅改修を伴う用具の設置費用です。主な工事は、手すりの取り付け・段差解消・滑り防止のための床材変更等です。

住宅改修費の給付上限額は自治体によって異なりますが、最大20万円を上限とする自治体が多いとされています。介護保険の住宅改修(20万円上限)との併用の可否は自治体で異なります。

ストーマ装具の申請・更新手続き詳細

ストーマ装具は多くの自治体で「毎月または数か月ごとに給付券を発行し、その都度購入する」仕組みになっています。

初回申請の必要書類(一般的な例)

市区町村によって異なりますが、初回申請に必要な書類の一般的な例は次の通りです。

申請は、購入前に行うことが原則です。ストーマ装具は術後すぐに必要になるため、退院前または退院後できるだけ早く申請することを推奨します。市区町村によっては、術後の緊急性を考慮した取り扱いがある場合もあるため、退院前に担当ケースワーカーに相談しておくと手続きがスムーズです。

更新手続きと給付券の仕組み

給付券は市区町村によって「月1回発行」「2か月分ごとに発行」「半年分一括で発行」など様々なパターンがあります。

更新のタイミングで市区町村から「日常生活用具給付継続申請書」等の提出を求められる場合があります。自治体によって年1回の更新手続きが必要なこともあるため、窓口から案内が来るか確認しておくことが重要です。

使用する装具の種類や製品を変更したい場合は、改めて申請書・見積書を提出して更新手続きをします。

地域例:自治体ごとのストーマ装具給付上限額の差

排泄管理支援用具の給付上限額は自治体が独自に設定しており、大きな差があります。以下は確認日(2026年6月27日)時点で調査した参考例です。実際には変更されている場合があるため、申請前に必ず各自治体に最新の情報を確認してください。

大阪府高槻市の例(参考値・確認日時点):

一般的な相場感として、消化器系ストーマ装具の月額給付上限は8,000円〜10,000円程度、尿路系は11,000円〜13,000円程度の自治体が多いとされています(確認日時点の参考情報。要確認)。

紙おむつについても、月額5,000円〜10,000円程度を上限とする自治体が多いですが、これも自治体によって大きく異なります。

申請の具体的な手順(補装具費支給)

必要書類の正式名称と取得先

補装具費支給の申請に必要な書類の正式名称と取得先は次の通りです。

書類名取得先備考
補装具費支給申請書市区町村の障害福祉担当課市区町村所定の様式
身体障害者手帳既に交付されたもの
見積書補装具業者(指定業者)種目・型式・価格が明記されたもの
世帯の収入が確認できる書類市区町村から指示マイナンバー活用で省略可能なことも
医師の診断書・意見書主治医または専門医品目によっては不要の場合も
委任状(代理受領の場合)市区町村所定の様式代理受領方式を選ぶ場合

難病患者等(障害者手帳なし)の場合は、身体障害者手帳の代わりに次の書類が必要になります。

必要書類の詳細は市区町村によって異なるため、窓口に事前確認することをおすすめします。

申請から支給までの標準的な流れ

ステップ1:市区町村の障害福祉担当課に相談

窓口に「補装具費支給の申請をしたい」と申し出ます。必要書類の案内を受け、申請書をもらいます。補装具業者の紹介・探し方についても相談できます。

ステップ2:補装具業者で見積もりを取る

市区町村の案内または独自で探した業者に相談し、見積書を作成してもらいます。必要な種目・型式をあらかじめ確認しておくと、業者とのやりとりがスムーズです。

ステップ3:市区町村に申請書・見積書等を提出

必要書類一式を揃えて市区町村窓口に提出します。窓口の担当者が書類を確認します。不足書類があれば追加で求められます。

ステップ4:身体障害者更生相談所等への意見照会

市区町村が身体障害者更生相談所等(都道府県が設置)に意見照会を行います。更生相談所等が支給に適切かどうかを判定し、市区町村に意見を返します。

品目によっては「直接判定」として利用者本人が更生相談所に出向くこともあります。主要な品目(車椅子・電動車椅子・補聴器等)は書類判定ではなく来所判定を求められることがあります。

判定結果が出るまでの期間は自治体・更生相談所の状況によりますが、申請から決定まで概ね2〜4週間を要するケースが多いとされています。急ぎの場合は窓口で事情を説明し、迅速処理の依頼をすることができます。

ステップ5:支給決定・給付券の交付

審査が完了すると、市区町村から「補装具費支給決定通知書」と「補装具費給付券」が交付されます。

ステップ6:業者に給付券を提示して購入・修理

給付券を補装具業者に提示し、補装具を購入(または修理)します。代理受領方式の場合は、委任状を業者に渡すことで業者が市区町村から直接補装具費(自己負担分を除く)を受け取ります。利用者は自己負担分のみ支払います。

ステップ7:市区町村に完了報告・支払い

償還払い方式の場合は、購入後に領収書と給付券の写しを市区町村に提出して補装具費の還付を受けます。代理受領方式の場合は業者が手続きを行うため、利用者側での追加手続きは不要です。

身体障害者更生相談所の判定が必要な品目・不要な品目

判定が必要かどうかは品目と都道府県によって異なります。一般的な目安として次のように整理されています。

判定が必要とされることが多い品目:

更生相談所の意見照会(書類のみ)で対応できることが多い品目:

更生相談所の判定が不要で市区町村が直接対応するケース:

実務的には、市区町村窓口に申請すれば担当者が判定の要否を案内してくれます。

補装具費支給と日常生活用具の「迷いやすい品目」早見表

次の品目は、補装具費支給と日常生活用具のどちらに該当するか迷いやすいものです。

品目補装具費支給日常生活用具注意点
電動車椅子対象(種目あり)対象外補装具費支給に一本化
手動車椅子対象(種目あり)対象外補装具費支給に一本化
歩行補助杖(T字・棒状)対象外対象の場合あり(自立生活支援用具)T字・棒状の杖は補装具の対象外。ただし日常生活用具として設定している自治体も
入浴補助用具(シャワーチェア等)対象外対象(自立生活支援用具)65歳以上や要支援・要介護者は介護保険の福祉用具が優先
特殊寝台(電動ベッド)対象外対象(介護訓練支援用具)介護保険の福祉用具貸与が優先される場合あり
ストーマ装具対象外対象(排泄管理支援用具)日常生活用具のみ。補装具費では扱わない
紙おむつ対象外対象(排泄管理支援用具)日常生活用具のみ。補装具費では扱わない
点字器対象外対象(情報意思疎通支援用具)日常生活用具のみ
人工喉頭対象外対象(情報意思疎通支援用具)日常生活用具のみ
電気式たん吸引器対象外対象(在宅療養支援用具)日常生活用具のみ
手すりの取り付け工事対象外対象(居宅生活動作補助用具)介護保険の住宅改修と併用の可否を要確認
白杖(T字状のものは除く)対象(視覚障害者安全つえ)対象外補装具費支給に一本化
補聴器対象対象外補装具費支給。軽度難聴向けの自治体独自助成が別に存在する場合あり
義眼・眼鏡(障害起因)対象対象外補装具費支給
重度障害者用意思伝達装置対象(補装具費)一部対象(情報意思疎通支援用具として携帯型会話補助装置等)機種・機能によりどちらになるか異なる。要窓口確認

難病患者が手帳なしで申請するケース

対象となる疾病

障害者総合支援法施行令第1条が定める疾病(難病等)により、「継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける程度」の状態にある方は、身体障害者手帳がなくても補装具費支給や日常生活用具給付の対象になります。

対象疾病(難病)の具体的なリストは厚生労働省が公表しており、指定難病(令和6年時点で338疾病が指定)に加え、障害者総合支援法が対象とする疾病が別途定められています。

必要な書類(一般的な例)

難病患者が補装具費支給を申請する場合に一般的に必要とされる書類は次の通りです。自治体によって異なるため、事前に窓口に確認してください。

身体障害者手帳を取得していない場合でも、指定難病の受給者証があれば申請できます。ただし、補装具の種類によっては身体障害者更生相談所等の判定が必要であり、難病患者の場合も同様の手続きが求められます。

注意点

難病患者の申請では、症状の変動(日内変動・季節変動)がある場合に、判定時点の状態だけで判断されると実態に合わない可能性があります。主治医の意見書に「症状の変動がある旨」「日常生活での制限の実態」を詳しく記載してもらうことが、適切な判定を受けるための重要なポイントです。

介護保険との優先順位

65歳以上の方、または40〜64歳で特定疾病(介護保険の対象となる16疾病)に該当し、要支援・要介護の認定を受けている方は、補装具費支給や日常生活用具給付の前に介護保険の活用を検討することが原則です。

障害者総合支援法は、「介護保険に相当するサービスがある場合は介護保険を優先する」という原則(保険優先)を採用しています。

介護保険の福祉用具貸与では、車椅子・電動車椅子・歩行器・歩行補助つえ(松葉づえ等)・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・移動用リフト等が対象になります。福祉用具購入(特定福祉用具)では入浴補助用具・特殊便器等が対象です。

ただし、介護保険の対象品目にはない補装具(義肢・装具・補聴器・義眼等)については、65歳以上でも障害者総合支援法による補装具費支給が使えます。

介護保険と障害者総合支援法の重複する品目で介護保険を使った場合でも、障害者総合支援法の方が利用者の状況に明らかに適している場合(例:障害の特性上、介護保険の品目では対応できない場合)は、例外的に補装具費支給を使えることがあります。市区町村窓口で個別に相談することが重要です。

補聴器購入への支援(制度の組み合わせ方)

補聴器の購入に使える支援には次の複数のルートがあります。

ルート1:補装具費支給(障害者手帳保持者向け)

身体障害者手帳(聴覚障害)を持つ方が使える制度です。基準額の範囲で1割負担(非課税世帯は0円)です。前述の通り、基準額を超える機種は差額が全額自己負担になります。

ルート2:自治体独自の補聴器助成(軽度・中等度難聴者等向け)

身体障害者手帳の交付要件(概ね両耳70デシベル以上が目安)を満たさない軽度・中等度難聴の方や、65歳以上で手帳対象外の高齢者を対象に、自治体独自の補聴器購入助成を設けている市区町村が増えています。

大阪市の例(2026年6月27日時点確認)では、65歳以上で聴力が30dB以上70dB未満の方(手帳対象外)を対象に、25,000円を上限に補聴器購入費用の一部を助成しています。申請は購入前に申請書・医師意見書・見積書を提出する必要があります。

東京都では令和6年度から「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」を設け、区市町村が補聴器助成を実施する場合に費用の1/2を都が負担する仕組みを導入しています。東京23区の多くで区独自の補聴器助成が実施されています。

住んでいる市区町村で補聴器の独自助成があるかどうかは、市区町村の高齢福祉または障害福祉担当窓口に確認してください。「高齢者 補聴器 助成 (市区町村名)」で検索しても情報が見つかることがあります。

補装具費支給と自治体独自助成の組み合わせ

障害者手帳を持つ方が補装具費支給を使いつつ、さらに自治体の独自助成を上乗せできる場合があります。ただし、制度によっては重複給付を禁止していることがあるため、どちらを先に申請するか、両方使えるかを窓口で確認してから動くことをおすすめします。

精神障害者・知的障害者が使える日常生活用具

補装具費支給は身体障害者・障害児・難病患者等が対象であり、精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)や知的障害者(療育手帳所持者)は対象外です。

一方、日常生活用具給付については、市区町村が条例等で独自に対象者を定めるため、自治体によっては精神障害者・知的障害者も対象に含まれる品目があります。

精神障害者保健福祉手帳を持つ方が対象になる可能性がある品目の例(自治体による):

療育手帳(知的障害)を持つ方が対象になる可能性がある品目の例(自治体による):

これらは全国一律でなく、住んでいる市区町村が独自に設定しています。精神障害・知的障害がある方やそのご家族は「自分は日常生活用具の対象になるか」を市区町村の障害福祉担当課に確認することをおすすめします。

自治体ごとの上乗せ助成・独自品目の調べ方

日常生活用具給付は市区町村が独自に設定する制度のため、国の基準(参考例)よりも手厚い給付をしている自治体と、最低限の給付のみの自治体が混在しています。

調べ方のステップ

ステップ1:市区町村公式ウェブサイトを確認する

住んでいる市区町村の公式ウェブサイトで「日常生活用具」「補装具」等のキーワードで検索します。多くの自治体では「日常生活用具給付品目一覧」や「補装具費支給の案内」というページを掲載しています。

ステップ2:福祉担当課に問い合わせる

ウェブ上に詳細がない場合や最新情報の確認には、市区町村の障害福祉担当課(障害福祉課・障害者支援課等)に電話またはメールで問い合わせます。「(使いたい用具名)は日常生活用具の対象になりますか」「給付上限額はいくらですか」と具体的に聞くことが効果的です。

ステップ3:担当者に「上乗せ助成の有無」も確認する

特に補聴器・紙おむつ・ストーマ装具などは、国の目安の基準額を超えた「上乗せ助成」を設けている自治体があります。窓口で「独自の上乗せがあるか」を確認する価値があります。

よくある誤解・つまずきポイント

誤解1:購入した後に申請できる

補装具費支給・日常生活用具給付ともに、原則として「購入前に申請して支給決定を受ける」必要があります。購入してから申請しても、遡って支給されない場合がほとんどです。

「申請が面倒だから先に買って後で申請しよう」という考えは、支給を受けられない結果につながります。必ず購入前に市区町村窓口に相談することが大前提です。

特にストーマ装具の場合、退院直後の忙しい時期に申請が重なります。可能であれば入院中に担当ソーシャルワーカーや市区町村担当者に相談し、退院後すぐに使えるよう手続きを準備することをおすすめします。

誤解2:補装具費は「もらえる」お金

補装具費支給は、補装具の費用のうち9割(または全額・非課税世帯)を市区町村が負担する制度であり、利用者は1割の自己負担分を業者に支払います。現金が「もらえる」わけではなく、あくまで費用の軽減です。

ただし、代理受領方式を使えば、実質的には自己負担分だけを業者に支払えば済むため、手続きはシンプルになります。

誤解3:基準額以内の製品なら全額が出る

補装具費の支給は「基準額の9割(非課税世帯は10割)」が支給されます。基準額以内の製品でも「支給されるのは基準額の9割まで」であり、1割は自己負担です。

例えば基準額が100,000円で実際の購入価格が90,000円の場合、支給額は min(90,000, 100,000) × 0.9 = 81,000円となり、自己負担は9,000円です。

「基準額以内なら全額タダ」という誤解は非課税世帯の場合にのみ当てはまります。

誤解4:補装具業者はどこでも使える

補装具費支給に使える業者は、都道府県・市区町村が把握している「補装具業者」であり、一般の小売店では利用できない場合があります。市区町村窓口で「この業者でいいですか」と事前確認するか、業者リストの中から選ぶことをおすすめします。

誤解5:耐用年数以内は絶対に再支給されない

耐用年数は「再購入できる目安の年数」ですが、耐用年数内でも著しく破損した場合や障害の程度が変化して適合しなくなった場合は再支給の申請ができます。また、子どもの成長による買い替えも同様です。「まだ耐用年数が来ていないから無理だ」と諦めず、市区町村窓口に相談することをおすすめします。

誤解6:精神障害者は補装具も日常生活用具も使えない

補装具費支給は精神障害者は対象外ですが、日常生活用具給付については自治体が独自に設定するため、精神障害者保健福祉手帳を持つ方でも対象になる品目がある自治体があります。「使えない」と決めつけず、住んでいる自治体に確認することが重要です。

誤解7:介護保険があれば障害者の用具給付は使えない

介護保険が優先される品目については介護保険を使うことになりますが、すべての用具について介護保険が優先されるわけではありません。義肢・装具・補聴器・義眼・重度障害者用意思伝達装置など、介護保険の対象にない品目については、65歳以上でも補装具費支給を使えます。

誤解8:自治体によって品目が全く違うのは補装具費支給も同じ

補装具費支給の対象品目は国が告示で全国統一に定めています。品目が「ある・ない」は自治体によって変わりません。一方、日常生活用具給付は自治体が独自に設定するため品目が異なります。この違いを理解しておくことが申請先を判断する際に重要です。

申請チェックリスト

補装具費支給申請

補装具費支給を申請する前に確認することをまとめました。

事前確認の段階では次の点を確認します。

申請書類の準備では次の書類が必要です。

申請後・購入前には次の点を確認します。

日常生活用具給付申請

事前確認の段階では次の点を確認します。

申請書類の準備では次の書類が必要です(一般的な例・自治体によって異なります)。

よくある質問(FAQ)

Q1. 補装具費支給と日常生活用具給付、どちらに相談すればよいか分からない場合はどうすればよいですか。

市区町村の障害福祉担当課窓口に「○○(用具名)を使いたいのですが、どの制度で申請できますか」と相談すれば、担当者がどちらの制度が適切かを案内してくれます。最初から制度の区別を理解して窓口に行く必要はありません。「使いたい用具名」と「障害の種別・手帳の有無」を伝えるだけで案内を受けられます。

Q2. 身体障害者手帳を持っていないが補聴器が必要です。使える制度はありますか。

身体障害者手帳なしで補聴器を使いたい場合のルートは2つあります。1つ目は、耳鼻科専門医(身体障害者福祉法の指定医師)に診断書を作成してもらい身体障害者手帳の取得を申請するルートです。聴力の程度が手帳の要件を満たせば補装具費支給が使えます。2つ目は、自治体独自の補聴器助成制度を活用するルートです。手帳の対象外となる軽度・中等度難聴の方向けの助成を設けている市区町村があります(主に65歳以上を対象とした助成が多い)。住んでいる市区町村の高齢福祉または障害福祉担当窓口に確認してください。

Q3. 車椅子を購入しましたが、1年で壊れてしまいました。耐用年数は6年のはずですが修理費の支給は使えますか。

補装具費の修理費支給は耐用年数内でも申請できます。壊れた場合は市区町村の障害福祉担当課に相談し、補装具業者に修理の見積書を取得して修理費支給申請をします。修理で対応できない程度に破損している場合は、耐用年数前でも「購入」としての再支給申請ができる場合があります。

Q4. 複数の補装具が必要です。同時に複数の種目を申請できますか。

複数の種目の補装具を同時に申請することは可能です。申請書に複数の種目を記載して提出します。それぞれの種目について必要な見積書を業者から取得してください。ただし、自己負担の月額上限(37,200円)は複数の支給を合算した場合でも同じ上限が適用されます。

Q5. 電動車椅子と手動車椅子の両方を使いたい。どちらが出ますか。

補装具費支給では、同一種目の複数支給は原則として認められません。電動車椅子と手動車椅子の両方を支給する場合、それぞれの種目として別々に申請することは理論上は可能ですが、両方を支給する必要性(生活実態)を身体障害者更生相談所等が判断します。電動車椅子と手動車椅子の両方が本当に必要な理由(外出時は電動、入浴介助時は手動等)を具体的に説明できるよう準備し、市区町村窓口に相談してください。

Q6. 補装具業者を変えたいのですが、費用の手続きはどうなりますか。

補装具業者を変更すること自体は制限されていません。ただし、既に支給決定を受けた補装具の修理を別の業者に依頼する場合は、新たに修理費支給申請が必要です。購入の場合も同様です。業者変更の際には、市区町村窓口に新しい業者の見積書を提出して改めて手続きを行います。

Q7. ストーマ装具の給付券が届くまでの間、装具代は全額自己負担になりますか。

多くの場合、初回申請から給付券交付までに数週間かかります。その間に購入した装具については原則として遡及給付は難しいですが、自治体によっては「緊急対応」として扱う制度がある場合があります。退院前にソーシャルワーカーや市区町村担当者に相談し、できるだけ早く申請手続きを始めることが重要です。申請から間もない期間については、担当者に「手続きが間に合わない場合の対応」を確認することをおすすめします。

Q8. 難病で手帳がありません。補装具費支給を申請できますか。

障害者総合支援法施行令第1条が定める疾病による障害の程度が「継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける程度」の方は、身体障害者手帳がなくても補装具費支給の対象になります。申請の際は、指定難病受給者証(または特定疾患医療受給者証)と主治医の診断書(日常生活等への制限が記載されたもの)を市区町村窓口に持参して相談してください。

Q9. 補装具の購入後、別の自治体に引っ越しました。次の申請はどこですればよいですか。

引っ越し後は新しい市区町村が担当となります。修理費支給や再購入の申請は、現在住んでいる市区町村の障害福祉担当課に行います。引っ越し前に使用していた補装具の経緯(いつ支給決定を受けたか等)を示す書類(支給決定通知書等)を持参すると、手続きがスムーズになります。

Q10. 日常生活用具(ストーマ装具)の給付基準額が実際の製品価格より低く、毎月差額を自己負担しています。上乗せ助成を使う方法はありますか。

住んでいる自治体が基準額以上の上乗せ助成を設けている場合は窓口で確認できます。また、製品の選択を見直すことで自己負担を減らせることがあります。ストーマ装具の業者(指定業者)に「給付基準額の範囲内で購入できる製品はあるか」を相談することも一つの方法です。基準額の範囲内に収まる製品でも品質に大きな差がない場合もあるため、業者や市区町村担当者・ストーマ外来の看護師等に相談してみてください。

Q11. 子どもが成長して補装具のサイズが合わなくなりました。耐用年数が来ていなくても新しいものを作れますか。

成長差替えとして、耐用年数前でも申請できる場合があります。成長によって身体に適合しなくなった補装具は「現に適合しなくなった場合」として再支給の対象になります。市区町村窓口に「成長でサイズが合わなくなった」と相談し、身体障害者更生相談所等(児童の場合は児童相談所も関与することがある)の判定を受けて手続きを進めます。

Q12. 補装具を借受け(レンタル)した場合、後から購入に切り替えることはできますか。

借受けから購入への切り替えは可能です。ただし、改めて購入としての補装具費支給申請が必要です。市区町村窓口に相談し、必要な手続きを確認してください。

Q13. 自治体の日常生活用具の品目一覧に欲しい用具が載っていません。申請できませんか。

日常生活用具は「市区町村が条例等で定める品目」が対象であり、品目一覧に記載がない用具は原則として対象外です。ただし、「こういう用具が必要なのだが品目に追加してほしい」という要望を市区町村に伝えることで、次年度から追加される可能性はあります。窓口で「こういうニーズがある」と伝えることも大切なフィードバックです。

Q14. 補装具費支給制度を利用した場合、介護保険の福祉用具貸与と同時に使えますか。

原則として介護保険の福祉用具貸与に相当する品目は介護保険が優先されます。ただし、介護保険の対象にない品目(義肢・装具・補聴器等)については、65歳以上でも補装具費支給が使えます。どちらかを先に使わなければならないというものではなく、対象品目が異なれば両方を並行して利用することは可能です。

出典一覧(URL・確認日)

本記事は以下の一次情報を確認した上で執筆しています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/hosouguhisikyuuseido.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/yogu.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/sa-bisuriyou.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/index.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8482&dataType=0&pageNo=11

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/seikatsu.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/content/001434984.pdf

確認日:2026-06-27(文書内の具体数値は告示・公式サイトで個別に確認)

https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r06hakusho/zenbun/h2_04_01_06.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000307895.pdf

確認日:2026-06-27

https://laws.e-gov.go.jp/law/418CO0000000010

確認日:2026-06-27

https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000648793.html

確認日:2026-06-27

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/300323_2-1.pdf

確認日:2026-06-27

https://www.nanbyou.or.jp/entry/5702

確認日:2026-06-27

https://sasaki-gishi.co.jp/archives/417/

確認日:2026-06-27(参考として引用。告示の数値で検証済み)

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行・法律的助言・医療的助言を行うものではありません。制度の詳細・最新の要件・対象品目・申請手続きについては、各公式サイトまたは担当窓口(市区町村の障害福祉担当課・身体障害者更生相談所等)に直接ご確認ください。本記事に記載の金額・対象品目・耐用年数・給付上限額は記事執筆時点(2026年6月27日)の情報に基づくものであり、制度改正・告示改正により変更される場合があります。補装具費の支給および日常生活用具の給付は要件を満たした全ての方が必ず受給できることを保証するものではありません。当該制度の利用については、担当窓口への相談と最新情報の確認を強くおすすめします。