病児・病後児保育とファミリーサポートの利用助成 — 共働き家庭が使える4つの仕組みと申請の実務
本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・受付期間はいずれも変更されることがあるため、申請前に必ず各自治体や各施設の公式サイト、または窓口で最新情報をご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の申請代行や書類作成の代行は行いません。
この記事が整理すること
共働き家庭で子育てをしていると、最も困る日のひとつが「子どもが朝から熱を出した」という状況です。職場への連絡、上司への相談、パートナーとの役割分担の調整——それだけでもう気力が削られます。そこに「病児保育の施設を探す」「ファミリーサポートセンターに連絡する」という実務が重なると、どこから手をつければいいかわからなくなることがあります。
この記事では、子どもが病気になったときに共働き家庭が活用できる「病児保育」と「ファミリーサポートセンター(ファミサポ)」の2つの仕組みを整理します。それぞれの定義・種類・利用料の相場・受け入れ基準・事前登録の流れを説明したうえで、自治体が設けている利用料の助成制度についても具体的に紹介します。
この記事が答える問いは、以下の通りです。
- 病児保育と病後児保育は何が違うのか、施設型にはどんな種類があるのか
- 施設型と訪問型の違い、どちらを選ぶ基準は何か
- 利用料はどのくらいかかるのか、低所得世帯への減免はあるのか
- 事前登録・かかりつけ医の受診・予約という3ステップの実際の流れ
- 「保育の必要性認定(新2号・新3号)」を取得すると利用料が無償化対象になるとはどういうことか
- ファミリーサポートセンターとは何か、依頼会員・提供会員・アドバイザーの役割は何か
- ファミサポの利用料相場、登録説明会の意味、予約が取りにくい背景と対策
- 病児保育とファミサポを組み合わせる実践的な段取り
- 自治体が設けている助成制度の探し方と複数の自治体の具体例
対象読者は、就学前の子どもを持つ共働き家庭の保護者です。子育て支援の専門家でなくても動けるよう、手順・金額・窓口まで具体的に書きます。
制度の全体像
子どもが病気になったときに共働き家庭が利用できる社会的なサポートは、大きく2つの柱に分かれます。
1つ目は「病児保育事業」です。これはこども家庭庁(旧・厚生労働省)が実施要綱を定めた事業で、市区町村が窓口となって運営されています。施設に預けるタイプ(施設型)と自宅に保育者が来るタイプ(訪問型)があり、自治体によって実施する種類や施設数が異なります。
2つ目は「ファミリー・サポート・センター事業」です。これも市区町村が実施主体で、子育ての援助を受けたい「依頼会員」と、援助を行う「提供会員」をマッチングする会員制の相互援助組織です。病児・病後児の預かりに対応しているセンターもあります。
これらの利用料は自治体の独自助成によって一部または全部が補助される場合があります。また、保育の必要性認定(新2号・新3号)を取得していると、幼児教育・保育の無償化の対象として月額上限の範囲で費用が戻る仕組みもあります。
以下に制度の全体像を整理します。
| 制度名 | 種類 | 運営主体 | 利用料の目安 | 助成 |
|---|---|---|---|---|
| 病児保育(病児対応型) | 施設型 | 市区町村委託の医療機関・保育施設 | 1日2,000〜2,500円程度 | 自治体減免あり/無償化対象 |
| 病児保育(病後児対応型) | 施設型 | 市区町村委託の医療機関・保育施設 | 1日2,000〜2,500円程度 | 同上 |
| 病児保育(体調不良児対応型) | 保育所内対応 | 保育所・認定こども園 | 別料金不要なことが多い | — |
| 病児保育(訪問型) | 居宅訪問 | 市区町村委託の事業者 | 自治体助成後の実費 | 自治体訪問型助成あり |
| ファミリーサポートセンター | 会員制相互援助 | 市区町村(労働協会等に委託) | 1時間500〜1,000円程度 | 自治体減免あり/無償化対象 |
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共働き家庭で最もリアルな状況として、「朝起きたら子どもが高熱を出していた」という場面を取り上げます。ここでは横浜市在住・会社員夫婦(子ども2歳)という設定で、施設型病児保育を当日利用するまでの手順・かかる費用・窓口を、途中の計算も含めて最後まで見せます。
あくまでも制度の理解を深めるための一例であり、実際の手続きや費用は施設・自治体・個人の状況によって変わります。
前提となる事前準備(熱が出る前に済ませておくこと)
病児保育を当日に利用するには、事前の施設登録が必ず必要です。「熱が出てから施設を探す」では遅く、多くの施設は未登録者を受け付けていません。
横浜市では、住まいの区の保健センターまたは各病児保育室に直接「利用登録票(第3号様式)」を提出して事前登録を済ませておきます。登録票には子どもの基本情報・既往歴・アレルギー・日常の様子・緊急時の連絡先などを記載します。
事前登録に必要なもの:
- 利用登録票(各施設から入手または横浜市公式サイトからダウンロード)
- 健康保険証(子どもの分)
- 母子健康手帳(持参を求める施設が多い)
登録は無料です。登録後は「利用登録証」が発行され、次回以降の予約時に提示します。
この事前登録を子どもの体が元気なうちに済ませておくことが、急な発熱時に慌てないための最大のポイントです。
当日(熱が出た朝)の流れ
ステップ1:かかりつけ医に受診する
施設型病児保育の多くは、当日の利用前にかかりつけ医(または病院に附属する病児保育室であれば院内の医師)に受診して「診療情報提供書」「医師連絡票」と呼ばれる書類を作成してもらうことが必要です。
横浜市の場合、このことを「利用連絡書」と呼んでいます。かかりつけ医のクリニックで「病児保育施設を利用したい」と告げると、書類を作成してもらえます(文書料がかかる場合があります。目安として500〜1,000円程度。施設により異なります)。
受診で確認されること:
- 現在の症状・体温
- 今日の状態として病児保育室への登園が医学的に可能かどうか
- 投薬が必要な場合は服薬指示書
受診の目安時間帯は、多くのクリニックが午前9時〜11時に予約を取っています。当日に病児保育の予約が取れたことを先に確認してから受診する施設もあれば、受診後に空き状況を確認する施設もあります。あらかじめ施設に確認しておくと当日がスムーズです。
ステップ2:病児保育室に予約・空き確認をする
横浜市では「病児保育システム テオテ」というウェブ予約システムを導入している施設が増えています。スマートフォンからでも空き状況を確認でき、オンラインで予約できます(施設によって電話のみの場合もあります)。
一般的な受付開始時間:前日の18時〜19時ごろ(施設により異なる)または当日の朝7時〜8時ごろ
予約が取れた場合は、施設から預け入れ時間・持ち物の案内が届きます。
予約が取れなかった場合(第3章で詳述しますが、施設の枠は少ないため満員になるケースがあります)は、別の病児保育室を探すか、ファミサポや民間ベビーシッターへの切り替えを検討することになります。
ステップ3:施設に子どもを預ける
預け入れの際に持参するものの例(横浜市内の施設の場合):
- 利用登録証
- 医師が作成した利用連絡書(診療情報提供書)
- 健康保険証・医療証
- 着替え(2〜3セット)
- おむつ(在庫がない場合は多めに)
- 飲み物・補食(施設で用意している場合は不要)
- 服薬が必要な場合は薬と服薬指示書
預け入れ時間帯は多くの施設が8時または8時30分から。迎えは17時または18時まで(施設による)です。
費用の計算
このケースで1日にかかる費用の目安を計算します。
施設型病児保育の利用料(横浜市):1日2,000円
ただし、横浜市では以下の世帯は利用料が全額免除になります:
- 生活保護受給世帯
- 市民税非課税世帯
- ひとり親家庭等福祉医療証交付世帯
このケースでは会社員夫婦という設定ですので、課税世帯とします。
かかりつけ医の受診料:初診の場合 約1,000〜3,000円程度(保険適用)
医療機関での文書料(診療情報提供書作成料):施設によって0〜1,000円程度
1日の合計目安:2,000円(病児保育料)+ 受診料 + 文書料
受診料や文書料は医療機関・保険の種類・子どもの年齢によって異なるため、ここでは「病児保育室の利用料だけなら2,000円」と押さえておくのが現実的です。
「保育の必要性認定」を持っていると費用が戻る可能性がある
前述の2,000円は、実は「保育の必要性認定(新2号または新3号認定)」を持っている場合、幼児教育・保育の無償化の対象として一定額が償還払いで戻ります。
3歳〜5歳の子を持つ新2号認定を受けた保護者は、月額37,000円を上限として、認可外保育施設・病児保育・ファミサポなどの利用料について後から給付を受けられます。
2歳以下の子どもで住民税非課税世帯(新3号認定)であれば、月額42,000円を上限として同様の給付があります。
例:3歳の子どもで新2号認定を受けていて、その月に病児保育を4日利用した場合
- 利用料:2,000円 × 4日 = 8,000円
- 月額上限37,000円の範囲内なので、8,000円分が後から自治体から支給されます
「後から戻ってくる」という仕組みのため、いったん2,000円を支払い、翌月以降に申請・償還を受けるという流れになります。認定を受けていない場合は対象外です。
認定を受けるには居住する市区町村の担当窓口(子育て支援課・保育担当課等)に申請します。申請に必要な書類は「保育の必要性を証明する書類」で、就労証明書・育児休業証明書・疾病診断書などが該当します。
窓口まとめ(横浜市のケース)
| 手続き | 窓口 | 連絡先の探し方 |
|---|---|---|
| 事前登録 | 利用予定の病児保育室(施設ごとに登録) | 横浜市子育てサポートシステムで施設検索 |
| 空き予約 | 各施設(電話またはテオテシステム) | 施設リストは横浜市子育て支援のページで確認 |
| 保育の必要性認定 | 区の保育担当窓口 | 横浜市公式サイト「幼児教育・保育の無償化」 |
| 費用の減免(非課税世帯等) | 利用当日に施設の窓口で証明書提示 | 市民税非課税証明書・ひとり親福祉医療証等 |
ここから先は、申請に直結する実務です。
第1章 病児保育の4種類と選び方の基準
1-1 病児対応型:発熱中でも預けられる施設型の基本
病児対応型は、子どもが病気の急性期(熱が高くてつらい状態)であっても、病状が急変するほどの重症でない場合に、病院や保育所に付設された専用室で保育を行う型です。
厚生労働省の実施要綱では、「地域の病児・病後児について、病院・保育所等に付設された専用スペース(病児保育室)において、看護師等が一時的に保育等を実施する」と定義されています。
人員配置の基準は、保育する子ども10人につき看護師1人以上、子ども3人につき保育士1人以上です。つまり少人数で手厚く見るための体制が義務付けられています。
預かる子どもの状態の目安:
- 急変の可能性が少ない病気(風邪・胃腸炎・突発性発疹の回復期・中耳炎など)
- 体温はある程度高くても(38度台でも受け入れる施設が多い)、医師の判断で問題ないとされた場合
受け入れの判断は最終的に施設の看護師または医師が行います。「医師連絡票(診療情報提供書)」に書かれた内容が受け入れ可否の大きな根拠になります。
病児対応型の施設数は全国的に少なく、都市部では1区・1市に数施設のみという地域が多いです。このため枠が埋まりやすく、前日夕方〜当日朝の予約開始直後に満員になるケースがあります。
1-2 病後児対応型:回復期の安心して預けられる場所
病後児対応型は、子どもの病気が快方に向かい、急性期を脱した「回復期」に保育を行う型です。例えば「昨日まで39度あったが、今日は37度台に下がった。でも保育所の登園基準(体温が37.5度未満で安定、など)はまだ満たさない」という状態の子どもが対象になります。
病児対応型との違いは預ける子どもの状態の基準です。病後児対応型は「熱が下がっている・症状が落ち着いている状態」を前提にしているため、急変リスクが低く、より安定した状態での利用が想定されています。
人員配置基準は病児対応型と同じです(看護師1人:子ども10人、保育士1人:子ども3人)。
施設としては、病院附属の小児科に設置されるケース、保育所に設置されるケースがあります。料金は病児対応型と同程度(1日2,000〜2,500円程度)が多いですが、施設によって異なります。
1-3 体調不良児対応型:在園中に体調が悪くなったとき
体調不良児対応型は、通常の保育所・認定こども園に通園している子どもが保育中に体調が悪くなったとき、保護者が迎えに来るまでの間(または安定するまで)、保育所内の医務室などの専用スペースで看護師が対応する型です。
この型の特徴は「施設を別途予約して利用するものではない」点です。あくまで通いなれた保育所の中で、保育士や看護師がサポートしながら子どもをケアします。別途の利用料が発生しないことが多いですが、保育所によって扱いが異なります。
利用者が「意図的に選ぶ」制度ではなく、在籍している保育施設が体調不良児対応型の指定を受けていると、自動的に恩恵を受けられる仕組みです。
看護師が1人以上常駐している点が法定要件で、体調不良の子ども1人に対して看護師または保育士が個別に対応します。全員が保育室に戻ったあと(体調不良の子どもがいなくなったあと)も、看護師は常駐している必要があります。
1-4 訪問型(非施設型居宅訪問型):自宅に保育者が来る
訪問型は、資格を持った保育士や看護師が保護者の自宅を訪問し、病気の子どもを在宅でケアする型です。
施設型と比較したときのメリット:
- 病気の子どもを外に連れ出さなくて済む(感染拡大リスクが低い)
- 子どもにとって慣れた環境(自宅)で過ごせる
- 当日予約に対応しやすいサービスが多い(民間事業者が中心)
- 兄弟姉妹が複数いる場合は1人のシッターで複数の子どもをケアできることもある
訪問型のデメリット:
- 施設型と比べて費用が高くなりやすい(マンツーマン対応のため)
- 自治体の補助がない場合、民間サービスのみでは1日数千〜1万円以上かかる場合がある
自治体が実施する訪問型病児保育事業に登録された事業者が行う場合は、施設型と同様に「保育の必要性認定」による無償化の対象となります。また、多くの自治体が訪問型利用料の助成を独自に設けています(第5章で詳述)。
民間のベビーシッターサービス(フローレンスの病児保育・キッズライン等)は、自治体の認定事業者である場合と、純粋な民間サービスである場合があります。自治体の助成対象かどうかは、各サービスの契約前に確認する必要があります。
第2章 施設型病児保育の利用の流れ(詳細版)
2-1 事前登録:「平時に」動くのが鉄則
施設型病児保育を利用するには、施設ごとに事前登録が必要です。多くの施設は「未登録の子どもの当日受け入れ」を行っていません。「熱が出てから登録に行こう」では手遅れになります。
登録に行くタイミングの目安:
- 子どもが保育所に入園した月内に近くの病児保育室に登録しておく
- 入院・保育所入所を機に手続きを進める
- 引越し後は新しい住まいの近くの施設に再登録が必要(施設ごとの登録のため)
登録できる場所:利用したい各施設に直接問い合わせて、登録票を入手・提出します。市区町村によっては複数の病児保育室を一括登録できる仕組みがある場合もあります。
登録に必要なもの(施設により多少異なります):
- 「利用登録票」(施設でもらう、または自治体サイトからダウンロード)
- 子どもの健康保険証
- 母子健康手帳
- 保護者の身分証明書
- 予防接種の記録(任意だが持参を求める施設が多い)
費用:無料
登録後に施設から渡されるもの:
- 利用登録証(番号が振られた証書またはカード)
- 利用マニュアル・持ち物リスト
- 予約システムの案内(ウェブ予約の場合はIDとパスワードの案内)
複数の施設に事前登録しておくことを強くお勧めします。1施設のみだと、その施設が満員・休室のとき(感染症流行時期は特に埋まりやすい)に詰まってしまうからです。自宅から通いやすい施設を2〜3か所登録しておくと、当日の代替手段が増えます。
2-2 かかりつけ医の受診:「診療情報提供書」の手順
施設型病児保育に子どもを預けるためには、利用当日(または前日)にかかりつけ医を受診して「診療情報提供書」または「医師連絡票」と呼ばれる書類を用意してもらう必要があります。この書類がないと多くの施設で入室できません。
施設によって書類の呼び名が異なります:
- 「診療情報提供書」
- 「医師連絡票」
- 「かかりつけ医の意見書」
- 「利用連絡書」(横浜市)
- 「病児保育連絡票」
自治体や施設ごとに専用の書式があるため、事前登録のときに「受診時に書いてもらう書類の書式はどちらですか?」と確認しておくとスムーズです。かかりつけ医のクリニックにも「病児保育施設に行くので診療情報提供書が必要」と伝えれば、多くの場合は対応してもらえます。
書類に記載される一般的な内容:
- 子どもの氏名・年齢・診断名または症状
- 体温・投薬内容
- 病児保育施設での保育が可能という医師の判断
- 注意事項(水分補給の方法・食事の可否・安静の程度等)
- 受診した日時・医師の署名
文書料について:診療情報提供書の作成料は施設の方針によって異なります。「かかりつけの受診に含まれる」として別途料金を取らないクリニックもあれば、文書作成料として500〜1,000円程度を請求するところもあります。事前に確認しておくと当日慌てません。
病院に附属する病児保育室(例:○○こどもクリニック 病児保育室)の場合は、院内で受診してそのまま病児保育室に預けることができるため、別のクリニックに行く必要がなくスムーズです。
2-3 当日の予約取得とキャンセル
病児保育の予約は、施設によって前日から当日朝にかけて受け付けます。
予約の仕組み(一般的なパターン):
- 前日の17時〜19時ごろに翌日分の予約受付が開始(施設によって異なる)
- 電話またはウェブシステム(テオテ・病児保育システム等)で予約
- 受付開始直後に満員になるケースがあるため、開始時刻に合わせて動く必要がある
当日朝に受診してから予約する場合:かかりつけ医への受診後に施設に連絡し空き確認をします。受診結果をもとに「今日から利用できますか?」と問い合わせる形になります。
キャンセルポリシー:施設によってキャンセル料の有無が異なります。前日キャンセルは不要・当日キャンセルは1,000円程度というケースもあります。利用登録のときに確認しておきましょう。
2-4 受け入れられる疾患と受け入れ不可の疾患
施設型病児保育が「受け入れ可能」とされる疾患の例:
- 風邪(上気道炎)・発熱(急変の危険性が少ない状態)
- インフルエンザ(発症から一定期間が経過し、施設の基準を満たした場合)
- 胃腸炎(嘔吐・下痢が著しい急性期は除く)
- 中耳炎
- 突発性発疹
- 扁桃炎(急変リスクの少ない状態)
一般的に受け入れ不可とされる疾患の例:
- 麻しん(はしか)——感染力が非常に強く、空気感染するため
- 水痘(みずぼうそう)——水泡がすべて痂皮化(かさぶた化)するまでは登園・登所不可
- 流行性角結膜炎(はやり目)——接触感染が強い
- 百日咳——感染力が強く、長期の感染期間
- 腸管出血性大腸菌感染症(O157等)——重症化リスクと感染性
- 結核——通知が必要な感染症
- 新型コロナウイルス感染症(陽性期間中)——施設によって判断が異なるが、陽性者は一般的に利用不可
これらはあくまで一般的な目安であり、実際の受け入れ可否は施設の方針・担当医師の判断・その施設の設備・当日の子どもの状態によって決まります。「この病気なら絶対大丈夫」という判断は保護者にはできません。受診した医師と病児保育室に相談して決めてください。
2-5 当日の持ち物チェックリスト
以下は一般的な持ち物ですが、施設により異なります。事前登録時に各施設の指示を確認してください。
必ず持っていくもの:
- 利用登録証(番号が書かれたカード・書類)
- 診療情報提供書(当日受診した医師に記載してもらったもの)
- 健康保険証・子ども医療費受給者証(医療証)
着替え・消耗品:
- 着替え2〜3セット(吐き戻し・汗・おむつ漏れなどへの備え)
- おむつ(枚数多めに)
- おしりふき
食事・水分:
- 水分補給用の飲み物(水・麦茶・イオン飲料等、子どもが飲めるもの)
- 補食・軽食(施設で昼食を提供していない場合は昼食持参)
投薬が必要な場合:
- 処方薬(医師が指定した薬)
- 服薬指示書(医師に作成してもらう書類。薬の種類・量・時間を記載)
- 薬の袋(記名必須)
第3章 施設型病児保育の利用料と低所得世帯の減免
3-1 施設型の利用料相場
施設型病児保育の利用料は、市区町村が上限を定めているケースが多く、1日あたり2,000〜2,500円程度が一般的な相場です。
いくつかの実例を挙げます(いずれも2026年6月27日確認時点。要確認):
横浜市:1日2,000円(生活保護・非課税・ひとり親医療証世帯は無料)
東京都北区:1日2,000円(昼食代が別途500円)
堺市:1日2,500円(所得により減免あり)
仙台市:1日2,000円
これ以外に、昼食・おやつ代として別途200〜500円程度かかる施設もあります。また、利用時間が半日(午前のみ・午後のみ)の場合は半額になる施設もあります。
自治体によっては時間制(1時間いくら)で課金する施設もあるため、利用前に必ず料金体系を確認してください。
3-2 低所得世帯・特定世帯への減免制度
多くの自治体では、以下の世帯に対して病児保育の利用料を減額または免除しています。
対象になりやすい世帯(自治体により異なります):
- 生活保護受給世帯:全額免除が多い
- 住民税非課税世帯:全額免除または半額減免が多い
- ひとり親家庭等福祉医療証交付世帯:全額免除または半額減免が多い
- 生計が困難であることを証明できる世帯(収入基準あり)
横浜市の場合(2026年6月27日確認):
生活保護受給世帯・市民税非課税世帯・ひとり親家庭等福祉医療証交付世帯は全額免除(1日2,000円が0円)。当日施設の窓口で非課税証明書または福祉医療証を提示することで適用されます。
自分の世帯が対象かどうか確認する手順:
- 住まいの市区町村の子育て支援・保育担当課のウェブページで「病児保育 減免」と検索する
- 該当するページが見つからない場合は、電話で「病児保育の利用料減免の制度はありますか?」と直接確認する
- 対象と判断できる場合は、必要な証明書(非課税証明書・福祉医療証等)を事前に準備しておく
3-3 保育の必要性認定(新2号・新3号)と無償化の仕組み
幼児教育・保育の無償化制度の中に「施設等利用給付」という仕組みがあり、認可保育施設に通っていない子どもや、認可施設に通いながら追加で病児保育を使った場合にも一定の給付が受けられます。
対象となる認定の種類:
新2号認定(3歳〜5歳)
- 満3歳〜5歳の子どもで、「保育の必要性」があり、認可保育所・幼稚園・認定こども園等を利用している家庭
- 月額上限37,000円まで、認可外保育施設・病児保育・ファミサポ等の利用料が給付対象
新3号認定(0歳〜2歳)
- 満0歳〜2歳の子どもで、「保育の必要性」があり、かつ住民税非課税世帯
- 月額上限42,000円まで、認可外保育施設・病児保育・ファミサポ等の利用料が給付対象
「保育の必要性」とは、以下のような状況が該当します(代表的なもの):
- 父母が就労している(月48時間以上の就労が目安)
- 父母のいずれかが育児休業中
- 父母のいずれかが疾病または障害の状態にある
- 求職活動中(認定期間に上限がある場合が多い)
申請手続きの流れ:
- 居住する市区町村の子育て支援・保育担当課に「施設等利用給付認定(新2号または新3号)申請書」を提出
- 就労証明書・母子健康手帳等の必要書類を添付(窓口または郵送で提出)
- 認定が下りると「施設等利用給付認定通知書」が交付される
- 病児保育等を利用した月の翌月以降に「施設等利用費支給申請書」を提出して給付を受ける
給付の受け方(多くの自治体は「償還払い」方式):
- 先に利用料を施設に支払い、後から市区町村に申請して給付を受ける形が一般的です
- 一部の自治体では「公費直接支払」の仕組みで最初から料金が減額される場合もあります
注意点:病児保育の利用料は1回につき数千円ですが、月額上限の範囲内なら何度利用しても給付の対象になります。ただし月をまたいだ繰り越しはできません(その月の上限が余っても翌月には持ち越せない)。
認定を受けていない方が同じ月に病児保育を使った場合は、無償化の給付はありません。就学前の子どもがいる共働き家庭であれば、保育所への入園時または入園後なるべく早い時期に確認することをお勧めします。
第4章 ファミリー・サポート・センターの仕組みと活用法
4-1 ファミリーサポートセンターとは何か
ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)は、子育ての援助を受けたい「依頼会員」と、援助を行う「提供会員」が地域の中でつながる、会員制の相互援助活動です。市区町村が実施主体となり、一般財団法人女性労働協会などに委託して運営されています。
法的な根拠は「子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)」で、国(こども家庭庁)が財政支援を行いながら、実施は市区町村に任されています。
3つの会員の役割:
依頼会員
子育てのサポートを必要とする側の会員です。保育所への送迎をお願いしたい、急な残業で迎えに行けない、子どもが病気で誰かに頼みたい、といったニーズを持つ保護者が登録します。0歳〜小学校6年生(または0歳〜12歳)の子どもを持つ保護者が対象で、子どもが小学生になってもファミサポを利用できます(実施する自治体による)。
提供会員
地域の中で子育てを助けたい側の会員です。子育て経験のある方、保育士・看護師・保健師などの有資格者、育児休業中のお父さんお母さんなど、さまざまな背景の方が登録しています。センターが定める「提供会員養成講習」を受講してから活動を始めます。講習では子どもの病気への対処、食事の準備、緊急時の連絡先確認などが学べます。
アドバイザー
センターに常駐するスタッフで、依頼会員と提供会員のマッチングと連絡調整を担います。活動内容に関するトラブルの仲介や、提供会員へのサポートも行います。依頼会員が「○月○日の朝8時に保育所まで送ってほしい」と連絡してきたら、アドバイザーが対応できる提供会員を探して引き合わせます。
4-2 ファミサポで依頼できる活動の種類
ファミサポが対応する援助活動は、大きく「基本事業」と「病児・緊急対応強化事業」に分かれます。
基本事業で依頼できること(標準的な内容):
- 保育所・幼稚園・学校への送迎
- 放課後の子どもの預かり(学童保育の終了後など)
- 冠婚葬祭・病院受診・買い物などの際の一時的な子どもの預かり
- 習い事への送迎
病児・緊急対応強化事業で追加される活動(実施する自治体のみ):
- 病気の子ども・回復期の子どもの預かり(病児・病後児対応)
- 早朝(6時〜7時台)や夜間の緊急対応
- 宿泊を伴う預かり
病児・緊急対応強化事業は、2009年(平成21年)から国の補助で導入されましたが、全国の全市区町村で実施されているわけではありません。厚生労働省の調査では、ファミサポを実施する市区町村のうち、病児・緊急対応強化事業を合わせて実施しているのは一部にとどまっています。
「うちの自治体のファミサポは病児に対応していますか?」を確認するには:
- 自治体のファミリーサポートセンターのウェブページで「病児保育」または「病気のお子さんの預かり」という記載を探す
- 見つからない場合はセンターに直接電話して確認する
4-3 ファミサポへの登録方法(依頼会員として登録する手順)
依頼会員として登録するには、居住する市区町村のファミリーサポートセンターに問い合わせて、登録説明会または個別登録面談の日程を確認します。
登録説明会とは:多くのセンターでは、新規の依頼会員・提供会員が一堂に集まって制度の説明を受ける「登録説明会」を月に1〜2回程度開催しています。事前申込が必要なセンターがほとんどです。
説明会で説明される内容の例:
- ファミサポの活動内容・対象範囲・禁止事項
- 依頼の手順(アドバイザーへの連絡→マッチング→当日の活動)
- 万が一のときの保険(活動中に子どもが怪我をした場合の補償)
- 利用料の支払い方法(現金・銀行振込等、センターにより異なる)
登録に必要なもの(一般的な例):
- 依頼会員登録申請書(会場でもらう)
- 保護者の身分証明書
- 子どもの健康保険証(コピーを提出するセンターが多い)
- 写真(運転免許証サイズ程度を求められる場合がある)
登録費用:無料(利用料は活動ごとに発生します)
登録後の流れ:
- センターから「会員証」が発行される
- アドバイザーに活動の希望条件(希望エリア・時間帯・依頼内容)を登録
- 初めての利用前に、マッチングした提供会員と「顔合わせ(事前打ち合わせ)」をするセンターが多い
4-4 ファミサポの利用料相場と支払い方法
ファミサポの利用料は国が定めるのではなく、各市区町村が設定します。このため全国で一律の金額はありませんが、目安として以下の水準が多く見られます(2026年6月27日時点・調査ベース)。
一般的な相場:
- 平日の日中(例:8時〜17時):1時間700〜800円程度
- 早朝(6時〜8時台)・夜間(18時〜22時台):1時間900〜1,000円程度
- 土日・祝日:1時間900〜1,000円程度
病児・病後児の預かりを行う場合は、通常の利用料に加算がつく自治体が多く、1時間あたり100〜200円の加算が行われるケースがあります。
利用料の支払い方法:活動終了後に依頼会員が提供会員に直接現金で支払うセンターが多いです。一部は事前払いまたはセンター経由での振込に対応しています。
利用料の助成:以下の世帯に対して利用料の一部または全部を減免する自治体があります(地域差が大きいため、各自治体で確認が必要です):
- 生活保護受給世帯
- 住民税非課税世帯
- ひとり親家庭
また、先述の「保育の必要性認定(新2号・新3号)」を受けている場合は、ファミサポの利用料も幼児教育・保育無償化の対象(月額上限37,000円または42,000円の範囲内で給付)になります。これはファミサポの料金が1時間700円台であれば、月に相当な回数利用しても上限に達しない計算です。
例:1時間800円のファミサポを月10時間利用 → 8,000円。新2号認定を受けていれば37,000円の上限内なので全額給付対象。
4-5 ファミサポのメリットとデメリット
メリット:
- 施設型病児保育より安価(1時間700〜1,000円程度)
- 自宅または提供会員の自宅など、施設に行かなくてよい選択肢がある
- 保育士・看護師経験のある提供会員にあたると安心感が高い
- 病気以外の保育(送迎・習い事等)でも使えるため、日常的な信頼関係を事前に築きやすい
- 1時間単位の短時間利用から可能(施設型は「1日」単位が多い)
デメリット:
- 全国的に提供会員の数が少なく、予約が取りにくいケースがある
- 急な当日対応(急に熱が出た朝)には対応できないことが多い
- 提供会員との「相性」があるため、初回利用前の顔合わせが必要
- 病児対応に対応していない自治体・センターがある
- 病気のお子さんを提供会員の自宅(もしくは依頼会員の自宅に来る場合)でケアするため、病状が悪化した場合の対応力が施設型より限られる
4-6 提供会員不足と予約を取りやすくするための実践的なコツ
ファミサポの利用を継続している保護者の多くが直面する課題が「予約が取りにくい」という点です。これは提供会員の絶対数が少ないことに起因します。
依頼会員は年々増加していますが、提供会員の数は横ばいまたは微増にとどまっている自治体が多く、特に病児・緊急対応強化事業を実施しているセンターでは、対応できる提供会員が限られています。
予約を取りやすくするための実践的なコツ:
- 「いつも同じ提供会員にお願いする」関係を築く
初回の顔合わせでうまくマッチングした提供会員と、定期的にコミュニケーションを取ることで、次回以降も優先的に対応してもらいやすくなります。アドバイザーを通じて「○○さんとまたお願いしたい」と伝えるのが礼儀的にも安心です。
- 事前予約(前日まで)でアドバイザーに相談しておく
当日突然の依頼より、前日までに「明日の朝から熱があるかもしれないので、万一のときはお願いできますか?」という事前相談をしておくと、アドバイザーが提供会員に打診できる時間が生まれます。
- 複数の自治体のファミサポに登録する
住まいと職場が別の市区町村であれば、両方の自治体に登録できる場合があります。活動エリアが「提供会員の自宅近く」または「依頼会員の自宅近く」と設定されていることが多いため、職場近くのファミサポも登録できるか確認してみる価値があります。
- ファミサポと病児保育施設の両方に登録しておく
ファミサポが取れなかった日は病児保育施設を使う、施設の枠が満員の日はファミサポ、という使い分けができるように、両方にあらかじめ登録しておきます。
- 民間のファミサポ事業者・ベビーシッター事業者も選択肢に入れる
NPO法人や民間のマッチングサービスが運営する病児保育対応のシッターサービスも、自治体認定を受けていれば助成対象になる場合があります。「公設ファミサポ」に加えて「認定訪問型病児保育事業者」も登録先の候補に入れることで、緊急時の選択肢が増えます。
第5章 自治体ごとの助成制度(訪問型・ファミサポ利用料の助成)の探し方と自治体例
5-1 地域ごとに大きく異なる助成制度
病児保育とファミサポの自治体独自の利用料助成は、実施の有無・助成の対象(施設型か訪問型か・ファミサポか)・助成額・年間上限・対象者(在住要件・施設在籍要件等)がすべて自治体によって異なります。
「自分の自治体に病児保育の利用料助成があるかどうか」を確認するには、以下の手順が確実です:
- 「[住まいの市区町村名] 病児保育 利用料 助成」で検索する
- 自治体の公式サイト(city.[市名].lg.jp または city.[市名].tokyo.jp など)のページを確認する
- 公式サイトに見当たらない場合は、子育て支援課・保育担当課・こども家庭センターに電話して「訪問型病児保育の利用料助成はありますか?」と直接確認する
以下では、実際に助成制度を設けているいくつかの自治体を例として紹介します。いずれも2026年6月27日確認時点の情報で、制度の内容は変更になることがあるため、申請前に必ず各自治体の公式サイトまたは担当窓口でご確認ください。
5-2 東京都目黒区の訪問型病児保育利用料助成(2026年6月27日確認)
目黒区では「訪問型病児・病後児保育利用料助成制度」を実施しています。
助成の概要:
- 助成額:1時間1,000円(ベビーシッター等の利用料が1時間1,000円未満の場合は実費全額まで)
- 1日の上限:10時間分(10,000円相当)
- 年間上限:お子さん1人あたり年度内(4月1日〜3月31日)40,000円
対象者の条件:
- 目黒区内に住所がある
- 認可保育所・認証保育所・小規模保育所等を利用している未就学児の保護者
- 利用の前後7日以内に医療機関を受診していること(受診なしは対象外)
対象外の費用:
- 入会金・年会費・登録料
- 交通費
- 利用料以外の諸費用
申請方法:ベビーシッターの利用日から12か月以内にオンライン申請・郵送・持参のいずれかで提出
必要書類:申請書・受診証明書・領収書または利用明細書
問い合わせ窓口:目黒区 子育て支援課(公式サイト参照)
参照URL:https://www.city.meguro.tokyo.jp/hoiku/kosodatekyouiku/kosodate/byouji-joseikin.html
5-3 東京都千代田区の病児保育利用料助成(2026年6月27日確認)
千代田区では「病児・病後児保育のベビーシッター利用料を補助」する制度を設けています。
助成の概要:
- 助成額:ベビーシッター等利用料の2分の1(半額)
- 年間上限:お子さん1人あたり年度内40,000円
対象者の条件:
- 千代田区内に住所がある
- 生後57日目〜小学校6年生の子ども
- 認可保育所・地域型保育事業・学童クラブを利用中、または保護者の疾病等で保育にあたる者がいない家庭の子ども
参照URL:https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kosodate/hoiku/jose.html
5-4 東京都港区の訪問型病児保育利用料助成(2026年6月27日確認)
港区でも訪問型病児・病後児保育の利用料助成を実施しています。
対象者の条件:
- 港区内に住所がある
- 生後57日目以降から小学校6年生まで
- 保育の必要性認定を受けて対象保育施設に在籍している、または学童クラブを利用している
参照URL:https://www.city.minato.tokyo.jp/hoikusien/houmon-byouzi.html
5-5 東京都豊島区の訪問型病児保育利用料助成(2026年6月27日確認)
豊島区では、認可保育施設等に在籍する未就学児が病気で登園できない場合に、ベビーシッター等が実施する居宅訪問型病児保育サービスを利用した際の利用料の一部を助成します。
参照URL:https://www.city.toshima.lg.jp/530/kosodate/kosodate/houmongata/1605241336.html
5-6 助成制度を探す際の着眼点
「訪問型病児保育利用料助成」は、2020年代から東京23区を中心に広がってきた制度ですが、地方都市や郊外・地方圏では実施していない自治体も多いです。
探す際に確認すべき点:
- 施設型の利用料助成(非課税世帯向けの減免)がある場合は、どの証明書が必要か
- 訪問型(ベビーシッター)の助成がある場合は、対象事業者(すべてのシッター会社が対象か、認定事業者のみか)の確認
- ファミサポの利用料助成(独自の加算補助)がある場合はその要件
- 保育の必要性認定(新2号・新3号)の申請手続きは自治体ごとに様式が違うため、窓口で書類を入手してから進める
助成制度が見当たらない自治体でも、今後導入される可能性があります。毎年4月前後に「子育て支援の手引き」等のパンフレットが更新されるため、年度初めに確認することをお勧めします。
第6章 病児保育とファミサポを組み合わせた実践シナリオ
6-1 共働き家庭における「急な熱の朝」の現実
共働き家庭で子どもが急に熱を出したとき、その日に使えるリソースは以下のどれかになります:
A. 一方の親が仕事を休む(または午前のみ休んで代わりを探す)
B. 施設型病児保育に預ける
C. ファミサポに依頼する
D. 訪問型病児保育(ベビーシッター)に依頼する
E. 祖父母などに依頼する
F. 複数の選択肢を組み合わせる
現実的には、B・C・Dを当日早朝のうちに確認して、取れた選択肢で動くことになります。事前に「登録済みの施設があるかどうか」「ファミサポの依頼ルートが確立しているかどうか」で、その朝の対応の余裕が全然違います。
6-2 「熱が出た朝の対応フロー」実践例
以下は共働き夫婦(Aさん:週5日出社、Bさん:フルタイムリモートワーク可能)の家庭における実際の対応フローです。子どもは3歳、保育所に通っています。
前日夜(事前確認):
- 子どもが少し鼻水が出ていることに気づく
- 「明日は熱が出るかもしれない」と判断し、事前登録している病児保育室のウェブシステムで翌日の空き状況を確認(前日17時から空き確認ができる施設が多い)
- 空きがあることを確認し、Bさんがリモートワークで対応可能なため一旦様子見
当日朝6時30分:
- 子どもが38.7度の発熱
- AさんとBさんで分担を確認:Aさんは9時から外せない会議があるため出社、Bさんは午前中リモートで対応可能だが午後に外部打ち合わせがある
当日朝7時:
- Bさんが病児保育室に電話し当日分の予約を試みる(空き1枠あり確保)
- 開院する8時30分にかかりつけ医への受診を予約(電話で病児保育利用の旨を伝えると優先的に診てくれる医院が多い)
当日8時〜9時:
- Bさんが子どもをかかりつけ医に連れて行く(医師連絡票を作成してもらう)
- 文書料:その医院では発生しなかった(記録上0円)
- 受診料:保険適用で580円(3歳・乳幼児医療証利用)
当日9時30分:
- Bさんが病児保育室に子どもを預ける(利用料2,000円を先払い)
- 持ち物確認済み。着替え3セット・水筒・おむつ・診療情報提供書
午後の打ち合わせが終わる17時:
- Bさんが迎えに行く
- 一日のトータル費用:受診料580円+病児保育料2,000円=2,580円
- 3歳で新2号認定を受けているため、翌月に市区町村に2,000円分の給付申請を提出予定
6-3 「施設が満員で取れなかった朝」の代替フロー
上記のケースで、病児保育室の予約が満員だった場合の代替ルートです。
午前7時:病児保育室が満員→以下を順番に確認
確認1:別の病児保育室(2施設目)に電話
→ こちらも満員
確認2:ファミサポセンターに連絡
→ 事前登録済みのため、アドバイザーが提供会員に打診してくれる
→ 今回は対応できる提供会員がいた(以前にも依頼した顔馴染みの方)
→ 10時〜17時の7時間、子どもの自宅で対応してもらえることに
ファミサポの場合:
- 1時間800円 × 7時間 = 5,600円
- 病児の加算(実施する自治体の場合)+100円/時間 = 700円
- 計6,300円(病児保育より高くなるが、当日に対応してもらえた)
このように「病児保育室→ファミサポ→民間ベビーシッター」という順で確認できる体制があると、当日の対応力が上がります。優先順位は費用・安心感・その日の確保しやすさで変わります。
6-4 訪問型病児保育(民間)の活用と自治体助成の組み合わせ
フローレンスの病児保育などの民間訪問型サービスは、施設型より割高ですが「当日対応率が高い」「施設まで連れて行かなくて済む」「子どもにとって安心な自宅で過ごせる」というメリットがあります。
目黒区・千代田区・港区・豊島区などでは、民間のベビーシッターが行う訪問型病児保育の利用料を助成する制度があります(第5章参照)。
例:目黒区在住で民間ベビーシッターを1日8時間利用した場合
ベビーシッター利用料(仮):1時間1,500円 × 8時間 = 12,000円
目黒区助成額:1時間1,000円 × 8時間 = 8,000円(年間上限40,000円の範囲内)
自己負担額:12,000円 - 8,000円 = 4,000円
さらに新2号認定(3歳〜5歳)を受けている場合は、残り4,000円のうち月額上限37,000円の範囲で後から給付が受けられます(自治体によって扱いが異なるため要確認)。
民間のベビーシッターサービスを選ぶ際のポイント:
- 利用する自治体が認定している事業者かどうか(認定外は助成対象外)
- 病児保育専門のサービス(フローレンスの病児保育など)は保育者が病気対応の研修を受けている場合が多い
- マッチングサービス型(キッズライン等)は個人ベビーシッターとのマッチングのため、経験・資格の確認を利用者が行う必要がある
第7章 よくある誤解とつまずきポイント
7-1 「事前登録なしで当日いきなり使えると思っていた」
最も多いつまずきがこれです。施設型病児保育もファミリーサポートセンターも、事前登録が必要です。当日の朝に「今から登録させてほしい」という依頼を受け付けていない施設・センターがほとんどです。
対策:子どもが保育所に入所したタイミングか、生後6か月前後(横浜市の場合は生後6か月から利用可能)に合わせて事前登録を済ませておきましょう。「まだ使うかわからないから」と後回しにすると、必要な日に間に合いません。
7-2 「施設型でどんな病気でも預かってもらえると思っていた」
水痘・麻しん・結核・腸管出血性大腸菌感染症などの感染力が強い疾患は、施設型病児保育でも受け入れを断られます。「病気なら何でも対応してくれる場所」ではなく、「集団保育が困難だが急変の危険性が少ない状態」の子どもを預かる場所です。
かかりつけ医に受診した際に「病児保育室への登園は可能ですか?」と明示的に確認することが重要です。医師が「登園不可」と判断した場合は、その日は訪問型に切り替えるか、一方の親が休む必要があります。
7-3 「ファミサポは何でも対応してくれると思っていた」
ファミサポの提供会員は、研修を受けたボランティアに近い位置づけです(実費・謝礼として利用料を受け取ります)。医療行為はできません。子どもの状態が安定していれば大変心強いサポートになりますが、急変した場合に即座に医療的な対応を行うことは期待できません。
高熱の急性期にいる子どものケアをファミサポに単独で任せるのは、状況によっては難しい場合があります。ファミサポと並行して、急変時に誰に連絡するか(かかりつけ医・救急番号・保護者自身の連絡先)を提供会員に明確に伝えておくことが大切です。
7-4 「保育の必要性認定は保育所入所の話で、自分には関係ないと思っていた」
新2号・新3号認定は保育所の入所時に申請するものと思われがちですが、病児保育やファミサポの無償化を目的として単独で申請することもできます。認可保育所に通っている子どもの場合は、保育所の入所と同時に認定手続きが進む自治体が多いですが、改めて「施設等利用給付認定」として申請が必要なケースもあります。
利用料の給付を受けるには「認定を持っていること」が前提条件のため、まず窓口で「新2号・新3号の認定を受けていますか?」と確認することをお勧めします。
7-5 「自治体の助成制度は全国共通だと思っていた」
病児保育の利用料助成、訪問型病児保育の助成、ファミサポの独自加算補助は、すべて自治体の独自施策です。隣の市では充実した助成があっても、自分の市にはない、という状況は全国的によくあります。
「他の人が言っていた助成が自分の自治体にはない」という場面に直面したら、それは全国共通制度の話ではない可能性が高いです。必ず居住する自治体の公式サイトまたは担当窓口で確認してください。
第8章 申請チェックリスト
8-1 施設型病児保育の事前準備チェック
事前登録(利用したい施設ごとに):
- [ ] 近隣の病児保育施設を少なくとも2か所確認した
- [ ] 各施設の事前登録方法・受付時間を確認した
- [ ] 利用登録票を記入し、各施設に提出した(または郵送・オンライン提出した)
- [ ] 利用登録証を受け取り、保管場所を決めた
- [ ] 各施設の予約方法(電話・ウェブ)と予約受付開始時間を把握した
- [ ] 施設の利用料・昼食代・キャンセルポリシーを確認した
かかりつけ医の確認:
- [ ] かかりつけ医のクリニックが病児保育の診療情報提供書を作成してくれることを確認した
- [ ] クリニックの開院時間と予約方法を把握した
- [ ] 病児保育利用時の文書料(ある場合)を事前に確認した
費用・減免の確認:
- [ ] 住民税非課税世帯等の場合、減免を受けるための証明書を確認した
- [ ] 新2号または新3号の「保育の必要性認定」を受けているか確認した
- [ ] 認定を受けていない場合は、申請手続きの手順を確認した
8-2 ファミリーサポートセンターの事前準備チェック
登録関係:
- [ ] 居住する市区町村のファミリーサポートセンターを確認した
- [ ] 登録説明会の日程を確認した(参加申込を済ませた)
- [ ] 依頼会員登録を完了した
- [ ] センターのアドバイザーと最初のやりとりをした
病児対応の確認:
- [ ] 自分の自治体のファミサポが「病児・緊急対応強化事業」を実施しているか確認した
- [ ] 病児対応できる提供会員がいるか、アドバイザーに確認した
- [ ] 事前に顔合わせを行う提供会員とのマッチングを依頼した
費用・助成の確認:
- [ ] 利用料(1時間あたりの金額・病児加算の有無)を確認した
- [ ] 支払い方法(現金・振込等)を確認した
- [ ] 自治体の独自助成があるかどうかを確認した
8-3 訪問型病児保育(ベビーシッター)の事前準備チェック
事業者の確認:
- [ ] 自治体が認定している訪問型病児保育事業者を確認した
- [ ] 事業者の利用料・助成対象かどうかを確認した
- [ ] 事前登録(会員登録)を済ませた
よくある質問(FAQ)
Q1. 病児保育は保育所に入所していない子どもも使えますか?
多くの施設では保育所等への在籍を利用条件にしていますが、自治体や施設によっては在籍の有無を問わない場合もあります。施設によって対象が異なるため、事前登録の問い合わせ時に確認してください。なお、保育の必要性認定(新2号・新3号)による無償化は、保育の必要性の認定を受けていることが条件のため、保育施設に在籍していない場合は認定を受けられないこともあります。窓口で個別に確認することをお勧めします。
Q2. 子どもが保育所で熱を出した場合、体調不良児対応型の施設ではなく、病児保育室に直接連れて行けますか?
できません。施設型病児保育は「当日の朝(または前日)にかかりつけ医で受診して診療情報提供書を作成してもらい、予約を取って利用する」という流れが基本です。保育所で体調が悪くなった場合は、まず保護者に連絡が入り、保護者が早退して迎えに行くか、体調不良児対応型の設備がある保育所ではそこで一時的に対応してもらうかのどちらかになります。翌日または翌々日から病児保育を利用するという流れが現実的です。
Q3. ファミサポの提供会員は医療行為(体温計・投薬等)をしてくれますか?
体温計(検温)は援助活動の中で行ってもらえるセンターが多いです。ただし投薬(薬を飲ませること)については、センターによってルールが異なります。医師が指示した薬を服薬タイミングに合わせて飲ませてもらいたい場合は、「服薬依頼書(服薬指示書)」を医師に作成してもらい、センターを通じて提供会員に渡す手順が必要です。すべての提供会員が投薬に対応しているわけではないため、事前に確認してください。
Q4. 病児保育とファミサポは同じ日に使えますか?
制度上は別のサービスなので、例えば「午前中は施設型病児保育、午後はファミサポが迎えに来て自宅でケア」という組み合わせは可能です。ただしそれぞれの事業者・センターとの調整が必要です。また、保育の必要性認定による無償化の月額上限は「病児保育とファミサポを合計した費用」に対して適用されます(月額上限を超えた分は自己負担)。
Q5. 子どもが小学生になってもファミサポは使えますか?
多くの自治体で小学校6年生まで(12歳まで)を対象としています。保育所の卒園後も引き続き使えるため、放課後の対応や学童保育の前後のサポートにも活用できます。ただし病児対応については、子どもが小学生になると施設型病児保育の対象外になる施設も多いため、ファミサポや民間の訪問型が主な選択肢になります。
Q6. 保育の必要性認定の申請書類は何が必要ですか?
代表的な必要書類は就労証明書と認定申請書です。就労証明書は勤務先に作成してもらいます。育児休業中の場合は育児休業証明書、疾病の場合は診断書が必要になることがあります。自治体ごとに様式が異なるため、居住する市区町村の子育て支援・保育担当課に様式を入手してから手続きを進めてください。
Q7. 年度途中に引越した場合、病児保育の事前登録はどうなりますか?
施設ごとの登録のため、転居後は新住所の近くの施設に再度登録が必要です。転居前の施設の登録は転居後には使えません。引越しが決まったら早めに転居先の病児保育施設を調べて、入居と同時に事前登録を行うことをお勧めします。
Q8. 病児保育の診療情報提供書を作成してもらったのに、当日施設の枠が空いていなかった場合、書類は翌日以降も使えますか?
診療情報提供書は「当日の受診時の状態」を記載したものです。翌日以降も子どもの状態が変わらない場合に施設が「再利用可」としているケースもありますが、原則として受診した当日のものとして扱われます。翌日も受診が必要かどうかは施設に確認してください。なお、毎回かかりつけ医に受診するという手間が病児保育の「最初の壁」と感じる保護者が多いですが、通い慣れたクリニックに事情を話すと、連続利用の際の診療情報提供書の扱いについて相談に乗ってくれるケースもあります。
出典一覧
以下の情報源を2026年6月27日時点で確認しました。制度の内容は変更されることがあるため、最新情報は各出典の公式サイトをご確認ください。
| 番号 | 出典名 | URL | 確認日 |
|---|---|---|---|
| 1 | 横浜市 病児保育事業 | https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/hoiku-yoji/shisetsu/hoikuseido/byogo/byouzi-hoiku.html | 2026-06-27 |
| 2 | 東京都北区 病児・病後児保育施設型 | https://www.city.kita.lg.jp/children-edu/childcare/1002833/1003742/1003746/1003747.html | 2026-06-27 |
| 3 | 目黒区 訪問型病児・病後児保育利用料助成制度 | https://www.city.meguro.tokyo.jp/hoiku/kosodatekyouiku/kosodate/byouji-joseikin.html | 2026-06-27 |
| 4 | 千代田区 病児・病後児保育のベビーシッター利用料補助 | https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kosodate/hoiku/jose.html | 2026-06-27 |
| 5 | 港区 訪問型病児・病後児保育利用料助成 | https://www.city.minato.tokyo.jp/hoikusien/houmon-byouzi.html | 2026-06-27 |
| 6 | 豊島区 訪問型病児保育利用料助成 | https://www.city.toshima.lg.jp/530/kosodate/kosodate/houmongata/1605241336.html | 2026-06-27 |
| 7 | こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化概要 | https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/mushouka/gaiyou | 2026-06-27 |
| 8 | 一般財団法人女性労働協会 ファミサポのしくみ | https://www.jaaww.or.jp/family-support/famisapo/ | 2026-06-27 |
| 9 | 豊島区 ファミリー・サポート・センター | https://www.city.toshima.lg.jp/258/kosodate/kosodate/f-s-center/001976.html | 2026-06-27 |
| 10 | 厚生労働省 ファミリー・サポート・センター | https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/24.html | 2026-06-27 |
| 11 | フローレンスの病児保育 サービス内容 | https://byojihoiku.florence.or.jp/service/ | 2026-06-27 |
| 12 | キッズライン 病児保育の料金比較 | https://kidsline.me/curations/comparison-sickchild | 2026-06-27 |
| 13 | 保育のかたち 病児保育とは | https://hoikunokatachi.jp/chiebukuro2/sick-childcare/ | 2026-06-27 |
| 14 | 堺市 施設型病児保育の利用について | https://www.city.sakai.lg.jp/kosodate/hughug/hoiku/byoji/shisetsu_byoji.html | 2026-06-27 |
| 15 | こども家庭庁 保育所における感染症対策ガイドライン(2023年5月一部改訂) | https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/c60bb9fc/20230720_policies_hoiku_25.pdf | 2026-06-27 |
第9章 病児保育・ファミサポの費用を正しく比較する方法
9-1 「1日あたりの費用」だけで比較しないことが大切
施設型病児保育の利用料は「1日2,000〜2,500円」という数字が一人歩きしがちですが、実際に1日利用したときの総費用はもう少し複雑です。施設ごとに昼食・おやつ代が別途かかる場合があり、かかりつけ医の受診料・文書料も当日のコストとして発生します。
費用の内訳をリストアップしておきます。
施設型病児保育1日の総費用(目安):
- 病児保育室の利用料:2,000〜2,500円
- 昼食代(別料金の施設の場合):300〜500円
- おやつ代(別料金の施設の場合):100〜200円
- かかりつけ医の受診料:500〜2,000円程度(3歳未満・3歳以上・保険適用有無で異なる)
- 診療情報提供書(文書料):0〜1,000円(施設により無料の場合もある)
- 交通費(施設まで連れて行く往復分):数百円〜(車・電車・バスで異なる)
合計の目安:病気の子どもを施設に預ける際の実費として、3,000〜5,000円程度になることが多いです。
ファミサポ半日(5時間)の総費用(目安):
- 利用料:800円/時間 × 5時間 = 4,000円
- 病児加算(実施自治体):100円/時間 × 5時間 = 500円
- 合計:4,500円程度
訪問型病児保育(民間ベビーシッター)1日(8時間)の総費用(助成前・目安):
- シッター利用料:1,500円/時間 × 8時間 = 12,000円
- 助成(目黒区の場合):△8,000円(1,000円/時間 × 8時間)
- 自己負担:4,000円
このように比較すると、「施設型が最安」「訪問型は高い」という単純な理解ではなく、「自治体の助成額・移動の負担・子どもの状態・予約取得のしやすさ」を総合的に判断する必要があることがわかります。
9-2 保育の必要性認定を活用した場合の月次コスト試算
新2号認定(3歳〜5歳)を持つ家庭が、病児保育を月3回・ファミサポを月5時間利用した場合のコストを試算します。
月の費用内訳(例):
- 施設型病児保育3回分:2,000円 × 3 = 6,000円
- 昼食・おやつ代(概算):500円 × 3 = 1,500円
- ファミサポ5時間分:800円 × 5 = 4,000円
- 合計支払額:11,500円
新2号認定の給付(月額上限37,000円):
- 病児保育分(施設等利用費として給付対象):6,000円
- ファミサポ分(施設等利用費として給付対象):4,000円
- 給付対象合計:10,000円(上限37,000円の範囲内)
自己負担額:1,500円(昼食・おやつ代など、給付対象外の実費分)+病児保育の受診料など
このように、給付が適用されると月の実質負担はかなり軽減されます。昼食代や医療費は給付対象外のため残りますが、毎月の病児保育・ファミサポの利用料は実質ゼロに近づく場合があります。
注意点:施設等利用費の給付は「後払い(償還払い)」が基本のため、最初に全額を支払い、翌月以降に申請して給付を受けます。申請書類の提出が必要で、各自治体の申請期限(利用月の翌月または翌々月まで等)を守る必要があります。
9-3 確定申告における医療費控除・セルフメディケーション税制との関係
子どもが病児保育を利用した際にかかった「かかりつけ医の受診料」は、確定申告で医療費控除の対象になります(通常の診療費として扱われます)。一方、病児保育室の利用料そのものは「保育サービスの費用」であり、医療費控除の対象にはなりません。
確定申告で医療費控除を申告する際に、病児保育のたびにかかった受診料を領収書として保管しておくことをお勧めします。1年間に複数回利用した場合、受診料の合計が数千〜数万円になる家庭もあります。
医療費控除の基本的な仕組み:
- 1年間の医療費の合計が10万円(または総所得金額等の5%のどちらか少ない方)を超えた場合に控除対象
- 控除される金額の目安:(医療費の合計 − 10万円)× 税率
子どもの受診が多い家庭では、医療費控除の申告によって一定の税負担軽減につながる可能性があります。詳しくは国税庁の公式情報をご確認ください(本記事は税務上の助言ではなく、一般的な制度の紹介にとどまります)。
第10章 保育施設と病児保育の「つながり方」を知る
10-1 保育所・認定こども園の登園基準と病児保育のつながり
保育所や認定こども園には「登園基準」(発熱や感染症の際の登園を控える目安)が設けられています。この登園基準を満たさない状態の子どもを、病児保育や病後児保育に預けることが基本的なケースとなります。
一般的な登園基準の例(各施設の方針による):
- 体温が37.5度以上の場合は登園不可
- 前日夜から当日朝にかけての発熱後、解熱してから24時間経過していない場合は登園不可
- 感染症(インフルエンザ等)が確定した場合は出席停止期間の終了まで登園不可
この「登園基準を満たすまでの間」をカバーするのが病後児保育の主な役割です。「熱は下がったけれど、念のためもう1日様子を見たい」という状態の子どもを、保育所には連れて行けないが家庭でも一人では見られないという状況です。
病児対応型と病後児対応型の使い分けの目安:
- 昨夜から今朝まで高熱があり、これから受診する → 病児対応型
- 昨日の受診で「明日から保育所の基準を満たせる可能性がある」と言われ、今朝は微熱台 → 病後児対応型
- 今朝は完全に平熱で、保育所の登園基準はギリギリ満たすが念のため集団生活を避けたい → 病後児対応型
ただし最終的な判断は施設側(看護師・医師)が行います。「この状態なら大丈夫ですか?」という問い合わせを受け付けている施設も多いため、前日〜当日朝に一度確認の電話をするのも有効です。
10-2 インフルエンザシーズンの対策
毎年12月〜2月のインフルエンザ流行期は、病児保育施設の需要が一気に高まります。この時期に備えておくべきことを整理します。
シーズン前(10〜11月)の準備:
- インフルエンザワクチン接種(子ども・保護者ともに)。接種から効果が出るまで2〜3週間かかるため、10〜11月の早い時期が理想的です
- 近隣の病児保育室の事前登録をこの時期に完了させる
- ファミサポの登録説明会に参加してアドバイザーとのラインを確立しておく
- 職場への「急な早退・欠勤が発生した場合の対応策」を上司と事前に話し合っておく
シーズン中の対応:
- 予約受付開始時刻に合わせてスマートフォンをスタンバイしておく(競争率が上がるため)
- 前日夜の段階で「明日は熱が上がるかもしれない」と予感したら、翌日分の予約受付時刻を確認しておく
- 病児保育が取れなかった場合の「次の選択肢」(ファミサポ・民間シッター)の連絡先を手元に置いておく
インフルエンザ確定後の登園基準(学校保健安全法施行規則参照):
- 発症した後(発熱した日を0日目として)5日が経過し、かつ解熱した後2日が経過するまで
- この期間、施設型の病児保育室でも受け入れを行っていない施設があります(施設の方針による)
インフルエンザ陽性期間中に利用できる可能性が高いのは、訪問型(ベビーシッター等)です。保護者の目の届く自宅で1対1のケアを受けられるため、感染拡大のリスクを抑えながら子どもが安心して過ごせます。
10-3 発熱外来・小児科の混雑と病児保育の段取りの合わせ方
子どもが急に熱を出した朝に最初に直面するのは「かかりつけ医に電話がつながらない」または「予約が取れない」という状況です。特にインフルエンザ・RSウイルス・胃腸炎の流行期は小児科が混み合います。
段取りの工夫:
- かかりつけ医がオンライン予約に対応している場合は、開院前(診察開始の30分〜1時間前)にウェブから仮予約を入れておく
- 「今日病児保育を利用したいので、診療情報提供書を書いてもらいたい」という事情をメモ欄に記載しておくと、医師が準備しやすい
- 発熱初日・インフルエンザ疑いの場合は「発熱外来(発熱専用の診察枠)」に予約するよう案内されることがある
病児保育の予約と受診の順序:
施設によって「受診してから予約する」「予約してから受診する」の順番が違います。どちらが先かを事前登録のときに確認しておき、当日の判断ミスを減らしましょう。
第11章 ファミサポの実態と登録説明会で聞いておくべき質問
11-1 登録説明会に参加する前に知っておくこと
多くのファミリーサポートセンターでは、依頼会員の登録時に「登録説明会」への参加を必須または推奨しています。説明会は月1〜2回の開催が一般的で、参加することで制度の概要・利用ルール・緊急時の対応方法などを学べます。
説明会に参加する前に把握しておくと役立つ情報:
- 自分の住む市区町村のファミサポが「病児・緊急対応強化事業」を実施しているかどうか(していない場合は病児対応の依頼自体ができない)
- 説明会の開催日時・場所・申し込み方法(電話・ウェブ等)
- 子ども連れでの参加が可能かどうか(一時保育が付いているケースもある)
11-2 説明会・登録時に確認するべき質問リスト
以下の点は利用開始後に「知らなかった」となりやすいポイントです。登録時またはアドバイザーとの最初のやりとりの際に確認しておきましょう。
利用ルールについて:
- Q. 病気の子どもの預かりに対応していますか?(強化事業実施の確認)
- Q. 病児対応できる提供会員は現在何人いますか?予約は取りやすいですか?
- Q. 活動は提供会員の自宅、依頼会員の自宅、どちらですか?(センターにより方針が違う)
- Q. 投薬(薬を飲ませること)を提供会員にお願いすることはできますか?
費用について:
- Q. 料金は1時間いくらですか?病児加算はありますか?
- Q. 支払いは現金のみですか?PayPay・振込は使えますか?
- Q. 非課税世帯や低所得世帯への利用料減免はありますか?
緊急時・キャンセルについて:
- Q. 当日の急なキャンセルはできますか?キャンセル料はかかりますか?
- Q. 活動中に子どもの状態が悪化した場合、提供会員はどこに連絡しますか?
- Q. 活動中の事故・怪我に対する保険はどのような内容ですか?
提供会員との顔合わせについて:
- Q. 初回利用前に提供会員と事前に会うことはできますか?(顔合わせ面談)
- Q. 同じ提供会員に継続してお願いすることは可能ですか?
11-3 大阪市のファミサポ利用料(自治体例・参考)
大阪市北区 子ども・子育てプラザのファミサポ利用料(2026年6月27日確認・要確認):
- 通常時間(7:00〜20:00):1時間800円
- 早朝・夜間(通常時間外):1時間900円
- 土日・祝日・年末年始:1時間900円
これはひとつの参考例であり、大阪市内でも区によって窓口が異なる場合があります。また病児加算の有無は別途確認が必要です。
参照URL:https://osaka-kosodate-plaza.jp/kita/family/(確認日:2026-06-27)
11-4 ファミサポの保険制度について知っておく
ファミサポの活動中に子どもが怪我をした場合や、預かり中にアクシデントが生じた場合に備えて、多くのセンターは会員向けの保険に加入しています。
保険の一般的な概要(実際の内容はセンターにより異なります):
- 保険の種類:福祉サービス総合補償保険や会員活動の損害賠償保険など
- カバーされる内容:活動中の傷害・子どもへの損害賠償等
- 保険料:多くの場合、利用料の中に含まれているか、年会費(数百円程度)に含まれる
保険でカバーされない場合もあるため、登録説明会または契約前に保険の内容を確認してください。「何かあったときにどこに連絡するか」「どのような補償が受けられるか」を保護者として把握しておくことが大切です。
第12章 病児保育予約が取れなかったときの代替手段の総まとめ
12-1 代替手段のヒエラルキーを決めておく
病児保育の予約が当日取れなかったとき、多くの保護者は焦りながら次の手を探します。平時のうちに「①〜④の順で確認する」という手順をあらかじめ決めておくと、当日の対応が格段に楽になります。
例:一般的な代替手段の優先順位
- 第2・第3の病児保育室(事前登録済みの施設)に電話する
- ファミサポセンターのアドバイザーに当日対応を依頼する
- 民間ベビーシッター(訪問型病児保育・自治体認定事業者)を当日手配する
- 非認定の民間シッターサービス(キッズライン等のマッチング型)を利用する
- 一方の親が職場に相談して在宅勤務・遅刻・早退・休暇を取る
- 祖父母や頼れる家族・知人に依頼する
順位は家庭の状況(居住地・職場の柔軟性・家族の状況)によって変わります。自分の家庭に合わせてカスタマイズしてください。
12-2 民間ファミサポ・NPOサービスという選択肢
公設のファミリーサポートセンターとは別に、NPOや民間事業者が運営する「ファミサポ的なサービス」も存在します。
代表的なサービス:
- フローレンスの病児保育(認定NPO法人フローレンス):東京・大阪・神奈川等
- AsMamaの子育てシェア:地域のネットワークを活用した子育てシェア
- キッズライン:マッチング型ベビーシッターサービス
これらのサービスは、公設ファミサポとは異なる性格を持ちます。
| 項目 | 公設ファミサポ | 民間サービス(例:フローレンス) |
|---|---|---|
| 料金 | 1時間700〜1,000円程度 | 1時間1,500〜2,500円程度 |
| 対応スピード | 前日までの依頼が理想的 | 当日対応が比較的可能 |
| 提供者の専門性 | ボランティア(研修あり) | 保育士・看護師・専門研修修了者 |
| 保険 | センターの保険 | 各事業者の保険 |
| 自治体助成の対象 | 無償化対象 | 認定事業者は助成対象 |
費用は高くなりますが、当日対応率・専門性・安心感という面では民間サービスが優位な場合があります。「まず公設ファミサポで予約を取る努力をし、取れなければ民間サービスにシフトする」という方針を事前に決めておくとスムーズです。
12-3 在宅勤務・テレワークとの組み合わせ
2020年代以降、在宅勤務(テレワーク)が広まったことで、「一方の親がリモートで仕事しながら子どもを見守る」というケースが増えました。ただし、発熱している子どもを傍らに置きながら集中して仕事をすることは現実的に難しく、在宅勤務の「質」が大きく下がります。
在宅勤務と病児保育の組み合わせを活用する方法:
- 午前中は一方の親が在宅で子どもをケアしながら仕事し、午後から病児保育またはファミサポを手配する
- 重要会議のある午前だけ一方が在宅対応し、会議が終わり次第もう一方と交代する
- 「フレックスタイム制」で始業を遅らせ、子どもを病児保育に預けてから出勤する
このような分担をするには、パートナー間での「連絡と合意」が事前にできているかどうかが鍵です。「どちらが休む/在宅するのか」という役割分担を、熱が出てから決めようとすると険悪になりやすいため、年度はじめやシーズン前に話し合っておくことをお勧めします。
第13章 申請に関わる書類の正式名称と取得先一覧
13-1 施設型病児保育関係の書類
以下の書類は施設・自治体によって名称が異なる場合があります。
| 書類名(一般的な呼称) | 別名・自治体固有名 | 取得場所 | 費用(目安) |
|---|---|---|---|
| 利用登録票 | 病児保育室利用登録書・利用申込書 | 各病児保育室または自治体公式サイト | 無料 |
| 診療情報提供書 | 医師連絡票・かかりつけ医の意見書・利用連絡書(横浜市)・病児保育連絡票 | かかりつけ医 | 0〜1,000円程度 |
| 服薬指示書 | 与薬依頼書・薬の指示書 | かかりつけ医 | 0〜500円程度 |
| 利用登録証 | 病児保育室利用証・利用カード | 登録後に施設から発行 | 無料 |
| 市民税非課税証明書 | 所得証明書(非課税証明)・課税証明書 | 市区町村の市民課・税務課・コンビニ(マイナンバーカードで取得可) | 300円程度 |
| 施設等利用給付認定申請書 | 新2号・新3号認定申請書 | 市区町村の子育て支援・保育担当課 | 無料 |
| 施設等利用費支給申請書 | 償還払い申請書 | 市区町村の子育て支援・保育担当課 | 無料 |
13-2 ファミサポ関係の書類
| 書類名 | 入手場所 | 費用 |
|---|---|---|
| 依頼会員登録申請書 | ファミリーサポートセンター(会場または郵送・ウェブ) | 無料 |
| 援助活動申込書(利用申込書) | センターから提供(活動ごとに作成) | 無料 |
| 活動報告書 | センターから提供(活動終了後に双方が記入) | 無料 |
| 服薬依頼書(投薬を依頼する場合) | かかりつけ医または自治体指定様式 | 医師の場合0〜500円程度 |
13-3 保育の必要性認定関係の書類
| 書類名 | 取得場所 | 記入者 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 施設等利用給付認定申請書(保育の必要性認定申請書) | 市区町村の担当窓口または公式サイト | 保護者 | 無料 |
| 就労証明書 | 勤務先の人事・総務部門 | 勤務先が作成 | 無料(勤務先が作成) |
| 育児休業取得確認通知書 | 勤務先 | 勤務先が作成 | 無料 |
| 診断書(疾病・障害を理由とする場合) | かかりつけ医・専門医 | 医師が作成 | 2,000〜5,000円程度(医療機関により異なる) |
| 母子健康手帳のコピー(必要なページ) | 手帳を持参してコピー | 保護者 | コピー代のみ |
第14章 自治体の助成制度の調べ方と制度が見つからないときの対処法
14-1 自治体の公式情報にたどり着くための検索テクニック
病児保育・ファミサポの助成制度は、自治体の公式サイトの中でも見つけにくい場所にある場合があります。以下の検索方法を組み合わせて探してみてください。
Google検索での探し方(例):
- 「[市区町村名] 病児保育 助成 申請 site:lg.jp」(自治体公式サイトに絞る)
- 「[市区町村名] 訪問型病児 ベビーシッター 補助」
- 「[市区町村名] ファミリーサポート 利用料 病児」
自治体公式サイト内での探し方:
- トップページの「子育て・教育」「保育」カテゴリから探す
- サイト内検索で「病児保育」「ファミリーサポート」と入力する
- 「子育てガイド」「子育て支援の手引き(PDF)」という形でまとめて公開している自治体も多い
電話での問い合わせ:
- 「子育て支援課」または「保育担当課」に電話して「病児保育の利用料助成はありますか?」と直接確認する
- ファミサポについては「ファミリーサポートセンター」に電話して「病児対応や利用料の助成について教えてほしい」と確認する
14-2 こども家庭庁・e-Govで確認できる国制度
自治体の独自助成ではなく、国が定めた制度(保育の必要性認定・無償化)についての一次情報は以下で確認できます。
- こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化:https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/mushouka
- e-Gov 子ども・子育て支援法:https://laws.e-gov.go.jp/law/424AC0000000065
「無償化の月額上限」「新2号・新3号認定の要件」「施設等利用費の給付対象」などの基本的な制度設計は国レベルで決まっていますが、申請の様式・窓口・受付期間は市区町村ごとに異なります。
14-3 転居した場合・育休明けに確認すること
病児保育・ファミサポの助成は「居住する自治体の制度」が基本です。転居した場合はすべて見直しが必要です。また、育児休業から職場に復帰したタイミングは「保育の必要性認定」の申請適期です。
転居・育休明けに確認するリスト:
- 新住所近くの病児保育室の事前登録(施設ごとの登録のため、転居で無効になる)
- 新住所のファミリーサポートセンターへの登録(市区町村が異なると登録し直し)
- 保育の必要性認定の申請または更新(就労証明書が必要)
- 訪問型病児保育助成制度の有無確認(転居先の自治体に制度があるかどうか)
- 各施設の利用料・減免制度(転居先の自治体でのルールを確認)
免責事項
本記事は一般的な制度情報の提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成の代行・法律上の助言・医療上の助言は行いません。
記載している金額・要件・手続き・制度の内容は、各自治体の制度改正・予算措置・審査基準の変更等によって変わることがあります。申請を検討する際は、必ず居住する市区町村の担当窓口または各施設・センターに直接確認してください。
記事内の「地域例」として紹介した自治体の情報は、2026年6月27日時点の公式サイト情報に基づきます。他の自治体が同様の制度を持つとは限りませんし、紹介した自治体の制度も変更される場合があります。