危険ブロック塀の除却補助金・生垣化・雨水タンク設置助成を一冊で整理する(2026年版)
本記事は2026年6月27日時点の公開情報に基づきます。金額・要件・受付期間はいずれも年度ごとに改定されることがあるため、申請前に必ず各自治体の公式サイトまたは窓口で最新情報をご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、個別の申請代行・書類作成代行は行いません。
この記事が整理すること
自宅の敷地にブロック塀がある方、または庭の環境を整備したいと考えている方には、実は使い道が異なる複数の自治体補助制度が存在します。しかしその制度が「ブロック塀の除却補助」「生垣化のセット助成」「雨水タンクの設置助成」に分かれていることはほとんど知られておらず、整理した情報源もほとんどありません。
この記事では次の3つの制度を横断的に整理します。
1つ目は、危険なブロック塀を撤去するための「ブロック塀除却補助金」です。2018年の大阪北部地震でブロック塀の倒壊が社会問題となって以降、多くの自治体がこの補助制度を整備・拡充しています。
2つ目は、ブロック塀を撤去したあとに生垣を新設する「生垣化補助金」です。除却補助と組み合わせてセットで使える自治体も多く、緑化の観点から都市部の自治体が特に積極的に実施しています。
3つ目は、雨どいから雨水を溜めるタンクを設置するための「雨水貯留タンク設置助成」です。節水・防災の両面から、排水区域を持つ自治体を中心に幅広く実施されています。
この3制度は対象条件・窓口・補助額の算出方法がそれぞれ異なり、複数を同時に活用できるケースもあります。申請を誰が・いつ・どこへするかを具体的に整理することが本記事の目的です。
本記事の対象読者は、自宅の敷地にブロック塀がある方、生垣の新設を検討している方、雨水タンクを設置したい方、および複数の制度を組み合わせて使いたいと考えている戸建て所有者の方です。
なお本記事では、各制度の金額・要件は自治体によって大きく異なるため、全国一律の金額を断定することはしません。探し方の考え方を整理した上で、確認が取れた自治体を例として示す「地域例方式」で記述します。例として挙げる自治体の数値はいずれも「確認日時点・要確認」とお読みください。
制度の全体像
3制度の比較一覧
この3つの制度は、目的・対象・窓口がそれぞれ異なります。
制度の名称は「ブロック塀除却補助」「生垣化補助(ブロック塀撤去+生垣新設のセット)」「雨水貯留タンク設置助成」です。
ブロック塀除却補助の目的は、地震時の倒壊防止と歩行者安全の確保です。対象者は道路等に面するブロック塀の所有者で、補助率の目安は工事費の1/2〜9/10(上限5万〜50万円・自治体差大)です。申請窓口は建築指導課・まちづくり課・住宅政策課等(自治体により名称が異なる)で、申請タイミングは着工前(交付決定後に契約・工事)です。
生垣化補助の目的は、ブロック塀除却後の緑化促進と景観向上です。対象者はブロック塀を撤去して生垣を新設する方、または接道部に生垣を新設する方です。補助額の目安は新設1メートルあたり1万〜1.6万円等(自治体差大)です。申請窓口は緑化推進課・環境課・公園緑地課等(建築指導課と兼ねる場合もある)で、事前の現場確認が多くの自治体で必須です。
雨水貯留タンク設置助成の目的は、雨水の有効利用と排水負荷の軽減(節水・防災)です。対象者は建築物の雨どいに雨水タンクを接続して設置する方です。補助額の目安は購入価格の1/2、上限1万〜3万円(自治体差大)です。申請窓口は下水道課・環境課・みどり推進課等です。
3制度に共通する重要なルールは「着工前申請の厳守」です。どの制度も、工事を始める前(少なくとも業者との契約前)に交付申請を行い、自治体から「交付決定」の通知を受けることが必須です。工事後や契約後に申請しても補助は受けられません。
【無料サンプル】横浜市でブロック塀を撤去して軽量フェンスに建て替えるケースを手順・金額・窓口まで全部見せます
ここでは横浜市を例に、実際にブロック塀を撤去して軽量フェンスに建て替える際の補助金の計算方法と申請の流れを、最初から最後まで全部見せます。横浜市の数値は2026年6月27日時点に公式サイトで確認したものですが、内容は年度ごとに変わりますので必ず事前に横浜市建築局へご確認ください。横浜市以外の方は、後述する「自分の自治体の探し方」に同じ手順を当てはめてください。
ケースの設定
横浜市内の戸建て住宅の前面道路に面してブロック塀があります。塀の延長は8メートル、既製のコンクリートブロック積みで基礎あり、高さは1.4メートルです。傾きが目立ち始め、表面に複数のひび割れが確認できます。
この塀を全部撤去し、道路面にアルミ製の軽量フェンスを新設したいというケースです。
手順1 事前相談
まず横浜市建築局企画部建築防災課に電話をします(電話番号045-671-2930)。担当者に「ブロック塀改善事業の補助を受けたい」と伝えると、事前相談の予約を取ってもらえます。
相談では塀の場所・延長・高さ・状態を伝え、担当者または市職員が現地確認に来て補助対象かどうかを判定します。横浜市の場合、確認から判定まで約2か月を見ておくよう案内されています。
対象と認められるためには、道路等に面していること、高さ1メートル以上であること、地震時に倒壊するおそれがあること(現地確認で判定)の3要件を全て満たす必要があります。今回のケースは道路面・高さ1.4メートル・ひび割れあり・傾きありで3要件を満たす可能性が高い状況です。
手順2 補助金の計算(事前に見積もりを確認)
見積もりで除却工事費が10万円(8m分)、軽量フェンス新設工事費が12万円(8m・既存基礎使用)だったとします。
除却補助の計算は「工事費の9/10」と「13,000円/m×延長」のいずれか低い方です。
工事費9/10の場合は10万円×9/10=9万円。13,000円×8mの場合は10万4,000円。いずれか低い方は9万円です。
新設(既存基礎使用)補助の計算は「工事費の1/2」と「18,000円/m×延長」のいずれか低い方です。
工事費1/2の場合は12万円×1/2=6万円。18,000円×8mの場合は14万4,000円。いずれか低い方は6万円です。
補助合計は9万円+6万円=15万円です。
上限の確認をします。横浜市では延長10メートル未満の場合の上限は30万円です。今回は8メートルなので上限30万円の範囲に収まります。
つまりこのケースでは補助金15万円を受け取り、実質の自己負担は工事費合計22万円から15万円を引いた7万円になります。
手順3 交付申請書の提出
現地確認が完了し、市から「補助対象です」という連絡を受けてから、交付申請書を横浜市建築局に提出します。
申請書に添付する書類の例としては、塀の状況写真(着工前のもの)、見積書の写し、塀の位置と寸法が確認できる配置図などです。具体的な書類一覧は相談時に担当者から案内があります。
交付申請書を出してから交付決定の通知が届くまでに時間がかかります。交付決定の通知が届くまでは、施工業者との契約を締結することも、工事を始めることも絶対にしてはいけません。これは横浜市に限らず全国ほぼ全ての自治体の補助制度に共通するルールです。
手順4 交付決定後に業者と契約・工事着手
「補助金交付決定通知書」が届いてから初めて業者と正式な契約を結び、工事を始めます。
工事中は、追加費用が発生した場合に補助金に影響が出ることがあります。金額が大きく変わった場合は担当窓口に相談してください。
手順5 工事完了後に完了報告書を提出
工事が終わったら完了報告書と完成写真を提出します。横浜市の場合、申請受付は年間を通じて(令和8年は4月1日〜12月31日)行われていますが、完了報告も期限内に提出する必要があります。
手順6 補助金の振込
完了報告書の内容が確認された後、申請時に届け出た銀行口座に補助金が振り込まれます。支払は後払い(立替払い)です。工事代金は先に施工業者に全額支払い、後から補助金が返ってくる形になります。
このケースの自己負担のまとめ
工事費合計22万円に対し、補助金15万円を後から受け取り、実質の手出しは7万円です。着工から振込まで、場合によっては半年以上かかることがあります。資金計画は余裕をもって立ててください。
横浜市で相談する窓口
横浜市建築局企画部建築防災課(ブロック塀改善事業担当)
電話: 045-671-2930
メール: kc-block@city.yokohama.lg.jp
受付: 平日(年末年始除く)
ここから先は、申請に直結する実務です。
危険なブロック塀の定義と倒壊リスクを知る
2018年大阪北部地震が変えた制度の流れ
2018年6月18日、大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生しました。この地震では死者5名が出ましたが、そのうち2名はブロック塀の倒壊によるものでした。特に注目を集めたのは、高槻市立寿栄小学校のプール沿いに設置されていたブロック塀の倒壊事故で、登校中の女児1名が命を落としました。問題の塀は高さ3.5メートルと建築基準法の上限(2.2メートル)を大きく超えており、控え壁も適切に設置されていませんでした。
この事故をきっかけに、国土交通省は2018年6月19日から21日にかけて、学校施設および民間建築物の塀に関する通達を矢継ぎ早に発出しました。耐震改修促進法に基づく基本方針が見直され、特に通学路や避難路沿いのブロック塀について、全国の自治体が安全点検と撤去費用の助成制度を整備・拡充していく流れが一気に加速しました。それ以降、ブロック塀の除却補助を新設または拡充した自治体は全国で大幅に増加しています。
この制度整備の背景を知っておくことは、補助制度を探す際にも役立ちます。窓口に「通学路沿いのブロック塀で心配している」と伝えると、担当者が優先的に案内してくれる自治体も多いからです。
建築基準法上の「基準を満たさないブロック塀」の定義
ブロック塀の法令基準は建築基準法施行令第62条の8に定められています。この基準を満たさないブロック塀が、除却補助の対象となりやすいものです。
高さについては、地盤面からの高さが2.2メートル以下でなければなりません。これを超えている塀は、建設当時の規制が現在の基準より緩かったとしても、現在の基準では「基準不適合」とみなされます。
厚さについては、10センチメートル以上(高さが2メートル超2.2メートル以下の場合は15センチメートル以上)が必要です。
控え壁(控壁)については、高さが1.2メートルを超えるブロック塀には、塀の長さ3.4メートル以下ごとに控え壁を設置する必要があります。控え壁の突出長さは塀の高さの1/5以上が必要です。
鉄筋については、直径9ミリメートル以上の鉄筋を縦横ともに80センチメートル以下の間隔で配筋する必要があります。
基礎については、高さ1.2メートルを超えるブロック塀では、コンクリートの基礎の丈が35センチメートル以上、根入れの深さが30センチメートル以上必要です。基礎のない塀は法令上の基準を満たさず、特に倒壊リスクが高い状態にあります。
なお、組積造(れんが造・石造)の塀は、ブロック塀よりさらに厳しい基準が適用され、高さ1.2メートル以下でなければなりません。それを超えるれんが塀・石塀は基本的に基準不適合です。
自分でできる7項目の安全点検チェック
専門家に依頼する前に、自分でできる目視点検があります。国土交通省が示した「ブロック塀等の点検のチェックポイント」に基づいた確認方法を紹介します。
1点目は高さの確認です。地盤から塀の天端(一番高い部分)までを目測で確認します。2.2メートルを超えていそうな場合は専門家への相談が必要です。簡易的には、大人の身長(約1.7メートル)を基準に、それより30センチメートル以上高い塀は要注意と考えてください。
2点目は傾きの確認です。塀の正面から少し離れて、塀の垂直面が道路側または敷地側に傾いていないか確認します。傾きの感覚がわかりにくい場合は、塀の上端から下げ振り(糸に重りをつけたもの)を垂らして確認する方法があります。目に見えてわかる傾きがある場合は危険なサインです。
3点目はひび割れの確認です。塀の表面を近くから観察し、水平・垂直・斜めにひびが入っていないかを確認します。特に、ひびが塀を貫通しているように見える場合や、ひびの幅が0.2ミリメートル以上(定規の目盛りや名刺の厚みが参考になります)ある場合は深刻なサインです。
4点目は控え壁の確認です。高さ1.2メートルを超える塀の場合、道路に面した塀に対して垂直方向(つまり敷地の奥側)に突き出した控え壁があるかどうかを確認します。長さ3.4メートルに1か所以上の割合で設置されているかを確認してください。控え壁がない場合は補強なしでは基準を満たしません。
5点目は基礎の確認です。塀の根元がコンクリートで固められているかを確認します。ブロックが直接地面から積まれているように見える(基礎のない塀)場合は特に危険です。地震や強風で根元から倒れるリスクがあります。
6点目は鉄筋の有無の確認です。古いブロック塀では、ブロックの穴の中に鉄筋が入っていないものも存在します。ブロックの穴が空洞に見える場合や、上端から塀の中をのぞいて空洞が確認できる場合は、鉄筋なしの可能性があります。ただし鉄筋の有無は目視では判定困難なため、専門家の診断が最終的な判断になります。
7点目は築年数の確認です。建築基準法施行令62条の8が現在の形になったのは1981年(昭和56年)です。それ以前に建てられたブロック塀は旧基準で建てられている可能性が高く、現在の基準を満たさないものが多くあります。固定資産台帳や建築年がわかる書類で確認してみてください。
これらの7項目のうち、1つでも「おかしい」と感じる点があれば、自治体の建築指導課や耐震相談窓口に相談することをおすすめします。多くの自治体では無料相談または無料の現地確認を実施しています。
危険ブロック塀を放置した場合の法的リスク
補助制度の活用を考える前に、もう一点知っておくべきことがあります。危険なブロック塀を放置した場合、所有者に法的な責任が発生するリスクがあるということです。
民法709条の不法行為責任の観点から、所有する工作物(ブロック塀はこれに含まれます)の欠陥や管理不備によって他者に損害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を負う可能性があります。また民法717条では、工作物の設置または保存に瑕疵があって他者に損害が生じた場合、占有者・所有者が賠償義務を負うことが定められています。
通学路沿いや人通りの多い道路に面したブロック塀が地震や台風で倒壊し、歩行者が怪我をした場合、所有者が損害賠償を求められた事例は実際に存在します。補助制度を活用して撤去することは、費用負担を軽くするだけでなく、この将来的なリスクを解消する意味でも合理的な選択です。
ブロック塀除却補助金の申請実務(6ステップ詳細)
ステップ1 事前相談(必須・最初の窓口)
補助制度の存在を確認し、自分のブロック塀が対象になるかどうかを確かめるために、まず自治体の担当窓口に連絡します。電話または窓口への来庁で相談できます。
このとき伝えると効率よく話が進む情報は次の通りです。まず塀の場所(住所と道路に面している旨)、次に塀の延長(大まかな長さ・メートル)、続いて塀の高さ(目測でも可)、そして塀の状態(傾き・ひび割れ・古さ)です。
事前相談の結果、職員が現地確認に来ることが多く、その後に「補助対象になる・ならない」の判定が出ます。横浜市では確認から判定まで約2か月かかります。余裕のある時期に相談することが重要です。
担当窓口の探し方については後述しますが、「市区町村名 ブロック塀 補助金」で検索するか、市区町村のホームページの「建築指導」「まちづくり」「住宅政策」のカテゴリを探すと見つかることが多いです。電話でも「ブロック塀の撤去補助を受けたい」と伝えれば担当部署に回してもらえます。
ステップ2 現地調査・補助対象の確認
職員または自治体が委託した専門家が現地を訪問し、対象条件を確認します。確認項目は主に次の通りです。道路等への面し方(公道・認定道路等に面しているか)、高さの実測、傾き・ひび割れ等の状態、控え壁・基礎の有無などです。
この現地調査の結果が「補助対象と認定」された場合に、次のステップへ進むことができます。現地調査で対象外と判定された場合は補助を受けることができないため、判定の根拠について担当者に確認してみてください。「このブロック塀はどの条件で対象外になりますか」と聞いておくと、次年度の再挑戦や部分的な改善の方向性が明確になります。
なお、耐震診断(専門家による構造計算に基づく診断)を必須とする自治体と、目視確認のみで判定する自治体があります。耐震診断を要件とする場合でも、診断費用を別途補助している自治体もありますので、担当者に確認してください。
ステップ3 交付申請書の提出
対象と認められた後、自治体所定の「補助金交付申請書」を提出します。添付書類は自治体によって異なりますが、一般的に必要なものは次の通りです。
補助対象工事費の見積書(施工業者作成)は必須です。工事の内容・数量・単価が明記されたものが必要です。見積書が「一式」というまとめた記載だけの場合は、内訳を別紙で提示してもらうよう業者に依頼してください。
塀の位置・形状を示す図面または写真も必要です。現状の塀がわかる着工前の写真(正面・側面・全体)と、地図上での位置を示した簡単な図面(手書きでも可の場合が多い)です。
土地・建物の所有関係を示す書類も求められます。土地の登記事項証明書や固定資産税の納税証明書で足りる場合が多いですが、自治体により異なります。
塀の補助対象面の延長と高さを確認できる資料も添付します。
提出方法は郵送・窓口持参・電子申請など、自治体によって異なります。
ステップ4 交付決定通知の受取
申請書を提出してから審査が行われ、問題がなければ「補助金交付決定通知書」が届きます。この通知書が届くまでは絶対に工事を始めてはいけません。これは全ての補助金制度における鉄則です。
「交付決定通知書が届いてから業者と契約する」という順序を守ってください。業者選定の相談や見積もりを複数社から取ることは交付決定前でも構いませんが、正式な契約書への署名は交付決定後にしてください。
ステップ5 工事の実施
交付決定通知を受け取った後、施工業者と正式に契約し、工事を開始します。
工事中に注意すること:申請時の工事内容から大きく変更になる場合(工事範囲の変更・追加工事等)は、変更申請が必要になることがあります。事前に担当窓口に確認してください。
ステップ6 完了報告・補助金請求
工事が完了したら、所定の「工事完了報告書」を提出します。添付するものは主に完了後の写真(工事箇所を複数アングルで撮影)と実際に支払った工事費の領収書または請求書です。
完了報告書の内容が確認され問題がなければ、補助金交付請求書を提出します。その後、自治体が審査・支払いの手続きを行い、申請時に登録した銀行口座に補助金が振り込まれます。振込まで数週間〜1か月程度かかることが一般的です。
工事費は全額自己負担で先払いし、後から補助金を受け取る「後払い」の仕組みであることを念頭に置いておいてください。
自治体別・補助金額の感覚と地域差の実態
ここでは確認が取れた複数の自治体の例を示します。いずれも2026年6月27日時点の確認であり、年度によって変わる可能性があります。必ず各自治体の最新情報を確認してください。
横浜市(神奈川県)
横浜市の「ブロック塀等改善事業」は全市域を対象としています。令和8年度の受付期間は2026年4月1日から12月31日です。
除却補助の計算方法は「工事費の9/10」と「13,000円/m×延長」のいずれか低い方です。
新設補助の計算方法は「工事費の1/2」と「基礎新設時37,000円/m・既存基礎使用時18,000円/m・生垣13,000円/m」のいずれか低い方です。
上限は延長10メートル未満で30万円、10メートル以上20メートル未満で40万円、20メートル以上で50万円です。
問合先は横浜市建築局企画部建築防災課(045-671-2930)です。
大阪市
大阪市の補助制度は「道路等に面し、高さ80センチメートル以上、安全性の確認ができない」ブロック塀を対象としています。令和8年度の申請締切は2026年12月28日(必着)です。
撤去補助の上限は150,000円、新設補助の上限は250,000円です。
補助額は「見積金額×1/2」「単価×延長×1/2」「上限額」の三者のうち最も低い額になります。
撤去工事の単価は基礎ありで24,900円/m、基礎なしで12,200円/mです(長さあたり補助額の限度)。
受付窓口は大阪市住まい公社(06-6882-7053、平日・土曜9〜17時半)です。
相模原市(神奈川県)
令和8年度の受付は2026年4月16日から12月28日です。
通常の補助率は工事費の1/2、上限100,000円です。
通学路や避難路として市が指定した路線に面する塀は、工事費の3/4、上限150,000円に優先加算されます。この「通学路優先加算」は相模原市のように設けている自治体が複数あります。
問合先は相模原市建築政策課(042-769-8252)です。
秋田市
秋田市の補助は、小学校の通学路として指定された路線に面するブロック塀のみを対象とした、通学路特化型の制度です。対象高さは道路からの高さ60センチメートル以上で、倒壊の危険があると判定されたものに限ります。
補助率は工事費の2/3、上限200,000円です。ただし令和8年5月11日時点で残枠が6件という情報があり、先着順での受付という形を取っています。通学路沿いに限定している分、他の自治体より手厚い対応をしている例といえます。
補助額の全国的な傾向(例として)
上記を含む複数の自治体の例を参考にすると、除却補助の補助率は工事費の1/2〜9/10程度の幅があり、上限額はおおむね5万〜50万円の範囲に収まることが多いです。ただしこの数値は記述した自治体の例から見えてくる傾向であり、全国の全自治体に当てはまるものではありません。補助制度を設けていない自治体も存在します。
申請を逃さないための時期の選び方
年度予算が尽きると受付終了になる
ブロック塀除却補助は国の補助金と異なり、各自治体が独自予算で運営しているものがほとんどです。そのため年度ごとに予算に上限があり、予算が尽き次第、受付を終了する自治体が多くあります。
実際、秋田市の例でも令和8年5月の時点で残枠が6件という状況でした。人気のある制度では4〜5月のうちに枠が埋まってしまうことがあります。
4〜6月が申請の狙い目
多くの自治体では年度の始まりである4月1日から受付を開始します。申請から工事完了まで数か月かかることを考えると、4月〜6月のうちに相談・申請を済ませることが最も確実です。
7月以降になると予算が残り少なくなっている自治体があり、秋に申請しようとしたら「今年度は予算終了」と言われるケースがあります。梅雨明けや夏の工事シーズンに合わせて「工事直前に申請しよう」という発想では遅いことがあります。
受付が4月から12月のように年間を通じて行われている自治体でも、実態として予算は先着順で消化されていくため、早めに動くことが賢明です。
待機リストと翌年度の再申請
補助予算が尽きてしまった場合、翌年度の再申請を待つ選択肢があります。担当窓口に「今年度は間に合いませんでしたが、来年度の制度が始まったら真っ先に連絡ほしい」と伝えておくと、次年度の受付開始時に案内をもらえる自治体もあります。
翌年度を待つ間にブロック塀が地震や台風で倒壊するリスクが心配な方は、専門家に安全性の一次診断を依頼する、傾きや基礎の状態を確認してもらうだけでも状況把握になります。無料相談窓口を設けている自治体もあります。
生垣化補助金の実務(ブロック塀撤去とのセット活用)
生垣化補助金とは何か
生垣化補助金は、道路に面した場所にある塀やフェンスを撤去し、代わりに樹木による生垣を新設する際に、その費用の一部を助成する制度です。防犯の観点から「ブロック塀を残したい」という考え方も一方にありますが、自治体の多くは「景観向上・緑化促進・ヒートアイランド対策」の観点から生垣化を奨励しています。
ブロック塀除却補助金と生垣化補助金は別の制度ですが、「ブロック塀を撤去してその場所に生垣を新設する」という行為は両方の補助が適用できる場合があります。横浜市の事例でも除却補助とセットで生垣新設補助を申請できる仕組みになっています。
生垣化補助を設けている自治体の傾向
都市部の自治体、特に東京都の各区や川崎市・横浜市などの政令市は生垣化補助に積極的です。一方、郊外や農村地域の自治体では生垣化補助を設けていない場合も多くあります。
制度名も自治体によって「生垣造成助成」「緑化助成(接道部)」「沿道緑化補助」など様々です。
大田区(東京都)の生垣化補助を例に
大田区の「生垣造成助成制度」は、ブロック塀を撤去してその場所に生垣を造成する場合と、新たに接道部に生垣を造成する場合の両方を対象としています。
樹種の要件は、高さが90センチメートル以上の樹木を、隣接する樹木の葉が相互に触れ合う程度の間隔で列植することです。連続2メートル以上の長さが必要です。大田区では特定の樹種の指定は明記されていませんが、常緑性・落葉性を問わず生垣として機能する樹木が対象になります。
補助額は、ブロック塀撤去を伴う場合に最大16,000円/m(補助対象の上限延長は50メートルまで)、撤去を伴わない新規造成の場合は最大10,000円/mです。
管理義務が重要なポイントです。助成を受けた翌年度から5年間、写真などで生垣の状況を大田区に報告する義務があります。この義務を怠ると補助金の返還を求められる可能性があります。
申請の流れは着工1か月前に事前相談を行い、担当者が現地確認をします。工事の2週間前までに申請書を提出し、交付決定後に工事を開始します。工事完了後に写真を添えて完了報告書を提出し、助成金の振込を受けます。
大田区の窓口は環境課(または各地域の担当部署)で、電話番号は大田区役所の代表番号経由で確認できます。
西東京市(東京都)の生垣化補助を例に
西東京市の「緑と花の沿道推進事業補助」では、生垣の樹木の高さが80センチメートル以上で、枝幅30センチメートル以上、延長1メートルにつき2本以上という要件があります。
管理義務は、助成の翌年度から2年以上は生垣の保護と育成に努め、適正な管理を行うことです。大田区(5年)よりは短い期間ですが、管理義務があること自体は同様です。
生垣の樹種について知っておくべきこと
生垣として一般的によく使われる樹種には、イヌツゲ・カイズカイブキ・レッドロビン(ベニカナメモチ)・ドウダンツツジ・サザンカ・キンモクセイ・シラカシなどがあります。
自治体によっては、特定の樹種リストを指定している場合と、指定なしで「生垣として機能するもの」とだけ規定している場合があります。竹や笹など、根が広がりやすい植物を除外している自治体もあります。
申請前に担当窓口に「どの樹種が対象になりますか」と確認してから植栽計画を立てることをおすすめします。樹種によっては補助対象外になることがあります。
生垣の維持・管理の現実
生垣は設置後も年1〜2回の剪定が必要です。自分で剪定できれば費用はかかりませんが、業者に依頼すると1メートルあたり1,000〜3,000円程度かかることが多いです。10メートルの生垣なら年間1万〜3万円の維持費用が発生することを見込んでおいてください。
また管理義務として自治体への報告が求められる期間は、写真を撮って郵送・メールまたはウェブ申請する作業が年1回程度発生します。管理義務期間中に生垣が枯れてしまった場合は、担当窓口に相談してください。代替の樹木を植えることで義務を継続した形にできる場合があります。
生垣化補助申請で気をつけること
事前の現場確認が多くの自治体で「着工の1か月前」という期限つきで設定されています。「来週工事をしたい」というタイミングで相談しても間に合わない可能性があります。
ブロック塀除却補助と生垣化補助の申請窓口が異なる自治体では、両方の申請を並行して進める必要があります。担当部署が複数にわたる場合は、どちらの窓口に先に連絡すべきかを確認してから動き始めてください。
雨水貯留タンク設置助成の実務
雨水タンク設置助成とは何か
雨水タンク(雨水貯留タンク)は、建物の屋根に降った雨水を雨どいを通じてタンクに溜め、庭の水やり・洗車・トイレ洗浄水などに再利用するための設備です。
この設備の設置費用(タンクの購入費用が中心)の一部を助成する制度を、多くの自治体が「雨水貯留タンク設置助成」「雨水タンク購入補助」等の名称で実施しています。
制度の目的は主に2点です。1点目は下水道や河川への急激な雨水流入を分散させること(都市型洪水の抑制)、2点目は水道水の使用量を減らすこと(節水・水資源の有効活用)です。
雨水タンクが対象となる要件(横浜市の例を中心に)
横浜市の令和8年度の雨水貯留タンク設置助成では、対象となるタンクの要件が明確に定められています。
まず貯水容量が100リットル以上であることが必要です。ガーデニング用の10リットル程度の小さなバケツ型容器は対象外になります。
次に既製品であることが要件です。手作り(DIY製)のタンクは対象外で、メーカーが製造した製品を購入した場合のみ補助されます。これは品質の担保と製品の確認がしやすいためです。
密閉構造であることも必要です。蚊の発生防止と衛生管理上の理由から、フタのついた密閉型のタンクが対象です。上面が完全に開放されたものは対象外になることがあります。
建築物の雨どいに接続することが必要です。タンクを単体で設置して上から水を入れるだけでは対象になりません。雨どいから流れてくる雨水を自動的にタンクに溜める仕組みにすることが求められます。
購入したタンクが補助の対象かどうかを確認したい場合は、購入前に担当窓口に製品名やカタログを持参して確認することをおすすめします。
雨水タンクの補助額(複数の自治体の例)
横浜市では購入価格(税込)の1/2、上限は20,000円です。36,500円のタンクを購入した場合、36,500円×1/2=18,250円を切り捨てて18,200円が補助されます。
世田谷区ではタンク1基あたり35,000円が上限(設置に係る費用は別に上限5,000円)で、同一申請者への年度内上限は140,000円です。複数のタンクを設置する場合でも合計で上限があります。
大田区では本体価格と設置工事費(ポンプ等を含む)の税込合計の1/2で、上限は300,000円です。他の区と比べて設置工事費も補助対象に含まれており、上限額も大きいのが特徴です。
埼玉県では各市町村が制度を持っており、補助上限は自治体によって1万〜5万円の幅があることが県のページで確認できます。
タンクのサイズと価格の目安として、100リットル級のタンクは10,000〜25,000円程度、200〜300リットル級は20,000〜50,000円程度、500リットル以上の大型タンクは50,000円以上になることが多いです。購入価格の1/2程度が補助されるとすれば、数千円〜1.5万円程度の補助を受けられるイメージです。
雨水タンクの設置手順(DIYでできるかどうか)
雨水タンクの設置は、市販のセット品を使えばDIYで行うことが可能です。基本的な手順は次の通りです。
まず雨どいのルートを確認し、タンクを設置する場所を決めます。次に雨どいをカットして集水器(分岐パーツ)を取り付けます。集水器からホースまたはパイプをタンクの接続口(インレット)につなぎます。タンクには満水時にオーバーフローした水を雨どいに戻すオーバーフロー管を取り付けます。
DIYの難易度は「雨どいの切断」の部分が最も難しく感じられますが、専用の集水器キットを使えば比較的簡単に作業できます。パイプカッターや鋸があれば対応できます。
ただし補助金を受ける際に「設置費用も補助対象」とする自治体(大田区の例のような)では、DIY施工より業者施工の方が施工費を補助に含められる場合があります。DIYで設置する場合、補助されるのはタンクの購入費用のみで施工費は対象外になることが多い点に注意してください。
設置後の管理は3か月〜半年に1回程度、タンク内の沈殿物を流して清掃することが必要です。またタンク内の水は飲料水・調理用水には使えません。庭の水やり・洗車・トイレ用水・防災用の生活用水(断水時のトイレ洗浄など)に限定して使用してください。
雨水タンクの節水効果と防災活用
節水効果の目安として、100リットルのタンクに月2〜3回満水になれば月200〜300リットルの節水になります。水道料金(東京都の場合、1リットルあたり約0.35円換算)で計算すると年間800〜1,200円程度の節水効果になります。節水効果だけで見れば投資回収には時間がかかりますが、防災の観点を加えると価値が変わります。
断水時の活用として最も有用なのはトイレ洗浄です。水洗トイレは1回の洗浄で6〜13リットルの水を使います。100リットルのタンクがあれば、断水時に7〜16回分のトイレ洗浄水を確保できます。1日に家族4人で使う洗浄水は16〜50リットル程度であり、1〜3日分の備えになります。
大地震後に断水が1週間以上続いた事例は国内でも複数あります(2016年熊本地震、2024年能登地震など)。雨水タンクに溜まった水は飲料水にはなりませんが、こうした場面でのトイレ洗浄水・清掃用水として実用的な価値があります。
雨水タンク設置助成の申請手順
横浜市の例では次の流れになります。
タンクを購入します(令和8年4月1日以降の購入が対象)。タンクを雨どいに接続する形で設置します。電子申請システムまたは所定の申請書類(交付申請書兼設置完了報告書・交付請求書兼委任状)に記入し、領収書・購入証明書を添付して申請します。申請期限は令和9年2月26日です。
世田谷区や大田区など「申請→交付決定→購入・設置→完了報告」という順序を要求する自治体もあります。先に購入してしまうと対象外になることがあるため、購入前に担当窓口に手順を確認してください。
必要書類の一般的なリストは、申請書(所定様式)、タンクの購入を証明する領収書または納品書、タンクの製品仕様書またはカタログ(容量・密閉構造が確認できるもの)、設置状況の写真(雨どいへの接続がわかるもの)です。
3制度の組み合わせ利用と重複申請の考え方
ブロック塀除却+生垣化の同時申請
ブロック塀除却補助と生垣化補助は、多くの自治体で同時申請が可能です。「ブロック塀を撤去して、同じ場所に生垣を植える」というセット工事は、環境・景観・防災のすべての目的に合致するため、自治体としても歓迎するケースが多いです。
注意点は申請窓口が異なる場合があることです。横浜市のように建築防災課が両方を一括して扱う自治体もありますが、除却補助が建築指導課・生垣化補助が緑化推進課というように窓口が分かれている自治体では、それぞれに申請書を提出する必要があります。
スケジュールの調整も重要です。除却工事が先に完了した場合、生垣化の植栽は数週間〜数か月後になることがあります。そのタイミングの中で完了報告の期限が重ならないよう、両方の担当窓口にスケジュールを伝えておくと安心です。
雨水タンク助成の併用
ブロック塀除却補助・生垣化補助・雨水タンク助成の3制度は、それぞれ目的・対象物・予算が別です。自宅でこれらを同時期に実施する場合、3制度すべてに申請することは制度上問題がないのが一般的です。
ただし1つの工事に対して複数の補助が重複適用されることはありません(例えば同一のブロック塀撤去費に対して、除却補助と生垣化補助の両方から重複して補助を受けることは対象外です)。補助の対象が「撤去費」なのか「生垣の植栽費」なのかが別であれば、それぞれ申請できます。
補助対象外となった場合の代替策
補助対象のブロック塀でない(隣地境界のみで道路に面していない、高さが基準に満たない等)ために除却補助を受けられない場合の代替的な選択肢を紹介します。
まず生垣化補助だけを活用する方法があります。ブロック塀除却補助の対象外でも、生垣化補助の対象になる場合があります。道路に面した接道部に生垣を新設するだけで申請できる場合は、塀の撤去を伴わなくても補助を受けられる自治体もあります。
次に解体費用の確定申告での扱いを確認する方法があります。建物の解体費用は原則として所得税の費用には算入できませんが、住宅を売却した際に取り壊した塀の解体費用が譲渡費用として認められるケースがあります。税務上の取り扱いは個別の状況によって異なりますので、税理士等への相談をおすすめします。
また翌年度の再申請を検討することが最もシンプルな代替策です。今年度の予算が尽きていても、来年度の予算が確保されれば再度申請できます。翌年度の受付開始は4月が多いため、3月末ごろに担当窓口に「来年度の制度が始まったら申請したい」と連絡を入れておくと確実です。
自分の自治体の補助制度の探し方
基本の探し方(インターネット検索)
最もシンプルな探し方は、インターネットで「[市区町村名] ブロック塀 補助金」または「[市区町村名] 生垣 補助」「[市区町村名] 雨水タンク 助成」と検索することです。公式サイトの結果が上位に出ることが多いです。
市区町村の公式ホームページ内を検索する場合は、トップページの検索窓から「ブロック塀」で検索すると、担当課のページが見つかります。
ホームページのカテゴリ構造でいうと、建設・まちづくり→建築指導・建築安全、または都市計画→住宅政策といったカテゴリの中に制度ページが置かれていることが多いです。
生垣化補助は「緑化推進」「環境」カテゴリに、雨水タンク助成は「下水道」「環境」カテゴリに置かれることが多いです。
電話での問い合わせが確実
インターネットでページが見つからない場合や、内容が古くて最新情報が不明な場合は、市区町村の代表番号に電話して「ブロック塀の撤去補助について相談したいのですが、担当はどちらになりますか」と聞くのが確実です。担当部署に転送してもらえます。
電話での問い合わせ時に確認しておくとよい内容は次の通りです。令和8年度(今年度)の補助制度はありますか、今年度の受付はまだ継続していますか、申請するために何を準備すればよいですか、現地確認は必要ですか(必要な場合は日程調整)、申請から交付決定までどのくらいかかりますか、という5点です。
広報紙での確認
自治体が毎月発行する広報紙(市報・区報)でも、補助制度の告知が行われることがあります。4〜5月発行の広報に当年度の制度が掲載されることが多いので、バックナンバーを確認してみてください。多くの自治体では広報紙のPDF版を公式サイトで公開しています。
建築指導課・まちづくり課への直接訪問
ブロック塀除却補助の相談は、現地確認が不可欠なため、最終的には担当窓口への来庁または電話相談が必要になります。インターネットでの確認はあくまで「制度の有無」と「概要の把握」にとどめ、実際の申請は担当者と直接確認しながら進めることをおすすめします。
工事業者の選び方と悪質業者を避けるポイント
ブロック塀撤去工事の業者選定
ブロック塀撤去工事は、解体工事業者・外構工事業者・造園業者が担う場合があります。会社の規模より、以下の点を確認することが重要です。
まず建設業許可の有無を確認してください。解体工事業を行うには都道府県知事または国土交通大臣による建設業許可(解体工事業)が必要です。業者のホームページや名刺に許可番号が記載されていることを確認してください。
次に補助金申請の対応経験があるかどうかを確認してください。補助金を使う場合、着工前申請・見積書の記載方法・完了写真の撮り方など、業者側にも補助金申請への対応が必要です。「補助金を使いたいのですが、対応していただけますか」と最初に確認しておいてください。
見積書の内容を詳しく確認することも重要です。「撤去一式 ○万円」というまとめた記載だけでなく、単価・数量・内訳が明記された見積書を求めてください。補助金の申請書に添付する見積書として自治体に受け付けてもらうために、詳細な内訳が必要なことが多いです。
少なくとも2〜3社から見積もりを取ることをおすすめします。補助金が使える場合でも、工事費そのものに大きな差がある場合があります。
悪質業者のトラブル事例
ブロック塀撤去では次のようなトラブル事例が報告されています。「補助金が使えます。先に工事します」と誘い、交付決定前に工事を強引に始めてしまう業者のケースです。この場合、補助金が受けられなくなります。交付決定通知書が届くまでは工事を始めてはいけないという鉄則を守り、業者が急がせてきた場合は断ってください。
見積書の金額が大幅に変わるケースもあります。最初の見積もりより実際の請求額が大幅に上がることがあります。工事前に「追加費用が発生する場合はいくらまでで、どのような条件の場合に発生するか」を書面で確認してください。
廃材の不法投棄にも注意が必要です。解体したコンクリートブロックを不法投棄した場合、廃棄物処理法違反になります。廃材の処分費用が見積もりに含まれているかを確認し、産業廃棄物の適切な処理をしている業者を選んでください。
契約書に工事完了後の保証期間・保険の加入状況を明記してもらうことも重要です。工事後に隣地や敷地への影響が出た場合に対応できる体制があるかを確認してください。
生垣化工事の業者
生垣の植栽・施工は造園業者・植木屋・ガーデニング専門業者に依頼します。補助金の対象となる工事かどうかは、自治体の担当窓口に業者が確認できる場合と、施主が確認してから業者に伝える場合があります。
樹種・植栽間隔・管理義務などの要件を業者に伝え、補助対象となる工事内容で進めてもらうよう最初に確認してください。
ブロック塀の工事費用の相場と補助後の実質負担
除却工事費用の相場
ブロック塀の撤去工事にかかる費用は、塀の延長・高さ・素材・地域によって大きく異なります。一般的な目安として、コンクリートブロック積みの塀(高さ1〜1.5メートル程度)の場合、1メートルあたり5,000〜15,000円程度が相場とされています。
ただしこの数値は塀の撤去・廃材処分のみの金額であり、基礎の撤去が必要な場合は別途費用がかかります。基礎付きのブロック塀を根元から除去する場合、1メートルあたり8,000〜20,000円程度になることもあります。
工事費を算出する際に影響する要因を挙げると次の通りです。まず塀の長さです。10メートルより20メートルの方が単純に費用は増えますが、規模が大きくなると単価が若干下がる場合もあります。次に塀の高さと構造です。高さ1.5メートル以下と2メートルを超えるものでは除去の手間が変わります。また基礎の有無と深さも重要です。基礎が深く埋まっているほど撤去費用が上がります。さらに搬出経路の状況も関係します。重機が入りにくい場所では手作業が増え費用が上がります。廃材処分費(産業廃棄物処理費)も見積もりに含まれているか確認が必要です。
新設フェンス・生垣の費用相場
ブロック塀を撤去した後に新設する場合の費用の目安も確認しておきます。
アルミ製の軽量フェンス(スチールフェンス)の場合、材工込みで1メートルあたり15,000〜35,000円程度が目安です。基礎工事が必要かどうか(既存のブロック塀の基礎を転用できるかどうか)で大きく変わります。
生垣の場合、植栽費用は樹種・苗木のサイズ・植え付け本数によって異なります。1メートルあたりの目安として、苗木の材料費が3,000〜8,000円程度、植え付け工事費が2,000〜5,000円程度です。生垣は初期費用がフェンスより低い場合がありますが、設置後の定期的な剪定費用(年1〜2回)を含めた長期的なコストを検討することが重要です。
補助後の実質負担の試算例(複数ケース)
ここでは補助金を活用した場合の実質負担のイメージを複数のケースで示します。金額はすべて例示のためのものであり、実際の工事費や補助額は自治体・業者・工事内容によって異なります。
ケース1は、延長8メートルのブロック塀を撤去してアルミフェンスを新設するケースです。撤去工事費を9万円、フェンス新設工事費を14万円とします。工事費合計23万円です。横浜市の補助の場合、除却は9万円×9/10=8万1,000円か13,000円×8m=10万4,000円の低い方で8万1,000円、新設は14万円×1/2=7万円か18,000円×8m=14万4,000円の低い方で7万円、補助合計15万1,000円になります。自己負担は23万円−15万1,000円=7万9,000円です。
ケース2は、延長15メートルのブロック塀を撤去して生垣を新設するケースです。撤去工事費を14万円、生垣植栽費を12万円とします。工事費合計26万円です。横浜市の補助の場合、除却は14万円×9/10=12万6,000円か13,000円×15m=19万5,000円の低い方で12万6,000円、生垣新設は12万円×1/2=6万円か13,000円×15m=19万5,000円の低い方で6万円、補助合計18万6,000円になります。自己負担は26万円−18万6,000円=7万4,000円です。延長が長い分工事費は増えますが、補助率が高いため実質負担はケース1と大きく変わらない結果になります。
ケース3は、延長5メートルの小さいブロック塀を撤去するだけのケースです。撤去工事費を4万円とします。横浜市の補助の場合、除却は4万円×9/10=3万6,000円か13,000円×5m=6万5,000円の低い方で3万6,000円です。自己負担は4,000円です。小規模でも補助率が高ければ、ほとんどを補助で賄えます。
これらのケースを見ると、工事費全体の規模よりも「補助率がどのくらいか」「上限額に収まっているか」が自己負担に大きく影響することがわかります。横浜市の9/10という高い補助率は全国的に見ても手厚い部類です。一般的な自治体では1/2〜2/3程度の補助率が多いため、同じ工事費でも補助後の自己負担が変わってきます。
見積もりを複数社から取ることの効果
工事費の相場感をつかむためにも、見積もりは最低2〜3社から取ることをおすすめします。同じ工事でも業者によって15〜30%程度の差が出ることは珍しくありません。
ただし、補助金の申請に使う見積書は1社のものを提出することが多いため、相見積もりをしたことで価格が下がれば、補助金の基準額も安い方の見積もりを使うことになります。必ずしも補助金額が変わるわけではない(補助率は工事費の何割という計算のため)ことも覚えておいてください。
ブロック塀の耐震診断と改修という選択肢
除却が唯一の選択肢ではない
危険なブロック塀への対応として、「撤去(除却)」以外に「耐震改修・補強」という選択肢もあります。ただし現実的にはブロック積みの塀を構造的に安全な状態に補強することは難しく、費用対効果の面でも撤去・建て替えの方が合理的なケースが多いとされています。
耐震改修が検討できるのは、基礎はしっかりしているが高さが基準を超えているケース(上部を一部撤去して基準以下に高さを下げる)や、鉄筋の入っていない部分に鉄筋を追加して強度を上げるケース(費用が大きくなりやすい)などです。
自治体によっては「除却補助」に加えて「建替え補助」を別途設けている場合もあります。建て替えの場合、新設するフェンス・塀が現在の基準を満たすものであれば補助対象になるケースもありますので、担当窓口に確認してみてください。
耐震診断の費用と無料診断制度
ブロック塀の構造的な安全性を専門家が診断する「耐震診断」を実施している自治体もあります。費用は無料〜数万円の範囲で、無料診断を提供している自治体では建築士が現地を訪問して状態を確認してくれます。
耐震診断の結果として「倒壊危険度が高い」という評価が出れば、除却補助の申請において有利な証明になる場合があります。無料診断を実施している自治体かどうかは担当窓口に確認してください。
全国のブロック塀補助制度の分布状況
制度がある自治体とない自治体の差
国土交通省は「ブロック塀等の安全対策に係る補助制度の整備状況(都道府県別総括表)」として全国の整備状況を公表しています。2018年の大阪北部地震以降、補助制度を設ける自治体は急増していますが、現在でも補助制度を設けていない自治体は存在します。
傾向として、政令市・東京23区・中核市など規模の大きい都市は補助制度を整備していることが多いです。一方、財政規模の小さい町村部では制度を設けていない場合があります。また同じ市でも、年度によって制度が新設・廃止・内容変更されることがあります。
都市部での補助制度の手厚さ
都市部の自治体が補助制度に積極的な理由の一つは、密集した市街地では道路に面するブロック塀が倒壊した際の歩行者への影響が特に大きいためです。地震時に倒壊したブロック塀が緊急車両の通行を妨げるリスクもあり、防災上の優先度が高い取り組みとして位置づけられています。
杉並区の例では通学路・避難路沿いの塀については補助上限が100万円(それ以外は50万円)に設定されており、都市部の手厚さの一例です。
地方部での探し方のコツ
地方部で補助制度が見つからない場合でも、都道府県が独自の補助制度を設けていることがあります。市区町村の制度を探すと同時に、都道府県の建築住宅課(名称は都道府県によって異なる)にも制度の有無を問い合わせてみることをおすすめします。
また地方では「環境整備補助」「防災まちづくり補助」といった名称で、ブロック塀除却を含む幅広い補助を一本化している場合もあります。検索する際には「ブロック塀」以外に「防災まちづくり 補助」「外構 安全 助成」などのキーワードも試してみてください。
ブロック塀に関わる隣地トラブルと法的な基礎知識
境界の塀はどちらの所有か
道路に面した塀ではなく、お隣との境界上に立っているブロック塀の扱いは、道路面の塀とは異なります。境界上の塀(いわゆる「境界塀」や「共有塀」)の場合、管理・修繕・撤去の権限は所有関係によって決まります。
塀の所有者が一方の土地所有者のみの場合(例えば自分の土地の境界ぎりぎりに自分が建てた塀)は、自分の判断だけで撤去できますが、撤去することで隣地の視線・騒音への遮蔽がなくなることから、事前に隣人への一報を入れることが望ましいです。
塀が境界上に立ち、両者が費用を出し合って建てた共有塀の場合(登記簿に共有の記録がある場合や、口約束で共有という場合)は、一方だけの判断で撤去することはできません。撤去するには相手の同意が必要です。
境界の塀について補助申請をする場合、その塀が申請者の「所有」であることを証明できるかどうかを担当窓口に確認してください。
隣地との境界の確認
ブロック塀を撤去する際、塀が境界線上に立っているのか、自分の土地の内側に立っているのかを確認することが重要です。撤去後に「あの塀は共有だった」「塀がなくなったので境界がわからなくなった」という問題が発生するケースがあります。
撤去前に境界標(境界杭や金属製の鋲)の位置を確認しておくこと、必要であれば土地家屋調査士に境界確認を依頼しておくことが安心につながります。
隣地の塀が危険に見える場合の対処
自分の土地ではなく、隣地または向かいの敷地にある危険なブロック塀が心配な場合、自分が補助金を申請することは基本的にできません。
対処の選択肢としては、まず所有者(隣人)に補助制度の存在を知らせる方法があります。知らずにいる方も多いため、「こういう補助金があるそうです」と情報提供するだけで動いてもらえる場合があります。次に自治体の建築指導課に「安全性が心配なブロック塀がある」と通報・相談する方法もあります。自治体が所有者に指導・勧奨を行う場合があります。
生垣化の樹種選定ガイド
主要な生垣用樹種の特徴と選び方
生垣に適した樹種は多数ありますが、主なものを目的別に整理します。
目隠しを重視する場合は、葉が密に茂る常緑樹が向いています。レッドロビン(ベニカナメモチ)は成長が早く目隠し効果が高いですが、定期的な剪定が必要です。イヌツゲは葉が小さく密で、刈り込み形状を整えやすい定番品種です。カイズカイブキ(イブキ)は縦に伸びる性質があり、細長いシルエットの生垣を作りやすいです。
管理を省力化したい場合は、成長の遅い樹種を選ぶと剪定の回数が少なくて済みます。キンマサキ・ウバメガシなどは管理が比較的楽とされています。
四季の変化を楽しみたい場合はサザンカが人気です。秋から冬にかけて花が咲き、防犯にも役立つ棘のある葉が特徴です。ドウダンツツジは春に白い花が咲き、秋には紅葉が楽しめます。
地域の気候に合った樹種を選ぶことも重要です。寒冷地では常緑樹の選択肢が限られる場合があります。地元の造園業者に相談すると、その地域で育てやすい樹種を提案してもらえます。
自治体が指定する樹種リストの確認
一部の自治体では、助成対象となる樹種リストを定めています。指定外の樹種を植えた場合は助成対象外となることがあります。
申請前に担当窓口に「どの樹種が助成対象ですか」と確認するか、自治体のホームページに樹種リストが掲載されていないかを調べてください。
竹・笹類は多くの自治体で助成対象外です。地下茎が広がりやすく隣地への影響があるためです。バラ類も棘による危険性から対象外にしている自治体があります。
生垣の植栽から見た目が整うまでの時期
樹木を植えてすぐに完璧な生垣になるわけではありません。苗木の大きさにもよりますが、密に茂った見た目の良い生垣に育つまで3〜5年程度かかることが一般的です。
この間は、隣からの視線が気になる場所では仮設のネットフェンスを組み合わせる方法もあります。また苗木のサイズを少し大きいものにすることで育成期間を短縮できますが、その分費用が増えます。
助成対象となる樹木のサイズ(高さ90cm以上等)の要件がある場合は、苗木の大きさを確認して調達してください。
雨水タンク設置の実践的なガイド
タンクの選び方
市販の雨水タンクには様々な種類があります。容量・形状・デザイン・素材を考慮して選んでください。
容量については、補助対象になる100リットル以上のものを選ぶことが前提です。100〜200リットル級は家庭の庭木の水やりや洗車に、300〜500リットル以上は複数の用途や防災備蓄用としての活用に向きます。大きいほど断水時の備えとして有利ですが、満水時の重量と設置スペースも考慮が必要です。100リットルの水は約100キログラムであり、設置場所の地盤・架台の強度確認が必要です。
形状については、縦型・横型・正方形型など様々です。設置する場所の形状に合わせて選んでください。雨どいが建物の角付近にある場合は縦型が置きやすく、スペースが限られる場合は横型が向く場合があります。
デザインについては近年おしゃれなデザインのものも増えており、庭の景観を損なわないものを選ぶことも可能です。ただしデザイン重視のものは本体価格が高くなる傾向があります。
密閉構造かどうかの確認も忘れずに行ってください。蚊の産卵防止・衛生管理の観点から、フタが密閉されるものであることが補助要件になっています。上面が完全に開放されたタイプは補助対象外になる可能性があります。
設置場所の選定ポイント
雨水タンクは雨どいの近くに設置します。設置場所を選ぶ際のポイントは次の通りです。
まず雨どいの位置との距離です。タンクから雨どいまでの距離が短いほど配管が簡単になります。雨どいが建物の複数か所にある場合は、最も水量が多い(屋根面積が大きい方向の)雨どいを選ぶと貯水効率が良くなります。
次に日当たりです。直射日光が当たる場所に設置するとタンク内の水温が上がり、藻が発生しやすくなります。日当たりの少ない北側や日陰になる場所の方が水質管理が楽です。ただし北側に雨どいがない場合はそこまで気にしなくても大丈夫です。
地盤の安定性も確認します。満水時のタンクは相当な重量になるため、柔らかい土の上には直置きせずコンクリートブロックや専用の架台を置いた上に設置してください。
凍結対策も必要です。寒冷地では冬期に水が凍りタンクが破損するリスクがあります。使わない時期は水を抜き空にしておく管理が必要です。凍結リスクのある地域では耐寒性のある素材のタンクを選んでください。
雨水タンクの水量・貯水量の目安
どのくらいの雨が降るとタンクがいっぱいになるかの目安を示します。
屋根面積(投影面積)に降った雨の量の約7〜8割が雨どいを通じて集水できるとされています。例えば建物の屋根の投影面積が50平方メートル、集水する屋根面積がその半分の25平方メートルで、雨どい1か所から集水する場合、10mmの降雨で25m×10mm×0.75(集水率)=187.5リットルの雨水が流れてきます。100リットルのタンクであれば、ある程度の雨で1回満水になる計算です。
日本の年間降水量は地域によって異なりますが、多くの地域で1,000〜2,000mm程度あります。年間20〜30回程度の有意な降雨があると仮定すると、100リットルのタンクでも年間2,000〜3,000リットルの雨水を利用できる計算になります。水道料金に換算すると年間700〜1,100円程度の節水効果です。
雨水タンクを活用した具体的な用途別の利用方法
庭の水やりへの活用は最も一般的な使い方です。タンクの蛇口を開いて直接ジョウロやホースに水を取ります。ポンプが内蔵されていないタンクは落差を利用した自然流下式のため、高い位置に置くほど水圧が上がります。
洗車への活用では、洗車用バケツに水を取って使います。水道水のように塩素が含まれていないため、洗車後に拭き上げをきちんとすれば水垢が残りにくいという利点もあります。
防災用途として断水時のトイレ洗浄水や清掃用水に使います。飲料水・調理用水には使えませんが、トイレの水洗い用として有用です。地震による断水は1〜2週間以上続くことがあり(2024年能登地震では一部地域で数か月かかりました)、その際にタンクに溜まっていた水は家族の生活を支える重要な資源になります。
タンクの水質管理として、水が長期間たまったままになると藻が発生したり悪臭が出たりすることがあります。定期的に水を使い切って新鮮な雨水と入れ替えることが大切です。また3〜6か月に1回はタンク内をすすいで沈殿した土砂を流してください。
補助金を活用した場合のスケジュールシミュレーション
4月に動き始めた場合の理想的なスケジュール
4月(年度初め)に動き始めた場合の理想的な流れは次の通りです。
4月初旬: 自治体の補助制度の存在と今年度の受付開始を確認します。インターネットで制度ページを調べるか担当窓口に電話します。
4月中旬〜末: 担当窓口に電話・来庁して事前相談を行います。現地確認の予約を入れます。
4月末〜5月: 担当者または職員が現地を訪問し、補助対象かどうかを確認します。
5月〜6月: 補助対象と判定が出たら、施工業者から見積もりを取ります。2〜3社から相見積もりをする場合は、この期間に業者を探して見積もりを依頼します。
6月: 見積書が揃ったら補助金交付申請書を提出します。
6〜7月: 自治体が審査を行い、「補助金交付決定通知書」が届きます(自治体によっては2〜4週間程度かかります)。
7〜8月: 交付決定通知を受けてから施工業者と正式契約し、工事を発注します。梅雨明けから秋にかけて工事を実施します。
9〜10月: 工事が完了したら写真を撮って完了報告書を提出します。
10〜11月: 完了報告の確認後、補助金交付請求書を提出します。
11〜12月: 補助金が口座に振り込まれます。
このスケジュールであれば、年度内に余裕をもって全工程を完了できます。
10月に申請した場合のリスク
10月以降に動き始めた場合、次のリスクがあります。
まず予算切れのリスクです。多くの自治体では先着順のため、10月に申請しようとしたら「今年度の予算は終了しました」と言われる可能性があります。
次に年度内に工事が完了しないリスクです。交付決定から工事・完了報告まで2〜3か月かかることを考えると、10月に申請して12月〜1月の交付決定では、2月末や3月末の完了報告期限に間に合わない場合があります。
このため、補助金を活用したい場合は「春に動く」という意識を持つことが最も重要です。
必要書類の正式名称・取得先・つまずきポイント
ブロック塀除却補助の申請に共通する書類
補助金交付申請書は自治体所定の様式で、窓口または公式サイトからダウンロードできます。記載内容は申請者情報(住所・氏名・連絡先)、工事の場所と概要、見積額です。
塀の現況写真(着工前)は、除却する塀の全体・正面・側面・ひび割れ等の状態を撮影したものです。スマートフォンで撮影したものでも可の自治体がほとんどです。
補助対象となる工事の見積書は、施工業者が作成した単価・数量・合計金額を明記したものです。「工事一式○円」という記載では受け付けてもらえない場合があります。
塀の配置図または位置図は、塀が面している道路と塀の位置関係がわかる図です。手書きの略図で足りる場合もありますが、住宅地図のコピーに塀の位置を書き込んだものを求める自治体もあります。
土地・建物の所有確認書類は、土地または建物の登記事項証明書(法務局で取得・手数料600円/通)または固定資産税の納税通知書の写しが多いです。
その他、自治体によっては納税証明書(市区町村税の未納がないことの証明)や、マンション等の共用部では管理組合の承認書類が必要になる場合があります。
つまずきポイント1 着工前申請の見落とし
最もよくあるトラブルは「先に工事してしまった」です。「補助金があると知らずに工事した」「業者に急かされて工事を先に始めた」という理由で補助が受けられなくなったという事例は全国で多く報告されています。
対策は「工事の前に必ず担当窓口に相談する」というルールを守ることです。工事の検討を始めた時点で電話一本入れるだけで防げます。
つまずきポイント2 年度末の完了報告期限
多くの自治体では「令和9年2月末日までに完了報告書を提出する」という期限を設けています。工事が12月以降にずれ込んだ場合、完了報告の期限が迫ってきます。工事が遅れそうな場合は早めに担当窓口に相談してください。年度内に完了できない場合は、申請を翌年度に持ち越す(再申請)ことになります。
つまずきポイント3 見積書の書き方
補助金の申請に使う見積書には、自治体によって「単価・数量を分けて明記すること」という要件があります。解体業者に依頼する際は「補助金申請用の見積書を出してほしい。単価・数量・合計を分けて書いてほしい」と具体的に伝えてください。
つまずきポイント4 道路の種類の確認
「道路等に面する」という条件がありますが、道路の種類によって対象外になる場合があります。対象になる道路は一般的に建築基準法上の道路(幅員4メートル以上の公道・私道・開発道路等)です。農道・水路の管理路・位置指定道路でない私道は対象外になる場合があります。道路の種類について不明な場合は担当窓口で確認してください。
つまずきポイント5 予算終了後の申請
繰り返しになりますが、予算が年度内に尽きることがあります。「今日申請に来た」というタイミングで「今年度の予算は終了しました」と言われるケースがあります。可能な限り年度早めの4〜6月に動くことをおすすめします。
申請チェックリスト
以下のチェックリストを使って、申請前の準備状況を確認してください。
事前確認チェック
- 自分のブロック塀が「道路等(公道)に面している」ことを確認した
- 塀の高さを測定した(または目測した)
- 傾き・ひび割れ・基礎の状態を目視で確認した
- 自分の自治体にブロック塀除却補助制度があることをインターネットまたは電話で確認した
- 今年度の受付がまだ継続していることを確認した(予算切れでないか)
- 担当窓口に事前相談の予約を入れた
現地調査チェック
- 現地調査の日程を担当者と調整した
- 現地調査当日に担当者または職員の案内に従えるよう在宅または立会いを手配した
- 現地調査の結果、「補助対象」の判定を受けた
申請書類チェック
- 補助金交付申請書(所定様式)を入手して記入した
- 着工前の塀の写真を撮影した(全体・正面・側面・ひび割れ等)
- 施工業者から単価・数量の内訳が明記された見積書を取得した
- 土地または建物の所有を確認できる書類(登記事項証明書等)を取得した
- 塀の位置がわかる配置図または地図に書き込んだものを用意した
- 自治体から指定された追加書類が揃っている
交付決定後チェック
- 「補助金交付決定通知書」が届いたことを確認した
- 交付決定通知書の受領後に初めて施工業者と正式な契約を締結した
- 工事内容が申請時から大きく変わる場合は変更申請をした
工事完了後チェック
- 工事完了後の写真を複数アングルで撮影した
- 施工業者から領収書または請求書を受け取った
- 所定の完了報告書に必要事項を記入した
- 完了報告書・写真・領収書を期限内に提出した
- 補助金交付請求書を提出した
- 振込先の口座情報を申請書に記載した(確認)
よくある質問(FAQ)
Q1 テナントや賃貸に住んでいる場合、補助金を申請できますか
ブロック塀除却補助の申請は原則として塀の「所有者」が行います。賃貸住宅に住んでいる場合は、建物・塀の所有者(家主・管理会社)が申請者になります。借主が申請することは一般的にできません。お住まいの物件の塀が危険と感じる場合は、大家または管理会社に連絡して、補助制度の存在を伝えることをおすすめします。
Q2 マンションの共用部分のブロック塀でも申請できますか
マンション等の集合住宅の共用部分にあるブロック塀については、管理組合が申請者になる場合があります。ただし申請要件や手続きが個人所有の場合と異なることがあるため、担当窓口に確認してください。管理組合での申請に際して、総会や理事会の決議書等の提出を求める自治体もあります。
Q3 建て替えにあわせてブロック塀を撤去する場合も補助は受けられますか
建て替え工事の一部としてブロック塀を撤去する場合でも、補助制度の対象となるかどうかは自治体によって異なります。建て替え工事全体と切り分けた形で塀の撤去費用を計上し、単独で補助申請できる場合もあります。担当窓口に工事計画を伝えて確認してください。
Q4 通学路に面していない場合でも補助は受けられますか
多くの自治体では通学路や避難路に面しているかどうかは補助率の差(優先加算)に影響しますが、それ以外でも道路に面するブロック塀であれば補助の対象になります。通学路以外でも申請できる自治体が大半ですので、「通学路ではないから申請できない」と思わずに担当窓口に相談してみてください。
Q5 ブロック塀を撤去した後、新たにブロック塀を建てることはできますか
除却補助の対象工事として「撤去+フェンス新設」または「撤去+生垣新設」を想定している自治体がほとんどで、「撤去+新たなブロック塀の建設」は補助対象としていない場合が多いです。また新しいブロック塀を建てる場合でも現在の建築基準法の基準に適合させる必要があります。新たなブロック塀の建設を検討している場合は、補助の対象になるかどうかを担当窓口に確認してください。
Q6 補助金を受けた後に塀を元に戻すことはできますか
補助を受けて撤去した塀を同じ場所に再建することは、補助金の交付条件に反する可能性があります。補助金には「交付の目的に沿った利用」が求められ、補助を受けた撤去の成果を後から変更・逸脱した場合に補助金の返還を求められることがあります。
Q7 生垣化補助を受けた後に樹木が枯れた場合はどうなりますか
助成を受けた生垣の樹木が管理義務期間中(多くの自治体で2〜5年間)に枯れた場合、管理義務違反と判断されることがあります。枯れた場合は速やかに担当窓口に相談してください。補植(新たな苗木の植え付け)で継続した形にできる場合が多く、放置すると補助金返還を求められることがあります。
Q8 雨水タンクの補助は何回でも受けられますか
1世帯・1建築物に対して補助は1回限りとする自治体が多いです(横浜市は「過去にこの制度を利用した建築物は除外」と明記)。複数のタンクを同時に申請できる自治体もありますが(世田谷区の例で年度内上限140,000円)、その場合でも上限額が設定されています。
Q9 ブロック塀除却補助と雨水タンク補助は同時に申請できますか
目的・対象物・予算が異なる別制度のため、同時期に両方を申請することは一般的に可能です。ただし同一の工事費に対して両方から補助を受けることはできません。それぞれが別の工事・別の物件に対する補助であれば問題ありません。
Q10 補助制度のない自治体に住んでいる場合はどうすればよいですか
残念ながら補助制度を設けていない自治体も存在します。その場合は次の方法を検討してください。まず来年度以降に新設される可能性があるため、年度ごとに担当窓口に確認します。都道府県レベルの補助制度が別途ある場合がありますので、県の建築指導課や住宅政策課にも問い合わせてみてください。撤去費用を確定申告での費用計上として活用できるか(建物売却時等)税理士に相談することも一つの手です。また近隣の自治体に補助がある場合でも自分の住む自治体にしか申請できないため、引っ越しを考えている場合でなければ意味はありませんが、自治体を比較する参考情報にはなります。
よくある誤解とつまずきパターン集
誤解1 「補助金は工事前にお金がもらえる」
最もよくある誤解です。実際は、工事を自己資金で先に行い、完了後に補助金が後払いされる「立替払い」の仕組みです。工事費を先払いするための手元資金が必要になります。工事費が20万円かかり補助金が15万円の場合でも、まず20万円を業者に支払い、後日15万円が振り込まれます。
補助金の交付決定が出ても、その時点ではまだ補助金は振り込まれていません。工事費の見積もりを見て「補助金で足りる」と判断する前に、工事費全額を一時的に用意できるかを確認してください。
誤解2 「見積もりを出した業者にそのまま発注しなければならない」
見積もりを取る段階では、どの業者に発注するかは決まっていません。複数社から見積もりを取り、価格・信頼性・対応などを比較した上で選んでください。補助申請書に添付した見積書と実際の発注業者が同じである必要はありません(見積書は補助額の算定のためのものです)。ただし最終的に工事する業者の見積書や領収書を完了報告に添付する必要があるため、最終的に発注した業者の書類を保管してください。
誤解3 「道路に面していれば必ず補助が出る」
道路に面している塀であっても、補助対象にならない場合があります。補助の要件として「地震時に倒壊するおそれがある」という判定が必要な自治体が多く、新しい塀や明らかに丈夫な塀は対象外になる場合があります。また高さが一定以上でなければ対象外になる場合(例:相模原市では高さ1メートル超が要件)もあります。「道路に面しているから大丈夫」ではなく、必ず担当窓口に確認してください。
誤解4 「補助金制度がないなら業者に頼むしかない」
補助制度がない自治体でも、行政に相談する窓口は存在します。建築指導課では補助制度がなくても「危険なブロック塀の点検チェックリスト」の提供や、専門家の紹介・相談対応をしている場合があります。また都道府県レベルの補助制度や、住宅金融支援機構のリフォーム融資を組み合わせる方法も検討できます。
誤解5 「生垣を植えれば翌年から管理義務がある」
管理義務が発生するのは助成金を受けた場合です。自費で生垣を植える場合には自治体への報告義務はありません。また助成を受けた場合でも「適正に管理すること」という義務の内容は写真を提出するだけで済む自治体(大田区のように年1回写真報告)もあります。義務の具体的な内容は申請時に確認してください。
誤解6 「雨水タンクはどこで買っても補助される」
補助の対象となるタンクは既製品であること・密閉構造であること・容量100リットル以上であることといった要件があります。ネットオークションで入手した中古タンクや自作タンクは補助対象外になります。購入前に領収書が取れること(レシートでも可)を確認してください。フリマアプリからの購入は領収書が発行されないことが多く補助対象外になる可能性があります。
まとめ:3制度を賢く活用するための5つのポイント
ここでは、この記事で解説した3制度を活用するために押さえておきたいポイントを5つにまとめます。
1つ目のポイントは「春に動くこと」です。ブロック塀除却補助・生垣化補助のいずれも年度予算が先着順で消化されます。4〜6月に相談を始め、できる限り早めに申請書を提出することが、補助を確実に受ける最大の対策です。
2つ目のポイントは「着工前申請の厳守」です。工事を始める前(業者との契約前)に必ず交付申請を行い、交付決定通知を受け取ってから工事を進めることです。これを守らなければ理由を問わず補助を受けられません。
3つ目のポイントは「窓口を先に確認すること」です。制度が存在するかどうか・今年度の受付状況・申請の流れは、インターネットだけでなく担当窓口への電話で確認することが確実です。制度名・担当部署・電話番号を調べて、動き始める前に一度連絡を入れることをおすすめします。
4つ目のポイントは「複数制度の同時活用を検討すること」です。ブロック塀除却と生垣化はセットで申請できる自治体が多く、生垣化補助と雨水タンク補助も同時期に申請できます。一つの制度だけに絞らず、複数の窓口に確認して使える制度を全部活用することが有利です。
5つ目のポイントは「工事費の立替資金を準備すること」です。補助金は後払いのため、工事費を一時的に自己負担する資金が必要です。補助が決定してからでは工事費の手元資金が足りないということがないよう、工事費全額を用意できるかを事前に確認してください。
これらのポイントを押さえた上で申請に臨めば、補助制度を無駄なく活用できます。
出典一覧
本記事で参照した主な情報源を以下に示します。いずれも2026年6月27日に確認したものですが、内容は変更される可能性があります。
国土交通省「ブロック塀等の安全対策について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/blockbei.html
国土交通省「建築物の既設の塀の安全点検について」(平成30年6月21日通知)
https://www.mlit.go.jp/common/001239762.pdf
横浜市「ブロック塀等改善事業」
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/bosai/blockbei/blockbei.html
大阪市「ブロック塀等の撤去を促進する補助制度について」
https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/page/0000440127.html
相模原市「危険なブロック塀などの撤去費の一部補助」
https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/1026489/sumai/1026513/1007980.html
秋田市「小学校の通学路に面する危険ブロック塀などの除却費用の補助について」
https://www.city.akita.lg.jp/shisei/machizukuri/1011485/1007501/1019572.html
大田区「生垣造成助成制度」
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/kankyou/ryoka/josei.html
西東京市「緑と花の沿道推進事業補助」
https://www.city.nishitokyo.lg.jp/kurasi/koen/ikegaki.html
横浜市「雨水貯留タンク設置助成制度」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/kasen-gesuido/gesuido/setsuzoku/tankjosei.html
世田谷区「雨水タンクの設置に関する助成制度」
https://www.city.setagaya.lg.jp/03666/629.html
大田区「雨水タンク設置助成制度」
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/sumai/j_josei/usuichoryuusou.html
建築基準法施行令第62条の8(コンクリートブロック塀の基準)
https://www.pref.nara.jp/secure/198596/kijun.pdf
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的として作成されています。個別の申請の可否・補助額の計算・書類の作成代行・手続きの代行は行いません。本記事の内容は2026年6月27日時点の公開情報に基づいており、制度の内容は年度ごとに変更されることがあります。申請の際は必ず各自治体の担当窓口に最新情報をご確認ください。
本記事に掲載した金額・要件・手順はいずれも「例」として示したものであり、全国のすべての自治体に当てはまるものではありません。本記事を参考にした結果として補助金が受けられなかった場合・損失が生じた場合であっても、当方は責任を負いかねます。
本記事は特定の自治体・業者・製品を推奨するものではありません。