特許料・審査請求料の減免を受ける方法(中小企業・個人事業主のための知財費用軽減ガイド)

本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づいています。特許庁の減免制度は法改正等により変更されることがあります。申請前に必ず特許庁の公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行は行いません。

この記事が整理すること

発明やアイデアを特許として保護しようとした時、最初に直面するのが費用の問題です。特許を取得するまでには出願から始まり、審査請求、そして毎年の特許料と、複数の費用がかかります。中小企業や個人事業主にとって、この費用負担は小さくありません。

実は、特許庁には「特許料等の減免制度」があり、中小企業・個人事業主・スタートアップを対象に、審査請求料や特許料を大幅に軽減できます。2019年4月の制度改正(新減免制度)以降、申請書の別途提出が不要になり、証明書類の提出も原則として必要なくなったため、以前より格段に使いやすくなっています。

ところが、この制度を知らないまま申請してしまい、本来受けられた軽減を取り逃がしているケースが非常に多いのが実態です。また、「意匠や商標にも減免がある」「出願料も安くなる」「弁理士費用も対象」といった誤解が広まっており、対象外の費用に期待して計画を立ててしまうこともあります。

この記事では次のことを整理します。

この記事は、特許出願を検討している個人事業主・中小企業の方、出願費用を少しでも抑えたい方、開業届を出すべきか迷っている個人発明家の方を主な読者として想定しています。

制度の全体像

知的財産に関連する費用軽減の手段は、大きく3つに分類できます。

第1は、特許庁が直接実施する「特許料等の減免制度」です。これは特許庁に納付する手数料そのものを、法律に基づいて減額または免除する制度です。審査請求料と特許料(第1年〜第10年分)が主な対象です。

第2は、INPITが実施する「外国出願補助金」です。海外への特許・商標・意匠出願にかかる費用の1/2を補助するもので、国内出願費用は対象外ですが、弁理士費用なども含めて補助されます。

第3は、各都道府県・市区町村が独自に実施している「知財関連の補助金・助成金」です。内容は自治体ごとに大きく異なります。弁理士費用の一部を助成するものが多く見られます。

これら3つの制度は併用が可能なケースもあります。ただし、制度ごとに申請先、申請方法、対象経費が異なるため、それぞれの仕組みを正確に理解した上で活用することが重要です。

以下の表で全体像を整理します(確認日: 2026年6月27日)。

制度実施主体対象費用補助率・軽減率申請先
特許料等の減免制度特許庁審査請求料、特許料(1〜10年)1/2〜全額(区分による)特許庁(紙のみ)
INPIT外国出願補助金INPIT外国出願・弁理士費用等1/2(上限300万円)INPIT事務局
自治体知財補助金各自治体弁理士費用・出願費用等自治体による各自治体窓口

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ここでは、事業を始めてから8年目の個人事業主(小規模事業・サービス業、従業員なし)が特許出願から10年間保有し続ける場合のコストを、減免前と減免後で比較するケースを最後まで全部お見せします。

この方は「中小スタートアップ企業(事業開始後10年未満の個人事業主)」に該当し、審査請求料と特許料が通常の1/3に軽減されます(残り2/3を軽減)。

想定条件は次の通りです。

では、費用を計算します。

まず通常の費用(減免なし)を計算します。

審査請求料の計算式は「138,000円 + 4,000円 × 請求項数」です。

138,000円 + 4,000円 × 3 = 150,000円

次に特許料(年金)です。特許料は年数が増えるにつれ高くなります。計算式は「基本額 + 加算額(1件あたり)× 請求項数」で、各年の基本額と加算額は以下の通りです(2022年4月改定後現行。金額は特許庁公式料金表に基づきます。申請時に必ず特許庁の最新料金を確認してください)。

第1〜3年: 4,300円 + 300円 × 3 = 5,200円(1年分)。3年分の合計は 5,200円 × 3 = 15,600円。

第4〜6年: 10,300円 + 800円 × 3 = 12,700円(1年分)。3年分の合計は 12,700円 × 3 = 38,100円。

第7〜9年: 24,800円 + 1,900円 × 3 = 30,500円(1年分)。3年分の合計は 30,500円 × 3 = 91,500円。

第10年: 59,400円 + 4,600円 × 3 = 73,200円(1年分)。

10年間の特許料合計は、15,600円 + 38,100円 + 91,500円 + 73,200円 = 218,400円です。

通常時のトータルコスト(特許庁手数料のみ)は、審査請求料150,000円 + 特許料218,400円 = 368,400円となります。

ここにスタートアップ区分の1/3という軽減率を適用します。「支払額が通常の1/3になる」という理解で計算します(特許庁公式では「3分の2の額を軽減する」と表現されており、実質的に支払額が通常の1/3になります)。

軽減後の審査請求料: 150,000円 × 1/3 = 50,000円(端数は切捨て)

軽減後の特許料(10年合計): 218,400円 × 1/3 = 72,800円(端数は切捨て)

軽減後の合計: 50,000円 + 72,800円 = 122,800円

差額は368,400円 − 122,800円 = 245,600円の軽減となります。

審査請求料と10年間の特許料を合わせて約24.5万円節約できる計算です。

この軽減を受けるために追加でかかるコストは基本的にありません。審査請求書の【手数料に関する特記事項】欄に「減免を受ける旨」「減免申請書の提出を省略する旨」を記載するだけでよく、証明書類の提出も不要です(新減免制度の場合)。

ただし注意点が1つあります。この申請は審査請求書と同時に提出することが必要です。後から「減免してほしかった」と申し出ても受け付けてもらえません。審査請求書を作成する段階で必ず特記事項を記載してください。

また特許料については、毎年の納付時に特許料納付書の【特許料等に関する特記事項】欄に同様の記載をすることで、1年ごとに軽減を受けます。毎年この記載を忘れると通常料金を請求されることになります。最初の審査請求時だけでなく、毎年の納付時にも忘れずに記載することが実務上のポイントです。

この計算例はあくまで「特許庁に支払う手数料」の部分のみです。弁理士に依頼した場合の代理人報酬は別途発生します。弁理士費用は減免制度の対象ではありませんが、後で説明するINPIT外国出願補助金(外国出願の場合)や自治体の知財補助金で一部をまかなえる場合があります。

ここから先は、申請に直結する実務です。

「何が減免されて何が対象外か」を正確に理解する

減免制度で軽減できる費用

特許庁の減免制度で軽減できる費用は、現行制度(2019年4月1日以降に審査請求した案件の新減免制度)では次の2種類です。

1つ目は審査請求料です。特許出願をした後、特許庁に審査を請求する際に支払う費用です。出願から原則3年以内に請求する必要があります。

2つ目は特許料(年金)の第1年分から第10年分です。特許が登録された後、毎年(または複数年まとめて)支払う維持費です。第11年以降の特許料は減免の対象外となります。

PCT国際出願の場合は、国内移行時の審査請求料・特許料に加え、国際出願関係手数料(送付手数料・国際調査手数料・国際予備審査手数料)の一部も軽減の対象になります。

減免されない費用(対象外)

一方、次の費用は減免制度の対象外です。ここを誤解したまま計画を立てると、予定外の出費が生じます。

特許の出願料(14,000円)は対象外です。審査請求とは別の費用で、出願時に支払います。金額は比較的小さいですが、対象外である点を把握しておきましょう。

意匠登録の出願料・登録料は対象外です。意匠(デザイン・外観)の保護を求める場合には、この減免制度は適用されません。国内の意匠登録に関しては、費用軽減の仕組みがありません(ただし外国出願はINPIT補助金で一部補助可能)。

商標登録の出願料・登録料は原則として対象外です。ただし、地域団体商標に限り一部軽減措置がある場合があります。一般的な商標登録費用の軽減は制度上の対象外と理解してください。

弁理士費用(代理人報酬)は対象外です。これは最もよくある誤解です。弁理士に依頼して特許出願や審査対応を行う場合の報酬は、減免制度の対象になりません。弁理士費用は特許庁への手数料とは別の費用です。

なお、特許の第11年以降の特許料も対象外です。長期間特許を維持する場合、第11年以降は通常料金を全額支払うことになります。

意匠・商標に減免がない理由と代替策

なぜ意匠・商標は対象外なのか

特許・実用新案の費用軽減制度が手厚い背景には、研究開発や技術革新を促進するという政策目的があります。特許は技術的な発明を対象とし、審査に数年かかることも珍しくなく、また維持費が長期にわたるため、費用負担が大きくなりやすいという特性があります。これに対し、意匠や商標は登録プロセスが比較的短く、特許のように長期的な維持費用がかさむ構造が異なることが、制度設計の背景にあると考えられます(公式に明記された理由ではありませんが、制度の趣旨として理解されています)。

意匠・商標費用の代替となる支援策

意匠や商標の出願費用には、特許庁の減免制度は使えませんが、別の手段があります。

一つ目は、自治体の知財補助金です。多くの都道府県・市区町村が、弁理士費用・出願費用全般を補助する独自の助成事業を設けており、意匠・商標の出願費用も補助対象に含めているケースが少なくありません。例えば東京都中小企業振興公社の知財関連助成事業では、特許に限らず意匠や商標の費用を対象とする助成があります(内容・金額は年度によって変わります。申請前に必ず東京都知的財産総合センター(https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/)で最新の募集要項をご確認ください)。

二つ目は、INPIT外国出願補助金(外国出願に限定)です。外国での意匠・商標の出願であれば、INPITが費用の1/2(最大300万円)を補助する仕組みがあります。国内出願は対象外ですが、海外展開を考えている場合には活用できます。

三つ目は、INPIT知財総合支援窓口での無料相談です。「意匠や商標の出願で使える支援を教えてほしい」と相談すると、自分の事業の状況に合った助成金・補助金の情報を無料で案内してもらえます。

対象者の区分を正確に判定する

減免制度には複数の区分があり、自分がどの区分に当たるかによって軽減率が変わります。ここで正確に判定しておくことが、申請時の混乱を防ぐことにつながります。

中小企業(会社・法人の場合)

中小企業に該当する法人は、審査請求料と特許料(第1〜10年分)が通常の1/2になります。

「中小企業に該当する」かどうかは、業種によって異なる基準(資本金額または従業員数)で判断します。資本金と従業員数のどちらか一方が基準内であれば中小企業に該当します。

業種別の判定基準(中小企業基本法・特許庁の定義に基づく)を次に示します。

製造業・建設業・運輸業その他: 資本金3億円以下または従業員300人以下

卸売業: 資本金1億円以下または従業員100人以下

サービス業: 資本金5,000万円以下または従業員100人以下

小売業: 資本金5,000万円以下または従業員50人以下

ただし、大企業(上記基準を超える会社)が実質的に支配している場合(子会社等)は中小企業に該当しません。「大企業が株式の過半数を保有している」「役員の大多数を大企業が占めている」といった場合は対象外となります。

また、組合(企業組合・協業組合・協同組合等)やNPO法人(社会福祉法人・特定非営利活動法人)も、一定の要件を満たせば対象になります(特許庁の公式ページで詳細を確認してください)。

中小企業(個人事業主の場合)

個人事業主も、業種別の従業員数基準を満たしていれば中小企業(個人事業主)として1/2の軽減を受けられます。

重要な前提として、税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出していることが必要です。開業届を提出して初めて「個人事業主」として認定されます。単に自営で仕事をしているだけでは認められない点に注意が必要です。

中小スタートアップ企業(法人・個人事業主)

設立(または事業開始)から10年未満の場合は「中小スタートアップ」として、審査請求料と特許料が通常の1/3になります(中小企業の1/2よりさらに有利)。

法人の場合の要件は「設立後10年未満、資本金3億円以下、大企業支配なし」の3つをすべて満たすことです。

個人事業主の場合は「事業開始後10年未満であること」が要件です(開業届の提出日から10年以内という考え方になります)。

事業を始めてから10年以内の個人事業主は、中小企業の1/2よりも有利なスタートアップ区分を使えます。事業開始年数が重要なので、開業届の提出日を把握しておいてください。

小規模企業(法人・個人事業主)

従業員が少ない小規模企業は、スタートアップと同様に審査請求料・特許料が通常の1/3になります(支払額が通常の1/3、つまり2/3分が軽減されます)。

小規模企業の定義は次の通りです。

製造業その他の業種: 従業員20人以下

商業またはサービス業: 従業員5人以下

ここでいう「従業員」はパート・アルバイトを含む常時使用する従業員数を指します。

従業員数が非常に少ない個人事業主の方は、小規模企業区分でスタートアップ区分と同等の軽減を受けられます。

研究開発型中小企業

試験研究費が売上高に対して一定割合以上を占める中小企業(試験研究費比率が3%超の中小企業等)には、別途の軽減措置があります。これは通常の中小企業区分と同じ1/2の軽減ですが、適用できる期間や要件に違いがあります。詳細は特許庁の公式ページをご確認ください。

個人(市町村民税非課税者等)

事業者ではない個人(非事業主の個人発明家)も、市町村民税が課されていない場合(非課税者)等に該当すれば、審査請求料と特許料の全額が免除されます。ただし「全額免除」は税の非課税という要件を満たす場合に限られます。

この区分は、収入が少なく非課税となっている個人が対象であり、所得が一定以上ある個人発明家(事業を行っていない趣味的な発明活動をしている方を含む)は通常対象外になります。

区分早見表

あなたの状況区分軽減率(支払額)
法人(大企業に支配されていない中小法人・設立10年超)中小企業1/2
法人(設立10年未満・資本金3億以下・大企業支配なし)中小スタートアップ1/3
法人(従業員20人以下:製造業等 / 5人以下:商業・サービス業)小規模企業1/3
個人事業主(開業届提出済み・事業10年超)中小企業(個人事業主)1/2
個人事業主(開業届提出済み・事業10年未満)中小スタートアップ1/3
個人事業主(開業届提出済み・従業員5人以下のサービス業等)小規模企業1/3
個人(開業届なし・市町村民税非課税)個人(非課税者)全額免除
個人(開業届なし・市町村民税課税)対象外軽減なし

個人発明家(非事業主)が減免を受けられない理由と対処法

「個人」と「個人事業主」は別物

「個人として特許出願したいが、費用を安くしたい」という状況で最もよく生じる誤解が、「個人なら減免が受けられる」というものです。実際には、減免制度の「個人」区分には所得要件(市町村民税非課税等)が設けられており、収入がある方は対象外になるケースがほとんどです。

なぜこのようになっているかというと、減免制度の趣旨が「事業者としての技術革新・産業振興を支援する」ことにあるからです。趣味・研究・個人的な活動として発明を行っている非事業者への支援は、制度設計上の優先度が低く設定されています。

弁理士事務所でも、「個人」と「個人事業主」を区別した上で説明することが重要とされています。税務署に開業届を提出しているかどうかが、減免の対象になるかどうかを分ける大きな判断軸です。

開業届を出すメリット

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、税務署に無料で提出できます。提出することで「個人事業主」として認定され、次のメリットが生まれます。

まず、特許庁の減免制度の対象になります。事業開始から10年以内であればスタートアップ区分(1/3)、従業員数が小規模事業者の基準内であれば小規模企業区分(1/3)として、審査請求料と特許料が大幅に軽減されます。

次に、青色申告ができるようになります。特許出願に関わる費用(出願料・弁理士費用など)を事業経費として計上できるようになります(通常の個人では事業所得がないため経費計上できません)。

また、自治体の中小企業向け補助金の対象になります。「個人事業主」として認定されることで、弁理士費用の補助制度を使える自治体が増えます。

開業届の提出に費用はかかりません。発明の商業化を考えているのであれば、開業届を提出して事業者として位置づけることを検討してみてください。

開業届の提出先・提出方法

開業届は次のいずれかで提出できます。

税務署の窓口(管轄する税務署に直接持参)

e-Tax(国税庁の電子申告システム)でオンライン提出

マイナンバーカードがあれば、スマートフォンからでも手続きが可能です。

提出に必要なもの: 個人事業の開業・廃業等届出書(国税庁のサイトからダウンロード可)、マイナンバー(個人番号)のわかるもの、本人確認書類

提出期限: 原則として事業開始から1か月以内(遅れても罰則はなく、後からでも提出可能)

窓口は国税庁ウェブサイト(https://www.nta.go.jp/)から管轄税務署を検索できます。

申請の具体的な手順(新減免制度・2019年4月以降)

ここでは、実際に審査請求料の減免を受けるための手順をステップごとに説明します。

事前準備:必要な書類の確認

新減免制度では、証明書類の提出が原則として不要になりました。申請書(減免申請書)の別途提出も不要です。ただし虚偽の記載には罰則があります。申請する前に、自分が本当に対象区分に該当しているかを確認してください。

対象区分の確認方法は次の通りです。

中小企業の判定: 業種と資本金・従業員数を確認し、中小企業基本法の基準内であること、大企業に支配されていないことを確認します。

スタートアップの判定: 法人の場合は設立年月日(登記事項証明書で確認)、個人事業主の場合は開業届の提出日を確認します。

小規模企業の判定: 常時使用する従業員数を確認します。

個人(非課税者)の判定: 前年の市町村民税の課税証明書または非課税証明書で確認します(この区分のみ証明書が必要になる場合があります。詳細は特許庁公式ページで確認してください)。

ステップ1:特許出願を行う

まず特許出願書類を準備します。出願書類には次が含まれます。

特許願(出願人の氏名・名称、発明の名称を記載したもの)

明細書(発明の詳細な説明)

特許請求の範囲(請求項の記載)

要約書

図面(必要な場合)

出願は特許庁に電子出願で行います(紙でも可ですが電子出願が一般的)。出願料は14,000円(電子出願の場合)で、減免の対象外です。

なお、出願料については減免制度がないため、この費用は節約できません。

ステップ2:審査請求書を作成する

特許出願から原則3年以内に出願審査請求書を提出する必要があります。審査を請求しないと特許は取得できません(出願から3年を過ぎると出願が取り下げたとみなされます)。

出願審査請求書は特許庁の書式に従って作成します。書式は特許庁の公式サイトからダウンロードできます(https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/tetuzuki/yoshiki.html)。

ステップ3:【手数料に関する特記事項】欄に減免の記載をする

ここが最も重要なポイントです。出願審査請求書には【手数料に関する特記事項】欄があります。減免を受けるためには、この欄に次の2点を必ず記載します。

「減免を受ける旨(具体的な区分名、例:中小スタートアップ企業として審査請求料の減免を受ける)」

「減免申請書の提出を省略する旨」

この記載を忘れると、減免は適用されません。審査請求書を提出した後から「やはり減免を申請したい」と申し出ることは原則として認められていないため、必ず提出前に確認してください。

共同出願の場合、減免を受けることができる者が出願人の一部に限られる場合には、「減免を受ける者」と「その者の持分の割合」も記載します。費用は持分割合に応じた額のみが軽減されます。

ステップ4:審査請求書を提出する(紙提出のみ・オンライン不可)

ここが実務上の大きな落とし穴です。

特許の電子出願はJ-PlatPat等の電子出願システムを使って行うことができます。しかし、減免申請を含む出願審査請求書については、減免記載と料金の計算を電子出願システムが自動処理するか、紙提出が必要になるかを、特許庁の公式手続きで必ず確認してください。

2026年6月時点での一般的な実務では、電子出願システムを利用する場合でも、減免の特記事項を電子出願書面の所定欄に正確に入力することが必要です。電子出願システムの操作手順と画面構成は変更されることがあるため、特許庁のサイトの最新手続案内(https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/index.html)で確認してください。

弁理士に依頼している場合は、「減免の特記事項の記載を忘れないでください」と事前に伝えることを強くおすすめします。弁理士は豊富な経験を持っていますが、依頼者がスタートアップ区分や小規模企業区分に該当することを伝えていない場合、確認されないまま通常料金で処理されてしまうことがあります。

ステップ5:特許料(年金)の減免を受ける(毎年)

審査請求は一度だけですが、特許料は毎年(または複数年まとめて)納付します。特許料についても毎回の納付時に減免を受けるためには、特許料納付書の【特許料等に関する特記事項】欄に同様の記載(「減免を受ける旨」「減免申請書の提出を省略する旨」)が必要です。

特許の登録後、特許庁から特許料の通知が届きます。通知の書類には納付書類が同封されます。この書類に特記事項を記入して納付します。

注意点として、スタートアップ区分は「事業開始後10年未満」が要件です。事業開始から10年目を超えると、翌年の納付から中小企業区分(1/2)への変更が必要になります。自分の区分が変わるタイミングを把握しておいてください。

手続きに迷ったときの相談窓口

特許庁の手続きに関する疑問は、特許庁の「工業所有権情報・研修館(INPIT)の知財総合支援窓口」(https://chizai-portal.inpit.go.jp/)で無料相談できます。全国47都道府県に窓口があり、弁理士や専門家が対応します。「申請書の書き方が分からない」「自分はどの区分に当たるか確認したい」といった具体的な質問も受け付けています。

費用の具体的なシミュレーション表(請求項数・区分別)

審査請求料の比較

請求項数通常額中小企業(1/2)スタートアップ・小規模(1/3)
1件142,000円71,000円47,330円
3件150,000円75,000円50,000円
5件158,000円79,000円52,660円
10件178,000円89,000円59,330円
20件218,000円109,000円72,660円

※端数は切捨て。出典: 特許庁産業財産権関係料金一覧(https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/hyou.html)。2022年4月1日改定後の料金。確認日: 2026年6月27日。申請時に最新料金をご確認ください。

計算式: 138,000円 + 4,000円 × 請求項数

特許料(年金)の比較(請求項3件・10年間分)

期間通常額合計中小企業(1/2)スタートアップ・小規模(1/3)
第1〜3年(3年分)15,600円7,800円5,200円
第4〜6年(3年分)38,100円19,050円12,700円
第7〜9年(3年分)91,500円45,750円30,500円
第10年(1年分)73,200円36,600円24,400円
10年間合計218,400円109,200円72,800円

※計算式: 第1〜3年は「4,300円 + 300円×3件 = 5,200円/年」、第4〜6年は「10,300円 + 800円×3件 = 12,700円/年」、第7〜9年は「24,800円 + 1,900円×3件 = 30,500円/年」、第10年は「59,400円 + 4,600円×3件 = 73,200円/年」

審査請求料+10年間特許料の合計比較(請求項3件)

区分審査請求料10年間特許料合計軽減額
通常(減免なし)150,000円218,400円368,400円
中小企業(1/2)75,000円109,200円184,200円184,200円
スタートアップ・小規模(1/3)50,000円72,800円122,800円245,600円

特許料(年金)の比較(請求項5件・15年間分)

第11年以降は減免対象外のため、11年目以降は通常額になります。

期間通常額合計中小企業(1/2)スタートアップ・小規模(1/3)
第1〜3年(3年分)17,400円8,700円5,800円
第4〜6年(3年分)42,900円21,450円14,300円
第7〜9年(3年分)102,900円51,450円34,300円
第10年(1年分)82,400円41,200円27,460円
第11〜13年(3年分)247,200円247,200円(対象外)247,200円(対象外)
第14〜15年(2年分)164,800円164,800円(対象外)164,800円(対象外)
15年間合計657,600円534,800円493,860円

※第11年以降は通常料金(計算式: 59,400円 + 4,600円×5件 = 82,400円/年)。長期維持では第10年以降の費用が支配的になるため、長期保有の計画には注意が必要です。

個人(市町村民税非課税者)の場合

全額免除のため、審査請求料・特許料(第1〜10年分)ともに0円になります。ただしこの区分は「市町村民税非課税」等の所得要件を満たす場合に限られます。また証明書類の提出が必要になる場合があります(他の区分と異なる点)。

PCT国際出願の場合の費用軽減

PCT(特許協力条約)に基づく国際出願は、複数の国に一度の手続きで出願できる便利な制度ですが、費用が高くなりがちです。中小企業向けには、PCT関連手数料の一部も軽減の対象になります。

軽減対象となるPCT関連手数料

日本語でPCT国際出願をした場合に軽減対象となるのは次の手数料です。

送付手数料(Transmittal fee): 特許庁を通じてWIPO(世界知的所有権機関)に出願書類を送付するための手数料

国際調査手数料(Search fee): 先行技術の調査を行うための手数料(国際調査機関に支払う)

国際予備審査手数料(Preliminary examination fee): 国際予備審査を請求する場合に必要な手数料

また2024年1月以降、国際出願手数料および取扱手数料も支援の対象に追加されています。

PCT国際出願の軽減申請方法

国際出願の場合、国内審査請求と異なり、減免申請書を国際出願書類に添付します(省略できないケースもあります)。最新の申請手続きは特許庁の専用ページ(https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/pct_keigen_shinsei_202401.html)で確認してください。

INPIT外国出願補助金との組み合わせ

PCT国際出願と組み合わせて使えるのが、INPITの外国出願補助金です。特許庁への軽減手続きと、INPITへの補助金申請は別の手続きですが、同じ出願に対して両方を活用することが可能です。

外国出願補助金では、PCT出願の国際出願費用だけでなく、海外の各国での審査費用・弁理士費用なども補助対象になります(上限300万円、補助率1/2)。外国への特許出願を検討している場合は、特許庁への手数料軽減と合わせてINPITの補助も申請することを検討してください。

出願名義変更と減免タイミングの関係

開発の途中で「個人事業主として出願したが、法人を設立した」「共同出願をしていた相手から持分を引き受けた」といった状況が生じることがあります。このような出願名義変更と減免申請のタイミングについて整理します。

審査請求時に名義人であることが原則

減免を受けられるかどうかの判定は、原則として審査請求時の名義人(出願人)を基準に行われます。

出願時の名義人が個人(非事業主)であっても、審査請求をする時点で名義変更により中小企業や個人事業主に変更されていれば、その時点の名義人として減免の申請が可能です。

名義変更(法人成り)の手順

個人で出願した後に法人を設立し、特許出願を法人名義に移したい場合は「出願人名義変更届」を特許庁に提出します。

手続きの流れは次の通りです。

  1. 法人を設立する(法人登記)
  2. 特許庁に「出願人名義変更届(特定承継)」を提出する
  3. 特許庁が名義変更を受理した後(受理日から有効)、審査請求を行う
  4. 審査請求書に法人名義で減免の特記事項を記載する

名義変更届の提出は電子出願または書面で行えます。手数料は特定承継の場合に4,200円かかります(書面手続の場合)。

重要なのは、名義変更届が特許庁に受理された日以降でなければ、新しい名義人として審査請求はできない点です。名義変更届を提出したその日と同日に審査請求を行う場合は、名義変更届を先に受け付けてもらう必要があります。特許庁に確認してから手続きを進めることをおすすめします。

共同出願・持分移転のケース

複数の出願人(共同発明者等)が共同出願している場合、減免を受けることができる者とそうでない者が混在することがあります。

この場合、共同出願人の中で減免を受けられる者の持分割合に応じた金額のみが軽減されます。例えば、Aさん(スタートアップ区分に該当)とBさん(一般個人・非課税でない)が50%ずつ持分を持っている場合、審査請求料全体のうちAさんの持分50%に相当する部分のみが1/3に軽減されます。

審査請求書には「減免を受ける者の氏名(名称)」と「その者の持分の割合」を明記することが必要です。

費用全体の把握:特許取得にかかるコストの構造

特許取得から10年維持するまでの費用の全体像

減免制度を活用する前に、特許取得にかかる費用の全体像を理解しておくことが重要です。費用は大きく3つの段階に分かれます。

第1段階は「出願時」の費用です。特許願を特許庁に提出する際に、出願料(14,000円、電子出願の場合)を支払います。この費用は減免制度の対象外です。

ただし、弁理士に依頼する場合には別途代理人費用が発生します。弁理士費用は事務所・発明の複雑さによって大きく異なりますが、明細書の作成費用だけで20万〜50万円以上になることも珍しくありません。

第2段階は「審査請求時」の費用です。出願から原則3年以内に審査請求を行い、審査請求料を支払います。この費用が減免制度の主要な対象です。

第3段階は「登録後の維持費(特許料・年金)」です。特許が登録されると毎年特許料を支払う必要があります。放棄しない限り、特許権が存続する期間(出願から最長20年)にわたって費用が発生します。特許料は年数が経つほど高くなる累進構造になっています。

弁理士費用の相場感(参考)

弁理士費用は弁理士会の報酬基準が廃止された現在、各事務所が自由に設定しています。一般的な目安として、次のような費用感になります(弁理士事務所によって大きく異なるため、あくまで参考として理解してください)。

出願手続き(明細書作成込み): 15万〜40万円程度

拒絶理由対応(意見書・補正書の作成): 5万〜20万円程度

特許料の納付代行: 年1万〜3万円程度

弁理士費用の実費は減免制度の対象外ですが、いくつかの代替策があります。

まず、自分で出願書類を作成する「自己出願」という方法があります。特許庁のサイトには「特許の権利化の流れ」「明細書の書き方」等の案内が公開されており、複雑でない発明であれば自分で書くことも不可能ではありません。ただし、特許請求の範囲(クレーム)の書き方は専門的な技術を要するため、弁理士への相談なしに自己出願すると権利範囲が意図せず狭くなるリスクがあります。

次に、INPIT知財総合支援窓口の弁理士相談を活用する方法があります。出願の可否・戦略を無料で相談した上で、出願書類の作成だけを弁理士に有料で依頼するという進め方ができます。

また、自治体の知財補助金で弁理士費用の一部を補助してもらえる場合があります。住所地の自治体の補助金を事前に確認してください。

出願料の節約策はないのか

特許の出願料(14,000円)自体の軽減制度はありません。ただし、実用新案として出願する場合は実用新案登録料(出願料相当)が異なります。また、出願する件数を絞って費用を抑えることが現実的な節約策になります。

複数の発明がある場合、すべてを出願するのではなく「最も事業価値の高いもの」に絞ることが費用対効果の観点から重要です。

特許を取らない選択肢も含めて考える

知的財産の保護には特許以外の方法もあります。費用を最小限にしたい場合は、次の選択肢も検討してください。

秘匿(営業秘密としての管理): 特許を取らず、技術情報を社内秘密として管理する方法です。特許庁に費用を払う必要はありませんが、第三者が独自に同じ技術を開発して特許を取得した場合に権利主張できなくなるリスクがあります。

実用新案登録: 特許より保護範囲が限定されますが、無審査で登録されるため早期に権利を取得できます。費用は特許より安く、出願料は1万4,000円で同じですが審査請求料が不要な分コストを抑えられます(ただし権利存続期間は出願から10年)。

旧減免制度との違い(2019年4月以前の申請案件に注意)

2019年4月以前に審査請求をした案件については「旧減免制度」が適用されています。旧制度と新制度の主な違いを整理します。

対象範囲の違い

旧制度では減免の対象が「スタートアップ(ベンチャー企業)」と「小規模企業」に限られていました。一般の中小企業法人(設立10年超で従業員が一定数以上の場合等)は対象外でした。

新制度(2019年4月以降)では、大企業でなければ原則としてすべての中小企業が1/2の軽減を受けられるようになり、対象が大幅に拡大されました。

申請手続きの違い

旧制度では「減免申請書」を別途提出する必要があり、対象区分を証明する書類(会社の登記事項証明書・財務資料等)の添付も必要でした。

新制度では、審査請求書または特許料納付書に特記事項を記載するだけで申請が完了し、減免申請書も証明書類も原則として不要になりました。

旧制度案件の注意点

2019年4月以前に審査請求をした案件は、現在も旧制度のルールが適用されます。たとえば、2017年に審査請求をした特許の特許料(年金)を今年納付する場合、減免を受けるには旧制度の手続きに従う必要があります。

具体的には、旧制度では「中小スタートアップ・小規模企業を対象とした軽減措置」のページ(https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/chusho_keigen.html)で確認できます。現行の審査請求案件(2019年4月以降)とは手続きが異なるため、案件ごとに適用される制度を確認してください。

複数の支援策を組み合わせた節約のシナリオ

シナリオA:設立7年目の小規模サービス業法人(従業員3人)が国内特許を取得するケース

この会社は「中小スタートアップ企業(設立後10年未満・資本金3億以下・大企業支配なし)」に該当し、さらに「小規模企業(従業員5人以下のサービス業)」にも該当します。どちらも1/3の軽減率が適用されます(複数区分に該当する場合の軽減率は同等になるケースが多いですが、詳細は特許庁の案内を確認してください)。

請求項数を5件として計算します。

通常の審査請求料: 138,000円 + 4,000円 × 5 = 158,000円

スタートアップ・小規模軽減後: 158,000円 × 1/3 = 52,660円(10円未満切捨て)

第4〜6年の特許料(3年分): (10,300円 + 800円 × 5) × 3 = 42,900円

スタートアップ・小規模軽減後: 42,900円 × 1/3 = 14,300円

自治体の知財補助金で弁理士費用の一部が補助されると仮定(補助率1/2、上限10万円として5万円の補助と想定)。

この会社のトータル節約額(特許庁手数料の減免+自治体補助)は相当な額になります。

シナリオB:開業4年目の個人事業主(フリーランスのエンジニア・従業員なし)が国内特許を取得するケース

この方は「中小スタートアップ企業(事業開始後10年未満の個人事業主)」かつ「小規模企業(製造業等で従業員20人以下)」に該当します。

請求項数3件で計算します。

通常の審査請求料: 150,000円

軽減後: 150,000円 × 1/3 = 50,000円(端数切捨て)

通常の第1〜3年特許料(3年分): 15,600円

軽減後: 15,600円 × 1/3 = 5,200円

審査請求料の軽減だけで100,000円の節約になります。

将来外国出願も検討している場合は、INPITの外国出願補助金も組み合わせて、補助率1/2・最大300万円の支援を受けることができます。

シナリオC:大学で研究し企業に就職前に個人出願したいと考えているケース

大学院生等、まだ収入が少ない場合、「個人(市町村民税非課税者)」区分に該当する可能性があります。前年の市町村民税が課されていない場合は、審査請求料と特許料の全額免除を受けられます。

ただし学生は課税されていない場合が多いものの、アルバイト等の収入がある場合は課税されることもあります。前年の市町村民税の課税証明書または非課税証明書で確認してください(この区分のみ証明書類の提出が必要になる場合があります)。

就職・独立を機に開業届を提出すれば、個人事業主として中小企業・スタートアップ区分に移行できます。

減免申請書の記載例(イメージ)

実際の申請書の様式は特許庁の公式ページから入手してください。ここでは記載内容のイメージを説明します。

出願審査請求書の【手数料に関する特記事項】欄

以下のような趣旨の文章を記載します(実際の書式・記載方法は特許庁の最新案内で確認してください)。

「本審査請求について、出願人は中小スタートアップ企業(事業開始後○年の個人事業主)に該当するため、特許法第195条の2の規定に基づき、審査請求料の軽減措置(軽減区分: 中小スタートアップ企業)を受けることを申請します。なお、軽減申請書の提出は省略します。」

ポイントは「軽減措置を受ける旨」「申請する減免区分」「申請書省略の旨」を明示することです。

特許料納付書の【特許料等に関する特記事項】欄

毎年の特許料納付時にも同様の記載が必要です。

「本特許料の納付について、特許権者は中小スタートアップ企業(事業開始後○年の個人事業主)に該当するため、特許法第195条の2の規定に基づき、特許料の軽減措置(軽減区分: 中小スタートアップ企業)を受けることを申請します。なお、軽減申請書の提出は省略します。」

スタートアップ区分の場合、事業開始から何年目かを毎回確認して記載することで、要件内であることを示します。

制度を使う前に知っておきたい特許の基礎

減免制度を活用する上で、特許制度の基本的な流れを把握しておくことが助けになります。

特許の出願から登録までの流れ

特許を取得するまでには次のような段階があります。

  1. 先行技術調査(出願前): 似た発明が既に存在しないか調べます。J-PlatPat(特許情報プラットフォーム、https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)で無料検索できます。
  1. 特許出願: 特許願・明細書・特許請求の範囲・図面等を準備して特許庁に提出します。出願日が確定し、以降この日を基準として権利期間が計算されます。
  1. 出願公開: 出願から1年6か月後に特許庁から公開されます。
  1. 審査請求: 出願から3年以内に審査請求をしないと、出願は取り下げとみなされます。審査請求のタイミングで減免申請をします。
  1. 審査: 特許庁の審査官が発明の新規性・進歩性等を審査します。期間は数か月〜数年と案件によって異なります。
  1. 拒絶理由通知への対応: 審査官から拒絶理由通知が来た場合、意見書・補正書を提出して対応します。
  1. 特許査定: 審査を通過すると特許査定が届きます。
  1. 特許料(第1〜3年分)の納付と登録: 特許査定から30日以内に第1年分から第3年分の特許料を納付すると特許登録されます。
  1. 以降毎年(または複数年まとめて)特許料を納付: 減免を受ける場合は毎回の納付書に特記事項を記載します。

審査請求のタイミングの考え方

審査請求料は高額ですが、出願から3年の猶予があります。この間に「本当に特許が必要か」「市場の反応はどうか」を見極めることができます。

事業化する見込みが高いと判断した段階で審査請求するという戦略が取れます。ただし競合他社に先に特許を取られるリスクもあるため、タイミングの判断は慎重に行ってください。

特許請求の範囲(クレーム)の数と費用の関係

審査請求料と特許料は「請求項の数」によって変わります。請求項数が多いほど保護範囲を広くできますが、費用も増加します。

効率的な権利保護のためには、請求項数を最低限に絞ることも費用節減の観点から重要です。ただし、クレームの設計は知財戦略の核心部分であるため、弁理士と相談しながら決めることをおすすめします。

INPIT知財総合支援窓口では、「何件の請求項を立てるか」という戦略的な観点も含めて無料相談できます。

よくある誤解・つまずきポイント

特許費用軽減に関して、実務の現場でよく見られる誤解やつまずきをまとめます。

誤解1:「出願料も安くなる」

特許出願の際に支払う出願料(14,000円)は減免制度の対象外です。審査請求料と特許料のみが対象です。出願料の節約は制度上できません。

誤解2:「意匠登録や商標登録の費用も安くなる」

意匠・商標の国内登録費用には、特許庁の減免制度は適用されません。これらの費用を節約するには、自治体の知財補助金またはINPIT外国出願補助金(外国出願の場合のみ)を活用することになります。

誤解3:「弁理士費用も減免される」

弁理士費用は特許庁に納付する手数料ではないため、減免制度の対象外です。この点を誤解したまま計画を立てると、予算が大幅にオーバーします。弁理士費用への補助は、自治体の知財補助金(国内出願の場合)またはINPIT外国出願補助金(外国出願の場合)で一部まかなえる可能性があります。

誤解4:「オンラインで申請できる」

審査請求書自体は電子出願システムで提出できますが、特許庁の手数料減免に関する手続きについては、電子出願システム上での正確な操作が必要であり、また一部の手続きは書面提出が求められる場合もあります。詳細は特許庁の最新の手続案内で確認するか、INPIT知財総合支援窓口に相談してください。「特許庁のオンラインシステムで簡単に申請できる」と思い込んで確認を怠ると、手続きが正しく完了しないリスクがあります。

誤解5:「後から申請できる」

審査請求書の提出後に「やはり減免を受けたい」と申し出ることは、原則として認められません。また、特許料の納付後に「減免申請を忘れた」と気づいても、既に支払った分の差額を返金してもらうことは原則できません。減免の申請は審査請求書または特許料納付書を提出するタイミングに合わせて、同時に行う必要があります。

誤解6:「毎年の特許料を一括で払えば楽」

特許料は複数年分をまとめて納付することが可能です(最大で10年分まとめて)。まとめて払うと手続きの手間が減りますが、注意点があります。まとめて支払った場合でも、スタートアップ区分の要件(事業開始10年未満)を超えた年の分については、翌年の納付時から中小企業区分(1/2)に変わります。要件が変わるタイミングで金額の計算をし直す必要があります。

誤解7:「減免を受けたことを特許に記録されるのが嫌」

減免を受けたことが特許の公報や第三者に分かる形で記録されることはありません。経営状況の開示にはならないため、競合他社や取引先が特許を調べても減免の事実は分かりません。

誤解8:「自分は絶対に中小企業に該当しない」

業種によって中小企業の定義は異なります。製造業では資本金3億円以下または従業員300人以下が基準ですが、小売業では資本金5,000万円以下または従業員50人以下です。自社の業種と規模を確認せずに「対象外だろう」と判断してしまうのは危険です。必ず特許庁の定義(https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/02_99.html)で確認してください。

INPIT知財総合支援窓口の活用法

INPITとは

INPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館)は、特許庁が所管する独立行政法人で、知的財産に関する情報提供・支援を行っています。全国47都道府県に「知財総合支援窓口」があり、無料で専門家による相談を受けられます。

何を相談できるか

知財総合支援窓口では、次のような相談が可能です。

特許・実用新案・意匠・商標の出願に関する基礎的な疑問

減免制度の適用区分の確認

自社が中小企業・スタートアップ・小規模企業のどれに該当するかの判断補助

自治体の知財補助金の情報案内

INPIT外国出願補助金の活用方法

知財戦略の立て方・権利化の優先順位

弁理士への依頼が必要かどうかの見極め

「そもそも特許を取る必要があるか」という段階から相談でき、弁理士・弁護士・中小企業診断士・ブランド専門家など、テーマに応じた専門家が対応します。

相談の流れ

  1. 最寄りの知財総合支援窓口を探す: https://chizai-portal.inpit.go.jp/ のポータルから都道府県を選んで検索します。
  2. 事前予約または当日相談: 窓口によって対応が異なりますが、電話や窓口での事前予約が可能な場合が多いです。
  3. 相談内容を整理して持参する: 発明の概要、事業形態(個人事業主か法人か)、設立・開業年、従業員数などを事前にまとめておくとスムーズです。
  4. 専門家に相談する: 無料で弁理士や専門家に相談できます。

窓口での相談は1回あたりおおむね1〜2時間です。複数回利用できますが、窓口の混雑状況によっては予約が必要になることもあります。

「加速的支援」とは

INPIT知財総合支援窓口では、単なる相談対応を超えた「加速的支援」という取り組みも行っています。これは、事業成長のために知財戦略を積極的に活用したい中小企業等に対し、専門家チームが継続的・体系的に支援するものです。複数の専門家(弁理士・弁護士・中小企業診断士等)が連携して、権利化から活用まで一貫したサポートを行います。

特許出願の減免制度の活用だけでなく、知財全体の戦略を考えたい場合には、この支援制度の利用も検討してみてください。

地方自治体の知財補助金(弁理士費用補助)との組み合わせ節約術

特許庁の減免制度は「特許庁への手数料」を安くするものですが、弁理士費用は別途発生します。弁理士に依頼した場合の国内特許の費用は、弁理士事務所によって異なりますが、出願から登録まで一通りで数十万円になることも珍しくありません。

この弁理士費用への補助として、各都道府県・市区町村が独自に設けている知財補助金を活用できる場合があります。

自治体補助の一般的な構造

自治体の知財補助金は、主に次のような仕組みになっています。

特許庁の減免制度(特許庁手数料の軽減)と自治体補助金(弁理士費用等の補助)は原則として併用できます。両方を活用することで、特許出願にかかるトータルコストを大幅に削減できます。

自治体補助の探し方

住所のある市区町村の公式ウェブサイトで「知財 補助金」「特許 助成金」「弁理士費用 補助」といったキーワードで検索するのが最も確実です。

都道府県の産業支援機関(各都道府県の中小企業支援センター等)のサイトも確認してください。

j-Net21(中小企業ビジネス支援サイト、https://j-net21.smrj.go.jp/)では全国の補助金・助成金情報を検索できます。「知的財産」で絞り込むと関連制度が見つかります。

「補助金ポータル」等の民間の補助金情報サービスを使う方法もありますが、掲載内容が古い場合があるため、必ず自治体の公式サイトで最新情報を確認してください。

自治体補助の申請上の注意点

自治体の補助金は多くの場合「予算枠に達した時点で受付終了」となります。年度初めに申請が集中するため、出願の計画が決まったら早めに自治体に確認することをおすすめします。

また「先に出願してから補助金申請」というパターンが多く、出願前の事前申請が必要なケースもあります。補助金の公募要領に「事前申請必須」と記載されている場合は、出願前に申請してください。出願後に遡って補助を申請できる制度もありますが、公募要領を必ず確認してください。

特許庁のスタートアップ支援策(IP BASE・知財メンタリング)

IP BASE(知財コミュニティポータルサイト)

特許庁はスタートアップや個人事業主向けの情報発信サイト「IP BASE」(https://ipbase.go.jp/)を運営しています。知財制度の基本的な解説から、実際の活用事例、弁理士探しのサポートなど、知財活動を始める際の情報が集まっています。

IP BASEでは、減免制度についてのわかりやすい解説記事も公開されており、「第23回: 特許料の減免制度」のページ(https://ipbase.go.jp/learn/keyword/page23.php)では費用計算のシミュレーション例も紹介されています。

知財メンタリング

特許庁は、スタートアップ向けに「知財メンタリング」の支援も行っています。これは、スタートアップが抱える知財課題に対し、経験豊富な知財の専門家がメンター(相談役)として継続的に支援するプログラムです(公募時期・内容は年度により変わります。最新情報は特許庁公式サイトで確認してください)。

申請チェックリスト

審査請求時

特許料(年金)納付時(毎年)

弁理士への依頼時

自治体補助金

INPIT外国出願補助金(外国出願の場合)

よくある質問(FAQ)

Q1. 出願料(14,000円)も安くなりますか?

なりません。出願料は減免制度の対象外です。審査請求料と特許料(第1〜10年分)のみが対象です。

Q2. 意匠や商標の出願費用も安くなりますか?

国内の意匠・商標の出願費用は減免制度の対象外です。外国での意匠・商標出願については、INPITの外国出願補助金(費用の1/2、最大300万円)が使えます。国内の費用については、自治体の知財補助金で弁理士費用等の一部を補助している場合があります。

Q3. 弁理士費用も減免の対象になりますか?

なりません。弁理士費用(代理人報酬)は特許庁への手数料とは別の費用であり、減免制度の対象外です。弁理士費用への補助は、自治体の知財補助金やINPIT外国出願補助金(外国出願の場合)を活用してください。

Q4. 個人(開業届なし)ですが、減免は受けられますか?

開業届のない個人(非事業主)は、中小企業・スタートアップ・小規模企業の各区分の対象外です。ただし「市町村民税が課されていない個人」等の要件を満たす場合は、「個人(非課税者等)」区分として審査請求料と特許料の全額免除が受けられます。所得が一定以上ある場合は対象外になります。開業届を提出して個人事業主になることで、中小企業・スタートアップ・小規模企業区分の対象になれます。

Q5. 申請書類は郵送で提出できますか?

特許庁への出願審査請求書(減免の特記事項を含む)は、電子出願(電子出願システム)または書面提出(持参または郵送)で提出できます。ただし電子出願のシステム上の操作手順は特許庁の案内を確認してください。

Q6. スタートアップ区分の「10年未満」はいつを起算日としますか?

法人の場合は設立年月日(登記日)を、個人事業主の場合は開業届を提出した日(税務署受理日)を起算日とします。審査請求をする日の時点で10年未満であれば対象になります。

Q7. 減免を受けたことが公報や第三者に分かりますか?

分かりません。特許公報や登録情報に減免の事実は記録されません。

Q8. 第11年以降も特許料の減免を受けられますか?

受けられません。減免制度の対象は第1年分から第10年分の特許料までです。第11年以降は通常料金となります。長期間特許を維持する計画の場合は、第11年以降の費用も事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。

Q9. PCT国際出願でも減免を受けられますか?

はい、受けられます。日本語でPCT国際出願をした場合、国際出願関係手数料(送付手数料・国際調査手数料・国際予備審査手数料)等の一部が軽減対象になります。2024年1月以降、国際出願手数料および取扱手数料も支援対象に追加されています。手続きの詳細は特許庁の専用ページを確認してください。

Q10. 特許登録後に法人成りした場合、以降の特許料は法人として減免を受けられますか?

名義変更(出願人名義変更届)を特許庁に提出して受理された後であれば、その後の特許料納付から法人名義として減免を申請できます。ただし名義変更が完了する前の段階では、旧名義(個人)での申請になります。法人成りのタイミングと審査請求・特許料納付のタイミングを事前に整理してから手続きを進めてください。

Q11. 共同出願で片方だけ減免要件を満たしている場合はどうなりますか?

減免を受けることができる者の持分割合に応じた金額のみが軽減されます。例えば、A(スタートアップ区分・持分50%)とB(対象外・持分50%)の共同出願の場合、審査請求料全体のうちAの持分50%に対応する部分のみが1/3に軽減されます。具体的な計算方法は特許庁の公式ページまたはINPIT知財総合支援窓口でご確認ください。

Q12. 特許料を複数年まとめて納付する場合でも減免を受けられますか?

受けられます。複数年分をまとめて納付する場合でも、特許料納付書の【特許料等に関する特記事項】欄に減免の旨を記載することで、各年の特許料に対して減免が適用されます。ただし、まとめて支払った期間の中で区分が変わる(例: スタートアップ区分から中小企業区分へ)場合は、適切な区分の変更が必要になりますので注意してください。

弁理士の選び方と費用交渉のポイント

特許出願を弁理士に依頼する場合、弁理士費用そのものは減免の対象外ですが、費用を合理的に抑えるためのポイントを知っておくことは実務上重要です。

弁理士の役割と専門性

弁理士は知的財産に関する専門家であり、特許・実用新案・意匠・商標の出願代理を行います。また、特許庁の審査結果への対応(拒絶理由通知への意見書作成等)や、特許の権利侵害に関する相談も弁理士の業務範囲です。

弁理士を選ぶ際は、自分の発明の技術分野(機械・電気・化学・ソフトウェア等)に専門性を持つ弁理士を選ぶことが重要です。技術分野のミスマッチがあると、明細書の品質に影響することがあります。

費用の見積もりを複数事務所から取る

弁理士会の報酬基準が廃止されて以来、各事務所が自由に費用を設定しています。同じ発明でも事務所によって費用が倍近く異なることがあります。複数の事務所に見積もりを依頼することは費用節約の有効な手段です。

見積もりを依頼する際には、発明の概要(簡単な説明で構いません)と希望する請求項数(分からない場合は相談の中で決める旨を伝えます)を準備しておくと、具体的な見積もりが得やすくなります。

「相談のみ」「書類チェックのみ」の依頼も可能

弁理士への依頼はすべてをお任せするフルサービスだけではありません。自分で明細書等の素案を作成した上で、弁理士に「チェックのみ」「修正のみ」「出願代理のみ」を依頼するという方法もあります。費用を抑えながら専門家の助けを借りることができます。

ただし、特許請求の範囲(クレーム)の質は権利の強さに直結するため、少なくともクレームの設計は弁理士に相談することをおすすめします。

弁理士費用が補助される自治体例

国内特許の弁理士費用を補助する自治体補助金の一例を挙げます(いずれも確認日時点の情報であり、年度・内容が変わる可能性があります。必ず各窓口で最新情報をご確認ください)。

東京都では、東京都知的財産総合センターを通じた助成制度があります。過去の制度では弁理士費用・出願費用を対象に助成しているケースがありました。最新の公募要項は https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/ で確認してください。

政令指定都市・中核市の多くでも、中小企業・個人事業主向けの知財補助金を設けています。住所地の市・区の産業振興課や商工会・商工会議所に問い合わせることで案内を受けられます。

商工会・商工会議所が独自に知財支援を行っている場合もあります。会員の場合は優遇されることがあるため、地元の商工会・商工会議所に確認してみてください。

特許庁の「手続料金計算システム」の使い方

特許庁は「手続料金計算システム」(https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/jidou-keisan/index.html)を公式に提供しています。これを使うと、請求項数と区分を入力するだけで、減免後の実際の支払額を自動計算できます。

計算システムの使い方

  1. 特許庁のサイトから「手続料金計算システム」にアクセスします。
  2. 計算したい手数料の種類(審査請求料・特許料等)を選択します。
  3. 請求項数を入力します。
  4. 減免区分(中小企業・スタートアップ・小規模企業・個人非課税者等)を選択します。
  5. 計算ボタンを押すと、減免後の金額が表示されます。

このシステムは特許庁が提供する公式ツールであるため、最新の料金(改定後)が反映されています。本記事の計算例は2022年4月改定後の料金を基に行っていますが、今後の料金改定に対応するためにも、実際の申請前にこのシステムで確認することをおすすめします。

知財総合支援窓口での相談事例(一般的な例)

INPIT知財総合支援窓口では、実際にどのような相談が行われているのかを、一般的な相談の流れとして紹介します(特定の個人・法人の事例ではなく、よくある相談のパターンを一般化したものです)。

相談例1:「自分の発明が特許になるか確認したい」

個人事業主のAさんは、自分で開発した工具の改良品について特許を取れるか確認したいと思っていました。

知財総合支援窓口に相談すると、担当者がJ-PlatPat(先行技術データベース)で類似技術の調査を一緒に行ってくれました。その結果、既に類似の特許があることが分かり、出願する場合は差別化点(請求項の書き方)を工夫する必要があることが判明しました。

無料相談の中で弁理士との面談も設けてもらい、どの点を特許請求の範囲に含めればよいかについて助言を受けました。Aさんは最終的に弁理士に依頼して出願し、審査請求時にスタートアップ区分の減免を適用しました。

相談例2:「意匠登録を考えているが補助金があるか知りたい」

個人事業主のBさんは、自分でデザインした製品の外観を意匠登録したいと考えていました。特許料等の減免制度が意匠に適用されないことを知らなかったため、窓口に相談しました。

担当者から「意匠登録の出願費用は特許庁の減免制度では対象外ですが、住所地の自治体の知財補助金で弁理士費用等の補助が受けられる可能性がある」と説明を受けました。また外国でも意匠保護を考えているなら、INPITの外国出願補助金(特許・意匠・商標を対象)が使えることも案内されました。

相談例3:「商標を取りたいが費用を抑えたい」

フリーランスのCさんは、自分のブランド名を商標登録したいと考えていました。窓口に相談すると、商標登録は特許庁の減免制度の対象外であること、海外展開を考えているのであればINPITの外国出願補助金が使えること、国内の商標費用については自治体補助金を探すことを案内されました。

Cさんは自治体の補助金の存在を知らなかったため、窓口スタッフの案内で地元市の知財補助金(弁理士費用の1/2・上限5万円)を見つけ、申請することができました。

これらの例はあくまで一般的な相談パターンのイメージです。実際の相談内容・結果は個人の状況によって異なります。

減免制度に関するQ&A(追加)

Q13. 特許を複数件持っている場合、すべての件に減免を申請できますか?

はい、要件を満たしていれば複数の特許案件それぞれについて減免を申請できます。各案件の審査請求書・特許料納付書に、それぞれ特記事項を記載してください。

Q14. 実用新案登録でも減免を受けられますか?

はい、実用新案についても減免制度があります。実用新案の場合は「技術評価請求料」と「実用新案登録料」が軽減の対象になります(特許の「審査請求料」と「特許料」に対応する費用です)。詳細は特許庁の実用新案関連ページをご確認ください。

Q15. 特許を大学の研究者(個人)が持っている場合、減免を受けられますか?

大学の教職員が個人として特許を持っている場合、その方が「個人(非課税者)」区分または「個人事業主」のいずれかに該当するかどうかで判断されます。教職員が副業として個人事業を行い開業届を提出している場合は、個人事業主として中小企業・スタートアップ区分の対象になる可能性があります。大学が出願人となっている場合は大学自体の区分で判断されます。詳細は特許庁またはINPIT知財総合支援窓口に相談してください。

Q16. 外国籍の個人または外国法人でも減免を受けられますか?

外国籍の個人や外国法人が日本の特許庁に出願する場合も、中小企業の定義(業種別・従業員数または資本金)を満たし、かつ日本の特許法の適用を受ける場合には減免の対象となりうると考えられます。ただし、外国法人・外国籍の個人の場合は別途手続上の要件が生じることもあります。特許庁またはINPIT知財総合支援窓口にご確認ください。

Q17. 減免申請に虚偽の申告をするとどうなりますか?

特許法は虚偽の申告により不正に減免を受けた場合の規定を定めており、軽減・免除された額の返還が求められます。また場合によっては刑事罰の適用もあり得ます。自分の区分に自信がない場合は、INPIT知財総合支援窓口で事前に確認してから申請することをおすすめします。

Q18. 特許査定後に区分が変わった(スタートアップ→中小企業)場合はどうすればよいですか?

審査請求後・特許登録後に事業開始から10年を超えてスタートアップ区分の要件から外れた場合、次の特許料の納付時から中小企業区分(1/2)に変更して申請してください。特許料納付書に記載する区分を「中小スタートアップ」から「中小企業」に変更します。適用する区分が変わると支払額も変わりますので、納付額を間違えないよう注意してください。

Q19. 特許を取得したあと、権利をライセンスしたり売却したりすることはできますか?

はい、できます。特許権は財産権であり、ライセンス(実施許諾)や譲渡が可能です。ライセンスすることでロイヤリティ収入を得たり、事業化が難しい場合に他社に権利を売却したりすることができます。特許の活用戦略については、INPIT知財総合支援窓口のブランド・知財専門家に相談することも可能です。

Q20. 特許の更新を途中でやめることはできますか?また、やめた場合の手続きはどうなりますか?

特許料の納付をしなければ、その時点で特許権は消滅します(自然失効)。積極的に放棄する場合は特許権の放棄手続きを行います。途中で維持をやめる(費用対効果が見合わなくなった場合など)は珍しくなく、維持コストが高くなる第10年以降を前に判断するケースもあります。維持・放棄の判断については、事業状況と権利の価値を定期的に見直すことをおすすめします。

出典一覧

  1. 特許庁「特許料等の減免制度」

https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmensochi.html

確認日: 2026年6月27日

  1. 特許庁「2019年4月1日以降に審査請求をした案件の減免制度(新減免制度)について」

https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/index.html

確認日: 2026年6月27日

  1. 特許庁「中小企業(会社)を対象とした減免措置について(2019年4月1日以降に審査請求をした場合)」

https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/02_01.html

確認日: 2026年6月27日

  1. 特許庁「中小スタートアップ企業(法人・個人事業主)を対象とした減免措置について(2019年4月1日以降に審査請求をした場合)」

https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/02_04.html

確認日: 2026年6月27日

  1. 特許庁「小規模企業(法人・個人事業主)を対象とした減免措置について(2019年4月1日以降に審査請求をした場合)」

https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/02_05.html

確認日: 2026年6月27日

  1. 特許庁「個人(市町村民税非課税者等)を対象とした減免措置について(2019年4月1日以降に審査請求をした場合)」

https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/02_08.html

確認日: 2026年6月27日

  1. 特許庁「特許料等の減免措置における中小企業(会社・個人事業主・組合・NPO法人)の定義について」

https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/02_99.html

確認日: 2026年6月27日

  1. 特許庁「産業財産権関係料金一覧」

https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/hyou.html

確認日: 2026年6月27日(2022年4月1日改定後の現行料金)

  1. 特許庁「国際出願関係手数料に係る軽減・支援措置の申請手続(2024年1月適用開始)」

https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/pct_keigen_shinsei_202401.html

確認日: 2026年6月27日

  1. INPIT「INPIT外国出願補助金」(令和8年度)

https://www.inpit.go.jp/shien/gaikoku/index.html

確認日: 2026年6月27日

  1. INPIT「INPIT知財総合支援窓口」

https://chizai-portal.inpit.go.jp/

確認日: 2026年6月27日

  1. 特許庁「IP BASE スタートアップの知財コミュニティポータルサイト」

https://ipbase.go.jp/

確認日: 2026年6月27日

  1. 特許庁「スタートアップ向け情報」

https://www.jpo.go.jp/support/startup/index.html

確認日: 2026年6月27日

  1. 東京都知的財産総合センター「助成金」

https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/

確認日: 2026年6月27日(内容・金額は年度により変更あり。申請前に公式サイトで最新情報をご確認ください)

  1. 中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」

https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

確認日: 2026年6月27日

免責事項

本記事は、特許料等の減免制度に関する情報提供を目的として作成しています。記事内の情報は2026年6月27日時点の公開情報に基づいています。制度の内容・金額・要件は法改正・特許庁の方針変更等により変更されることがあります。申請前に必ず特許庁の公式サイト(https://www.jpo.go.jp/)で最新情報をご確認ください。

本記事は、特定の個人・法人への申請代行、書類作成代行、個別の特許戦略の助言を行うものではありません。また、本記事の内容は一般的な情報提供であり、個別の法的助言に代わるものではありません。特許出願や費用軽減に関する具体的な手続きについては、弁理士またはINPIT知財総合支援窓口(https://chizai-portal.inpit.go.jp/)にご相談ください。